大塚 愛が、作曲をするようになったきっかけや声の変化、親になって変わった制作について語った。
大塚が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『SAPPORO BEER OTOAJITO』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。ビールを飲みながら、クリスとゲストが音楽談義を繰り広げる番組だ。オンエアは9月7日(土)。
この番組では、ゲストがビールに合う“おみや”を紹介する。大塚は成城石井の「味楽乃里 揚げぎんなん」を持参し、ビールとともに楽しんだ。
そんな大塚の音楽とのはじまりはピアノだったという。
大塚:両親いわく会社の人に「何か楽器をやるなら早くやったほうがいいよ」って言われたから、急いでピアノを買っちゃったみたいな。
クリス:4歳からピアノを弾き始めたそうですね。
大塚:でも基礎となる練習本が本当に嫌で全然練習しなくて、全然上手にならなくて。毎回ピアノの先生にすごく怒られるだけで終わる。そういうのが何年も続きました。先生も私が全然練習しないから呆れちゃって、先生がいつも必ず弾くんですよ。「これで頑張って」みたいな感じで。それを耳で聴いて覚えるしかなくて、ずっと楽譜が読めないまま今に至るっていう。全部耳コピで。
クリス:うそ!?
大塚:先生が怖すぎて楽譜を読むよりも先生が弾いたものを耳コピして弾いたほうが早かったんですよ。
クリス:楽譜を読んでいるフリをしていたんですか?
大塚:そうですね。一応楽譜は見ていたんですけど、わけわからなくて(笑)。
クリス:でもその先生のおかげで、音楽に対する根性が身に付いたって言ってもいいかもしれないですね。
「作曲を始めた理由がその先生の一言だった」と大塚は続ける。
大塚:先生が「あなたはピアノがとても下手だから、発表会で弾いてもみんなのレベルに全然ついていけないから、既存の曲を弾くのではなくて自分で曲を作ってそれを自分で歌えばいいんじゃない?」って。それで作ったのが『Dear, you』って曲で、私が人生で初めて作った曲です。
クリス:先生は大塚さんのことを思って言ってくれているような気がするんですけど。
大塚:常になんとかしようとはしてくれていて。だけど何曲か作曲して先生に聴かせたら「ここはコードがおかしい」「こんなのダサい」とすごく言われて「もう先生には聴かせない!」みたいになって。1回作曲をやめようかなって思ったりもして。だけど挫折しながらもまた作り出したり。自分の中で音楽だけは何回挫折してもまたやり直していましたね。
大塚:レンタルCD世代だからずっとレンタルなんで、あんまりCDを買う機会がなくて。なぜこれを買ったかっていうと、当時ボイストレーニングを受けていて「ちょっとイベントのオーディションを受けてみなよ」ってことで、練習曲でこの歌を歌っていたんですね。何がよかったのか歌ったのをラジオに流してもらっちゃって。私が歌った『PRIDE』がラジオに流れて学校中が「うわー、すげえ」って。
クリス:そこから私、音楽でいけるかもって思い始めたんですか?
大塚:そういうので調子に乗っていきましたね(笑)。
クリス:その頃からボイストレーニングをしているってことは、どこかで歌手は目指していた?
大塚:ピアノの先生が「ピアノは下手だから別のことを頑張れば?」って言って、ボイストレーニングにとりあえず行くみたいな。
クリス:歌を主体にしてピアノは伴奏にしようと。
大塚:先生的にはたぶんそうだったと思います。
当時は中学生の頃だったという大塚。「その頃から声は変わった?」とクリスが質問すると「どんどん変わっている」と答える。
大塚:歌で言うとボイストレーニングを受けた当初って、今のリリースされている歌い方じゃなくて、すごく大人っぽい歌い方というか、正統派な歌い方をしていたので、全然印象が違うと思います。
クリス:どんな感じだったんだろう。
大塚:あんまり映えない声(笑)。元々映えない声で悩んでいて、途中で挫折するんです。高校の中盤くらいで1回作曲とかも全部やめるんですけど、当時付き合っていた彼氏に「歌声があかんわ」って言われて。歌がうまくなるためにずっとトレーニングをしていて、やっぱり目標がうまくなるっていうことでしかなかったんです。それじゃあ人に伝わらない、感動させられない、うまく歌うことと人に伝えられる歌はまた別だっていうことに気付いて。彼に言われて、確かに歌手って声が素晴らしくて、そこに揺さぶられる何かがないとダメだってなって、私は歌手に向いてないわ、って挫折するんだけど、その後に、じゃあ声を変えればいいんじゃないって思ってまた立ち上がったんですね。
クリス:そこでひらめいたと。
大塚:『さくらんぼ』とかもその辺で作り出しているので、『さくらんぼ』の声は自分で探してあの声になっているんです。
クリス:曲に合う声を自分で調整したってことかな。
大塚:自分の声の範囲のローを切って、ハイだけをとるとこういう声になります。
大塚:呼んでいただいたときには、ようやくここまできたなと。できればもっと若いときに出たかったっていうのもありましたけど、自分が生きているあいだに関われてよかったですね。
クリス:一緒に作品をしてみてどうでしたか?
