世界的ロックバンド・Radioheadのギタリスト、Ed O’Brien(エド・オブライエン)がソロとグループの活動の違いや、日本への想いなどを語った。
エド・オブライエンが登場したのは、8月28日(金)放送のJ-WAVE『SUNNY VIBES』(ナビゲーター:長井優希乃)のコーナー「THE MIRROR」。さまざまなフィールドで輝く人の言葉から“今”を映し出すコーナーだ。
インタビューの模様は、J-WAVEのオフィシャルYouTubeチャンネルでも公開されている。
そんなRadioheadのギタリスト、エド・オブライエンはコロナ禍を経て制作したソロアルバム『Blue Morpho』を5月にリリース。今回、彼は自宅とオフィスがあるイギリスのウェールズからリモートでゲスト出演した。
長井:まずは、Radioheadのツアーなどでも何度も日本を訪れているエドさんですが、エドさんから見た日本はどのような印象でしょうか?
エド:僕は昔から日本に行くのが大好きだし、バンドとしてもいつも日本に行くのが大好きだった。1993年に1stアルバムが出て、1年以内には日本に行ってツアーをしたからね。日本では本当に特別なすばらしい時間を過ごしてきたし、年を重ねるにつれて日本の文化や美しさ、特に自然に対する畏敬の念みたいなものにすごく共鳴するようになったんだ。2027年に初めて京都に行く予定だから、すごく楽しみなんだよ。古い日本が大好きなんだ。
長井:初京都、どんなところに行かれるのでしょうね。神社やお寺に行くのを、すごく楽しみにされているんじゃないかなと思います。
コロナ禍にメンタルのバランスを大きく崩し、不調を経験したエド。そのなかで制作を始め、4年以上の歳月を費やして完成したソロアルバムが『Blue Morpho』だ。長井は、このアルバムが生まれた経緯についても訊いた。
エド:そもそもの始まりは、僕が深い暗闇のなかにいたということだけど、それは決して単なる悪い場所ではなく、極めて重要な場所だったんだ。自分の体と魂が訴えかけていたんだよ。ちょうどロックダウンの時期でどこへも行けなかったから、その状態とじっくり向き合うしかなかったんだ。これまでの人生、僕はずっと忙しく動き回ってきた。Radioheadで音楽を作って、ツアーに出て、家族との時間もあって、ほかにもいろいろなプロジェクトを抱えていたから、常に忙しくしていたんだ。そんな僕に必要だったのは静寂と、逃げずに自分の子ども時代にまつわるすべての課題と向き合うことだった。
そこでエドは小さな部屋にこもり、ただギターを手に取って弾き始めたのだという。
エド:別に曲を作ろうとしていただけではなく、ただのセラピーみたいなものだった。でもその過程から、小さな音楽のモチーフみたいなものが浮かびあがってきて、僕はそれをただiPhoneに録音していった。そして、最終的にその暗闇から抜け出したとき、僕の手元にはたくさんの音楽のかけらが残されていた。そこにはある種の美しさがあったよ。その要素を持ち寄り、ポール・エプワースやライリー・マッキンタイアと一緒に、本格的にアルバムを作り始めたんだ。
長井:自分の大好きな音楽をやっていくこと自体が癒やしになる、それ自体が心のチューニングになるということは、音楽とずっと真摯に向き合い続けてきたエドさんだからこそなのかなと感じました。
エド:僕は432ヘルツで音楽を録音するという、探求の旅を続けているんだ。基本的には楽器のチューニングを少し低くフラットにするんだけど、個人的な意見としてはより力強くて、もっと潜在的なエネルギーを持った周波数なんだよね。昔の音楽の多くはそうやって演奏されていたし、神経を落ち着かせるんだ。体の細胞に響く何かがあって、まるで「あぁ~」と力が抜けていくような、自分の家に帰ってきたような感覚になるんだ。始めたころはほかのミュージシャンに「頭がおかしい」とか「ニューエイジ系だ」と思われたりした。でも、いろいろなところでこの話をしてきて、『Rolling Stone』でもこのテーマで記事があったんだけど、最近はジェイムス・ブレイクやジギー・マーリーも432ヘルツで録音しているし、みんながこれに気づき始めている。それは美しいことだよ。
そんな432ヘルツで制作された楽曲『Blue Morpho』を聴いた長井は、「体の力みが緩んでいくような、不思議な感覚がある」とコメントした。
長井:エドさんにとって、ソロアーティストとしてアルバム『Blue Morpho』を作ることと、Radioheadでの活動のあいだに、どのようなつながりがあるのでしょうか?
