伝説の3ピースバンド・BLANKEY JET CITYを特集。音楽ジャーナリストの柴 那典さんがその魅力を解説。SIX LOUNGEのヤマグチユウモリもコメントを寄せた。
BLANKEY JET CITYを特集したのは、J-WAVEで8月14日(水)に放送された番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。
【SONAR MUSICは番組公式LINEでも情報発信中】
そんなBLANKEY JET CITY は、7月に全曲を音楽ストリーミング・音楽ダウンロードサービスで配信をスタート。また、9月25日(水)から初アナログ化を含む全オリジナルアルバムのアナログ盤が順次リリースされる。
柴:BLANKEY JET CITYは1990年に『三宅裕司のいかすバンド天国』にテレビ番組に出演、当時バンドブームのいわゆる明るくて笑えるバンドも多かった中に、突然それまでのバンドのムードと違う、ヒリヒリしたパンク、ロカビリー、ニューウエーブを吸収して、しかも今までに見たことのないアンサンブルで鳴らす3人が急に出てきました。
今回は柴さんが、今だからこそ若い世代にも聴いて欲しいBLANKEY JET CITYの楽曲を解説と共に紹介。まずは『D.I.Jのピストル』をセレクトした。
柴:ブランキー(BLANKEY JET CITY)は、歌詞の魅力もあるんですが、その前にアンサンブルが最高だと最初に言いたい。ヒリヒリする感じでギターとドラムとベースが渡り合っている。ロックンロールって、3ピースバンドだとドラムが支えて、ベースが一歩下がって、ギター・ボーカルがいてみたいなタイプも多いんですけど、全然そんなことはなくて、全部が点と点でぶつかり合っているみたいな。
あっこゴリラ:本当にそうですよね。ドラムもベースもギターも全てが獣みたいなというか。「この3人が組んでうまくいくの?」って感じだけど「バンドってこういうことか」って思います。
柴:めちゃくちゃスリリングで、これが成り立っているっていうのが、バンドの魅力なんだという。そして歌詞。ブランキーの歌詞は、意味とかメッセージ性というよりもイメージだと思っているんです。例えば情景だったり、固有名詞だったり、いろんなイメージがすごいスピードで飛び込んで来る。しかも、スリリングなアンサンブルがあるから「今、何を言った?」って。そういうところもあって、どんどん頭の中に鮮烈なイメージが広がっていくんですが、『D.I.Jのピストル』は歌い出しの歌詞。メロンソーダとチリドッグ。
あっこゴリラ:そうですよね。
柴:この組み合わせがキャッチーで、そこから野いちご、白い足、ミートソースと、いろんな色が歌詞に出てくるんです。そういうカラフルなイメージが、意味とか何の象徴だとかっていうのを考える前に飛び込んでくる。ブランキーを聞き始めた人は「D.I.Jって何?」と思うんですけど。
あっこゴリラ:「D.I.J」はドキドキするようなイカレタ人生の略です(笑)。最高。さっき柴さんがイメージっておっしゃられましたけど、映画を観ているような気持ちになりますよね。
柴:ブランキーは『D.I.Jのピストル』もそうなんですけど、けっこう不良のイメージの曲が多い。車、バイク、革ジャンとかのイメージが多いのですが、それとはあえて違う1曲がこの『冬のセーター』です。この言葉を選んでくるっていうのも、ブランキーの歌詞の魅力のもう1つの大きなポイントですね。ちょっと強がっている不良ではなく、繊細な少年なんですよね。弱々しくて傷つきやすくてナイーブな。そこを照れ隠しなしに歌ってしまうタイプの曲です。
あっこゴリラ:その素直な歌詞がぶっ刺さるんですよね。
