
六本木ヒルズで繰り広げられる入場無料の音楽イベント「J-WAVE & Roppongi Hills present TOKYO M.A.P.S」が、今年も5月3日(土)、4日(日)の2日間で開催。
同イベントは、毎年異なるアーティストがプログラム・オーガナイザーを務め、自らの視点でアーティストを選ぶ。2025年のオーガナイザーは、ペトロールズとしても活動する音楽家・長岡亮介だ。テーマは「肌で聴こう 素敵な人の素敵な音」。出演アーティストは以下の通り。
出演(順不同):
・5月3日(土):田島貴男&長岡亮介、5lack、THE BAWDIES、有元キイチ、オーサカ=モノレール with Special Guest アヤ・シマヅ
・5月4日(日):長岡亮介、純烈、T字路s、jan and naomi、WUJA BIN BIN
長岡は今、“人”や“フィジカル”の魅力を強く感じているという。今回はその理由や、人選の意図を聞いた。さらに、ナビゲーターを務めるJ-WAVEの番組『CITROËN FOURGONNETTE』(毎週土曜22:00〜)が4年目に突入したことを記念して、ラジオを通じて得たものについても語ってもらった。インタビューを担当したのは、『CITROËN FOURGONNETTE』のライナーノーツを手がけるライター・笹谷淳介。(J-WAVE NEWS編集部)
私がオーガナイザーをやるなんて、恐れ多くておこがましいなって思いました。ペトロールズで対バンツアーなど人を呼んで何かをすることはあれど、イベントの全てのアクトを担うことは初めての経験ですし、人選なんて、そんな偉そうなこと自分がしていいのかと。心がゾワゾワしました(笑)。
──準備を進める中で、どのあたりから気持ちが変化していきましたか?
出演していただくアーティストの方がだんだんと集まってきたタイミングですね。「受けてくれないかもしれない」と思いつつお声がけした方たちが快く引き受けてくださって、徐々に気持ちが盛り上がってきたし、頑張って成功させようという思いも高まっていきました。
──かなり幅広いアーティストの方々が集まりましたよね。テーマとして掲げられた「肌で聴こう 素敵な人の素敵な音」は、どんな発想から生まれたのでしょうか。
これは完全に私感になってしまうけれど、最近の音楽って人の味やその人の息遣いなどにおめかしを効かせたものが多いなという印象なんです。いろんなパーツがカツカツしているというのかな……。今回のイベントでは、そうではなく、人由来の音楽にフォーカスしたいと思ったんです。そもそも音楽は全て人由来のものだから、そう感じさせるアーティストの方たちに出ていただいて、来場される方にも味わってもらいたいなと。
そんな感じがしますか(笑)。やはり、世の中の流れが自分の好きな方向へはいっていない気はずっとしていて、いろんなものに矛盾を感じることが多いんです。いろんなことは快適になっているんだけど、本質から逸脱してしまっている。これから地球上で暮らすうえで、ただ快適さだけを追求するのだけではいけない気がするんですよ。音楽にしても、誰でも簡単に制作することができますよね。テクノロジーの発達でそれっぽいものをすぐ作ってくれる。そうすると、結局音楽をやる人たちは、複製物(音源)で人気が出てもしょうがないと思うんですよ。
今後も技術が上がっていって、もっと簡単に音楽が作れるようになるだろうし、過去のものも簡単に再現できる世の中になっていく。だからこそ、人前で演奏することが音楽家の唯一のかなり大きな価値のひとつになると思う。そう考えると、フィジカルや“生”が貴重で大事。変わらずに存在していくものだと思うんですよね。
──なるほど。そういった思いを伝えるためのイベントでもある。
きちっと一つひとつの音程が正確で、リズムもピッタリあっていて、カラオケでいい点が出ます、みたいなことではなくて。もちろん僕にはそんなことはできないし、すごいと思うけど、そこに音楽があるとは思わないんですよね。はっきり言ってしまえば、そこ以外の場所に音楽は存在している。上手・下手って本当に難しいんですよ。高得点だから上手かと言われたら、そういうことでもない。音楽以外もそうだと思うけど、技術や機能だけでは説明できない何かがあると思うんです。だからこそ、僕は今回、“人”が溢れ出ちゃっている人たちに出てもらいたいと思ったんです。
