音楽、映画、エンタメ「ここだけの話」
地元の文化で若者を熱狂させる─新潟の野外フェス「南魚沼収穫祭」が目指す“相乗効果”をプロデューサーに聞いた

地元の文化で若者を熱狂させる─新潟の野外フェス「南魚沼収穫祭」が目指す“相乗効果”をプロデューサーに聞いた

J-WAVEが共同プロデュースするオンラインマガジン「守破離 -SHUHARI-」。“守破離”とは剣道や茶道などの修業における段階を示したもの。「守」は、師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。「破」は、他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。「離」は、一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階(※1)。

そんな“守破離”と“音”を切り口に人物のスタイルをリアルに掘り下げ、オリジナルインタビューをInstagramとJ-WAVE NEWSで配信していく。

(※1)引用:デジタル大辞泉「守破離」より

今回は、新潟発の農業レーベルSoil Worls代表でプロデューサー、米農家の貝瀬智大にインタビュー。10月21日に新潟県南魚沼市で開催されるフェス「南魚沼収穫祭2023」を手掛け、地元を盛り上げるため様々な活動に取り組む、その熱い思いについて訊いた。
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新潟の魅力を、クリエイティブの力で掘り起こしていく

──貝瀬さんのお仕事「米農家 兼 プロデューサー」とは?

実家が米農家で、今は父親と2人で家業をしています。それとは別の事業で、Soil Worksというクリエイティブチームを主宰しています。デザイナーやウェブエンジニア、映像ディレクターとか、フリーランスでクリエイティブをやってる人たちの集まりですね。僕はプロデューサーという立ち位置で、色々な企画をしたり磨き上げたりしてメンバーたちと一緒にクリエイティブを創っています。

──Soil Worksはどんなきっかけで始めたのですか?

Soil Worksは2020年6月頃、コロナ禍で立ち上げました。その頃は東京のイベント業界で働いてたんですけど、ちょうどコロナが流行りだした頃で本当に仕事が何もなくなって、本気でどうしようって今後のことを考える機会がたくさんあったんです。このまま東京でやっていくのもいいけど、とにかく地元の新潟が好きだったので、地元に貢献できることをしたくて。クリエイティブな面白いことをやってる人が周りにたくさんいたので、そのみんなを集めて何かひとつのことを成し遂げたら、 地元に対して面白い価値を提供できたり新しい何か作れるんじゃないかなと思ったんです。

それと、東京だとマクロというか大きい仕事はたくさんあるけど、今の自分にはミクロな視点でコアなカルチャーを掘り起こしていく方が面白そうだなと思ったんですよね。例えば僕の地元、新潟県南魚沼市で有名なのはやっぱりお米ですよね。でも実はスケートボードが盛んだったり、小さいライブハウスやクラブでヒップホップイベントを定期的に開催していたり、そういうストリート寄りのカルチャーが意外とがっつり根付いてる。一方で川釣りのメッカだったりもする。実はまだ知られていない色んな魅力を掘って発信していきたいなと思って、2021年2月に地元へUターンしました。

音楽・食・お酒・人が交わり相乗効果を生む野外フェス

──貝瀬さん、Soil Worksが手掛けるフェス「南魚沼収穫祭」について教えてください。

「南魚沼収穫祭」は“地元に根ざした文化で若者を熱狂させる”をコンセプトに掲げるローカル・カルチャー・フェスティバルです。南魚沼を一望できる場所で、地元の食文化を感じるフードや地酒、多種多様な出店者によるローカル・マーケット、それらを彩る音楽ライブやアート・ギャラリーなどから、ローカルの魅力を深掘り・再発見してもらえるようなフェスを目指しています。
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──「南魚沼収穫祭」立ち上げのきっかけを教えてください。

小さい頃から音楽が好きでよく聴いてたし、学生時代はラップをやったりもして。あと地元がFUJI ROCK FESTIVAL会場の苗場スキー場から近いので、高校時代からずっと行ってました。最初は2008年だったかな……自動車学校の特典でフジロックの1日券をもらって友人たちと行きました。土砂降りの雨のなかグリーンステージでWeezerを見ながら知らない外国人と一緒に盛り上がって、もうめちゃめちゃ楽しかった。僕にとってはそれが初めてのライブ経験で、何万人もが同じ時間を共有して体や心を揺らしたり、お酒を飲んで盛り上がったり、夢のようなこの空間を作ってる人たちってすげえ!って強く衝撃を受けました。あの瞬間、自分が大きく突き動かされた経験が今の自分に繋がっているんだなと思います。

そんな経験もあって地元で音楽イベントをずっとやりたかったんです。 コロナ前、苗場の雪山で開催するフェスに前職で関わったことがあったんですけど、もっと地元に寄り添ったことがやれるんじゃないかと考えていて。地元に戻って農作業をしながら揉まれていく中で、地元の美味しいもの、根付いてるカルチャー、もっとたくさんある魅力を広めていくために、音楽・食・お酒・人が交わって相乗効果が生まれるような野外フェスとして表現したいと思ったんです。それで「南魚沼収穫祭」が誕生しました。
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──今年の見どころは?