柴:曲中では、自分の頭にモデルガンを向けて撃つっていう、ある種自ら命を絶つことの「ごっこ」というか、そういう振りをする光景を描いている曲ですが、そことサビの冬はとても寒くて長いから、おばあさんが編んでくれたセーターを着なくちゃっていう組み合わせの落差ですね。この曲は、この2つのイメージ落差がセンチメンタルな気持ちを思い起こさせてくれます。
3曲目に柴さんは『SEA SIDE JET CITY』を選んだ。
柴:この曲は、2000年リリースの現時点では最後のアルバムになった『HARLEM JETS』に収録されている曲です。『D.I.Jのピストル』と『冬のセーター』はどちらかというと、初期のアルバムの収録曲なんですけど、これはあえて最後のアルバムから選びました。BLANKEY JET CITYって、そもそも何っていうことなんですけど、浅井さんが以前のインタビューで「BLANKEYっていう名前のおっさんが市長のJET CITYっていう未来の架空の街なんだ」と「その街で起こるいろんな物語とかを書いている」というようなことを言われていて。つまり『SEA SIDE JET CITY』って“BLANKEY JET CITY”という1つの架空の街の情景を書いた曲なんです。
ヤマグチ:ブランキーとの出会いは高校生ですかね、曲は『ロメオ』って曲でした。この鋭さは何だと衝撃を受けたのを覚えています。SIX LOUNGEでも『ロメオ』のコピーをやったりとか、とにかくあのリフが弾きたくて。当時は、音とか何も分からずに楽しいからコピーをやっていたけど、今考えたらできないですね。あのスリリングなギターの音というか、一歩間違えたら全て崩れそうなひずんでいるけどクリアでスリリングな音。今はきっとマネできないですね。その辺も含めて尊敬もしているし、俺はベンジー(浅井)になれないなっていう諦めた瞬間が俺の人生でありました。
ここでヤマグチの思い出の1曲『ロメオ』をオンエアした。
ヤマグチ:これは『ロメオの心臓』っていう好きなアルバムの収録曲でもあるんです。その中で聴いた『ロメオ』が衝撃的でした。大好きです。
リスナー:<ノイローゼになってしまった友達が 僕に言う「あの楽しそうなディズニーランドへ一緒に行こうよ」って でも僕は行く気がしない」「一緒にいるのが とてもつらくてたまらないから>この歌詞の意味が分かるようになったのは少し大人になったときでした。
あっこゴリラ:これすごい曲ですよね。
柴:こんな歌詞はなかなかないですよ。
あっこゴリラ:ここで「そんな友だちとも分け隔てなく」とはいかないで、自分は一緒にいるのが恥ずかしくてたまらない、そして僕は冷たい人間の仲間入りだって、ここまでさらけ出すっていう。
柴:あとこのギターのコード感、フレーズがすごくポイントになっていて。悲しい曲だからこそ、この歌詞が生きてくる。ただ冷たいとかただ友だちを見捨てるとかじゃなくて、歌っている人が何より悲しいっていうのが曲で伝わってくるんですよね。
あっこゴリラ:しょうがない、仕方ないとかじゃないんですよ。そういう自分はこれでいいのか、よくはないでしょっていう葛藤を持ちながら歌っているというか。これはドキッとくるはずなんですよね。
最後に、BLANKEY JET CITYを今回の特集を振り返り、柴さんは「ブランキーは解散して何十年も経っているけど、今聴けばその人にとっては新曲」として、若い人たちがBLANKEY JET CITYを聴くことで「人生が変わってほしい」と語った。
柴さんはBLANKEY JET CITY 特設サイトでコラム「今こそBLANKEY JET CITYが聴かれるべき理由」を寄稿している。
BLANKEY JET CITYを特集したのは、J-WAVEで8月14日(水)に放送された番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。
【SONAR MUSICは番組公式LINEでも情報発信中】
「アンサンブルが最高だと最初に言いたい」
