日本茶の情報を集めたウェブメディア『日本茶生活』を主宰する三浦一崇さんが、世界中でブームになっている日本茶の実情を語った。
三浦さんが登場したのは、11月23日(日)放送のJ-WAVE『ACROSS THE SKY』(ナビゲーター:小川紗良)の「WORLD CONNECTION」。ゲストを招き世界の最新カルチャーに迫るコーナーだ。
小川:三浦さんは4代続いた静岡のお茶農家さんの生まれで、出版社やPR会社を経て2021年に『日本茶生活』をスタートされたと伺っています。日本茶メディアを立ち上げたきっかけを教えてください。
三浦:PR会社に勤めていたときに、お茶屋さんから広報の依頼があって、それを僕が担当したんですね。それと同時期に、お茶のイベントの仕事で友人とイベントを一緒にやる機会があったりして、日本茶の面白さに気づきました。そのころから産地に行くことが増えて、いいお茶との出会いや生産者さんとの出会いが同じ時期にぶわっとやってきて、『日本茶生活』を立ち上げたという感じです。
小川:お茶のほうからやってきたという感じですか?
三浦:いままで全然、お茶に自分から行かなかったんですけど、お茶のほうからやってきた感覚で、もうそこで虜になったという。海外で仕事をすることも多かったので、自然と地元だったり日本のよさに気づいて、そのときにお茶があったという感じです。
小川:海外では需要が高まっていると聞きましたが、輸出量も増えているんですか?
三浦:ここ10年ずっと伸び続けていて、5年ほど過去最高を更新し続けています。2024年の輸出額は364億円。今年9月の時点で2024年(の輸出額)を超えているので、今年はもっと伸びているはずです。
小川:この世界的な日本茶ブームはなぜ発生したのでしょうか?
三浦:抹茶のブームは過去に何度かあって、たとえばスターバックスの抹茶ラテが流行ったのが20年前だったり、ハーゲンダッツの抹茶味が流行ったりとかあるんですけど、10年ぐらい前にアメリカで抹茶ブームがメディアで取り上げられたんですね。それから世界同時多発的に世界中で抹茶のブームというか、抹茶の人気が爆発しています。最初はアメリカだったんですが、いまの抹茶人気は東南アジアや中東、ヨーロッパに移ってきています。日本に来る外国人が増えて、SNSの影響で日本茶のよさがいろんな国に広がったというのもありますが、やっぱり10年、20年のスパンで日本茶業界が積み上げてきたものも大きいと思っています。お茶屋さんが海外に行って日本茶のプロモーションをしてきたことや、東京や京都で日本茶のカフェが増えていることもブームの要因としてあると思っています。
三浦:抹茶でいうと、抹茶系のスイーツを好む方は増えていますね。抹茶ラテも普通のシンプルな抹茶ラテじゃなく、フルーツを入れたりエナジードリンクとして楽しむ方もいますし、海外独自のアレンジが発展しています。
小川:抹茶がエナジードリンクって、意外ですね。
三浦:抹茶はカフェインが入っていたり、テアニンというリラックス効果を促進するような成分も入っているので、エナジードリンクとしてはもちろん、リラックスドリンクとしても評価されていたりします。エナジーもリラックスも両方いけるということで、抹茶ドリンクが人気なのかもしれません。
小川:抹茶って着物を着てお茶室で点てるというイメージがありますけど、もっとカジュアルでいいんですね。
三浦:みなさん自由に楽しんでいます。海外のカフェのメニューを見てもそういう感じがしますね。
三浦:実は、いちばん輸入量が伸びていると言われてるのがイギリスで、次はタイのバンコクなんです。
小川:イギリスは紅茶の国ですよね?
三浦:そうなんですが、ここ1年でものすごい抹茶を扱うお店が増えましたし、抹茶を販売するECショップも増えています。
小川:いま、例として三浦さんに紹介されたロンドンのお茶屋さんのサイトを見ているんですが、「JENKI」という日本茶のショップがありまして。カップに緑色の稲妻マークが書かれていて、それこそ前半に話していたエナジーを感じるようなデザインなんですけど、上のほうは抹茶色なんですよ。そこからだんだんグラデーションで青とかピンクとか黄色とかカラフルなドリンクになっています。
三浦:ブルーの抹茶ラテがあったり、フルーツとかいろんな材料を使ってるんですけれど、体にいいということを売りにしてますよね。抹茶はアレンジを効かせられるっていうのはかなり魅力的みたいですね。で、やっぱり抹茶カフェをやると儲かるっていう。ブームに乗っかる方は増えてますよ。
小川:日本でタピオカ屋さんがめっちゃ増えたときみたいな感じですか?
三浦:そうです。それでタピオカよりおしゃれで体にいいって。
小川:バンコクのほうはどんな盛り上がりですか?
