J-WAVEが共同プロデュースするオンラインマガジン「守破離 -SHUHARI-」。“守破離”とは剣道や茶道などの修業における段階を示したもの。「守」は、師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。「破」は、他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。「離」は、一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階。(※1)そんな“守破離”と“音”を切り口に人物のスタイルをリアルに掘り下げ、オリジナルインタビューをInstagramとJ-WAVE NEWSで配信していく。
(※1)引用:デジタル大辞泉「守破離」より
【過去の「守破離 -SHUHARI-」インタビュー】
今回は、東京を拠点に活動するスケートボードレーベル「Diaspora skateboards」からフィルマーの小林万里と、ライダーの佐藤鷹来にインタビュー。スケートボードの枠を越え、ファッションや音楽シーンからも支持されオリジナリティを確立してきた彼らがそれぞれ歩んできたスケートボードへの熱い気持ち、そして11月にオープンしたスケートボードショップ「PURRBS」にかける思いを訊いた。
──まず「Diaspora skateboards」について教えてください。
万里:東京を拠点に活動してるスケートボードレーベルです。2010年に立ち上げて、今年で13年目になります。
立ち上げのメンバーは中高生の頃から地元・長野県で滑っていた仲間たち。高校卒業後は進学や就職などそれぞれの事情で東京に出てきていたので、しばらくしてから都内で集まって滑ったときに家庭用ビデオカメラで撮影してたんです。そのビデオのタイトルが「Diaspora」でした。「Diaspora」は日本語にすると「離散者」。大学の社会学の授業で知ったギリシャ語で、元々いた場所から離れて暮らしている人たちのことを示す言葉なんですけど、自分たちの「元々は松本にいて、いま東京にいる」という状況が似ていて、かっこいい言葉だなと思ってそのままビデオのタイトルにしました。その後、この言葉が自然とチーム名でありブランド名でありレーベル名…僕たちを表す言葉になっていきました。
──スケートボードの垣根を越えて様々なコラボレーションを実現していますが、一番印象的な企画は何ですか?
万里:GAP(※2)が一番インパクトが大きかったですね。それで多くの人に僕たちの存在を知ってもらえたし、当時のことを今も話してくれる人もいます。自分たちの中では、ブレイクスルーになったコラボレーションでした。
(※2)2017年春、夏、2018年春と3シーズンに渡ってDiaspora skateboardsとGAPのコラボレーションアイテムを発売。ローンチ前から大きな話題を生み、オープン直後には完売する人気を博すコレクションとなった。
──昨年オープンしたDiaspora skateboardsの初店舗「PURRBS」について教えてください。
万里:2022年11月、フラッグシップショップ「PURRBS」(パーブス)を東京・駒沢にオープンしました。場所は駒沢大学駅から徒歩5分ほどで、駒沢公園のスケートパークからも好アクセス。以前は三軒茶屋で事務所を構えていたんですけど、やっぱりスケートブランドはコミュニティありきのものなので、みんなが集まれる場所を作りたいしお店を構えたいと思っていました。そんなときに鷹来と出会って「高校卒業後は仕事させてほしい」と言われて。それだけが理由ではないけれど、もうこれは本格的に作らないとと思って踏み切りました。物件を探している中で、もともと歯医者として使っていた気になる部屋を見つけて、アクセスの良さと高い天井、雰囲気もよくて直感でいいなと思いその場で契約しました。床の色は自分たちのテーマカラーの水色だけど、ちょっと歯医者感も残して。違和感はあるけど建物の持ち味と自分たちを掛け合わせてデザインしています。
──鷹来さんはDiaspora skateboardsのライダーで現在19歳。スケートボードを始めたきっかけは?
鷹来:父親がスケートボードやファッションが好きで、小さい頃から休日はいろいろなところに連れて行ってもらっていました。僕が5歳くらいのとき、一緒に行ったフリーマーケットでデッキを買ってもらったことがきっかけで、スケートボードを始めるようになりました。
──鷹来さんと万里さんの出会いは?