BLANKEY JET CITYは浅井健一(Vo./Gt.)、照井利幸(Ba.)、中村達也(Dr.)による伝説の3ピースバンド。2000年の解散後もいまだに音楽シーンにおいて高い影響力を誇り、幅広いアーティストからリスペクトされ続けている。そんなBLANKEY JET CITY は、7月に全曲を音楽ストリーミング・音楽ダウンロードサービスで配信をスタート。また、9月25日(水)から初アナログ化を含む全オリジナルアルバムのアナログ盤が順次リリースされる。
柴:BLANKEY JET CITYは1990年に『三宅裕司のいかすバンド天国』にテレビ番組に出演、当時バンドブームのいわゆる明るくて笑えるバンドも多かった中に、突然それまでのバンドのムードと違う、ヒリヒリしたパンク、ロカビリー、ニューウエーブを吸収して、しかも今までに見たことのないアンサンブルで鳴らす3人が急に出てきました。
今回は柴さんが、今だからこそ若い世代にも聴いて欲しいBLANKEY JET CITYの楽曲を解説と共に紹介。まずは『D.I.Jのピストル』をセレクトした。
柴:ブランキー(BLANKEY JET CITY)は、歌詞の魅力もあるんですが、その前にアンサンブルが最高だと最初に言いたい。ヒリヒリする感じでギターとドラムとベースが渡り合っている。ロックンロールって、3ピースバンドだとドラムが支えて、ベースが一歩下がって、ギター・ボーカルがいてみたいなタイプも多いんですけど、全然そんなことはなくて、全部が点と点でぶつかり合っているみたいな。
あっこゴリラ:本当にそうですよね。ドラムもベースもギターも全てが獣みたいなというか。「この3人が組んでうまくいくの?」って感じだけど「バンドってこういうことか」って思います。
柴:めちゃくちゃスリリングで、これが成り立っているっていうのが、バンドの魅力なんだという。そして歌詞。ブランキーの歌詞は、意味とかメッセージ性というよりもイメージだと思っているんです。例えば情景だったり、固有名詞だったり、いろんなイメージがすごいスピードで飛び込んで来る。しかも、スリリングなアンサンブルがあるから「今、何を言った?」って。そういうところもあって、どんどん頭の中に鮮烈なイメージが広がっていくんですが、『D.I.Jのピストル』は歌い出しの歌詞。メロンソーダとチリドッグ。
あっこゴリラ:そうですよね。
柴:この組み合わせがキャッチーで、そこから野いちご、白い足、ミートソースと、いろんな色が歌詞に出てくるんです。そういうカラフルなイメージが、意味とか何の象徴だとかっていうのを考える前に飛び込んでくる。ブランキーを聞き始めた人は「D.I.Jって何?」と思うんですけど。
あっこゴリラ:「D.I.J」はドキドキするようなイカレタ人生の略です(笑)。最高。さっき柴さんがイメージっておっしゃられましたけど、映画を観ているような気持ちになりますよね。
少年の繊細さを、照れ隠しなしに歌う
続いて、柴さんはセカンドアルバム『BANG!』に収録の『冬のセーター』を紹介した。柴:ブランキーは『D.I.Jのピストル』もそうなんですけど、けっこう不良のイメージの曲が多い。車、バイク、革ジャンとかのイメージが多いのですが、それとはあえて違う1曲がこの『冬のセーター』です。この言葉を選んでくるっていうのも、ブランキーの歌詞の魅力のもう1つの大きなポイントですね。ちょっと強がっている不良ではなく、繊細な少年なんですよね。弱々しくて傷つきやすくてナイーブな。そこを照れ隠しなしに歌ってしまうタイプの曲です。
あっこゴリラ:その素直な歌詞がぶっ刺さるんですよね。
柴:曲中では、自分の頭にモデルガンを向けて撃つっていう、ある種自ら命を絶つことの「ごっこ」というか、そういう振りをする光景を描いている曲ですが、そことサビの冬はとても寒くて長いから、おばあさんが編んでくれたセーターを着なくちゃっていう組み合わせの落差ですね。この曲は、この2つのイメージ落差がセンチメンタルな気持ちを思い起こさせてくれます。