大塚:母親役だったんです。実際に今母親だけど母親っぽいって一言われたことが一度もなくて、自分的にも母親っぽいって思ったことがなくて。母親ってなんだっけってところから、「岩井さん、どんなキャラクターにしましょう」って感じで。とりあえず台詞から浮かんでくる人間像をなんとなく伝えたら、そんな感じかなって。それで現場に入って演じてみて。岩井さんから「もうちょっとこうやってみて」って言われたのが、「目だけ笑ってなくて口は笑ってみて」っていうことでした。
クリス:お母さんになってみて、ご自身の作品は変わったと思います?
大塚:子どもを産む前から若干優しさや人を愛しく思う気持ち、そういう曲が増え始めてはいたんですけど、『Re:NAME』って曲は、産んだ後に書いた最初の曲で。
大塚:愛しいものに出会って本当に私の人生はようやくここからだって思えた。そういう曲を書けたことがうれしくて。今まで自分が作ってきた作品はどうしても一方通行というか、恋がどうだの、うれしい、楽しいだの。そこからこういう優しい曲ができたんだと思うと、結構完成されたなっていうところはありました。
クリス:お子さんができて人生の見え方が変わったって感じですか。
大塚:この子に会うために私はここまで頑張ってきたし、ここがゴールだったんだなって。
大塚:今回は絵画、油絵、書道、フラワーアレンジメントを1つの空間でやりました。メインとなる絵画のパンフレットにピアノのインストゥルメンタルのアルバムを付けて。『graine』ってアルバムになっていまして。
大塚:自分のずっと小さい頃からやってきたピアノであり、ドラマや映画、映像作品が好きだったので、そこを深掘りしていくことを今回はできて、全体的に自分の中の立体的なアートができました。
クリス:絵はいつから描いていたんですか。
大塚:本格的に描いたのは5年前くらいなんですけど、絵っていうものはずっと前から描いていました。
クリス:油絵って面白いですか。
大塚:面白いですね。重ねて全く違うものになりますし、失敗が失敗じゃなくなるし。なので自分が失敗だって思ったことが、すごくよくなったりするんですよ。自分の性格的に沈んで上がってこないところもあるんですけど、油絵をやって失敗が失敗じゃなくなる、それが味になるっていうことを思ってから、自分の生き方も「今日は失敗だったけど明日になったらその失敗があったから面白くなったよね」とか、そういう風に転換させていける力が付いてきたというか。気持ち的にも楽になりますね。
個展のCD付パンフレット『AIO ART』も好評発売中となっている。
https://avex.jp/ai/news/detail.php?id=1117119
デビュー22年目に入る大塚。最後に「次なる目標は?」と質問すると……。
大塚:個展は今までとこれからを繋げるっていう裏テーマがあったので、これから自分がやり出したクリエイティブに関してしっかり詰めていく。絵画のほうもこれだけで終わるんじゃなくて、ここからをスタートとしてもっといろんなところに展示できたり、新しい作品を海外にも出していけるようになりたいなって思います。
クリス:精進していくっていうことですね。
大塚:そうですね。長いスパンで見ています。
大塚 愛の最新情報は、エイベックスの公式サイトまで。
番組の公式サイトに過去ゲストのトーク内容をアーカイブ。オンエアで扱った音楽の情報も掲載している。
・過去ゲストのアーカイブページ
https://www.j-wave.co.jp/original/otoajito/archives.html
『SAPPORO BEER OTOAJITO』では、毎週さまざまなゲストを迎えてお酒を飲みながら音楽トークを繰り広げる。放送は毎週土曜18時から。
大塚が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『SAPPORO BEER OTOAJITO』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。ビールを飲みながら、クリスとゲストが音楽談義を繰り広げる番組だ。オンエアは9月7日(土)。
この番組では、ゲストがビールに合う“おみや”を紹介する。大塚は成城石井の「味楽乃里 揚げぎんなん」を持参し、ビールとともに楽しんだ。
あなたはピアノがとても下手だから…
『さくらんぼ』『SMILY』『プラネタリウム』などのヒットでおなじみの大塚は、シンガーソングライターのほか、絵本制作、イラストレーション、小説の執筆などマルチな活躍を見せている。そして、2023年9月にデビュー20周年を迎えた。そんな大塚の音楽とのはじまりはピアノだったという。
大塚:両親いわく会社の人に「何か楽器をやるなら早くやったほうがいいよ」って言われたから、急いでピアノを買っちゃったみたいな。
クリス:4歳からピアノを弾き始めたそうですね。
大塚:でも基礎となる練習本が本当に嫌で全然練習しなくて、全然上手にならなくて。毎回ピアノの先生にすごく怒られるだけで終わる。そういうのが何年も続きました。先生も私が全然練習しないから呆れちゃって、先生がいつも必ず弾くんですよ。「これで頑張って」みたいな感じで。それを耳で聴いて覚えるしかなくて、ずっと楽譜が読めないまま今に至るっていう。全部耳コピで。
クリス:うそ!?