──音にその人の血が通っている、あくまでも“人”という部分を重視して人選された。
そうです。人間力が溢れている人に出てほしいというイメージで人選しました。この人が歌うから、奏でるから、こういう音楽になっている、いい意味で癖や灰汁のある人だからこそこういう音が出るんだ、と思える人たちにお声がけしました。集まっていただいた顔ぶれを見ると、自分がいちばんおとなしいかもしれないと思います(笑)。
──TOKYO M.A.P.Sを楽しみしている方へメッセージをお願いします。
会場に来て、アーティストのみなさんと相対してくれれば、その人たちの生き様がわかると思います。人間力溢れるみなさんの音楽を聴いて、「もっと人生ってフリーフォームでいいんだ」と思ってほしいですね。カチカチに生きていかなくても、いろんな人がいるんだから、自分も自分のままでいいんだと思ってほしい。会場ではそれぞれのアーティストが素敵な音を出してみなさんを待っています。
──例年にも増して、熱いイベントになりそうです。
ガチャガチャしていていいですよね(笑)。そういう感じにしたかったんですよ! 脈絡もなくいろんなアーティストが出るイベントにしたかった。当日は、近所をぶらぶらしててもらって、「おや?」と思う人がいれば、覗きに来てもらえたら嬉しいです。
びっくりですよね(笑)。でも、「聴いています」といろんな方から言われることが多いんですよ。この間は、以前住んでいた家の向かいに住んでいたおじいさんから「毎週聴いています」というメッセージをいただきました(笑)。3年間、浮きもせず、沈みもせずという感じでずっとやっていますけど、それが効いてくるというか。FOURGONNETTEがじわじわ広がっているんでしょうね。「初めてお便りをします」とメッセージを送ってきてくれる人もたくさんいます。
──実際に長岡さんも番組が広がっていることを実感している?
実感してますね。だから、すごく不思議なんですよ。FOURGONNETTEって、ラジオブースで収録しているわけではないし、いつも制作や打ち合わせをする場所で、僕の中では日常と同じラインにあるものなんです。でも、そこで話したことが電波に乗ってみなさんの耳に届いて、広がっていっている。そのギャップに驚いています。
──ちなみに、3rd Anniversaryを迎えられると思っていましたか?
思ってないですよ! すぐクビになるんだろうなと思っていた(笑)。最初は、「素人にラジオをやらせてどうするんだろう」と思ったのが正直なところです。ゲストをお迎えしてお話するのもお便りに答えるのも初めての経験、だから最初のころは、すごく緊張していましたよ。
でも、月日が経って、落ち着いてきたなと思います。最初のころは、ゲストの方とのトークで「俺はもっとこの話を聞きたいけど、本線に戻さないといけない」と焦っていたりしたんですけど、今はゲストの方と一緒に本線から逸脱することだってできるし、そこから頃合いを見て本線に戻せるようにもなったと思う。とはいえ、実際のところはわからないけど……(笑)。何かもうひと声、例えばお便りに対して、もう少し気の利いたことを返してあげられるようにしたいなとは考えつつ、せっかく自分のホームでやらせていただいていますから、ほぐれてゆるゆるで今後もやっていきたいと思っています。
僕は自分のことを、「人のことなんてあまり関係ない」というような冷たい人間だと思っているんです。ただ、番組には良いことも悪いことも含めていろんなお便りが届くんですけど、いい加減に答えるわけにはいかない。ラジオを始めたことで、お便りを送ってくれたリスナーさんの立場を想像する機会が増えたんですよね。そういう意味では、懐が少し広くなったし、ちょっとは優しくなったかもしれない(笑)。これは、本当にありがとう、FOURGONNETTE!って感じです。
──(笑)。お便りのお話が出ましたけど、回を重ねるたびに、“マイクと私とお便り”回での長岡さんがすごく楽しそうな印象を受けます。リスナーとのコミュニケーションをどう捉えていますか?
