ミュージシャンで、J-WAVEナビゲーターでもあるグローバーが、藤原しおりと対談。「音楽」をテーマに語り合った。
グローバーが登場したのは、藤原しおりが「チーフ」としてナビゲートする、ラジオを「ラボ」に見立てたJ-WAVEの番組『LOGISTEED TOMOLAB.〜TOMORROW LABORATORY』通称トモラボ。「私たちの身近にある森羅万象」をテーマ(イシュー)に取り上げてかみ砕き、ラボの仲間としてゲストを「フェロー」として迎え、未来を明るくするヒントを研究している。
4月15日(土)の「ラボ」にフェローとして登場したグローバーは、藤原と一緒に「音楽」について研究することに。
2023年3月に「GROVER」名義でシングル『DIVE!』を配信リリースし、ソロアーティストとして本格的に音楽活動を再開している。そんなグローバーの音楽遍歴について話を訊いた。
藤原:音楽への興味は打楽器やドラムからスタートしたんですね。
グローバー:リズムが好きでずっと枕を叩いたり膝を叩いたり、いまでもなにかあるとペコペコと。ラジオの生放送中も『JAM THE PLANET』で曲がかかっているあいだはずっとなにかを叩いています(笑)。
藤原:音楽のノリ方というとリズムが気持ちいい感じなんですね。
グローバー:そうして好きになったものの向こうに歌い手の言葉が乗っていれば、そこから「どういうことを言っているのかな?」とか、そういう順番です。先に言葉から入るというのはいまだになくて。リズムとかグルーヴが足取りや心を軽くしてくれたりみたいな。
藤原:かっこいい。私も詞よりはメロディから入っていくタイプです。
グローバー:俺はしおりさんをテレビで観てすごく好きになったのも、そのグルーヴィーな感じからでしたよ。あれもすごく音楽的じゃないですか。
藤原:うれしいです。音楽を研究する番組の『関ジャム』(テレビ朝日系)があるじゃないですか。あれでも私の音楽の使い方を研究してくれたとき、めっちゃうれしかったんです。すごくこだわっていたんです、「ここで切る」とか。
グローバー:細かいところね、間とか。
藤原:「35億」は2番のほうなんですけど、1番のほうは「キャリア」って言うんですよ。
グローバー:頭のなかでリマインドされています(笑)。
藤原:「キャリア」って言う空白と「35億」という空白は、全然音楽を切っているところが違うんです。
グローバー:かっこいい!
藤原:だから真似をしてくれたりするじゃないですか。やってみるとわかるんです「1番は振り向くタイミングここなんだ」とか。
グローバー:その感じすごくわかります。しおりさん、それはドラマーだよ。
藤原:私、ドラマーなの!?
グローバー:裏でパッと切るのか、なんならクラッシュをバンと止めるのも、残響を残して止めるのか、残響ごと切って完全なブレイクにして言うのかは本当に違うから。そういう細かいところがあるから、ブルゾンちえみさんのネタはみんなパワーが出るんですよ。
藤原:グローバーさんありがとう! 「いないいないばあ」じゃないですけど、音のこの瞬間になにか言うとか、ここでバッて見えたら赤ちゃんが笑っちゃうみたいな。
グローバー:音楽のプリミティブ(原始的)な喜びですよね。
グローバー:全然そういうジャンルの呼び方を知らなくて。言われてみてそういうCDを貸してもらってレコード屋さんにあるやつを聴いてみると「これじゃん!」みたいな。裏のビートが効いていてホーンセクションが入っていて「喜びの音楽」みたいな感じだったんです。その音楽はまだ当時ムーブメントが起こったばかりだったんです。日本とアメリカであまり時差がなくて、まだなにをぶち込んでもいいみたいな柔らかい感じでした。
藤原:ルールみたいなものが固まってないんですね。
グローバー:出来上がっていて「それってロックじゃないよね」とかがなかったの。なんでもいいじゃんみたいな。やっていくうちにバンド名がSKA SKA CLUBだから「スカが2個もついているのにお前らは全然スカじゃない」とか言われることもあって。
藤原:(笑)。
グローバー:だけどそのときは「できちゃったからしょうがない」みたいなことで。楽しかったですね。
藤原:「みんなでノれる」とか「楽しい」が好きなんですね。自分でじっくり聴いたり楽しむ音楽もそういうジャンルですか?
