忌野清志郎の『雨あがりの夜空に』は「すごい発明」市川紗椰が語る、日常と反骨を包み込む魅力

時代を先取りしたロックスター・忌野清志郎の魅力に迫った。

この内容をお届けしたのは、9月29日(火)放送のJ-WAVE『MIDDAY LOUNGE』(ナビゲーター:市川紗椰)の「MUSIC EXPLORER」。世界の音楽シーンのムーブメントを「今」の視点で考察するコーナーだ。

フォークロックから始まったRCサクセション

今回は、10月2日(金)に公開される映画『愛し合ってるかい? 忌野清志郎が教えてくれた』をきっかけに、日本のロックスター・忌野清志郎の歩みと、その偉大な功績を振り返った。

『愛し合ってるかい? 忌野清志郎が教えてくれた』 予告

RCサクセションのフロントマンとして、『トランジスタ・ラジオ』『雨あがりの夜空に』など数々の名曲を世に送り出した忌野清志郎。音楽活動にとどまらず、ドラマやCMにも出演し、その存在は幅広い層に知られていった。一方で、ファンやミュージシャンからも長く支持され、「愛と平和」の象徴、そして「KING OF ROCK」として語り継がれている。

市川:『雨あがりの夜空に』は1980年にリリースされ、ライブでも定番の人気曲です。文学的にも下世話にも振り切らず、ダブルミーニングをみんなで大合唱できる歌を作る清志郎さん。すごい発明だなと思いますよね。こういう生活感のあるラブソングは、やっぱりたまらないですね。ライブのイメージも、派手な衣装やメンバーが躍動する姿など、みなさんいろいろなイメージをお持ちでしょうね。

Ameagarino Yozorani

RCサクセションは、最初からロックバンドとして活動を始めたわけではない。中学・高校時代の同級生と結成したグループを母体に、1968年にRCサクセションとして活動をスタート。当初はフォーク色の強いフォークロックを軸に音楽を奏で、1970年に『宝くじは買わない』でレコードデビューを果たした。

市川:ちなみに、今バックで流れている『ぼくの好きな先生』は、清志郎さんが慕い続けた高校時代の先生がモデルになっていて、音楽にのめり込んでいた清志郎さんに対して理解を示してくれた先生だそうです。フォークロック期のRCサクセションにも、素敵な曲がたくさんあります。代表曲のひとつ『スローバラード』も初期に発表された曲でした。

ぼくの好きな先生

RCサクセションを変えたロックへの転身

RCサクセションにとって大きな転機となったのが、フォークロックからロックへとサウンドを変化させた時期である。ギターに「CHABO」の愛称で知られる仲井戸麗市が加わるなどメンバーも変わり、ステージの音楽性だけでなく、ライブパフォーマンスもよりショーアップされたものへと進化していった。

シングルを数枚発表したのち、1980年にはライブアルバム『RHAPSODY』をリリース。オリジナルアルバムに先駆けてライブ盤を発表したことで、RCサクセションはライブバンドとしての存在感をさらに強めていく。

番組では、『RHAPSODY』から約半年後にリリースされたオリジナルアルバム『PLEASE』より、『トランジスタ・ラジオ』をオンエアした。

トランジスタ・ラジオ

市川:鼻にかかった高音と、裏返りそうな危うさで清志郎さんだとわかるし、サウンドも軽快で跳ねるようなリズムです。青春ソングなのにベタベタ感傷的にならない、この風通しのよさがたまらないです。授業をサボって屋上でラジオを流していたら、聴いたことのない曲が流れてきたという、ラジオ関係者からするとラジオ愛を感じられてうれしい曲です。

忌野清志郎が歌にしてきたのは、時代を生きる若者や、社会のなかで少し弱い立場に置かれた人たちの思いである。恋する気持ちや、何をやってもうまくいかないもどかしさ。働いても給料は安く、思うように暮らせないやるせなさ。さらに社会や政治に対する不満まで、さまざまな感情を自らの言葉で歌にしてきた。

市川:昨今、音楽家が社会的な発言をすることに賛否があったりしますが、自らの言葉で、自らの気持ちを素直に歌ってきたのが清志郎さんです。センセーショナルでスキャンダラスなイメージを持たれることもあるかもしれませんが、そこにはストレートに伝えたいメッセージとユーモアがあったと思います。反骨がスローガンにならないというか、社会や権力に対する違和感を歌う一方で、説教臭くなりすぎない。怒りをユーモアや色気、いたずらっぽさに変換できるのが強みだと思いますね。

映画で描く忌野清志郎の素顔と音楽

忌野清志郎のオンとオフ、さまざまな表情を貴重な映像とともに映し出すのが、映画『愛し合ってるかい? 忌野清志郎が教えてくれた』だと市川は語る。

市川:内容については細かく触れませんが、清志郎さんがどのような考えで音楽を作ったり、音楽と向き合ったり、誰からも愛されるミュージシャンになったのか、いろんな方の証言でできあがっているドキュメンタリーです。みなさんもぜひご自身で感じてください。

ここで番組では、清志郎がこの世を去る前の最後の作品と言われている『Oh! RADIO』をオンエアした。

忌野清志郎 - Oh! RADIO

市川:『トランジスタ・ラジオ』が少年にとってのラジオだったとすれば、この曲は人生を重ねた清志郎さんがもう一度ラジオを見つめたような曲となっています。ラジオが、離れた誰かと自分をつないでくれる存在として描かれていて、電波というものがロマンチックに聞こえるなと思います。

市川は、忌野清志郎の音楽について、歌詞に固有名詞や日常の風景が多く登場する点に触れる。

市川:大げさなロックの世界ではなく、身近な風景から歌が始まるから、今聴いても妙に体温が残っている気がして。あんなに派手なビジュアルなのに、どこか寂しい。その魅力が大きいなと思うんですよね。陽気でふざけているのに、その奥にある孤独や、ちょっとした切なさが垣間見えるんです。みなさんにとっても、いろんな魅力を感じられる方だと思います。あらためて、このタイミングで映画を観に行ったり、曲を聴いたりするのはいかがでしょうか。

映画『愛し合ってるかい? 忌野清志郎が教えてくれた』の詳細は公式サイトまで。

『MIDDAY LOUNGE』はグローバルなルーツを持つ国際色豊かなナビゲーターたちが、リスナーと一緒に「新しい自分、新しい世界と出会う」3時間のプログラム。ナビゲーターは、月曜 ハリー杉山、火曜 市川紗椰、水曜 クリス・ペプラー、木曜 ジョン・カビラが日替わりで担当している。

J-WAVE『MIDDAY LOUNGE』のコーナー「MUSIC EXPLORER」では、世界の音楽シーンのムーブメントを「今」の視点で考察する。放送は月曜~木曜の14時ごろから。
番組情報
MIDDAY LOUNGE
月・火・水・木曜
13:30-16:30

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