ラジオという媒体を介すると、自分はすごく親身に優しく人と接することができるんだなと感じます。あと、毎回お便りを送ってくれるリスナーさんが自分の番組でも現れるもんなんだなと思います。それってすごいことだなと。
──なぜ、ラジオだと優しくなれるんでしょうね?
相対してないから、緊張しないんじゃないかな? 面と向かうと、怖いというか、「この人に嫌な印象を与えたらどうしよう?」と考えてしまうことがあるんです。あとは、お便りを送ってくれるということは、一定の時間をFOURGONNETTEに割いてくれているわけですから、そこに感謝があるからですね。
え!? 30人くらいかな?
──2回目の登場を除くと、45名の方がゲストとしてFOURGONNETTEに訪れています! 印象的なゲストの方はいらっしゃいますか?
45人!! すごいですね。みなさん印象的ですが、1人挙げるとするなら、俳優の松尾諭さんですかね。松尾さんが原作のドラマ『拾われた男』の音楽の制作に僕が関わっていたご縁でお迎えしたんですが、緊張して名前をご紹介する際に、言葉を詰まらせてしまったことがあったんです。それが申し訳なくて、あの日のことは覚えています。また松尾さんには来ていただきたいです。
──FOURGONNETTEはそのほかにも、社会見学やドライブ回なども聴きどころだと思います。印象的な回はありますか?
やっぱり社会見学1発目の佐野造船所を訪れた回ですね。番組を始めてわりとすぐのタイミングで、映像がない中でリスナーのみなさんにどうやって伝えようと、一生懸命自分なりに言葉にして考えながら頑張りました。「これでいいのだろうか?」と思いながらやったんですけど、聴いてみると意外と良くて。このテイストでやってもいいんだなと、指針になった回ですね。
──それ以降、社会見学やドライブ回で「長岡さんの解説がいい」という声も多くいただいています。
そうですよね。ドライブ回も好評のようで! ドライブ回、僕は好きですよ。寂しいのがいいんですよ(笑)。クリスマスドライブなんて、本当に寂しかったけど、こういうラジオっていいなと思います。
──改めて、『CITROËN FOURGONNETTE』は長岡さんにとってどんな存在になっていますか?
自分でも、なんでこんなに馴染んでいるんだろうと不思議なんです。これからも、いただいたお便りには一生懸命答えたいと思っているし、いろんな場所に出かけたいと思っているし、すごくフラットな気持ちでこの番組をやれています。だから、番組が終わったら寂しいかも……って感じ(笑)。そんな予感がしているということは、自分にとってすごく大事なものなんだろうなと思います。
──それでは、最後にリスナーのみなさんへメッセージをお願いします。
『CITROËN FOURGONNETTE』は、すごく特殊な番組だと思うんです。雑踏の中でやっているし、場所にもとらわれない。そんな類まれな番組に携われることも、リスナーのみなさんと貴重な時間を一緒に過ごせていることも、本当に嬉しい幸せなことです。この番組を見つけてくださるなんて、みなさんお目が高い(笑)! 3rd Anniversaryを迎えられたことは、そんなあなたたちのおかげだと思っています。これからも一緒に走りましょう。
『CITROËN FOURGONNETTE』の公式サイトはこちら。
(取材・文=笹谷淳介)
同イベントは、毎年異なるアーティストがプログラム・オーガナイザーを務め、自らの視点でアーティストを選ぶ。2025年のオーガナイザーは、ペトロールズとしても活動する音楽家・長岡亮介だ。テーマは「肌で聴こう 素敵な人の素敵な音」。出演アーティストは以下の通り。
出演(順不同):
・5月3日(土):田島貴男&長岡亮介、5lack、THE BAWDIES、有元キイチ、オーサカ=モノレール with Special Guest アヤ・シマヅ
・5月4日(日):長岡亮介、純烈、T字路s、jan and naomi、WUJA BIN BIN