グローバー:そうじゃないこともあるかな。車のなかで音楽を1人でドライブして聴くのも好きなんです。そういうときはクラシックとかも聴くし、ジャズとかボッサとか。1人で聴くときに一番好きなのはどんなのかなあ。
藤原:「どんな音楽が好きですか?」と訊かれるじゃないですか。音楽通な感じがするから「こういうジャンルです」って言えたらかっこいいんですけど。だけど私もごちゃごちゃしているというか「いまはヒップホップしか聴きたくない」というときもあれば「いまはアコースティックしか聴きたくない」みたいなときもあるんです。どちらかというと、その気分にあってない曲を聴くのはすごく嫌なんです。
グローバー:すごくわかる! それ、私の意見にしていい(笑)?
藤原:うん(笑)。「こういうときはこういう音楽だけ聴きたい」というのがすごくあるから、私はめっちゃプレイリスト分けているんです。「夜、ノりたいとき」「夜、しっとりしたいとき」「切ないとき」とか。
グローバー:種別はしていないけど、そのとき「これ」と思ったらそればかり聴いているかも。その1曲だけを無限リピートにして2、3時間ずっとドライブしたりとかもします。
藤原:音楽ってすごく力があるじゃないですか。一気にその雰囲気になれるパワーがあるからこそ、ちゃんと使いたいんです。
グローバー:心に作用させる、奥までね。たとえば洋楽とかで最初は全部掴んでいなくても「最初はこう思っていたけど、もっとこうだな」とか「自分にとってはこうだな」とか、それがどんどん大きくなっていく。自分の心の宇宙を隅々まで遊泳したいみたいなのは、1人のときの音楽の楽しみ方ですね。
藤原:グローバーさんはこのコロナの3年はどうでしたか?
グローバー:自分でも感じましたけど、不思議な「音楽の力」というのを改めて実感しました。ライブができなくなってミュージシャンが大変だとかもあったけど、オンラインで配信があったりとかいろいろあったじゃないですか。それぐらいみんな音楽って生活のなかに元気をくれるんだな、みたいなことも思いまして。オンラインでつながる楽しみも見つかったと同時に、生の楽器の響きってかけがえがないんだなと。コロナ禍は感謝すべきものじゃないのかもしれないけど、前向きに考えるならそういうことを気づかせてくれたと思っています。
藤原:いろいろなことが変わりましたよね。配信で観られるようになったりとか、チケットのシステムとかも大変だっただろうし。でも大変だったときがあったから、ライブとか久しぶりに行けたときに感動が何倍にも増していると実感します。
グローバー:本当ですよね。
藤原:大変なこといっぱいあったけど「大変だった」だけでは終わりたくないですよね。「あそこからいい結果に残せたこともあるんだ」という風にしたいです。
藤原:音楽という形にして出すということは、それを聴く人にとってもきっと共感する人がいます。元気になったり同じように傷が癒えたりもする。ミュージシャンの人たちがそうやって言語化じゃなくて音楽化してくれることによって救われる部分があると思います。
グローバー:それはありますね。言語化じゃなくて音楽化というのはいいですね。僕はもともと苦手なんです。人見知りだったり内気だったり。
藤原:本当ですか?
グローバー:バリバリそうなんです。本当に「言葉がなかったらコミュニケーションは楽しいのにな」とか思うぐらいなんです。単純な話、赤ちゃんと触れ合っているときとかは気楽で楽しいじゃないですか。ニコニコしていて笑顔の交換で。知らない国に行って言葉があまり通じないなかでコミュニケーションをとろうとすると、気持ちだけのやりとりが楽しかったりするじゃないですか。言葉が入ってくると「どんな言葉を選べば」とか、言葉が通じる同士の難しさを思っちゃうほうなんです。そういう言葉じゃないコミュニケーションのひとつとして音楽があるからね。それをいっぱいやりたいなってまた思いました。
J-WAVE『LOGISTEED TOMOLAB.〜TOMORROW LABORATORY』は毎週土曜20時から20時54分にオンエア。
グローバーが登場したのは、藤原しおりが「チーフ」としてナビゲートする、ラジオを「ラボ」に見立てたJ-WAVEの番組『LOGISTEED TOMOLAB.〜TOMORROW LABORATORY』通称トモラボ。「私たちの身近にある森羅万象」をテーマ(イシュー)に取り上げてかみ砕き、ラボの仲間としてゲストを「フェロー」として迎え、未来を明るくするヒントを研究している。
4月15日(土)の「ラボ」にフェローとして登場したグローバーは、藤原と一緒に「音楽」について研究することに。
ブルゾンちえみのネタは「すごく音楽的」その理由は?
