King Gnuの勢喜 遊(Dr)が20歳のころの自身を振り返った。
勢喜が登場したのは、J-WAVEで人生の大きな節目でもある「20歳」をテーマにお送りした特別番組『J-WAVE SPECIAL SAPPORO BEER AT AGE 20, THE BEGINNING』(ナビゲーター:シシドカフカ)。ここでは1月9日(月・祝)にオンエアされた内容の一部をテキストで紹介する。
シシド: King Gnuの結成が2017年なので、(20歳の頃は)結成前になるんですよね。そのときは東京に上京してから音楽活動を精力的になさっていた時期ですか?
勢喜:そうですね。東京には音楽をするために来たので。
シシド:知り合いがいて東京に来たんですか? それとも単身乗り込んできたみたいな。
勢喜:半分半分ぐらいのニュアンスです。とりあえず行くけど、知り合いの方も何人か紹介してもらっていて。合う人がいれば世話になろうかなという風に考えていました。
シシド:その場合は一緒に音楽をやる人というのも、一から探す感じですよね。
勢喜:僕の場合はセッションをよくやっていたので、セッションの場で出会うミュージシャンが多かったですね。
シシド:ライブハウスで飛び入りでセッションとかをするんですか?
勢喜:ジャズの箱とか、そういう雰囲気に近いですね。
シシド:飲みながら演奏が聴けるような場所で。
勢喜:そうですね。
シシド:それこそ好きなミュージシャンを観に行って「ちょっとセッションできる人」みたいな感じで一緒にやったり、ということもあったんですか?
勢喜:そうですね、楽しかったです。
シシド:そこでいろいろな出会いがあってどんどんと広がっていって、という感じなんですね。そのときに最初に出会ったのが新井和輝さん(Ba)ですよね。20歳のころにはもう出会っていたんですか?
勢喜:21、2歳で出会いました。
シシド:やっぱりバイトをしながら音楽ですか?
勢喜:バイトをしていたんですけど、お金なかったですね(笑)。
シシド:あはは(笑)。
勢喜:どれだけバイトしてもお金がなかったです。
シシド:どんどん出ていくんですよね。
勢喜:そうなんですよ。
シシド:わかります。スティックも消耗品なのに安くないじゃないですか。
勢喜:あれ、ドラマー不利ですよね。
シシド:意外にお金かかるんです。スタジオでしか練習できなかったりするし。本当にお金ないですよね。わかります、私も塩を舐めてました(笑)。どんなバイトをしていたんですか?
勢喜:牛丼屋さんとかやりました。徳島のころ牛丼屋さんで働いていて、バイトでも転勤というかそういう風に。
シシド:「東京の何々店」に行けるみたいな。
勢喜:そういう手続きをしてこっちにきて。バイトを一から始めるって大変じゃないですか。
シシド:仕事を覚えるのもね。
勢喜:それでこっちに来たんですけど、地元の牛丼屋さんと勝手が違って。都内にいろいろな店舗があるからヘルプに行かされたりとか。どこに何があるのかが毎回わからない。あと、違う人と働かないといけないというのが嫌で、ちょっとダメでしたね(笑)。
シシド:経験者だと思ってどんどんいろいろなところに連れて行かれちゃうんですね。
勢喜:そうなんですよ。
シシド:結局、半分は一からだったという感じなんですかね。
勢喜:ほとんどそうでした。まったく役に立てなかったかもしれない。
シシド:でもお食事屋さんでバイトすると、お食事代が浮くというのもありません?
勢喜:浮いてました。
シシド:それはうれしいところですよね。
【関連記事】King Gnu・勢喜 遊のドラムに活きるダンスの経験。Nulbarich・JQも絶賛「ストロークがカッコいい」
勢喜:そんなに明確に「何になりたい」という感じでもなかったんですけど。とりあえずセッションして同じ界隈の仲間とかの感じだと、スタジオミュージシャンの仕事とかライブのサポートとか、そういう風になっていくんだろうなと思っていたところで、面白いなと思うやつと出会えて。それでバンドが組めて、いまですね。
シシド:バンド結成当時の夢に、それこそ東京ドームとか『紅白』出演というのはあったんですか?
勢喜:そんなになかったですね。
シシド:とにかく目の前の音が楽しいという感じですか。
勢喜:そうです。いまもドームに立ったし『紅白』も経験できた1年なんですけれども、そこは変わらず、いま出している音が楽しいという雰囲気でやれているので、幸せです。
シシド:いいですね、それは素敵です。そのころに悩みとかはありましたか?