エド:それはすごく違って、まったく別のふたつの世界みたいだ。Radioheadはとっても古くて馴染みがあって、深くて美しい絆や友情がある。一方で『Blue Morpho』は未知の世界、全部が新しいんだ。だから、ある意味、エキサイティングだし、このふたつを持てるのはすばらしいことだよ。Radioheadの音楽は豊かに積み重ねてきた歴史があって、演奏すると今でもそれを肌で感じる。一方で『Blue Morpho』はまったく別の場所にあって、僕は完全にコンフォートゾーン(快適な領域)から抜け出している。ギタリストだけじゃなくて、シンガーでもあるしね。年を重ねるにつれて、自分が居心地がいいとは感じないようなことに挑戦するのは本当に大切なことだと思うから、僕は『Blue Morpho』にすごくワクワクしているんだ。
長井:コンフォートゾーンから抜け出して挑戦する、新たな旅を始める、未知の世界に飛び込んでいくということは、エドさんが言うように大切なことですし、これは音楽の世界だけではなく、私たちの日常でも言えることですよね。
エド:日本には森林浴という美しい文化があるよね。イギリスでも「森に行くことを理解している日本の人たちはすばらしい」と話題になるくらいだよ。僕も「忙しいことは美徳だ」という環境で育って、もちろん忙しくしなければいけない時期はあると思う。でも四六時中、忙しくしているのは無理だ。僕たちの祖先や古代の人々、日本の昔の人々はそれを知っていた。現代の忙しすぎるやり方はときには必要だけど、そのあとには自然のなかで休む必要があるんだ。
長井:エドさんは、日本における自然に対する考え方、たとえば「いろいろな自然のなかに神がいる」「魂が宿っている」という考え方と、古代のイギリスやケルトの人々の考え方に「似たものを感じる」とも仰っていました。最後に、エドさんが考える「人生における豊かさ」とはどのようなものでしょうか?
エド:この癒やしの旅を歩むなかで僕の人生を豊かにしてくれたのは、立ち止まって、僕たちが住んでいるこの美しい惑星、地球にもう一度心から感謝することだった。すべての小さな動物たち、木々や花々を本当に感じられる状態になれたら、それが僕にとっての人生の豊かさだと言える。ただ、現代のシステムは消費して、お金を使って、常に物事を動かし続けるようにできているから、僕たちがそうすることを好まないんだよね。でも、僕にとっての人生の豊かさは、その対極みたいなもので、この地球の季節、冬や夏、春といった、本当に古くからあるもののなかに組み込まれている。母なる大地である地球で生きる、その一部であるということだよ。
長井:日々忙しく、資本主義で動いている社会のなかで自分自身を見失ってしまう人は、たくさんいるのではないかと思います。でもエドさんは、立ち止まって季節を感じる。そして、週末でもいいから森に行こう、公園に行こう。そうすることで自分のなかの癒やしをあらためて取り戻せるし、それこそが心と体のチューニングにつながるのでは、とお話してくれました。本当に大切なことだなと思います。
今回のインタビューの模様は番組公式Instagramアカウント(@sunnyvibes813)でも公開中。
J-WAVE『SUNNY VIBES』のコーナー「THE MIRROR」では、さまざまなフィールドで輝く人の言葉から“今”を映し出す。放送は金曜8時35分ごろから。
エド・オブライエンが登場したのは、8月28日(金)放送のJ-WAVE『SUNNY VIBES』(ナビゲーター:長井優希乃)のコーナー「THE MIRROR」。さまざまなフィールドで輝く人の言葉から“今”を映し出すコーナーだ。
インタビューの模様は、J-WAVEのオフィシャルYouTubeチャンネルでも公開されている。
Radiohead Ed O'brien(エド・オブライエン)インタビュー|不調を乗り越え完成させたソロアルバム。制作の過程で感じた「音楽のかけら」とは?
