[Alexandros]川上洋平、エッセイを書いて何が見えた? 吉岡里帆が迫る“丁寧なものづくり”

[Alexandros]の川上洋平(Vo/Gt)が、2ndエッセイ『次幕』の執筆エピソードを語った。

川上が登場したのは、2月15日(日)放送のJ-WAVE『UR LIFESTYLE COLLEGE』(ナビゲーター:吉岡里帆)。心地よい音楽とともに、よりよいライフスタイルを考えるプログラムだ。

吉岡里帆が迫る、川上洋平の“こだわり”

川上洋平は1982年生まれ、神奈川県出身。4人組ロックバンド・[Alexandros]のボーカル/ギターとして活動し、多彩な楽曲を発表してきた。音楽活動にとどまらず、2025年12月25日に発売された2ndエッセイ『次幕』(宝島社)も話題を集めている。

本番組はゲストのライフスタイルに迫る。今回は、川上が自宅のインテリアのこだわりや、好きな休日の過ごし方について語る場面があった。全編はSpotifyなどのポッドキャストで配信中。

この記事では、オンエア内容の一部としてエッセイに注目したパートをテキストで紹介する。

・ポッドキャストページ

「今」にフォーカスをあてたエッセイを出版

川上と初対面の吉岡だが、実はある縁があるという。吉岡にとって初めての映画ヒロイン作となった『明烏 あけがらす』で、[Alexandros]の『ワタリドリ』が主題歌に起用されていたという。

吉岡:『ワタリドリ』が主題歌に決まった当時、私はまだ映画にほぼ出ていなくて、仕事も全然してなかった時期でした。だから、本当にありがたいお仕事だなと思っていて。試写で聴いたのかな。すごくかっこいい主題歌がついてると思って、そこで初めて[Alexandros]さんのことを調べたんです。

川上:うれしいです。ありがとうございます。

吉岡:「なんて素敵な方たちなんだろう」と思った記憶があって、いつかお会いしてみたいなと思っていたんですけど、なかなかご縁がなくて。今日は本当にありがたいです。川上さんの2ndエッセイ『次幕』について伺っていきたいと思います。タイトルはどんな思いでつけられたのでしょうか。

川上:今回は、自分の「今」の話を書こうと思ったんですよ。1冊目は半生を書こうと思って、[Alexandros]というバンドがどうやってできたのか、もっと言うと幼少期のころの話まで詰め込んでいました。もし次に書くことがあったら、今の話とか、これからどうやっていこうかなという生々しいエッセイを書きたいなと思ってたんですよね。

吉岡:そうだったんですね。

川上:それで「次」とか、今の自分を説明するものじゃないですけど、映画のサブタイトルみたいなものがタイトルになったらいいなと思っていて。そういえば「字幕」っていう字は「次」にもなるなと思って、当て字で「次幕」って書いてみたらなんか面白いなと。それで、このタイトルになりました。

吉岡:そういうところからだったんですね。私、先に読ませていただいたんですが、2冊目ということで、3年ぶりですよね。1冊目でご自身のこれまでのことを本当に細かく書かれていたぶん、さらに「まだこんなに書けるんだ」っていうのがまず驚きでした。音楽をやっている方って、自分の話をするのがなかなか苦手な方も多いじゃないですか。それなのに、ここまで細かく教えてくださるんだなと思って、それが最初の印象でした。

作詞は"吐き出す"行為

吉岡は、『次幕』のなかで特に印象に残っている一節について語った。

吉岡:私自身も仕事をしていて、若いころは「走り続けなければ成り立たない」と感じてました。実際、走らざるを得ない状況があまりにも多くて、自分を振り返る時間がなかったと思います。本のなかでは「今が折り返し地点」とも書かれていましたよね。川上さん、こんなに多くの作品を残してきてもこの思いになるんだ、と正直驚きでした。

川上:そうですね。今までに作った曲が100曲以上あるんですよ。でもどれを見返しても、自分のなかでは100パーセントで満足できてなくて。作ってるときはいい感じだなって思うんですけど、聴き返すと「なんでもうちょっとこうしなかったんだろう」って感じるんです。

