7月に上演される舞台『泣くロミオと怒るジュリエット2025』に出演する柄本時生が、自身の俳優観について語った。
柄本が登場したのは、6月10日(火)放送のJ-WAVE『PEOPLE'S ROASTERY』(ナビゲーター:長井優希乃)の「VIBES JINRUIGAKU」。長井がゲストとともに「人と世界」について考えるコーナーだ。
長井:デビューが14歳で、俳優のキャリアは約20年。人生の半分以上ですね。
柄本:続いたなぁ……。たまに自分でも「ようやってられるな」と思います(笑)。
長井:けっこう長いキャリアだなと思いますが、2024年のドラマ『錦糸町パラダイス〜渋谷から一本〜』(テレビ東京系)では、プロデューサーとして初めて連続ドラマを制作されました。プロデューサーとして関わるのと、演じるのとでは、感覚は違いますか?
柄本:圧倒的に違いましたね。制作側になると、やっぱりいろいろなことがわかるわけで、そのなかで「どういう作品を、どういうテーマで、どういうものにしていこう」というまず0を考えて、それを脚本の1に変える。そのなかで、俳優部ってちょっとおもしろいなと思ったのは、1ができた段階で(俳優が)呼ばれるってこと。俳優部は、「誰を呼ぼう?」って呼ばれて、1を「2.3.4.5.6.7」って増やしていく作業をします。(制作側の)「0から1にする」というのがなかなかの作業で。僕はそれに携わったことがない人間なので、はじめまして、なことがかなり多くて地獄を見ましたね(笑)。自分がいままで知らなかったことだし、やったこともないから、いろいろな人に迷惑をかけたんだろうなとは思います。
長井:0から1を作る経験をされてから、俳優業への関わり方が変わったことはありますか?
柄本:ちょっとだけ、俳優業に余裕を持ちましたね。「作品という“円”があるなかの一部に俳優部がいるだけなんだな」というのがわかって、楽になりました。録音がいて、カメラがいて、監督がいる。「作品は監督のもの」とも言われますが、圧倒的に監督(の存在)がでかくて、そのなかに俳優部がいる。その感覚がよく見えたんですよね。
長井:これまで、演じられたりプロデューサーをやられたりして“お芝居”に関わってくるなかで、ご自身の持っていた価値観や“当たり前”がひっくり返った出来事は、何かありましたか?
柄本:意外とないかもしれないですね。よくも悪くも自分の家族がほぼ全員そういう仕事で、共通言語がずっとそれしかなかった。結局、その共通言語のまま、その人たちの“当たり前”の世界観の場所に入っちゃったものだから、意外と見聞きしていることから逸脱はしていないかな。でも、いま当たり前が変わってきているような気がすることもあります。
長井:どう変わってきている感じがしますか?
柄本:YouTubeの台頭だったり、サブスクリプションというものができ上がって、「映画館ではない場所で映画を観る」という、“環境の当たり前”ができてきたり。そういう当たり前が変わってきたと同時に、“働き方の当たり前”が違う子も増えてきている気がします。
柄本:正直、旅をしたことがほとんどなくて……。
長井:へぇ~!
柄本:ただ、実は2024年に初めて旅をしました。初旅はロンドンです。
長井:初旅の行き先に、なぜロンドンを選んだんですか?
柄本:知り合いの脚本家で演出家をやっている人が、たまたまロンドンに行って、ロンドンの劇場で、ロンドンの役者で公演をやると。単身で行っていたのですが、「とにかく退屈」「来てください」という連絡がずっと来ていました。それで「いい機会か」と思って、勇気を出して行ってみました。
長井:初旅はどうでしたか?
柄本:知らないことだらけで、この年齢で英語もまともにしゃべれないんですよ。だから「『Where is~』で目的地に辿り着くんだな」っていうのも初めて知って、「意外と優しい人ばっかりなんだな」と思いました。
長井:それ、ちょっと羨ましいなって思っちゃいました!
柄本:え、なんでですか!?