勢喜:不安でしかなかったです。
シシド:目指すはプロの世界ですよね。
勢喜:音楽だけでご飯を食べられるというのが、想像できないぐらいの感じだったので。
シシド:誰しもがそうですね。そういうところから一つひとつ階段を登っていろいろな技術を身につけていくというところなんだと思います。そういう不安はどうやって解消していきましたか。
勢喜:大人になって先輩に会ってかわいがってもらって、という感じでした(笑)。
シシド:そんな不安もあるなか、とにかく目の前にある音楽を楽しみながら前に進んでいかれたと思います。そんな勢喜さんからいまの20歳のみんなに伝えたいことはありますか? 当時のことを振り返りながら。
勢喜:おこがましいですけどね。「周りの大人にたまには頼ってください」と。そんなところですかね。
シシド:いま、頼られるとうれしいですか?
勢喜:めちゃめちゃうれしいかもしれないです。
番組では勢喜が東京に来てセッションをする際に演奏していたというJoshua Redmanの『Jazz Crimes』をオンエアした。
シシド:渋いですね。「懐かしい」とおっしゃりながら聴いてらっしゃいました。勢喜さんは最初はジャズ畑にいたということですか?
勢喜:高校のころはロックが好きで、ラテンとかいろいろなジャンルに触れていたんです。東京に来てセッションがしたいとなると、やっぱりこっち(ジャズ)系のジャンルになってくるんです。
シシド:確かに、そっちのほうがセッションしやすいというのはありますね。
勢喜:30になったから、というわけではないのかもしれないですけどいろいろ余裕が出てきて、ひとつのことに突き当たって一喜一憂しなくてもいいんだな、という感じになっています。広い視野でね。
シシド:心の余裕が出てきている感じですかね。プレイスタイルは大きく変わったところはありますか?
勢喜:メチャメチャ変わってます。
シシド:やる音楽によってどんどんレベルがアップしていくんでしょうし。
勢喜:いやいや。20歳ぐらいのときはジャズファンクとかそういうのが、僕的には青春で。東京に来てからの音楽の体験のほうが青春だなと思うので、ファンクとかそういうのを得意としていたんです。バンドが始まってからは、より大きいサウンドというのを突き詰めています。
シシド:ここからはKing Gnuの2023年についても伺っていきたいと思います。もちろん今後たくさん活動をなさっていくんですよね? どんな風に活動をしていきたいとか、野望はありますか?
勢喜:僕の野望としては、ドラマーであってもひとりで音楽が成立するようなことをしたいんです。
シシド:ドラムソロの映像をたくさん観させていただいて。SPDを使ったりとか、私は機械が弱いのであれですけど、周りにいろいろなツマミがあったりして。ドラムソロがいつも、ご自身で世界観を作られている感じがあります。ああいうのを突き詰めていく感じですか?
勢喜:というのをやってみたいです。
シシド:SPDはサンプリングパッドを叩くと音がいろいろ出るんですけど、そういうのもご自身で設定して「なんとなくこういう感じで」と、流れは事前に決めているものなんですか?
勢喜:細かい手順とかフィルのちょっとしたことだったりはあまり決まってなかったりとかするんですけど。まあ、おおよそここを通ってという道だけはあります。
シシド:ドラムソロのあいだにもツマミをいじってらしたりして。私の知らない世界のドラマーさんがここにいるなと思いながら観てました(笑)。
勢喜:大変です(笑)。
シシド:ですよね。絶対、いろいろと気を配らないといけないし、パッと耳に入ってきた音に対して「ここをこうしたいな」とツマミをいじるということですよね。忙しそうですね。
勢喜:でも楽しいです。
シシド:それを作っている時間とかもご自身ひとりの時間というのも楽しんでらっしゃるんだろうなと思いながら。楽しめなきゃあのソロはできないですよね。
勢喜:そうかもしれないですね。
シシド:そんな気がします。
勢喜は最後にKing Gnuの『破裂』をセレクトした。
勢喜:僕が個人的に一番好きな曲で、ファーストアルバムに入っていて、最近僕も聴いてます。
シシド:このときのドラムのテイクが自分的にけっこうよかったな、とかそういうことはありますか?
勢喜:ファーストのときのドラムはマジでヘタクソなんですよ、僕なんですけど(笑)。ファーストのときは、曲はいいけどドラムは下手やなと思うんですけど、いい思い出です。
King Gnuの最新情報は、公式サイトまたは、Twitterまで。
勢喜が登場したのは、J-WAVEで人生の大きな節目でもある「20歳」をテーマにお送りした特別番組『J-WAVE SPECIAL SAPPORO BEER AT AGE 20, THE BEGINNING』(ナビゲーター:シシドカフカ)。ここでは1月9日(月・祝)にオンエアされた内容の一部をテキストで紹介する。
音楽をするために東京へ
ドラマー同士である、ナビゲーターのシシドカフカと勢喜。この日が初対面ということで、まずはあいさつも兼ねてサッポロ生ビール黒ラベルで乾杯。現在30歳の勢喜に、20歳のころのエピソードを尋ねた。シシド: King Gnuの結成が2017年なので、(20歳の頃は)結成前になるんですよね。そのときは東京に上京してから音楽活動を精力的になさっていた時期ですか?