三浦:同じように抹茶のカフェが増えてますね。抹茶を仕入れたいっていう問い合わせもすごく多いですし、日本に学びに来る方も多いです。バンコクの場合は抹茶だけじゃなく煎茶、お茶っ葉のほうも興味を持つ方が増えています。
小川:海外では、お茶イコール抹茶というイメージなのかなと思っていたんですが、煎茶やほうじ茶も人気なんですね。
三浦:抹茶以外の煎茶なども輸出量は伸びています。日本茶全体で人気は増していますよ。
小川:輸出量の伸びによって、日本のお茶農家さんも変化しているのではないですか?
三浦:抹茶の需要が高いので、煎茶から抹茶に変更する農家さんもいらっしゃいますし、ずっと煎茶を守っている方もいらっしゃいます。最近だと、国産の紅茶を作る方も増えています。世界中でお茶を買ってくれる、お茶を好んでくれるファンがいるっていうのは、やっぱりお茶農家としては勇気づけられることです。日本人ももちろん大事ですけれども、世界に目を向けている農家の方もいらっしゃいますね。
小川:三浦さんは普段、お茶の情報を発信していらっしゃいますけど、今後、日本だけでなく世界に向けてどのような情報を発信したいと思いますか?
三浦:お茶の魅力って、本当にひと言で語り尽くせないものがあって。日本の場合は茶道と密接につながっていたり、それこそ日本全国にお茶の産地があったりして、その地域ごとの文化とのつながりがあるっていうのが日本茶の魅力だと思っています。飲むだけのお茶じゃない、体験するお茶として世界の方に知ってもらえると、もっとファンが増えるんじゃないかなと思いますね。
小川:ただ飲む、味わうだけじゃなくて、やっぱりお茶を介して誰かとコミュニケーションする輪が広がっていく感じがありますよね。
三浦:おっしゃるとおり、つながりがものすごい重要なキーワードかなと思ってます。お茶のイベントも増えてきているので、まずイベントに行っていただいて、いろんな生産者さんとの出会いを経験していただけたらと。お店では出会えないお茶との出会いがあると思います。
三浦一崇さんが主宰する『日本茶生活』の詳細は公式サイトまで。
『ACROSS THE SKY』のコーナー「WORLD CONNECTION」では、ゲストを招き世界の最新カルチャーに迫る。オンエアは毎週日曜の9時20分ごろから。
三浦さんが登場したのは、11月23日(日)放送のJ-WAVE『ACROSS THE SKY』(ナビゲーター:小川紗良)の「WORLD CONNECTION」。ゲストを招き世界の最新カルチャーに迫るコーナーだ。
日本茶のブームは北米からアジア・中東へ
北米で大企業がオフィスのドリンクに日本茶を導入したり、大谷翔平が伊藤園とスポンサー契約を結んだことがアメリカで話題になるなど、近年、日本茶の需要が高まっているという。今回は日本茶のウェブメディア『日本茶生活』を主催する三浦一崇さんをゲストに迎え、日本茶の現状について話を聞いた。小川:三浦さんは4代続いた静岡のお茶農家さんの生まれで、出版社やPR会社を経て2021年に『日本茶生活』をスタートされたと伺っています。日本茶メディアを立ち上げたきっかけを教えてください。
三浦:PR会社に勤めていたときに、お茶屋さんから広報の依頼があって、それを僕が担当したんですね。それと同時期に、お茶のイベントの仕事で友人とイベントを一緒にやる機会があったりして、日本茶の面白さに気づきました。そのころから産地に行くことが増えて、いいお茶との出会いや生産者さんとの出会いが同じ時期にぶわっとやってきて、『日本茶生活』を立ち上げたという感じです。
小川:お茶のほうからやってきたという感じですか?
三浦:いままで全然、お茶に自分から行かなかったんですけど、お茶のほうからやってきた感覚で、もうそこで虜になったという。海外で仕事をすることも多かったので、自然と地元だったり日本のよさに気づいて、そのときにお茶があったという感じです。
小川:海外では需要が高まっていると聞きましたが、輸出量も増えているんですか?
三浦:ここ10年ずっと伸び続けていて、5年ほど過去最高を更新し続けています。2024年の輸出額は364億円。今年9月の時点で2024年(の輸出額)を超えているので、今年はもっと伸びているはずです。
小川:この世界的な日本茶ブームはなぜ発生したのでしょうか?