長岡は今、“人”や“フィジカル”の魅力を強く感じているという。今回はその理由や、人選の意図を聞いた。さらに、ナビゲーターを務めるJ-WAVEの番組『CITROËN FOURGONNETTE』(毎週土曜22:00〜)が4年目に突入したことを記念して、ラジオを通じて得たものについても語ってもらった。インタビューを担当したのは、『CITROËN FOURGONNETTE』のライナーノーツを手がけるライター・笹谷淳介。(J-WAVE NEWS編集部)
「人由来の音楽にフォーカスしたい」その理由
──今年のTOKYO M.A.P.Sは、長岡さんがオーガナイザーを務めます。お話が来たとき、率直にどう思われましたか?私がオーガナイザーをやるなんて、恐れ多くておこがましいなって思いました。ペトロールズで対バンツアーなど人を呼んで何かをすることはあれど、イベントの全てのアクトを担うことは初めての経験ですし、人選なんて、そんな偉そうなこと自分がしていいのかと。心がゾワゾワしました(笑)。
──準備を進める中で、どのあたりから気持ちが変化していきましたか?
出演していただくアーティストの方がだんだんと集まってきたタイミングですね。「受けてくれないかもしれない」と思いつつお声がけした方たちが快く引き受けてくださって、徐々に気持ちが盛り上がってきたし、頑張って成功させようという思いも高まっていきました。
──かなり幅広いアーティストの方々が集まりましたよね。テーマとして掲げられた「肌で聴こう 素敵な人の素敵な音」は、どんな発想から生まれたのでしょうか。
これは完全に私感になってしまうけれど、最近の音楽って人の味やその人の息遣いなどにおめかしを効かせたものが多いなという印象なんです。いろんなパーツがカツカツしているというのかな……。今回のイベントでは、そうではなく、人由来の音楽にフォーカスしたいと思ったんです。そもそも音楽は全て人由来のものだから、そう感じさせるアーティストの方たちに出ていただいて、来場される方にも味わってもらいたいなと。
今、フィジカルや“生”に感じる重要性
──「CITROËN FOURGONNETTE」でのお話を聞いていても思うのですが、ここ数年、長岡さんの中で、人間が生み出すものに対しての思いとフィジカルへの渇望が、より表に出てきているような気がしているんです。この思いや考えは、潜在的にあったものなのか、ここ数年で感覚が強まったのか。どちらですか?そんな感じがしますか(笑)。やはり、世の中の流れが自分の好きな方向へはいっていない気はずっとしていて、いろんなものに矛盾を感じることが多いんです。いろんなことは快適になっているんだけど、本質から逸脱してしまっている。これから地球上で暮らすうえで、ただ快適さだけを追求するのだけではいけない気がするんですよ。音楽にしても、誰でも簡単に制作することができますよね。テクノロジーの発達でそれっぽいものをすぐ作ってくれる。そうすると、結局音楽をやる人たちは、複製物(音源)で人気が出てもしょうがないと思うんですよ。
今後も技術が上がっていって、もっと簡単に音楽が作れるようになるだろうし、過去のものも簡単に再現できる世の中になっていく。だからこそ、人前で演奏することが音楽家の唯一のかなり大きな価値のひとつになると思う。そう考えると、フィジカルや“生”が貴重で大事。変わらずに存在していくものだと思うんですよね。
──なるほど。そういった思いを伝えるためのイベントでもある。
きちっと一つひとつの音程が正確で、リズムもピッタリあっていて、カラオケでいい点が出ます、みたいなことではなくて。もちろん僕にはそんなことはできないし、すごいと思うけど、そこに音楽があるとは思わないんですよね。はっきり言ってしまえば、そこ以外の場所に音楽は存在している。上手・下手って本当に難しいんですよ。高得点だから上手かと言われたら、そういうことでもない。音楽以外もそうだと思うけど、技術や機能だけでは説明できない何かがあると思うんです。だからこそ、僕は今回、“人”が溢れ出ちゃっている人たちに出てもらいたいと思ったんです。
──音にその人の血が通っている、あくまでも“人”という部分を重視して人選された。