3曲目に柴さんは『SEA SIDE JET CITY』を選んだ。
柴:この曲は、2000年リリースの現時点では最後のアルバムになった『HARLEM JETS』に収録されている曲です。『D.I.Jのピストル』と『冬のセーター』はどちらかというと、初期のアルバムの収録曲なんですけど、これはあえて最後のアルバムから選びました。BLANKEY JET CITYって、そもそも何っていうことなんですけど、浅井さんが以前のインタビューで「BLANKEYっていう名前のおっさんが市長のJET CITYっていう未来の架空の街なんだ」と「その街で起こるいろんな物語とかを書いている」というようなことを言われていて。つまり『SEA SIDE JET CITY』って“BLANKEY JET CITY”という1つの架空の街の情景を書いた曲なんです。
一歩間違えたら全て崩れそうなスリリングな音
番組では、BLANKEY JET CITY を愛してやまないというSIX LOUNGEのヤマグチユウモリ(Vo./Gt.)がコメントで登場した。ヤマグチ:ブランキーとの出会いは高校生ですかね、曲は『ロメオ』って曲でした。この鋭さは何だと衝撃を受けたのを覚えています。SIX LOUNGEでも『ロメオ』のコピーをやったりとか、とにかくあのリフが弾きたくて。当時は、音とか何も分からずに楽しいからコピーをやっていたけど、今考えたらできないですね。あのスリリングなギターの音というか、一歩間違えたら全て崩れそうなひずんでいるけどクリアでスリリングな音。今はきっとマネできないですね。その辺も含めて尊敬もしているし、俺はベンジー(浅井)になれないなっていう諦めた瞬間が俺の人生でありました。
ここでヤマグチの思い出の1曲『ロメオ』をオンエアした。
ヤマグチ:これは『ロメオの心臓』っていう好きなアルバムの収録曲でもあるんです。その中で聴いた『ロメオ』が衝撃的でした。大好きです。
この楽曲の歌詞がすごい
続いて、リスナーからのメッセージを紹介。あるリスナーは『ディズニーランドへ』をリクエストした。リスナー:<ノイローゼになってしまった友達が 僕に言う「あの楽しそうなディズニーランドへ一緒に行こうよ」って でも僕は行く気がしない」「一緒にいるのが とてもつらくてたまらないから>この歌詞の意味が分かるようになったのは少し大人になったときでした。
あっこゴリラ:これすごい曲ですよね。
柴:こんな歌詞はなかなかないですよ。
あっこゴリラ:ここで「そんな友だちとも分け隔てなく」とはいかないで、自分は一緒にいるのが恥ずかしくてたまらない、そして僕は冷たい人間の仲間入りだって、ここまでさらけ出すっていう。
柴:あとこのギターのコード感、フレーズがすごくポイントになっていて。悲しい曲だからこそ、この歌詞が生きてくる。ただ冷たいとかただ友だちを見捨てるとかじゃなくて、歌っている人が何より悲しいっていうのが曲で伝わってくるんですよね。
あっこゴリラ:しょうがない、仕方ないとかじゃないんですよ。そういう自分はこれでいいのか、よくはないでしょっていう葛藤を持ちながら歌っているというか。これはドキッとくるはずなんですよね。
最後に、BLANKEY JET CITYを今回の特集を振り返り、柴さんは「ブランキーは解散して何十年も経っているけど、今聴けばその人にとっては新曲」として、若い人たちがBLANKEY JET CITYを聴くことで「人生が変わってほしい」と語った。
柴さんはBLANKEY JET CITY 特設サイトでコラム「今こそBLANKEY JET CITYが聴かれるべき理由」を寄稿している。
番組情報
- SONAR MUSIC
-
月・火・水・木曜22:00-24:00