長井:私、けっこう旅好きでいろいろ行くことが多いのですが、慣れてくるとそういう冒険感やワクワク感みたいなものって、だんだん薄まっていく感じもあったりするんです。
長井は、初旅ならではの経験をした柄本に「『この人と、ここに行ってみたい』という妄想を」とリクエストする。柄本は考えた末、まず俳優・鈴木亮平の名前を挙げた。
柄本:鈴木亮平さん、たしかすごく旅好きなんですよね。または、斎藤 工さん。このおふたりのどちらかに、いろいろなところに連れて行ってもらいたいです。
長井:行き先を決めてもらって、ということですか?
柄本:はい。きっと知見もあるだろうし、ちょっといろいろなところに行ってみたいですよね。あとは、旅嫌いの人と旅が得意じゃない奴のふたりで行くのもおもしろそうですね。
長井:それ、絶対おもしろい!
柄本:とにかく何も知らない連中で行くのもいいな。誰がいるんだろう?
長井:The SALOVERSの古舘(佑太郎)さんが、「旅が全然好きじゃないのに、ネパールに行った」っていう話をされていました。
柄本:ふるくん(古館)だったら、一緒に行きたいかも!
長井:できたらあまり行かない場所がいいですね。私、以前アフリカに住んでいたことがあるんですけど、おふたりでマラウに行ってください。
柄本:いいな。行き当たりばったりな旅をしてみたいなぁ。
柄本:関西の港町を舞台に、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』を脚色しているものです。私がジュリエット役をやらせていただいていて、ロミオをWEST.の桐山照史くんがやるんですけど、僕がダメ男に貢ぐジュリエットで、きりくん(桐山)が吃音症のロミオを演じます。(作・演出の)鄭 義信さんが昔から見ていた関西の時代背景や、ご自身の体験などを少し反映された内容になっています。また全編、関西弁で、オールメール(全役男性)という、なかなかない舞台です。
長井:柄本さんが、公演で「今日はよかった」と思うのは、どのような感じのときでしょう?
柄本:ちょっと僕の性格上、面倒くさくて、正直、人生で1回も「よかった」ということはなくて。僕にとって、こういう舞台やプロデュース公演をやらせていただくっていうのは、「自分が何者なのかというのを確認する機会」だと思っているんですね。この世界って、映画だったりドラマだったり、たぶんこういうラジオの世界でも、全員が身内なんですよね。でも、舞台だけは他人の方を呼び込んで、「観られる」という作業をするんですよ。だから、僕のなかで舞台というのは「我々“俳優”っていうものは、残念なことにいったいどれだけ観られてしまう職業なのか」というのを再確認する場所で、「いいもの」「悪いもの」というのは、お客さんに委ねる以外ない。(自分では)あんまりそこ(いい・悪い)に興味がなくて、実は「何者なのか」だけを確認している人間なんですよ。正直、「いい舞台」「悪い舞台」というのもあまりわかっていないかもしれないです(笑)。
長井:柄本さんの世界をいま初めて垣間見られた気がして、すごい興味深いなというか……。
柄本:先輩、意外と変なこと言うだろ(笑)!
長井:「先輩、めっちゃおもしろいな、素敵だな」と思いながら聞いていました。
舞台『泣くロミオと怒るジュリエット2025』の詳細は作品の公式サイトまで、柄本時生の最新情報はノックアウトの公式サイトまで。
J-WAVE『PEOPLE'S ROASTERY』のコーナー「VIBES JINRUIGAKU」では、“声でつながるフィールドワーク”と題し、自分の当たり前を問い直しながら人と世界について考えていく。放送は月曜~木曜の14時5分ごろから。
柄本が登場したのは、6月10日(火)放送のJ-WAVE『PEOPLE'S ROASTERY』(ナビゲーター:長井優希乃)の「VIBES JINRUIGAKU」。長井がゲストとともに「人と世界」について考えるコーナーだ。
これまであった“当たり前”が、変わりつつあるいま
俳優として映画やドラマ、舞台などで幅広く活躍する柄本。実はナビゲーターの長井は、柄本と同じ学校出身で、直接関わりはなかったものの、学生時代からその存在を知っていたという。そんなふたりはまず、柄本が俳優として歩んできた時間の長さを振り返った。長井:デビューが14歳で、俳優のキャリアは約20年。人生の半分以上ですね。
柄本:続いたなぁ……。たまに自分でも「ようやってられるな」と思います(笑)。
長井:けっこう長いキャリアだなと思いますが、2024年のドラマ『錦糸町パラダイス〜渋谷から一本〜』(テレビ東京系)では、プロデューサーとして初めて連続ドラマを制作されました。プロデューサーとして関わるのと、演じるのとでは、感覚は違いますか?