大塚:先生が怖すぎて楽譜を読むよりも先生が弾いたものを耳コピして弾いたほうが早かったんですよ。
クリス:楽譜を読んでいるフリをしていたんですか?
大塚:そうですね。一応楽譜は見ていたんですけど、わけわからなくて(笑)。
クリス:でもその先生のおかげで、音楽に対する根性が身に付いたって言ってもいいかもしれないですね。
「作曲を始めた理由がその先生の一言だった」と大塚は続ける。
大塚:先生が「あなたはピアノがとても下手だから、発表会で弾いてもみんなのレベルに全然ついていけないから、既存の曲を弾くのではなくて自分で曲を作ってそれを自分で歌えばいいんじゃない?」って。それで作ったのが『Dear, you』って曲で、私が人生で初めて作った曲です。
クリス:先生は大塚さんのことを思って言ってくれているような気がするんですけど。
大塚:常になんとかしようとはしてくれていて。だけど何曲か作曲して先生に聴かせたら「ここはコードがおかしい」「こんなのダサい」とすごく言われて「もう先生には聴かせない!」みたいになって。1回作曲をやめようかなって思ったりもして。だけど挫折しながらもまた作り出したり。自分の中で音楽だけは何回挫折してもまたやり直していましたね。
うまく歌うことと人に伝えられる歌は別
大塚が初めて買ったCDは今井美樹の『PRIDE』だったという。大塚:レンタルCD世代だからずっとレンタルなんで、あんまりCDを買う機会がなくて。なぜこれを買ったかっていうと、当時ボイストレーニングを受けていて「ちょっとイベントのオーディションを受けてみなよ」ってことで、練習曲でこの歌を歌っていたんですね。何がよかったのか歌ったのをラジオに流してもらっちゃって。私が歌った『PRIDE』がラジオに流れて学校中が「うわー、すげえ」って。
クリス:そこから私、音楽でいけるかもって思い始めたんですか?
大塚:そういうので調子に乗っていきましたね(笑)。
クリス:その頃からボイストレーニングをしているってことは、どこかで歌手は目指していた?
大塚:ピアノの先生が「ピアノは下手だから別のことを頑張れば?」って言って、ボイストレーニングにとりあえず行くみたいな。
クリス:歌を主体にしてピアノは伴奏にしようと。
大塚:先生的にはたぶんそうだったと思います。
当時は中学生の頃だったという大塚。「その頃から声は変わった?」とクリスが質問すると「どんどん変わっている」と答える。
大塚:歌で言うとボイストレーニングを受けた当初って、今のリリースされている歌い方じゃなくて、すごく大人っぽい歌い方というか、正統派な歌い方をしていたので、全然印象が違うと思います。
クリス:どんな感じだったんだろう。
大塚:あんまり映えない声(笑)。元々映えない声で悩んでいて、途中で挫折するんです。高校の中盤くらいで1回作曲とかも全部やめるんですけど、当時付き合っていた彼氏に「歌声があかんわ」って言われて。歌がうまくなるためにずっとトレーニングをしていて、やっぱり目標がうまくなるっていうことでしかなかったんです。それじゃあ人に伝わらない、感動させられない、うまく歌うことと人に伝えられる歌はまた別だっていうことに気付いて。彼に言われて、確かに歌手って声が素晴らしくて、そこに揺さぶられる何かがないとダメだってなって、私は歌手に向いてないわ、って挫折するんだけど、その後に、じゃあ声を変えればいいんじゃないって思ってまた立ち上がったんですね。
クリス:そこでひらめいたと。
大塚:『さくらんぼ』とかもその辺で作り出しているので、『さくらんぼ』の声は自分で探してあの声になっているんです。
クリス:曲に合う声を自分で調整したってことかな。
大塚:自分の声の範囲のローを切って、ハイだけをとるとこういう声になります。
私の人生はようやくここからだって思えた
大塚は映画『スワロウテイル』で岩井俊二の作品と出会い、「邦画がこんなに面白いのか」と衝撃を受け、そこから岩井作品のファンになったという。そんな大塚は2023年、岩井俊二監督の音楽映画『キリエのうた』に出演した。大塚:呼んでいただいたときには、ようやくここまできたなと。できればもっと若いときに出たかったっていうのもありましたけど、自分が生きているあいだに関われてよかったですね。
クリス:一緒に作品をしてみてどうでしたか?