勢喜:そうですね。東京には音楽をするために来たので。
シシド:知り合いがいて東京に来たんですか? それとも単身乗り込んできたみたいな。
勢喜:半分半分ぐらいのニュアンスです。とりあえず行くけど、知り合いの方も何人か紹介してもらっていて。合う人がいれば世話になろうかなという風に考えていました。
シシド:その場合は一緒に音楽をやる人というのも、一から探す感じですよね。
勢喜:僕の場合はセッションをよくやっていたので、セッションの場で出会うミュージシャンが多かったですね。
シシド:ライブハウスで飛び入りでセッションとかをするんですか?
勢喜:ジャズの箱とか、そういう雰囲気に近いですね。
シシド:飲みながら演奏が聴けるような場所で。
勢喜:そうですね。
シシド:それこそ好きなミュージシャンを観に行って「ちょっとセッションできる人」みたいな感じで一緒にやったり、ということもあったんですか?
勢喜:そうですね、楽しかったです。
シシド:そこでいろいろな出会いがあってどんどんと広がっていって、という感じなんですね。そのときに最初に出会ったのが新井和輝さん(Ba)ですよね。20歳のころにはもう出会っていたんですか?
勢喜:21、2歳で出会いました。
シシド:やっぱりバイトをしながら音楽ですか?
勢喜:バイトをしていたんですけど、お金なかったですね(笑)。
シシド:あはは(笑)。
勢喜:どれだけバイトしてもお金がなかったです。
シシド:どんどん出ていくんですよね。
勢喜:そうなんですよ。
シシド:わかります。スティックも消耗品なのに安くないじゃないですか。
勢喜:あれ、ドラマー不利ですよね。
シシド:意外にお金かかるんです。スタジオでしか練習できなかったりするし。本当にお金ないですよね。わかります、私も塩を舐めてました(笑)。どんなバイトをしていたんですか?
勢喜:牛丼屋さんとかやりました。徳島のころ牛丼屋さんで働いていて、バイトでも転勤というかそういう風に。
シシド:「東京の何々店」に行けるみたいな。
勢喜:そういう手続きをしてこっちにきて。バイトを一から始めるって大変じゃないですか。
シシド:仕事を覚えるのもね。
勢喜:それでこっちに来たんですけど、地元の牛丼屋さんと勝手が違って。都内にいろいろな店舗があるからヘルプに行かされたりとか。どこに何があるのかが毎回わからない。あと、違う人と働かないといけないというのが嫌で、ちょっとダメでしたね(笑)。
シシド:経験者だと思ってどんどんいろいろなところに連れて行かれちゃうんですね。
勢喜:そうなんですよ。
シシド:結局、半分は一からだったという感じなんですかね。
勢喜:ほとんどそうでした。まったく役に立てなかったかもしれない。
シシド:でもお食事屋さんでバイトすると、お食事代が浮くというのもありません?
勢喜:浮いてました。
シシド:それはうれしいところですよね。
【関連記事】King Gnu・勢喜 遊のドラムに活きるダンスの経験。Nulbarich・JQも絶賛「ストロークがカッコいい」
「いま出している音が楽しい」感覚で続けている
20歳のころには音楽活動をしていた勢喜だが、そのとき思い描いていた姿は現在のものとはまったく違っていたという。勢喜:そんなに明確に「何になりたい」という感じでもなかったんですけど。とりあえずセッションして同じ界隈の仲間とかの感じだと、スタジオミュージシャンの仕事とかライブのサポートとか、そういう風になっていくんだろうなと思っていたところで、面白いなと思うやつと出会えて。それでバンドが組めて、いまですね。
シシド:バンド結成当時の夢に、それこそ東京ドームとか『紅白』出演というのはあったんですか?
勢喜:そんなになかったですね。
シシド:とにかく目の前の音が楽しいという感じですか。
勢喜:そうです。いまもドームに立ったし『紅白』も経験できた1年なんですけれども、そこは変わらず、いま出している音が楽しいという雰囲気でやれているので、幸せです。
シシド:いいですね、それは素敵です。そのころに悩みとかはありましたか?