グローバーは高校時代の留学などを経て、東京大学に進学。学生時代よりミュージシャンとして活動を開始。バンド、SKA SKA CLUBでは、インディーズながら15万枚のセールスを記録した。ラジオナビゲーターとしても活躍し、J-WAVEのナビゲーターとしては2017年10月より『JAM THE WORLD』、2021年4月より『JAM THE PLANET』と、生放送のニュース、情報番組などを担当。2023年3月に「GROVER」名義でシングル『DIVE!』を配信リリースし、ソロアーティストとして本格的に音楽活動を再開している。そんなグローバーの音楽遍歴について話を訊いた。
藤原:音楽への興味は打楽器やドラムからスタートしたんですね。
グローバー:リズムが好きでずっと枕を叩いたり膝を叩いたり、いまでもなにかあるとペコペコと。ラジオの生放送中も『JAM THE PLANET』で曲がかかっているあいだはずっとなにかを叩いています(笑)。
藤原:音楽のノリ方というとリズムが気持ちいい感じなんですね。
グローバー:そうして好きになったものの向こうに歌い手の言葉が乗っていれば、そこから「どういうことを言っているのかな?」とか、そういう順番です。先に言葉から入るというのはいまだになくて。リズムとかグルーヴが足取りや心を軽くしてくれたりみたいな。
藤原:かっこいい。私も詞よりはメロディから入っていくタイプです。
グローバー:俺はしおりさんをテレビで観てすごく好きになったのも、そのグルーヴィーな感じからでしたよ。あれもすごく音楽的じゃないですか。
藤原:うれしいです。音楽を研究する番組の『関ジャム』(テレビ朝日系)があるじゃないですか。あれでも私の音楽の使い方を研究してくれたとき、めっちゃうれしかったんです。すごくこだわっていたんです、「ここで切る」とか。
グローバー:細かいところね、間とか。
藤原:「35億」は2番のほうなんですけど、1番のほうは「キャリア」って言うんですよ。
グローバー:頭のなかでリマインドされています(笑)。
藤原:「キャリア」って言う空白と「35億」という空白は、全然音楽を切っているところが違うんです。
グローバー:かっこいい!
藤原:だから真似をしてくれたりするじゃないですか。やってみるとわかるんです「1番は振り向くタイミングここなんだ」とか。
グローバー:その感じすごくわかります。しおりさん、それはドラマーだよ。
藤原:私、ドラマーなの!?
グローバー:裏でパッと切るのか、なんならクラッシュをバンと止めるのも、残響を残して止めるのか、残響ごと切って完全なブレイクにして言うのかは本当に違うから。そういう細かいところがあるから、ブルゾンちえみさんのネタはみんなパワーが出るんですよ。
藤原:グローバーさんありがとう! 「いないいないばあ」じゃないですけど、音のこの瞬間になにか言うとか、ここでバッて見えたら赤ちゃんが笑っちゃうみたいな。
グローバー:音楽のプリミティブ(原始的)な喜びですよね。
「喜びの音楽」スカとの出会い
グローバーは東京大学在学中の音楽との出会いについて語った。ブラスセクションが入っている「華やかで自分も楽しい音」が好きだったグローバーは、ある日「スカパンクとかスカコアとか好き?」と尋ねられたという。グローバー:全然そういうジャンルの呼び方を知らなくて。言われてみてそういうCDを貸してもらってレコード屋さんにあるやつを聴いてみると「これじゃん!」みたいな。裏のビートが効いていてホーンセクションが入っていて「喜びの音楽」みたいな感じだったんです。その音楽はまだ当時ムーブメントが起こったばかりだったんです。日本とアメリカであまり時差がなくて、まだなにをぶち込んでもいいみたいな柔らかい感じでした。
藤原:ルールみたいなものが固まってないんですね。
グローバー:出来上がっていて「それってロックじゃないよね」とかがなかったの。なんでもいいじゃんみたいな。やっていくうちにバンド名がSKA SKA CLUBだから「スカが2個もついているのにお前らは全然スカじゃない」とか言われることもあって。
藤原:(笑)。
グローバー:だけどそのときは「できちゃったからしょうがない」みたいなことで。楽しかったですね。
藤原:「みんなでノれる」とか「楽しい」が好きなんですね。自分でじっくり聴いたり楽しむ音楽もそういうジャンルですか?
