DISH// 北村匠海&矢部昌暉が俳優トーク。演技中に考える“理由付け”とは

DISH//の北村匠海(Vo/Gt)と矢部昌暉(Cho/Gt)が俳優としての芝居観などを話し合った。

2人が登場したのは、J-WAVEで4月12日(水)に放送された『THE KINGS PLACE』のワンコーナー「KINGS MEETING~BACK TO LIVE HOUSE~」。注目のアーティストが曜日ごとにナビゲーターを務める番組で、水曜ナビゲーターをDISH//が担当している。

舞台と映像の違い

この日は俳優としても活動する2人が視聴者からの質問に答える形でトークを展開。最初の質問は「おふたりは役者のお仕事で台本を覚えるときの決まった場所や環境などはありますか? たとえば『家のこの場所』とか『なにか飲みながら』とか、自分なりのこだわりやルーティンなどがあれば教えてほしいです」というものだった。

北村:セリフ覚えはそもそも早い? でも舞台と映像だと全然覚え方の感覚も違うよね。

矢部:そうだね。でも俺は早いほうかな?

北村:俺は『マーキュリー・ファー』という舞台をやらせてもらったとき、セリフは本当に覚えられなかった。全部地続きで、いうなれば何十、何百ページというのを頭にぶち込むわけじゃない? そう思っただけで「うわあ」って冷や汗かいてやってた。逆に映像の場合ってセリフを覚えるまでに、まずは移動中とかに10周ぐらい読むわけ。先に覚えるんじゃなくて読んで、覚える作業というのは「明日はこのシーンとこのシーンです」というスケジュールが出た前日の夜だけ。もう本当に寝る前のベッドの上。

矢部:だいたい舞台って顔合わせがあって、本読みが稽古の初日にあって、次の日からだいたい立って徐々に稽古していくんだけど「このシーンとこのシーンをやります」というのを前日の段階でお知らせがくるから、俺も前日に覚える。しかも俺は家にあまり仕事を持ち帰りたくないから、その帰りの電車のなかで覚えるの。

北村:マジ?

矢部:舞台って稽古を1か月ぐらいやるから稽古をしていくうちに「じゃあこの芝居をもっとこうしてみよう」とか、いろいろ試して本番を迎えるんだよね。だけど映像って結局カメラの前に立ったらそこで撮っちゃうから、試すとかもあまりできないじゃん? それが映像をやっている人はすごいなと思うんだよね。

北村:「かましてやろう」と思うしかないよね。しかも撮っているカメラマンとか監督とか相手してくれている役者さんとかが、いうなれば最初の自分の視聴者になるわけだから。その人たちを感動させるという気持ちでやっているだけ。

矢部:なるほどね!

北村:その人たちがいわば「画面の向こう」というか、俺を客観視して見ている人だから。たとえば泣かせるシーンだったら本当にその人たち、監督を泣かせるみたいな気持ちでやっているかも。

矢部:すごくいいこと聞いたわ。俺は生の反応が返ってくるし、生で見せているお芝居をしたりするのがすごく好きだから舞台が好きなんだよね。映像ってお客さんに届くまで時間もかかるし、画面を1個通しているから「ちょっとやりづらいな」じゃないけど、そういう感じがあった。

北村:でも現場は生よ? 超生。

矢部:現場の人たちをお客さんと考えればいいのか。1個扉が開いた、ありがとうございます。

感覚的な指示をされたときに考えること

ドラマや映画にエキストラとして出演した経験があるという視聴者からは、「演技指導で『今より3倍楽しそうに笑って』とか『さっきよりもう少し速く歩いて』など、感覚的なことを言われることがあり、エキストラながら演技って難しいなと痛感しています。2人は感覚的なことを求められたとき、どのように対応していますか?」という質問が寄せられた。

北村:舞台はエキストラという文化がないじゃん?

矢部:アンサンブルって言われる人たちだね。

北村:でもちゃんと舞台に生きている人たちで「一般の人」という感じではないよね。

矢部:それぞれ役がある。

北村:それこそ自分のファンの人がエキストラで現場来てくれたりするんです。僕は現場に来た時点でファンの人だと思わないから「エキストラさんとして参加してくれるんだったらあなたも役者ですよ」という感覚で見てる。俺と仲がいい人は、たとえば「さっきよりもう少し速く歩いて」というディレクションじゃなくて、エキストラさんに紙を配るの。そこにその人の設定が書いてあるのよ。「さっきよりもう少し早く歩いて」なら、たとえば「もうドラマ始まっちゃう!」みたいな、家に帰るための早く歩く理由を挙げるのよ。

矢部:なるほどね。

北村:「もう少し早く歩いて」だけだと「早く歩きましたけど合ってますか?」ってなる。だからこういう感覚的なことを言われたときは、自分のなかで具体的な答えを見つける。俺は笑顔がヘタクソだからさ。

矢部:ははは(笑)。

北村:20歳とかで出させてもらったときに「もうちょっと笑って」とかめっちゃ言われるのよ。でも「もうちょっと笑う理由がこのシーンになくないですか?」って思っていたんだけど、それを自分のなかで作るというか。

矢部:自分で理由づけるというのはすごく多いね。「走って入ってくる」とかだとさ、舞台だと走って入ってくるなのか、歩いて入ってくるなのかっていう違いもある。それはなんで歩いて、走って入ってくるのか? その前になにがあったのか? そういう理由付けは適当に自分でつけちゃっているというのは多いね。舞台だと演出家の伝え方のうまさとかもあるよね。

北村:その人の、それこそ感覚になってくるしね。いろいろな監督や演出家がいるから。

北村の思う「主演」の仕事は?

監督にゆだねるタイプだという北村は、主演を務める映画『東京リベンジャーズ』でのエピソードを明かした。

北村:僕は基本的に監督、助監督、照明、カメラマンと現場で常に1対1でしゃべって、あとはほかのキャストとも1対1でしゃべって現場の空気を作ったりとか。「こうしたほうがいいんじゃないか」とか。

矢部:主演だ。

北村:現場の色を作るのはやっぱり、真ん中に立つ主演の仕事だから。そういうことをやっていたけど、基本的には監督のOKがすべて。自分の芝居に納得がいっていなくても監督がOKならOK、演出家がOKならOKという感覚でやっていたから、舞台は馴染むのにすごく時間がかかりました。でもめっちゃおもしろかった。

矢部:おもしろいよね。それぞれのよさみたいなものがあるよね。

北村:芝居の話をするとさ、急にこうまじめな。

矢部:まじめになるね(笑)。

北村:まじめな仕事をしているんだなと思った。なんか音楽の話をするとさ、まじめな仕事なんだけどもっとワイワイしゃべれるんだけど、役者ってなんか考えたりして……まじめだな。

矢部:いろいろ考えてやっているよね。

新時代音楽王たちの集い『THE KINGS PLACE』の放送は、毎週月曜から木曜の25時から。
radikoで聴く
2023年4月19日28時59分まで

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番組情報
THE KINGS PLACE
月・火・水・木曜
25:00-26:00

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