柄本:圧倒的に違いましたね。制作側になると、やっぱりいろいろなことがわかるわけで、そのなかで「どういう作品を、どういうテーマで、どういうものにしていこう」というまず0を考えて、それを脚本の1に変える。そのなかで、俳優部ってちょっとおもしろいなと思ったのは、1ができた段階で(俳優が)呼ばれるってこと。俳優部は、「誰を呼ぼう?」って呼ばれて、1を「2.3.4.5.6.7」って増やしていく作業をします。(制作側の)「0から1にする」というのがなかなかの作業で。僕はそれに携わったことがない人間なので、はじめまして、なことがかなり多くて地獄を見ましたね(笑)。自分がいままで知らなかったことだし、やったこともないから、いろいろな人に迷惑をかけたんだろうなとは思います。
長井:0から1を作る経験をされてから、俳優業への関わり方が変わったことはありますか?
柄本:ちょっとだけ、俳優業に余裕を持ちましたね。「作品という“円”があるなかの一部に俳優部がいるだけなんだな」というのがわかって、楽になりました。録音がいて、カメラがいて、監督がいる。「作品は監督のもの」とも言われますが、圧倒的に監督(の存在)がでかくて、そのなかに俳優部がいる。その感覚がよく見えたんですよね。
長井:これまで、演じられたりプロデューサーをやられたりして“お芝居”に関わってくるなかで、ご自身の持っていた価値観や“当たり前”がひっくり返った出来事は、何かありましたか?
柄本:意外とないかもしれないですね。よくも悪くも自分の家族がほぼ全員そういう仕事で、共通言語がずっとそれしかなかった。結局、その共通言語のまま、その人たちの“当たり前”の世界観の場所に入っちゃったものだから、意外と見聞きしていることから逸脱はしていないかな。でも、いま当たり前が変わってきているような気がすることもあります。
長井:どう変わってきている感じがしますか?
柄本:YouTubeの台頭だったり、サブスクリプションというものができ上がって、「映画館ではない場所で映画を観る」という、“環境の当たり前”ができてきたり。そういう当たり前が変わってきたと同時に、“働き方の当たり前”が違う子も増えてきている気がします。
人生初の旅は、ロンドン
6月9日週の番組テーマは「世界と旅」。長井は「旅からインプットをもらうことはありますか?」と、柄本に質問を投げかける。柄本:正直、旅をしたことがほとんどなくて……。
長井:へぇ~!
柄本:ただ、実は2024年に初めて旅をしました。初旅はロンドンです。
長井:初旅の行き先に、なぜロンドンを選んだんですか?
柄本:知り合いの脚本家で演出家をやっている人が、たまたまロンドンに行って、ロンドンの劇場で、ロンドンの役者で公演をやると。単身で行っていたのですが、「とにかく退屈」「来てください」という連絡がずっと来ていました。それで「いい機会か」と思って、勇気を出して行ってみました。
長井:初旅はどうでしたか?
柄本:知らないことだらけで、この年齢で英語もまともにしゃべれないんですよ。だから「『Where is~』で目的地に辿り着くんだな」っていうのも初めて知って、「意外と優しい人ばっかりなんだな」と思いました。
長井:それ、ちょっと羨ましいなって思っちゃいました!