今年は2回目の開催で、昨年からかなりパワーアップしてます。まずは無料エリアの拡充。ライブ、ローカルショップの出店、アートギャラリーが完全無料で楽しめます。あと、注目コンテンツはMCバトルですかね。それも「地酒MCバトル」といって、ただディスるのではなくてバトル前に南魚沼の地酒をちょっと飲んで味のうまさをラップし合う(語り合う?)という企画で、これはかなり面白くなりそう。他にはスケートランプ、野外サウナのエリアなどこれから色々なコンテンツが追加されていく予定です。
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『南魚沼収穫祭2023』
■日程:2023年10月21日(土)
■会場:新潟県南魚沼市 ザ・ヴェランダ石打丸山(石打丸山スキー場)
■料金:入場無料(※一部エリアのアクセスにはゴンドラ乗車券必要)
■出演:C.O.S.A. / Showmore / Skaai / Emerald / Sam is Ohm & Kick a Show / E.scene / Sahnya…and more!
WEB Instagram Spotify Playlist

米農家兼プロデューサーTomonori Kaiseの「守破離」

「守」
──仕事や生活において大切にしていることは?


大切にしているのは一言でいうなら感謝とリスペクト。一緒に仕事をする人、友達、家族とも気持ちよく過ごしたいじゃないですか。相手のことをちゃんとリスペクトして、相手の考えを組むことを1番大切にしてますかね。一緒にやってよかったと思われたいし、自分も思いたいし。そういうことは意識していますね。

「破」
──転機となる出来事、自分が乗り越えた瞬間は?


東京にいた2019年頃、仕事で周りにすごく迷惑をかけてしまったことがあったんです。後ろめたい気持ちを抱えたままズルズル生きてたんですけど、どこかで精算しないと前に進めないと思って、すごく迷惑かけた人に直接お会いしてお詫びする時間をもらったんです。そのとき「当時の件はとりあえずいいよ。 ただし、これだけは守ってくれ。ずっとチャレンジし続けろ。」と言われて。本気で挑戦し続けようと決意した、人生が次のフェーズに行ったなと感じた瞬間でした。チャレンジし続けた結果、「収穫祭」まで辿り着けたのかなと思っています。

そのとき自分を救ってくれたのがSTUTSとjjjの「Changes」という曲でした。 最初のフレーズの「全ての罪に目を瞑る」という歌詞が心に刺さりまくって。過去を受け入れることってすごく難しいと思うんですけど、それでも前に進めるように背中を押してくれたのがこの曲でした。迷惑をかけた方々に何か返せるとしたら、自分が何かを成し遂げていくことなのかな。挑戦し続けていたら、いつかどこかで交わる瞬間も来るかもしれない。そうなったら嬉しいですね。

Changes feat. JJJ / STUTS 「離」
──今後の挑戦、目標を教えてください。


「収穫祭」については、開催日程を2デイズに拡大して、券売化もしていきたいと考えています。あと、もっと大きなイベントにしていきたいのはもちろんですが、こちらからガンガン売り込みに行くというよりかは「地方で面白いイベントやってんぞ」みたいに東京の人たちが食いついてくるような、地方発のムーブメントみたいになれば面白いですよね。世界中にフェスは色々ありますけど、独自性のあるフェスとして成長していけたらいいなと思ってます。

個人的に米農家として挑戦したいことは、お客さんに目の前で自分の作ったお米を食べてもらうこと。今まではお米を作って「米」として広める取り組みを色々やってきたので、今度は”おにぎり”として、顔の見えるお客さんに実際に食べてもらいたいと思っています。おにぎりスタンドみたいな飲食店や、フェスやイベントに出店もしていきたい。そんな、おにぎりコンテンツを作るのが次の挑戦ですかね。
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(Interview&Text:Kana Shionoya)

PROFILE
Tomonori Kaise
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新潟県南魚沼市在住の米農家兼プロデューサー。東京でイベントやコンサートの企画制作、多目的ホールの運営に携わり2021年に地元へUターン。 クリエイティブチーム「SoilWorks」主宰。
Instagram

Soil Works
農産物にまつわるドラマを伝える、新潟発の農業レーベル。
WEBInstagramYouTube

「守破離 -SHUHARI-」
ー師から学び、型を破り、確立するー
"守破離"を切り口に「人」のスタイルをリアルに掘り下げるオンラインマガジン

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