吉岡:なるほど。

川上:作品ってそういうものかなって思うんですけど。だからこそ作り続けていくしかないし、磨き続けていくしかないのかなって思ってます。15年やってきて、それがなかったからよかったところもあるんですけど、自分のなかで「100点じゃないけど、せめて90点くらいまではいけたんじゃないか」と思う部分もあって。もう少し立ち止まって、息を整えて、作品を俯瞰で見る作業が必要だったのかな、というのは今になって感じてますね。

吉岡:メロディーや歌詞を作っていく過程のお話も、すごく面白いなと思いました。とにかく、歌詞になるかならないかはさておき、まずは「本当の言葉」を書いてみるというところが印象的で。その歌詞制作の話のなかで、私自身がすごく反省したフレーズがあって。私もラジオでパーソナリティをしていると、ゲストの方が来てくださると、やっぱりその人自身のことが気になって、いろいろ伺いたくなるじゃないですか。

川上:そうですね。

吉岡:そのときに、私も「この歌詞の意味は何ですか?」と訊いてたなと思ったんです(笑)。

吉岡は、川上の『次幕』のなかで、インタビューを受ける際に歌詞の意味について訊かれても、満足のいく回答ができたことはなく、むしろ意味がわかってたまるかと感じるといった内容の箇所が、すごく刺さったと語った。

川上:もし自分がちゃんと説明できる頭のよさがあれば、たぶんミュージシャンになっていなかったと思うんですよね。僕は音楽家というより、「吐き出し屋」だと思っているんです。なので「うまい歌詞を書いて驚かせたい」というよりは、まずなかに入っているものをそのまま吐き出す。それを人様に聴かせるためにちょっと修正する、っていう感覚で歌詞を書いていて。だから、「いかに吐き出すか」が大事なんですよね。説明できないものだからこそ、そこを訊かれて、うまく答えている人を見ると「うまいなあ」と思います(笑)。雑誌を読むときも、自分の記事以外を読むわけですよ。

吉岡:はい。

川上:「うまいこと言えてるな」と言うと語弊があるかもしれませんが、自分の歌詞をちゃんと言語化できるのは本当にすごいことだと思います。だけど、そもそも説明しすぎるのが好きではないんですよね。どちらにしても、これからもそんなにうまくはならなくていいかなと思ってます。

表に出る人ほど、書いたほうがいい

川上は今回のエッセイ執筆について、編集が大変なほど好調に書けたという。吉岡は「書いているなかで、川上さんご自身が新しく発見できたことはありましたか?」と質問した。

川上:「[Alexandros]の川上洋平はこうじゃなきゃいけない」という像をデビューするときに作り上げて、そのまま15年やってきたんです。でも、書いているうちに「そうじゃないな」という部分がけっこう見つかったんですよ。わりと表に出る人ほど、書いたほうがいいなと思いましたね。

吉岡:なるほど。

川上:いつの間にか、「人から思われている自分」と「本当の自分」がズレていく感覚って、どこかにあると思うんです。「本当はそうじゃないのに」って思いながらも、だんだん周りの期待に寄った自分になっていく。その整合性をどこかで一度大きく合わせないと、狂ってくる気がするんですよ。

吉岡:すごくわかります。

川上:それがうまく形になっていく人もいると思います。ただ、より人間的な部分をアートに入れ込むタイプの人は、10年くらいの単位で「答え合わせ」をしたほうがいい気がしますね。

吉岡:2026年が始まって、もう1カ月が経ちました。今年はどんな1年にしたいですか?

川上:とにかくいい曲を作りたいですね。本にも書きましたが、じっくり丁寧に、「どこからどう見てもこれは完璧だ」と自分で思えるものを作り上げたいです。リリースするか俺が歌うかも含めて、とにかく「いい曲を作りたい」っていう思いが今すごく強いです。それはこの本を書き終わったあとに湧いてきた感覚なんですよね。だからこの1年という期限を設けて、作りたいなと思っています。

吉岡:楽しみすぎます!

番組では、[Alexandros]の『超える』をオンエアした。

[Alexandros] - 超える (MV) (アニメ『ウマ娘 シンデレラグレイ』第1クールオープニング主題歌)

[Alexandros]の最新情報は公式サイトまで。

『UR LIFESTYLE COLLEGE』では、心地よい音楽とともに、よりよいライフスタイルを考える。オンエアは毎週日曜18時から。
番組情報
UR LIFESTYLE COLLEGE
毎週日曜
18:00-18:54

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