そうです。人間力が溢れている人に出てほしいというイメージで人選しました。この人が歌うから、奏でるから、こういう音楽になっている、いい意味で癖や灰汁のある人だからこそこういう音が出るんだ、と思える人たちにお声がけしました。集まっていただいた顔ぶれを見ると、自分がいちばんおとなしいかもしれないと思います(笑)。
──TOKYO M.A.P.Sを楽しみしている方へメッセージをお願いします。
会場に来て、アーティストのみなさんと相対してくれれば、その人たちの生き様がわかると思います。人間力溢れるみなさんの音楽を聴いて、「もっと人生ってフリーフォームでいいんだ」と思ってほしいですね。カチカチに生きていかなくても、いろんな人がいるんだから、自分も自分のままでいいんだと思ってほしい。会場ではそれぞれのアーティストが素敵な音を出してみなさんを待っています。
──例年にも増して、熱いイベントになりそうです。
ガチャガチャしていていいですよね(笑)。そういう感じにしたかったんですよ! 脈絡もなくいろんなアーティストが出るイベントにしたかった。当日は、近所をぶらぶらしててもらって、「おや?」と思う人がいれば、覗きに来てもらえたら嬉しいです。
近所の人から「番組を聴いています」と言われたことも
──ここからは、長岡さんがナビゲーターを務める『CITROËN FOURGONNETTE』のお話をしたいと思います。番組は4年目に突入しました。びっくりですよね(笑)。でも、「聴いています」といろんな方から言われることが多いんですよ。この間は、以前住んでいた家の向かいに住んでいたおじいさんから「毎週聴いています」というメッセージをいただきました(笑)。3年間、浮きもせず、沈みもせずという感じでずっとやっていますけど、それが効いてくるというか。FOURGONNETTEがじわじわ広がっているんでしょうね。「初めてお便りをします」とメッセージを送ってきてくれる人もたくさんいます。
──実際に長岡さんも番組が広がっていることを実感している?
実感してますね。だから、すごく不思議なんですよ。FOURGONNETTEって、ラジオブースで収録しているわけではないし、いつも制作や打ち合わせをする場所で、僕の中では日常と同じラインにあるものなんです。でも、そこで話したことが電波に乗ってみなさんの耳に届いて、広がっていっている。そのギャップに驚いています。
──ちなみに、3rd Anniversaryを迎えられると思っていましたか?
思ってないですよ! すぐクビになるんだろうなと思っていた(笑)。最初は、「素人にラジオをやらせてどうするんだろう」と思ったのが正直なところです。ゲストをお迎えしてお話するのもお便りに答えるのも初めての経験、だから最初のころは、すごく緊張していましたよ。
でも、月日が経って、落ち着いてきたなと思います。最初のころは、ゲストの方とのトークで「俺はもっとこの話を聞きたいけど、本線に戻さないといけない」と焦っていたりしたんですけど、今はゲストの方と一緒に本線から逸脱することだってできるし、そこから頃合いを見て本線に戻せるようにもなったと思う。とはいえ、実際のところはわからないけど……(笑)。何かもうひと声、例えばお便りに対して、もう少し気の利いたことを返してあげられるようにしたいなとは考えつつ、せっかく自分のホームでやらせていただいていますから、ほぐれてゆるゆるで今後もやっていきたいと思っています。
ラジオで感じる自分の変化
──『CITROËN FOURGONNETTE』を始めてから、ご自身の中で変わったことはありますか?僕は自分のことを、「人のことなんてあまり関係ない」というような冷たい人間だと思っているんです。ただ、番組には良いことも悪いことも含めていろんなお便りが届くんですけど、いい加減に答えるわけにはいかない。ラジオを始めたことで、お便りを送ってくれたリスナーさんの立場を想像する機会が増えたんですよね。そういう意味では、懐が少し広くなったし、ちょっとは優しくなったかもしれない(笑)。これは、本当にありがとう、FOURGONNETTE!って感じです。
──(笑)。お便りのお話が出ましたけど、回を重ねるたびに、“マイクと私とお便り”回での長岡さんがすごく楽しそうな印象を受けます。リスナーとのコミュニケーションをどう捉えていますか?