万里:ちゃんと知り合ったのは2年前くらいですかね。
鷹来:中学生くらいの頃からDiasporaのライダーハカセさんとはお店やパークでお世話になっていて、万里さんとは後に友達経由で知り合いました。でも実はもっと前に会っていたんですよね。
万里:そうそう。2016年くらいにMORTAR(※3)でやってたフリーマーケットに出店していて、閉店間際に来たスケーターに「1円でいいよ」ってTシャツを渡したんですけど、それが実は鷹来だった。Tシャツを着て滑っている動画をInstagram上で見てすごくかっこよくて、嬉しくて。ぜひ会いたいと思って忘年会に来てもらいました。
鷹来:高校を卒業したら、進学よりもとにかくスケートがやりたかったんです。でも生活できるように働かないといけないし「何でもいいから働きたい」と万里さんにお願いしたときにお店がオープンして、ライダーをやりながら店頭に立つことになりました。
万里:一緒にやりたいと僕たちのほうを向いてくれている鷹来を大切にしたかったし、彼の意思を聞いてより一層頑張ってお店をつくりました。これからDiasporaのフロントマンになっていってほしいです。
(※3)渋谷に店舗を構えるスケートショップ。
Instagram
──万里さんが影響を受けたものはありますか?
ファッションやスケートボードでいうと、藤原ヒロシさんやYOPPYさん、岩崎シンゴさんが所属するチーム『T19』(※4)。スポーツとしてじゃなく、街で遊んでるような感覚でスケボーしているのがすごく好きで、はじめて見た中学生の頃からずっと影響を受けています。ファッションも本当におしゃれでかっこよかった。『T19』の存在は間違いなく自分のイメージするスケートボードのベースになってますね。
──万里さんが考えるDiaspora Skateboardsらしさ、オリジナリティとは?
Diaspora skateboardsがやろうとしていることはスポーツ的なスケートボードでないというか、どこか洗練されたイメージを大事にしたいと思っています。僕たちはファッションもスケートシーンにおいて大事な要素だと考えているので、ただ動きやすいだけじゃなくて、街で着たときに一番かっこよくなるような服を作りたいとずっとこだわり続けています。それとこのお店「PURRBS」も、水色の床に白い壁、天井に並べたモニター、クリーンな雰囲気は十数年前の裏原っぽさもあって、いわゆるスケートショップっぽくない。こういうものづくりや店舗づくりにも、『T19』や『HECTIC』の影響がありますね。さらにDiaspora Skatebordsは音楽と密接にリンクしているのが強みかなと思います。今まで のスケートブランドがやってこなかったような表現にこれからも挑戦していきたいです。
(※4)1984年、大瀧ひろし、三野タツヤ、SKATETHINGを中心に結成された日本のスケートボードチーム。メンバーには藤原ヒロシ、江川芳文、木川田直敏などが名を連ねる。チーム名の由来は、TOKYOの頭文字の「T」と、SKATESの「S」の文字が19番目にあることからきている。
Instagram
──鷹来さんが影響を受けたものはありますか?
(※1)引用:デジタル大辞泉「守破離」より
【過去の「守破離 -SHUHARI-」インタビュー】
今回は、東京を拠点に活動するスケートボードレーベル「Diaspora skateboards」からフィルマーの小林万里と、ライダーの佐藤鷹来にインタビュー。スケートボードの枠を越え、ファッションや音楽シーンからも支持されオリジナリティを確立してきた彼らがそれぞれ歩んできたスケートボードへの熱い気持ち、そして11月にオープンしたスケートボードショップ「PURRBS」にかける思いを訊いた。
万里:東京を拠点に活動してるスケートボードレーベルです。2010年に立ち上げて、今年で13年目になります。
立ち上げのメンバーは中高生の頃から地元・長野県で滑っていた仲間たち。高校卒業後は進学や就職などそれぞれの事情で東京に出てきていたので、しばらくしてから都内で集まって滑ったときに家庭用ビデオカメラで撮影してたんです。そのビデオのタイトルが「Diaspora」でした。「Diaspora」は日本語にすると「離散者」。大学の社会学の授業で知ったギリシャ語で、元々いた場所から離れて暮らしている人たちのことを示す言葉なんですけど、自分たちの「元々は松本にいて、いま東京にいる」という状況が似ていて、かっこいい言葉だなと思ってそのままビデオのタイトルにしました。その後、この言葉が自然とチーム名でありブランド名でありレーベル名…僕たちを表す言葉になっていきました。
──スケートボードの垣根を越えて様々なコラボレーションを実現していますが、一番印象的な企画は何ですか?