柄本:え、なんでですか!?
長井:私、けっこう旅好きでいろいろ行くことが多いのですが、慣れてくるとそういう冒険感やワクワク感みたいなものって、だんだん薄まっていく感じもあったりするんです。
長井は、初旅ならではの経験をした柄本に「『この人と、ここに行ってみたい』という妄想を」とリクエストする。柄本は考えた末、まず俳優・鈴木亮平の名前を挙げた。
柄本:鈴木亮平さん、たしかすごく旅好きなんですよね。または、斎藤 工さん。このおふたりのどちらかに、いろいろなところに連れて行ってもらいたいです。
長井:行き先を決めてもらって、ということですか?
柄本:はい。きっと知見もあるだろうし、ちょっといろいろなところに行ってみたいですよね。あとは、旅嫌いの人と旅が得意じゃない奴のふたりで行くのもおもしろそうですね。
長井:それ、絶対おもしろい!
柄本:とにかく何も知らない連中で行くのもいいな。誰がいるんだろう?
長井:The SALOVERSの古舘(佑太郎)さんが、「旅が全然好きじゃないのに、ネパールに行った」っていう話をされていました。
柄本:ふるくん(古館)だったら、一緒に行きたいかも!
長井:できたらあまり行かない場所がいいですね。私、以前アフリカに住んでいたことがあるんですけど、おふたりでマラウに行ってください。
柄本:いいな。行き当たりばったりな旅をしてみたいなぁ。
オール関西弁・オールメールの舞台に出演
柄本は、7月6日(日)から28日(月)まで、新宿・THEATER MILANO-Zaで上演される舞台『泣くロミオと怒るジュリエット2025』に出演する。柄本:関西の港町を舞台に、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』を脚色しているものです。私がジュリエット役をやらせていただいていて、ロミオをWEST.の桐山照史くんがやるんですけど、僕がダメ男に貢ぐジュリエットで、きりくん(桐山)が吃音症のロミオを演じます。(作・演出の)鄭 義信さんが昔から見ていた関西の時代背景や、ご自身の体験などを少し反映された内容になっています。また全編、関西弁で、オールメール(全役男性)という、なかなかない舞台です。
長井:柄本さんが、公演で「今日はよかった」と思うのは、どのような感じのときでしょう?
柄本:ちょっと僕の性格上、面倒くさくて、正直、人生で1回も「よかった」ということはなくて。僕にとって、こういう舞台やプロデュース公演をやらせていただくっていうのは、「自分が何者なのかというのを確認する機会」だと思っているんですね。この世界って、映画だったりドラマだったり、たぶんこういうラジオの世界でも、全員が身内なんですよね。でも、舞台だけは他人の方を呼び込んで、「観られる」という作業をするんですよ。だから、僕のなかで舞台というのは「我々“俳優”っていうものは、残念なことにいったいどれだけ観られてしまう職業なのか」というのを再確認する場所で、「いいもの」「悪いもの」というのは、お客さんに委ねる以外ない。(自分では)あんまりそこ(いい・悪い)に興味がなくて、実は「何者なのか」だけを確認している人間なんですよ。正直、「いい舞台」「悪い舞台」というのもあまりわかっていないかもしれないです(笑)。
長井:柄本さんの世界をいま初めて垣間見られた気がして、すごい興味深いなというか……。
柄本:先輩、意外と変なこと言うだろ(笑)!
長井:「先輩、めっちゃおもしろいな、素敵だな」と思いながら聞いていました。
舞台『泣くロミオと怒るジュリエット2025』の詳細は作品の公式サイトまで、柄本時生の最新情報はノックアウトの公式サイトまで。
J-WAVE『PEOPLE'S ROASTERY』のコーナー「VIBES JINRUIGAKU」では、“声でつながるフィールドワーク”と題し、自分の当たり前を問い直しながら人と世界について考えていく。放送は月曜~木曜の14時5分ごろから。
番組情報
- PEOPLE'S ROASTERY
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月・火・水・木曜13:30-16:00