Sano ibuki、観客と交わした「愛」と「多幸感」─ワンマンライブをレポート

Sano ibukiのワンマンライブ「Sano ibuki ONE-MAN LIVE “GOOD LUCK”」が11月25日、東京duo MUSIC EXCHANGEで開催された。ここではそのライブの模様を、J-WAVEの大学生・専門学生コミュニティ「J-WAVE WACODES」の9期・佐々木龍二朗がレポートします。（J-WAVE NEWS編集部）

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会場となったduo MUSIC EXCHANGEに到着すると、そこにはすでに多くの人が集まり、ライブという非日常的な体験と、Sano ibukiのパフォーマンスを心待ちにしている様子が伝わってきました。会場が暗転すると、待ち望んでいた瞬間を前に観客のボルテージが静かながらも確実に高まっていきます。

ほどなくして、Sano ibukiが登場。力強いドラムの音に導かれて『罰点万歳』をオープニングの曲として披露。強弱をつけた歌声と、ステージを広く使ったパフォーマンスで観客の心を解放し、会場の空気を一気に温めます。「楽しんでいこう！」の声から始まった『ジャイアントキリング』では語りかけるように歌うシーンもあり、感情豊かなパフォーマンスを披露。つづいて、疾走感あふれる『少年讃歌』を歌い上げ、オーディエンスとの一体感が印象的な『finlay』へ。Sanoの歌声に呼応して、会場全体がクラップ＆ハンズアップで盛り上がりました。

「汗拭いてもいい？」と冗談交じりに切り出したMCパートは「最後まで楽しんでいこうぜ！」と観客と一体となる言葉で締め、武田(Ba.)のベースソロから『沙旅商』へ。Sanoが弾くアコースティックギターの余韻を響かせながら華麗に歌い上げます。そして、Sanoの歌声が際立つ『プラチナ』を繊細でありながらも力強い声で歌い、続く『マリアロード』では、スポットライトに照らされながら優しく聴かせ、観客をSanoのディープな世界へと誘います。 「この時間が永遠に続けばいいのにな……」と口にしたSano。いつか終わりを迎えるからこそ、今この瞬間を楽しむことが出来るのだと話し、それを感じさせてくれたオーディエンスへの感謝を述べました。そして、その思いを託すように『久遠』の歌唱へ。内に秘めた感情を乗せてオーディエンスを包容するように歌い上げました。インストゥルメンタルである『Letter』を挟み、『終夜』の演奏へ。のびやかな歌声と穏やかなメロディが、聴く人の心をほぐしていきます。

再びMCを挟み「一気に盛り上げていくぜ」と叫んで始まった『WORLD PARADE』ではオーディエンスと共に歌い、会場は熱気に包まれます。アップテンポな『決戦前夜』から『スイマー』へと繋ぎ、続く『アビス』では集まった観客を煽りながらSano自身も跳ねるように歌い、観客との絆を感じさせました。

少しの間を置いて、静かに語り始めたのは3rd Mini Album『革命を覚えた日』について。「革命を覚えた日」とはライブをしている今この瞬間なのではないかと語ると、最後に「新曲が出来ました！」と声を上げ、会場のボルテージは最高潮に。オーディエンスに寄り添うように歌うことで生まれた会場の一体感は、何物にも形容しがたい唯一無二のものでした。会場に集まった観客が「Sano ibuki」の曲を聴き始めたタイミングはそれぞれだが、そんな人たち全員が同じ空間を共有し楽しむ。Sano ibukiはそんな魅力を持ったアーティストだと感じました。 そしてラストMCへ。「終わりがあるから愛しいんだよね」と話すと「また会いに来てね」と今日集まったオーディエンスと約束をし、ライブは最終盤へ。「大好き！」という観客の声に対して「愛しているぜ」と返すSanoの姿は、彼とファンの関係を象徴するワンシーン。そうして始まった『twilight』では多幸感に包まれた空間が創出され、ラストナンバーとなった『梟』を丹精込めて歌い上げると、マイクを使わず「ありがとう！」と叫び、最後はオーディエンスに向けてタオルを投げ、ライブを終えました。

改めてライブを振り返ると、エネルギッシュなパフォーマンス、とにかく楽しんで歌う姿、観客との一体感……LIVEレポートを書くにあたって特筆すべき点が多くあり、どこをピックアップしようか、どのようにこの感情をまとめようか、そんなことを考えていました。

が、気づけばライブは最終盤。ただ純粋にライブを楽しんでいる自分がいました。やっぱり音楽は良いな、そんなことを感じた「Sano ibuki ONE-MAN LIVE “GOOD LUCK”」でした。

Text by 佐々木龍二朗（「J-WAVE WACODES」9期）、Photo by 増田彩来（Sara Masuda）