メンタルの不調から救った、音楽の存在
「ロックの可能性を広げた」「世界でもっとも成功した実験的ロックバンド」とも評されているRadiohead。2010年12月に音楽雑誌『Rolling Stone』が発表した「歴史上もっとも偉大な100組のアーティスト」に選出され、2019年には「ロックの殿堂」入りを果たした。そんなRadioheadのギタリスト、エド・オブライエンはコロナ禍を経て制作したソロアルバム『Blue Morpho』を5月にリリース。今回、彼は自宅とオフィスがあるイギリスのウェールズからリモートでゲスト出演した。
長井:まずは、Radioheadのツアーなどでも何度も日本を訪れているエドさんですが、エドさんから見た日本はどのような印象でしょうか?
エド:僕は昔から日本に行くのが大好きだし、バンドとしてもいつも日本に行くのが大好きだった。1993年に1stアルバムが出て、1年以内には日本に行ってツアーをしたからね。日本では本当に特別なすばらしい時間を過ごしてきたし、年を重ねるにつれて日本の文化や美しさ、特に自然に対する畏敬の念みたいなものにすごく共鳴するようになったんだ。2027年に初めて京都に行く予定だから、すごく楽しみなんだよ。古い日本が大好きなんだ。
長井:初京都、どんなところに行かれるのでしょうね。神社やお寺に行くのを、すごく楽しみにされているんじゃないかなと思います。
コロナ禍にメンタルのバランスを大きく崩し、不調を経験したエド。そのなかで制作を始め、4年以上の歳月を費やして完成したソロアルバムが『Blue Morpho』だ。長井は、このアルバムが生まれた経緯についても訊いた。
エド:そもそもの始まりは、僕が深い暗闇のなかにいたということだけど、それは決して単なる悪い場所ではなく、極めて重要な場所だったんだ。自分の体と魂が訴えかけていたんだよ。ちょうどロックダウンの時期でどこへも行けなかったから、その状態とじっくり向き合うしかなかったんだ。これまでの人生、僕はずっと忙しく動き回ってきた。Radioheadで音楽を作って、ツアーに出て、家族との時間もあって、ほかにもいろいろなプロジェクトを抱えていたから、常に忙しくしていたんだ。そんな僕に必要だったのは静寂と、逃げずに自分の子ども時代にまつわるすべての課題と向き合うことだった。
そこでエドは小さな部屋にこもり、ただギターを手に取って弾き始めたのだという。
エド:別に曲を作ろうとしていただけではなく、ただのセラピーみたいなものだった。でもその過程から、小さな音楽のモチーフみたいなものが浮かびあがってきて、僕はそれをただiPhoneに録音していった。そして、最終的にその暗闇から抜け出したとき、僕の手元にはたくさんの音楽のかけらが残されていた。そこにはある種の美しさがあったよ。その要素を持ち寄り、ポール・エプワースやライリー・マッキンタイアと一緒に、本格的にアルバムを作り始めたんだ。
長井:自分の大好きな音楽をやっていくこと自体が癒やしになる、それ自体が心のチューニングになるということは、音楽とずっと真摯に向き合い続けてきたエドさんだからこそなのかなと感じました。
Ed O'Brien - Incantations
“432ヘルツ”に隠された美しさ
この日の『SUNNY VIBES』のテーマは「TUNE YOUR SELF~心と体を調律する〜」。テーマに合わせて、エドにもチューニングや音へのこだわりを教えてもらった。エド:僕は432ヘルツで音楽を録音するという、探求の旅を続けているんだ。基本的には楽器のチューニングを少し低くフラットにするんだけど、個人的な意見としてはより力強くて、もっと潜在的なエネルギーを持った周波数なんだよね。昔の音楽の多くはそうやって演奏されていたし、神経を落ち着かせるんだ。体の細胞に響く何かがあって、まるで「あぁ~」と力が抜けていくような、自分の家に帰ってきたような感覚になるんだ。始めたころはほかのミュージシャンに「頭がおかしい」とか「ニューエイジ系だ」と思われたりした。でも、いろいろなところでこの話をしてきて、『Rolling Stone』でもこのテーマで記事があったんだけど、最近はジェイムス・ブレイクやジギー・マーリーも432ヘルツで録音しているし、みんながこれに気づき始めている。それは美しいことだよ。