万里:GAP(※2)が一番インパクトが大きかったですね。それで多くの人に僕たちの存在を知ってもらえたし、当時のことを今も話してくれる人もいます。自分たちの中では、ブレイクスルーになったコラボレーションでした。
──昨年オープンしたDiaspora skateboardsの初店舗「PURRBS」について教えてください。
万里:2022年11月、フラッグシップショップ「PURRBS」(パーブス)を東京・駒沢にオープンしました。場所は駒沢大学駅から徒歩5分ほどで、駒沢公園のスケートパークからも好アクセス。以前は三軒茶屋で事務所を構えていたんですけど、やっぱりスケートブランドはコミュニティありきのものなので、みんなが集まれる場所を作りたいしお店を構えたいと思っていました。そんなときに鷹来と出会って「高校卒業後は仕事させてほしい」と言われて。それだけが理由ではないけれど、もうこれは本格的に作らないとと思って踏み切りました。物件を探している中で、もともと歯医者として使っていた気になる部屋を見つけて、アクセスの良さと高い天井、雰囲気もよくて直感でいいなと思いその場で契約しました。床の色は自分たちのテーマカラーの水色だけど、ちょっと歯医者感も残して。違和感はあるけど建物の持ち味と自分たちを掛け合わせてデザインしています。
鷹来:父親がスケートボードやファッションが好きで、小さい頃から休日はいろいろなところに連れて行ってもらっていました。僕が5歳くらいのとき、一緒に行ったフリーマーケットでデッキを買ってもらったことがきっかけで、スケートボードを始めるようになりました。
──鷹来さんと万里さんの出会いは?
万里:ちゃんと知り合ったのは2年前くらいですかね。
鷹来:中学生くらいの頃からDiasporaのライダーハカセさんとはお店やパークでお世話になっていて、万里さんとは後に友達経由で知り合いました。でも実はもっと前に会っていたんですよね。
万里:そうそう。2016年くらいにMORTAR(※3)でやってたフリーマーケットに出店していて、閉店間際に来たスケーターに「1円でいいよ」ってTシャツを渡したんですけど、それが実は鷹来だった。Tシャツを着て滑っている動画をInstagram上で見てすごくかっこよくて、嬉しくて。ぜひ会いたいと思って忘年会に来てもらいました。
鷹来:高校を卒業したら、進学よりもとにかくスケートがやりたかったんです。でも生活できるように働かないといけないし「何でもいいから働きたい」と万里さんにお願いしたときにお店がオープンして、ライダーをやりながら店頭に立つことになりました。
万里:一緒にやりたいと僕たちのほうを向いてくれている鷹来を大切にしたかったし、彼の意思を聞いてより一層頑張ってお店をつくりました。これからDiasporaのフロントマンになっていってほしいです。
(※3)渋谷に店舗を構えるスケートショップ。
小林万里の「守破離」
ファッションやスケートボードでいうと、藤原ヒロシさんやYOPPYさん、岩崎シンゴさんが所属するチーム『T19』(※4)。スポーツとしてじゃなく、街で遊んでるような感覚でスケボーしているのがすごく好きで、はじめて見た中学生の頃からずっと影響を受けています。ファッションも本当におしゃれでかっこよかった。『T19』の存在は間違いなく自分のイメージするスケートボードのベースになってますね。
──万里さんが考えるDiaspora Skateboardsらしさ、オリジナリティとは?
Diaspora skateboardsがやろうとしていることはスポーツ的なスケートボードでないというか、どこか洗練されたイメージを大事にしたいと思っています。僕たちはファッションもスケートシーンにおいて大事な要素だと考えているので、ただ動きやすいだけじゃなくて、街で着たときに一番かっこよくなるような服を作りたいとずっとこだわり続けています。それとこのお店「PURRBS」も、水色の床に白い壁、天井に並べたモニター、クリーンな雰囲気は十数年前の裏原っぽさもあって、いわゆるスケートショップっぽくない。こういうものづくりや店舗づくりにも、『T19』や『HECTIC』の影響がありますね。さらにDiaspora Skatebordsは音楽と密接にリンクしているのが強みかなと思います。今まで のスケートブランドがやってこなかったような表現にこれからも挑戦していきたいです。
(※4)1984年、大瀧ひろし、三野タツヤ、SKATETHINGを中心に結成された日本のスケートボードチーム。メンバーには藤原ヒロシ、江川芳文、木川田直敏などが名を連ねる。チーム名の由来は、TOKYOの頭文字の「T」と、SKATESの「S」の文字が19番目にあることからきている。
佐藤鷹来の「守破離」
僕も影響を受けたのは『T19』ですね。はじめてパーツをひとつずつ選んでコンプリートしに行ったお店で、僕のデッキを作ってくれたのがT19メンバーのきっくん(木川田直敏さん)だったんです。買ったその日に「仕事終わりにスケボー教えてあげるから代々木公園で滑ろうよ」と言ってくれて。それからデッキを変えるときはなるべくそのお店に行くようにして、毎回組んでもらっては一緒に滑って色んなことを教えてもらいました。
きっくんがきっかけでT19に憧れて、中学生の頃には、代々木八幡にあるT19ボスの大瀧ひろしさんがセレクトした「EAZE」というショップにも通うようになりました。しかもお店やパークに行きやすい場所に家族で引っ越したので、学校が終わったらショップに遊びに行って、とにかくスケートボード三昧の学生生活でした。 父親をはじめ多くの大人たちはパークに行って練習しろと言うんですけど、大瀧さんはいつも「パークもいいけど、ストリートで滑れよ。ストリートで滑ってるのがかっけーじゃん。」と話していて。そこから僕もパークだけじゃなくて、友達とストリート(街中)で滑るようになりました。街にある色んなものを使って滑るとどんどんアイディアが湧いてくるし、同じセクションでも使い方やとらえ方が人それぞれ違うのが面白くて、今はだいたいストリートで滑っています。大瀧さんには亡くなる直前まで良くしてもらっていて、いま会うことは叶いませんが色んなことを教えてくれたずっと憧れの方です。
──今後やっていきたいこと、目標は?