勢喜:不安でしかなかったです。
シシド:目指すはプロの世界ですよね。
勢喜:音楽だけでご飯を食べられるというのが、想像できないぐらいの感じだったので。
シシド:誰しもがそうですね。そういうところから一つひとつ階段を登っていろいろな技術を身につけていくというところなんだと思います。そういう不安はどうやって解消していきましたか。
勢喜:大人になって先輩に会ってかわいがってもらって、という感じでした(笑)。
シシド:そんな不安もあるなか、とにかく目の前にある音楽を楽しみながら前に進んでいかれたと思います。そんな勢喜さんからいまの20歳のみんなに伝えたいことはありますか? 当時のことを振り返りながら。
勢喜:おこがましいですけどね。「周りの大人にたまには頼ってください」と。そんなところですかね。
シシド:いま、頼られるとうれしいですか?
勢喜:めちゃめちゃうれしいかもしれないです。
番組では勢喜が東京に来てセッションをする際に演奏していたというJoshua Redmanの『Jazz Crimes』をオンエアした。
シシド:渋いですね。「懐かしい」とおっしゃりながら聴いてらっしゃいました。勢喜さんは最初はジャズ畑にいたということですか?
勢喜:高校のころはロックが好きで、ラテンとかいろいろなジャンルに触れていたんです。東京に来てセッションがしたいとなると、やっぱりこっち(ジャズ)系のジャンルになってくるんです。
シシド:確かに、そっちのほうがセッションしやすいというのはありますね。
ひとりで音楽が成立するドラマーに
現在30歳の勢喜は、20歳のころとくらべた現在の自身の変化について語った。勢喜:30になったから、というわけではないのかもしれないですけどいろいろ余裕が出てきて、ひとつのことに突き当たって一喜一憂しなくてもいいんだな、という感じになっています。広い視野でね。
シシド:心の余裕が出てきている感じですかね。プレイスタイルは大きく変わったところはありますか?
勢喜:メチャメチャ変わってます。
シシド:やる音楽によってどんどんレベルがアップしていくんでしょうし。
勢喜:いやいや。20歳ぐらいのときはジャズファンクとかそういうのが、僕的には青春で。東京に来てからの音楽の体験のほうが青春だなと思うので、ファンクとかそういうのを得意としていたんです。バンドが始まってからは、より大きいサウンドというのを突き詰めています。
シシド:ここからはKing Gnuの2023年についても伺っていきたいと思います。もちろん今後たくさん活動をなさっていくんですよね? どんな風に活動をしていきたいとか、野望はありますか?
勢喜:僕の野望としては、ドラマーであってもひとりで音楽が成立するようなことをしたいんです。
シシド:ドラムソロの映像をたくさん観させていただいて。SPDを使ったりとか、私は機械が弱いのであれですけど、周りにいろいろなツマミがあったりして。ドラムソロがいつも、ご自身で世界観を作られている感じがあります。ああいうのを突き詰めていく感じですか?
勢喜:というのをやってみたいです。
シシド:SPDはサンプリングパッドを叩くと音がいろいろ出るんですけど、そういうのもご自身で設定して「なんとなくこういう感じで」と、流れは事前に決めているものなんですか?
勢喜:細かい手順とかフィルのちょっとしたことだったりはあまり決まってなかったりとかするんですけど。まあ、おおよそここを通ってという道だけはあります。
シシド:ドラムソロのあいだにもツマミをいじってらしたりして。私の知らない世界のドラマーさんがここにいるなと思いながら観てました(笑)。
勢喜:大変です(笑)。
シシド:ですよね。絶対、いろいろと気を配らないといけないし、パッと耳に入ってきた音に対して「ここをこうしたいな」とツマミをいじるということですよね。忙しそうですね。
勢喜:でも楽しいです。
シシド:それを作っている時間とかもご自身ひとりの時間というのも楽しんでらっしゃるんだろうなと思いながら。楽しめなきゃあのソロはできないですよね。
勢喜:そうかもしれないですね。
シシド:そんな気がします。
勢喜は最後にKing Gnuの『破裂』をセレクトした。
勢喜:僕が個人的に一番好きな曲で、ファーストアルバムに入っていて、最近僕も聴いてます。
シシド:このときのドラムのテイクが自分的にけっこうよかったな、とかそういうことはありますか?
勢喜:ファーストのときのドラムはマジでヘタクソなんですよ、僕なんですけど(笑)。ファーストのときは、曲はいいけどドラムは下手やなと思うんですけど、いい思い出です。
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2023年1月16日28時59分まで
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番組情報
- J-WAVE SPECIAL SAPPORO BEER AT AGE 20, THE BEGINNING
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2023年1月9日(月・祝)20:00-21:55