戦後沖縄を生きた父との対話を書籍化――ジョン・カビラが生前の母に訊いておきたかったこととは?

ジョン・カビラが、母から受け取った忘れられない言葉や、現在も変わらない三兄弟の関係、父・川平朝清の99歳を祝う計画について語った。

ジョン・カビラが登場したのは、クリス智子がお届けする『TALK TO NEIGHBORS』。この番組は毎週ひと組、クリスが今、声を届けたい人を迎える30分のトークプログラム。月曜から木曜はラジオでオンエアし、翌金曜には放送した内容に加えて、限定トークも含むポッドキャストを配信している。

ここでは、8月6日(木)にオンエアしたトーク内容(ポッドキャストのエピソード4)をテキストで紹介する。

・ポッドキャストページ




生前の母に訊いておきたかったこと

ジョンと父・川平朝清の共著『沖縄を語りつぐ ある家族の歴史』(岩波書店)が6月に発売となった。同書は、沖縄「慰霊の日」にあたる2019年6月23日に放送した J-WAVEの特別番組『J-WAVE SELECTION GENERATION TO GENERATION~STORIES OF OKINAWA~』をもとに書籍化が実現した。

『J-WAVE SELECTION GENERATION TO GENERATION~STORIES OF OKINAWA~』は、令和の時代を迎えた今、あらためて沖縄の歴史と向き合い、現代へとつながる課題について考えるきっかけを届けたいという思いから企画したもの。

川平朝清は台湾で生まれ育ち、終戦後に沖縄へ移住。その後、沖縄の本土復帰まで現地に暮らし、ラジオ・テレビの放送に携わりながら、その時代を報道する側から見つめてきた朝清の語りを、息子であるジョン・カビラがインタビューした。同番組は高く評価され、第57回ギャラクシー賞ラジオ部門大賞、2020年日本民間放送連盟賞ラジオ・グランプリを受賞している。

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なお、同番組はディレクターズカット版として現在J-WAVE Podcastで配信中。Apple Podcasts、Spotifyなど主要リスニングサービスでも聴くことができる。



『沖縄を語りつぐ ある家族の歴史』
台湾に生まれ育ち、戦後の沖縄でラジオ・テレビの放送に携わった川平朝清。その半生と家族の歴史、沖縄への思いを長男ジョン・カビラがインタビューした貴重な記録に本人談話を交えて大幅加筆。明治維新期から昭和へ、戦争を知る世代から戦後生まれの息子、孫へと語りつがれる沖縄の物語と川平家のファミリー・ヒストリー。

※岩波書店ホームページより引用
https://www.iwanami.co.jp/book/b10169074.html

番組ではまず、ジョンの父・朝清と、母・ワンダリーさんの人柄について話を聞いた。

クリス:お父さまの朝清さんとお母さまのワンダリーさんもすごくパワフルで、そりゃあカビラ三兄弟は、こういうエネルギーになるよね、ということがよくわかります。

ジョン:しょっちゅう「うるさい」って言われていましたからね。三兄弟がうるさすぎて、夕飯が大変なんですよ、大騒ぎで。

クリス:三兄弟ですもんね(笑)。お父さまとお母さまの出会いも、時代を考えると、そんなに簡単ではなかったかもしれませんね。

ジョン:僕は残念なことに、母から、父と同じくらいの集中度で話を聞けなかったんです。それが非常に残念で。

クリス:本にも「もし訊けたら、こんなことを訊きたい」という話がありましたね。

ジョン:本当は田舎のカンザスから逃げたかったんじゃないのって。おじいちゃんが「結婚を諦めてくれるなら、パリへの切符をアレンジするぞ」と言ったと聞いています。パリ行きを蹴って、行った先が沖縄ですよ(笑)。

クリス:すごいですよね。それはお父さまに惹かれたこともあるでしょうし、強い絆を感じます。

ワンダリーさんが残した言葉のひとつに、「Don't forget who you are」がある。

クリス:その「自分が何者であるかを忘れないようにね」という言葉を、ときどき思い出すと書かれていました。

ジョン:それは自分の立場やステータスということではなくて、「そもそも信じるものは何なのか」ということなんです。信じるものに立ち返って、それに即したことができていますか、やっていますか。そういうところを振り返る人でありなさい、ということですね。「何様なのか」ではなくて、「どういう人間でありたいと思って生きているのか」っていう。

クリス:自分への問い。

ジョン:問いですね。それです。だから、いつになったら及第点をもらえるんだろう(笑)。

クリス:とても深い言葉ですよね。年齢を重ねるほど響くかもしれないし、落ち込んだときにこそ響くかもしれませんし、「こうしなさい」「ああしなさい」でもなく、自分への言葉ですよね。