今はDiaspora skateboardsメンバーとして、スケートボードのスキルもあげたいしショップを支える一員としても頑張っていきたいです。
2023年の目標は、スケートビデオで自分もパートを作って公開することです。3〜4分の中でスケートボードだけでなくファッションや音楽も含めてどう自分をアピールできるかが重要。先月ちょうど19歳になりました。僕にとっても大事な「19」歳の間にいい作品を残したいです。
Diaspora skateboardsの「音」
鷹来:Circle feat. Daichi Yamamoto / SPARTADiaspora skateboardsでルックのモデルを務めたりイベントにも出演したりと親交の深いラッパーSPARTAくん。同世代のスケーターたちもよく聴いています。
万里:N.I.C.E. GUY (NICE GUITAR DUB) / スチャダラパー
なんだかんだ人生で一番聴いてる曲かも。中学生でスケボーに出会った頃にめっちゃ聴いてました。これは藤原ヒロシさんのリミックスなんですけど、自分がスケート始めたときの感覚やにおいが思い浮かんでくるんです。最近はお店のオープン前に鷹来と滑っていて、やっぱりスケートボードが楽しいと思う瞬間も多くて。そんな初心の気持ちと思い出をこの曲と一緒に思い出しました。最近またよく聞いていて、自分のDJでもかけたりしています。
Interview:Gaku Jungnickel
Photo:Gaku Jungnickel / Cho Ongo
Text / Edit:Kana Shionoya
PROFILE
長野県松本市出身。Diaspora skateboardsのファウンダー/フィルマー。ビデオディレクターとしても活躍。ISSUGI、Fla$hBackS、KID FRESINO & C.O.S.A.、BIM、in-d、STUTS、SPARTA などさまざまなアーティストのMVも制作。
Official site / Instagram
東京都渋谷区出身。ストリート、トランジッションを得意としクリエイティブな滑りを見せるスケーター。
2010年に設立され、東京を拠点に活動するスケートボードレーベル/ビデオプロダクション。国内の音楽シーンと親交が深く、不定期に発表されるスケートビデオには数多くのアーティストが楽曲を提供。GAPやUMBROをはじめとするグローバルブランドや、数多くのドメスティックブランドとのコラボレーションでも話題を集める。2020年1月には、フルレングスビデオ「SYMBIOSIS」を発表。2022年11月、初のフラッグシップストア「PURRBS」を東京・駒沢にオープン。
Official site / Instagram
PURRBS
〒154-0012 東京都世田谷区駒沢2丁目16−1 染小ビル 101
OPEN 12:00-20:00/定休日:毎週水曜日
「守破離 -SHUHARI-」
ー師から学び、型を破り、確立するー
“守破離”を切り口に「人」のスタイルをリアルに掘り下げるオンラインマガジン
https://www.instagram.com/shuhari_official/
関連記事
- 美容師の価値を上げ、スターを創出する─デザインや映像のプロも所属する渋谷「ALLZ」の挑戦
- 日本のBMXシーンを広げていく。BMXメディア「MOTO-BUNKA」の挑戦を、編集長・Daisuke Shiraishiに聞く
- 6/30開催!TRUNK(HOTEL) presents “NON-SCRIPT” 「筋書きのない」ライブの魅力を紐解く
- “選ばれる美容師”はSNSをどう活用するか? 魅せる工夫を聞く【SHUHARI × ALLZ 連載企画 vol.5】
- 「いちばん似合うヘアスタイル」を引き出すための心がけは? 美容師・SHOKIが語る、独自のスタイルを築くまで【SHUHARI × ALLZ 連載企画 vol.4】