三浦:抹茶のブームは過去に何度かあって、たとえばスターバックスの抹茶ラテが流行ったのが20年前だったり、ハーゲンダッツの抹茶味が流行ったりとかあるんですけど、10年ぐらい前にアメリカで抹茶ブームがメディアで取り上げられたんですね。それから世界同時多発的に世界中で抹茶のブームというか、抹茶の人気が爆発しています。最初はアメリカだったんですが、いまの抹茶人気は東南アジアや中東、ヨーロッパに移ってきています。日本に来る外国人が増えて、SNSの影響で日本茶のよさがいろんな国に広がったというのもありますが、やっぱり10年、20年のスパンで日本茶業界が積み上げてきたものも大きいと思っています。お茶屋さんが海外に行って日本茶のプロモーションをしてきたことや、東京や京都で日本茶のカフェが増えていることもブームの要因としてあると思っています。
抹茶をエナジードリンクとして楽しむ人も
続いて、海外で日本茶がどんなふうに楽しまれているのかを訊いた。三浦:抹茶でいうと、抹茶系のスイーツを好む方は増えていますね。抹茶ラテも普通のシンプルな抹茶ラテじゃなく、フルーツを入れたりエナジードリンクとして楽しむ方もいますし、海外独自のアレンジが発展しています。
小川:抹茶がエナジードリンクって、意外ですね。
三浦:抹茶はカフェインが入っていたり、テアニンというリラックス効果を促進するような成分も入っているので、エナジードリンクとしてはもちろん、リラックスドリンクとしても評価されていたりします。エナジーもリラックスも両方いけるということで、抹茶ドリンクが人気なのかもしれません。
小川:抹茶って着物を着てお茶室で点てるというイメージがありますけど、もっとカジュアルでいいんですね。
三浦:みなさん自由に楽しんでいます。海外のカフェのメニューを見てもそういう感じがしますね。
いま、いちばんお茶が人気なのはイギリスとタイ
日本茶がブームになっている国について訊くと、意外な答えが返ってきた。三浦:実は、いちばん輸入量が伸びていると言われてるのがイギリスで、次はタイのバンコクなんです。
小川:イギリスは紅茶の国ですよね?
三浦:そうなんですが、ここ1年でものすごい抹茶を扱うお店が増えましたし、抹茶を販売するECショップも増えています。
小川:いま、例として三浦さんに紹介されたロンドンのお茶屋さんのサイトを見ているんですが、「JENKI」という日本茶のショップがありまして。カップに緑色の稲妻マークが書かれていて、それこそ前半に話していたエナジーを感じるようなデザインなんですけど、上のほうは抹茶色なんですよ。そこからだんだんグラデーションで青とかピンクとか黄色とかカラフルなドリンクになっています。
三浦:ブルーの抹茶ラテがあったり、フルーツとかいろんな材料を使ってるんですけれど、体にいいということを売りにしてますよね。抹茶はアレンジを効かせられるっていうのはかなり魅力的みたいですね。で、やっぱり抹茶カフェをやると儲かるっていう。ブームに乗っかる方は増えてますよ。
小川:日本でタピオカ屋さんがめっちゃ増えたときみたいな感じですか?
三浦:そうです。それでタピオカよりおしゃれで体にいいって。
小川:バンコクのほうはどんな盛り上がりですか?
三浦:同じように抹茶のカフェが増えてますね。抹茶を仕入れたいっていう問い合わせもすごく多いですし、日本に学びに来る方も多いです。バンコクの場合は抹茶だけじゃなく煎茶、お茶っ葉のほうも興味を持つ方が増えています。
小川:海外では、お茶イコール抹茶というイメージなのかなと思っていたんですが、煎茶やほうじ茶も人気なんですね。
三浦:抹茶以外の煎茶なども輸出量は伸びています。日本茶全体で人気は増していますよ。
小川:輸出量の伸びによって、日本のお茶農家さんも変化しているのではないですか?
三浦:抹茶の需要が高いので、煎茶から抹茶に変更する農家さんもいらっしゃいますし、ずっと煎茶を守っている方もいらっしゃいます。最近だと、国産の紅茶を作る方も増えています。世界中でお茶を買ってくれる、お茶を好んでくれるファンがいるっていうのは、やっぱりお茶農家としては勇気づけられることです。日本人ももちろん大事ですけれども、世界に目を向けている農家の方もいらっしゃいますね。
小川:三浦さんは普段、お茶の情報を発信していらっしゃいますけど、今後、日本だけでなく世界に向けてどのような情報を発信したいと思いますか?
三浦:お茶の魅力って、本当にひと言で語り尽くせないものがあって。日本の場合は茶道と密接につながっていたり、それこそ日本全国にお茶の産地があったりして、その地域ごとの文化とのつながりがあるっていうのが日本茶の魅力だと思っています。飲むだけのお茶じゃない、体験するお茶として世界の方に知ってもらえると、もっとファンが増えるんじゃないかなと思いますね。
小川:ただ飲む、味わうだけじゃなくて、やっぱりお茶を介して誰かとコミュニケーションする輪が広がっていく感じがありますよね。
三浦:おっしゃるとおり、つながりがものすごい重要なキーワードかなと思ってます。お茶のイベントも増えてきているので、まずイベントに行っていただいて、いろんな生産者さんとの出会いを経験していただけたらと。お店では出会えないお茶との出会いがあると思います。
三浦一崇さんが主宰する『日本茶生活』の詳細は公式サイトまで。
『ACROSS THE SKY』のコーナー「WORLD CONNECTION」では、ゲストを招き世界の最新カルチャーに迫る。オンエアは毎週日曜の9時20分ごろから。
番組情報
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毎週日曜09:00-12:00