そんな432ヘルツで制作された楽曲『Blue Morpho』を聴いた長井は、「体の力みが緩んでいくような、不思議な感覚がある」とコメントした。
Ed O'Brien - Blue Morpho (Official Video)
エド:それはすごく違って、まったく別のふたつの世界みたいだ。Radioheadはとっても古くて馴染みがあって、深くて美しい絆や友情がある。一方で『Blue Morpho』は未知の世界、全部が新しいんだ。だから、ある意味、エキサイティングだし、このふたつを持てるのはすばらしいことだよ。Radioheadの音楽は豊かに積み重ねてきた歴史があって、演奏すると今でもそれを肌で感じる。一方で『Blue Morpho』はまったく別の場所にあって、僕は完全にコンフォートゾーン(快適な領域)から抜け出している。ギタリストだけじゃなくて、シンガーでもあるしね。年を重ねるにつれて、自分が居心地がいいとは感じないようなことに挑戦するのは本当に大切なことだと思うから、僕は『Blue Morpho』にすごくワクワクしているんだ。
長井:コンフォートゾーンから抜け出して挑戦する、新たな旅を始める、未知の世界に飛び込んでいくということは、エドさんが言うように大切なことですし、これは音楽の世界だけではなく、私たちの日常でも言えることですよね。
エドにとっての人生の豊かさとは?
日本が大好きだと語るエドから、日々を忙しく過ごす日本のファンやリスナーに向けて、メッセージをもらった。エド:日本には森林浴という美しい文化があるよね。イギリスでも「森に行くことを理解している日本の人たちはすばらしい」と話題になるくらいだよ。僕も「忙しいことは美徳だ」という環境で育って、もちろん忙しくしなければいけない時期はあると思う。でも四六時中、忙しくしているのは無理だ。僕たちの祖先や古代の人々、日本の昔の人々はそれを知っていた。現代の忙しすぎるやり方はときには必要だけど、そのあとには自然のなかで休む必要があるんだ。
長井:エドさんは、日本における自然に対する考え方、たとえば「いろいろな自然のなかに神がいる」「魂が宿っている」という考え方と、古代のイギリスやケルトの人々の考え方に「似たものを感じる」とも仰っていました。最後に、エドさんが考える「人生における豊かさ」とはどのようなものでしょうか?
エド:この癒やしの旅を歩むなかで僕の人生を豊かにしてくれたのは、立ち止まって、僕たちが住んでいるこの美しい惑星、地球にもう一度心から感謝することだった。すべての小さな動物たち、木々や花々を本当に感じられる状態になれたら、それが僕にとっての人生の豊かさだと言える。ただ、現代のシステムは消費して、お金を使って、常に物事を動かし続けるようにできているから、僕たちがそうすることを好まないんだよね。でも、僕にとっての人生の豊かさは、その対極みたいなもので、この地球の季節、冬や夏、春といった、本当に古くからあるもののなかに組み込まれている。母なる大地である地球で生きる、その一部であるということだよ。
長井:日々忙しく、資本主義で動いている社会のなかで自分自身を見失ってしまう人は、たくさんいるのではないかと思います。でもエドさんは、立ち止まって季節を感じる。そして、週末でもいいから森に行こう、公園に行こう。そうすることで自分のなかの癒やしをあらためて取り戻せるし、それこそが心と体のチューニングにつながるのでは、とお話してくれました。本当に大切なことだなと思います。
今回のインタビューの模様は番組公式Instagramアカウント(@sunnyvibes813)でも公開中。
J-WAVE『SUNNY VIBES』のコーナー「THE MIRROR」では、さまざまなフィールドで輝く人の言葉から“今”を映し出す。放送は金曜8時35分ごろから。
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