グローバー:そうじゃないこともあるかな。車のなかで音楽を1人でドライブして聴くのも好きなんです。そういうときはクラシックとかも聴くし、ジャズとかボッサとか。1人で聴くときに一番好きなのはどんなのかなあ。
藤原:「どんな音楽が好きですか?」と訊かれるじゃないですか。音楽通な感じがするから「こういうジャンルです」って言えたらかっこいいんですけど。だけど私もごちゃごちゃしているというか「いまはヒップホップしか聴きたくない」というときもあれば「いまはアコースティックしか聴きたくない」みたいなときもあるんです。どちらかというと、その気分にあってない曲を聴くのはすごく嫌なんです。
グローバー:すごくわかる! それ、私の意見にしていい(笑)?
藤原:うん(笑)。「こういうときはこういう音楽だけ聴きたい」というのがすごくあるから、私はめっちゃプレイリスト分けているんです。「夜、ノりたいとき」「夜、しっとりしたいとき」「切ないとき」とか。
グローバー:種別はしていないけど、そのとき「これ」と思ったらそればかり聴いているかも。その1曲だけを無限リピートにして2、3時間ずっとドライブしたりとかもします。
藤原:音楽ってすごく力があるじゃないですか。一気にその雰囲気になれるパワーがあるからこそ、ちゃんと使いたいんです。
グローバー:心に作用させる、奥までね。たとえば洋楽とかで最初は全部掴んでいなくても「最初はこう思っていたけど、もっとこうだな」とか「自分にとってはこうだな」とか、それがどんどん大きくなっていく。自分の心の宇宙を隅々まで遊泳したいみたいなのは、1人のときの音楽の楽しみ方ですね。
#グローバー さん@infoGROVERmusic
— J-WAVE TOMOLAB. (@tomolab813) April 17, 2023
と研究した『 #音楽 ♪』
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※4/22(土)迄
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コロナ禍で感じた「音楽の力」
2021年5月10日、ヤマハが新型コロナウイルス禍を受けた巣ごもり需要で電子ピアノやギターなどの販売が伸び、2022年3月期の連結純利益が前期比54パーセント増の410億円になりそうだと発表した。藤原:グローバーさんはこのコロナの3年はどうでしたか?
グローバー:自分でも感じましたけど、不思議な「音楽の力」というのを改めて実感しました。ライブができなくなってミュージシャンが大変だとかもあったけど、オンラインで配信があったりとかいろいろあったじゃないですか。それぐらいみんな音楽って生活のなかに元気をくれるんだな、みたいなことも思いまして。オンラインでつながる楽しみも見つかったと同時に、生の楽器の響きってかけがえがないんだなと。コロナ禍は感謝すべきものじゃないのかもしれないけど、前向きに考えるならそういうことを気づかせてくれたと思っています。
藤原:いろいろなことが変わりましたよね。配信で観られるようになったりとか、チケットのシステムとかも大変だっただろうし。でも大変だったときがあったから、ライブとか久しぶりに行けたときに感動が何倍にも増していると実感します。
グローバー:本当ですよね。
藤原:大変なこといっぱいあったけど「大変だった」だけでは終わりたくないですよね。「あそこからいい結果に残せたこともあるんだ」という風にしたいです。
音楽は「コミュニケーションのひとつ」でもある
グローバーはコミュニケーションの手段としての音楽の大切さについて語った。藤原:音楽という形にして出すということは、それを聴く人にとってもきっと共感する人がいます。元気になったり同じように傷が癒えたりもする。ミュージシャンの人たちがそうやって言語化じゃなくて音楽化してくれることによって救われる部分があると思います。
グローバー:それはありますね。言語化じゃなくて音楽化というのはいいですね。僕はもともと苦手なんです。人見知りだったり内気だったり。
藤原:本当ですか?
グローバー:バリバリそうなんです。本当に「言葉がなかったらコミュニケーションは楽しいのにな」とか思うぐらいなんです。単純な話、赤ちゃんと触れ合っているときとかは気楽で楽しいじゃないですか。ニコニコしていて笑顔の交換で。知らない国に行って言葉があまり通じないなかでコミュニケーションをとろうとすると、気持ちだけのやりとりが楽しかったりするじゃないですか。言葉が入ってくると「どんな言葉を選べば」とか、言葉が通じる同士の難しさを思っちゃうほうなんです。そういう言葉じゃないコミュニケーションのひとつとして音楽があるからね。それをいっぱいやりたいなってまた思いました。
J-WAVE『LOGISTEED TOMOLAB.〜TOMORROW LABORATORY』は毎週土曜20時から20時54分にオンエア。
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2023年4月22日28時59分まで
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番組情報
- LOGISTEED TOMOLAB. TOMORROW LABORATORY
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毎週土曜20:00-20:54