大塚:母親役だったんです。実際に今母親だけど母親っぽいって一言われたことが一度もなくて、自分的にも母親っぽいって思ったことがなくて。母親ってなんだっけってところから、「岩井さん、どんなキャラクターにしましょう」って感じで。とりあえず台詞から浮かんでくる人間像をなんとなく伝えたら、そんな感じかなって。それで現場に入って演じてみて。岩井さんから「もうちょっとこうやってみて」って言われたのが、「目だけ笑ってなくて口は笑ってみて」っていうことでした。
クリス:お母さんになってみて、ご自身の作品は変わったと思います?
大塚:子どもを産む前から若干優しさや人を愛しく思う気持ち、そういう曲が増え始めてはいたんですけど、『Re:NAME』って曲は、産んだ後に書いた最初の曲で。
大塚:愛しいものに出会って本当に私の人生はようやくここからだって思えた。そういう曲を書けたことがうれしくて。今まで自分が作ってきた作品はどうしても一方通行というか、恋がどうだの、うれしい、楽しいだの。そこからこういう優しい曲ができたんだと思うと、結構完成されたなっていうところはありました。
クリス:お子さんができて人生の見え方が変わったって感じですか。
大塚:この子に会うために私はここまで頑張ってきたし、ここがゴールだったんだなって。
油絵は失敗が失敗じゃなくなる
大塚は7月、デビュー20周年の節目に初の個展「AI OTSUKA 20th ANNIVERSARY ART EXHIBITION AIO ART supporting radio J-WAVE」を東京・スパイラルガーデンで開催した。大塚:今回は絵画、油絵、書道、フラワーアレンジメントを1つの空間でやりました。メインとなる絵画のパンフレットにピアノのインストゥルメンタルのアルバムを付けて。『graine』ってアルバムになっていまして。
大塚:自分のずっと小さい頃からやってきたピアノであり、ドラマや映画、映像作品が好きだったので、そこを深掘りしていくことを今回はできて、全体的に自分の中の立体的なアートができました。
クリス:絵はいつから描いていたんですか。
大塚:本格的に描いたのは5年前くらいなんですけど、絵っていうものはずっと前から描いていました。
クリス:油絵って面白いですか。
大塚:面白いですね。重ねて全く違うものになりますし、失敗が失敗じゃなくなるし。なので自分が失敗だって思ったことが、すごくよくなったりするんですよ。自分の性格的に沈んで上がってこないところもあるんですけど、油絵をやって失敗が失敗じゃなくなる、それが味になるっていうことを思ってから、自分の生き方も「今日は失敗だったけど明日になったらその失敗があったから面白くなったよね」とか、そういう風に転換させていける力が付いてきたというか。気持ち的にも楽になりますね。
個展のCD付パンフレット『AIO ART』も好評発売中となっている。
https://avex.jp/ai/news/detail.php?id=1117119
デビュー22年目に入る大塚。最後に「次なる目標は?」と質問すると……。
大塚:個展は今までとこれからを繋げるっていう裏テーマがあったので、これから自分がやり出したクリエイティブに関してしっかり詰めていく。絵画のほうもこれだけで終わるんじゃなくて、ここからをスタートとしてもっといろんなところに展示できたり、新しい作品を海外にも出していけるようになりたいなって思います。
クリス:精進していくっていうことですね。
大塚:そうですね。長いスパンで見ています。
大塚 愛の最新情報は、エイベックスの公式サイトまで。
番組の公式サイトに過去ゲストのトーク内容をアーカイブ。オンエアで扱った音楽の情報も掲載している。
・過去ゲストのアーカイブページ
https://www.j-wave.co.jp/original/otoajito/archives.html
『SAPPORO BEER OTOAJITO』では、毎週さまざまなゲストを迎えてお酒を飲みながら音楽トークを繰り広げる。放送は毎週土曜18時から。
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2024年9月14日28時59分まで
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
番組情報
- SAPPORO BEER OTOAJITO
-
毎週土曜18:00-18:54