ラジオという媒体を介すると、自分はすごく親身に優しく人と接することができるんだなと感じます。あと、毎回お便りを送ってくれるリスナーさんが自分の番組でも現れるもんなんだなと思います。それってすごいことだなと。
──なぜ、ラジオだと優しくなれるんでしょうね?
相対してないから、緊張しないんじゃないかな? 面と向かうと、怖いというか、「この人に嫌な印象を与えたらどうしよう?」と考えてしまうことがあるんです。あとは、お便りを送ってくれるということは、一定の時間をFOURGONNETTEに割いてくれているわけですから、そこに感謝があるからですね。
豪華ゲストやドライブ回…印象的なのは?
──「CITROËN FOURGONNETTE」は“マイクと私とお便り”回の他にも、様々なコンテンツでリスナーのみなさんを楽しませていると思います。長岡さんは、これまで何人のゲストをお迎えしたか覚えていますか?え!? 30人くらいかな?
──2回目の登場を除くと、45名の方がゲストとしてFOURGONNETTEに訪れています! 印象的なゲストの方はいらっしゃいますか?
45人!! すごいですね。みなさん印象的ですが、1人挙げるとするなら、俳優の松尾諭さんですかね。松尾さんが原作のドラマ『拾われた男』の音楽の制作に僕が関わっていたご縁でお迎えしたんですが、緊張して名前をご紹介する際に、言葉を詰まらせてしまったことがあったんです。それが申し訳なくて、あの日のことは覚えています。また松尾さんには来ていただきたいです。
──FOURGONNETTEはそのほかにも、社会見学やドライブ回なども聴きどころだと思います。印象的な回はありますか?
やっぱり社会見学1発目の佐野造船所を訪れた回ですね。番組を始めてわりとすぐのタイミングで、映像がない中でリスナーのみなさんにどうやって伝えようと、一生懸命自分なりに言葉にして考えながら頑張りました。「これでいいのだろうか?」と思いながらやったんですけど、聴いてみると意外と良くて。このテイストでやってもいいんだなと、指針になった回ですね。
──それ以降、社会見学やドライブ回で「長岡さんの解説がいい」という声も多くいただいています。
そうですよね。ドライブ回も好評のようで! ドライブ回、僕は好きですよ。寂しいのがいいんですよ(笑)。クリスマスドライブなんて、本当に寂しかったけど、こういうラジオっていいなと思います。
──改めて、『CITROËN FOURGONNETTE』は長岡さんにとってどんな存在になっていますか?
自分でも、なんでこんなに馴染んでいるんだろうと不思議なんです。これからも、いただいたお便りには一生懸命答えたいと思っているし、いろんな場所に出かけたいと思っているし、すごくフラットな気持ちでこの番組をやれています。だから、番組が終わったら寂しいかも……って感じ(笑)。そんな予感がしているということは、自分にとってすごく大事なものなんだろうなと思います。
──それでは、最後にリスナーのみなさんへメッセージをお願いします。
『CITROËN FOURGONNETTE』は、すごく特殊な番組だと思うんです。雑踏の中でやっているし、場所にもとらわれない。そんな類まれな番組に携われることも、リスナーのみなさんと貴重な時間を一緒に過ごせていることも、本当に嬉しい幸せなことです。この番組を見つけてくださるなんて、みなさんお目が高い(笑)! 3rd Anniversaryを迎えられたことは、そんなあなたたちのおかげだと思っています。これからも一緒に走りましょう。
『CITROËN FOURGONNETTE』の公式サイトはこちら。
(取材・文=笹谷淳介)
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