「ぶっちゃけ好き」カビラ三兄弟の変わらない関係

続いて話題は、長男のジョン、次男の川平謙慈、三男の川平慈英というカビラ三兄弟へ。クリスは以前、ジョンがナビゲーターを務めるJ-WAVEの番組『~JK RADIO~ TOKYO UNITED』(毎週金曜 9:00-11:30)を聴いていた際、兄弟にまつわる意外なエピソードに驚いたという。

クリス:車で『JK RADIO』を聴いていたんですよ。たしかアメリカの証券か、ビジネスのお話をされていて、勉強になるなと思って。最後に「弟の謙慈」と仰ったんです。「ええ、謙慈さんだったの!」って。

ジョン:彼はビジネス畑で頑張って、シカゴ大学でMBAを取ったり、いろんな企業で活躍してきて。もうさすがにフルタイムからは引退しましたけどね。

クリス:三兄弟は今でも本当に仲がいいですよね。「他はどうなの?」って言われるとよくわからないですけど。

ジョン:「仲がいいよね」と言われても、「え、普通ですけど」と思っていますけどね。

クリス:大人になっても、どこか戯れている感じがあります。

ジョン:お互い信頼してるし、まあ、ぶっちゃけ好きです(笑)。

家族の記憶を語りつぐことが、その先の道しるべに

父・朝清との共著『沖縄を語りつぐ ある家族の歴史』には、ジョンの娘・川平羽夏さんが「おじいちゃん−父−私」と題した文章を寄せている。

クリス:羽夏さんの文章をお読みになると、伝わっていることがちゃんとあるんだなと思われるのではないですか?

ジョン:ありがたいと同時に、この本はおじいちゃんの話が中心なので、僕の話を、いつ、どういう機会にしようかということを考えなければいけないなと。そもそも僕は沖縄の公立小学校、東京の区立中学校、アメリカンスクールから国際基督教大学に行って、そのあいだに1年間の留学もして。そのプロセスは当然伝わってますけれど、そこにどういう意図と狙いがあって、結果振り返ってどう思ってるかまでは、まだ伝えていないんですよね。

クリス:そういうことを伝えるべきだなと思います?

ジョン:伝えたいと思いますね。本人は今すでに働いていますけれど、これからいろいろな判断をしなければならないことが出てくると思うので、そのときの判断のアイデアのひとつとして、僕が岐路に立ったとき、どう考えたのかを知っておいてもいいのかなと思いますね。もちろん、本人はその場にいたわけでもないし、時代も環境も違うので、それがそのままサンプルとか道しるべになるかはわからないですけど、「そういう考え方やものの見方があるんだ」と知る価値はあるかなと思います。僕のこともそうですし、妻の選択もそうですよね。

お祝いはブラジリアンバーベキューで紙芝居?

続いて話は、今月99歳を迎える朝清の誕生日へ。96歳のときには、沖縄の長寿祝い「カジマヤー」を東京沖縄県人会の協力を得て開催したという。

ジョン:今回は父の昔の写真を引っ張り出して、ポスターサイズにするのか、紙芝居的にアレンジしようと思っています。

クリス:カビラ家のお祝いの仕方、すごいですね。

ジョン:仲よくさせてもらっている方から、「うちのベランダで、ブラジリアンバーベキューをしてお祝いしない?」と申し出があって、「ええ!?」って。こぢんまりとやるつもりが、30数人の集いになりそうです。

クリス:ブラジリアンバーベキューで紙芝居ですか(笑)。

ジョン:そうです(笑)。父はこまめな性格で、アルバムがあるんですよ。「何ですか、この日活ニューフェイスは?」みたいな白黒写真が出てくるんです。

クリス:ものすごく男前ですよね。かっこいいです。

ジョン:沖縄のラジオ番組のロケで、ブラジルに移民した方々が里帰りしたというようなイベントの司会をしている写真も出てくるんですよ。そういう写真を紙芝居にして、僕がめくりながら、父がそこで朗々と説明するという企画を。

クリス:お父さまが読まれるんですか!?

ジョン:そうですよ。ただし、本人にリハーサルはなく、どの写真を選んだかはシークレットにして、その場でどう反応できるか。

クリス:チャレンジングな企画ですね(笑)。

ジョン:でも、受けて立つのが川平朝清です。絶対喜ぶと思うんですよ。

クリス:そういう好奇心を持ってチャレンジすることが、健康でいられる秘訣なんですかね。

ジョン:モチベーションになると思います。常に面白がるっていう。その面白がりを共有したいので、いろんなことを考える。これだと思いますね。

ジョン・カビラの最新情報は公式サイトまで。

クリス智子がお届けする『TALK TO NEIGHBORS』は、J-WAVEで月曜~木曜の13時よりオンエア。ポッドキャストでも配信中。
番組情報
TALK TO NEIGHBORS
月・火・水・木曜
13:00-13:30

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