クリープハイプの尾崎世界観(Vo/Gt)がバンドの「今」について語った。
尾崎が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『PIA SONAR MUSIC FRIDAY』(ナビゲーター:櫻井海音)の9月30日(金)放送回だ。
尾崎は小説家としてもデビューし、著書『母影(おもかげ)』(新潮社)が、芥川賞候補にも選ばれた。尾崎の書く詞世界と、ハイトーンかつソリッドなボーカルスタイルが若い世代を中心に大きな人気を集め、今年でメジャーデビュー10周年を迎えた。
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櫻井:コロナ禍を迎えて、すべてのアーティストが活動の変化を余儀なくされるなか、クリープハイプは2021年末に、およそ3年ぶりとなるニューアルバム『夜にしがみついて、朝で溶かして』をリリースしました。コロナ禍で制作したこのアルバムは、バンドにとってどんな1枚になったんでしょうか。
尾崎:コロナもあってリモートで作ったりもしたので、それぞれ音を持ち寄ってパズルのようにはめていく形で作りました。そうしたら意外と音がセパレートされている分、立体的に浮き上がってきて、それがよかったです、音を変えたいと思っていたし。でもライブでそれがどうなるのか、すごく不安でした。「そもそもライブでできるのか?」というようなちょっと変わった曲もあったんですが、意外とそれもやってみたら違和感なくて。やってる側はいちいち細かく気にするんですけど、出してみれば人に伝わる瞬間にだいぶそぎ落とされるので。あとは「意外とバンドの音というのも頼りないものだな」ということに気づいて。いまはサブスクで聴いて、ちょっとよくなかったらどんどん飛ばされてしまう時代なので、「少しでも引っかかる音を」と思ったときに、生音というのは意外と頼りないのかもしれないな、という発見もありました。だからこそ伝わる部分もあると思うんですけど。だからバンドという形態により愛着が沸いたし、新たな発見も今回ありました。
櫻井:バンドで生音を奏でることの強みと弱みに気づいたということで、よりバンドという形への想いを強めることができた、そんな期間だったんですね。
尾崎:表現はそこまで変わらないので。根本的に作っている感覚とか作っているものというのはどんなに変えようと思ってもなかなか変えられないと思うし、そこはもうしみついているものです。だからこそ、音を変えたところで、そこはブレないという自信もあるし、まだまだ可能性も感じたし、逆に意外とできてしまうという感じもあったので。だからやりすぎても結局はなんとなくやれてしまうんだなと。自分たちの限界というか実力も感じたし。「ライブで再現できないかも」と思うなら、本当にライブで再現できないものを作れないとその感覚は失敗だと思う。でも今回なんとなくやれてしまったので、だから本当にいつかライブで絶対再現できないような曲を作るのもひとつの目標になりました。
櫻井:バンドとして10年の活動を経てサウンドの変化を求めるということはあるかもしれませんが、ライブで実際に演奏できないような曲を作るというのはものすごいチャレンジですよね。
尾崎:メジャーデビューしてからずっと「このタイミングでリリースがあるから曲をこれぐらいに作ってください」ということを言ってもらえるようになって。曲を作らなきゃいけないという状態で作っていたんですけど、もうメジャーデビューして10年経って、そろそろもう1回「自分から作ろうと思って作る」ということをしたいなと思っていて。このタイミングでやってみようかなと思ってずっとためていたんです。それでようやく、そろそろ作ろうかと思って作ったのがこの曲です。最近はけっこう虫食い状態にして書いていきます。1番のAメロができたら2番Bが出てくるなとか、なんとなくそうやってどんどん埋めていって。あと歌詞じゃないけど「こんな感じ」という気分をまずバーッと書き出して、そのなかから削っていって歌詞になるような言葉にしていきます。これもそういう形で書いてます。
尾崎は「絶対サビは高いところに持っていくとか、そういうフォーマットを壊したかった」という。
尾崎:無意識のうちに固まっていた部分を1回柔らかくほぐして、もう1回別の場所で固めるということを初めてやれました。『ナイトオンザプラネット』は完全に「全部緩める」という作業だったので、それはできたと思うんですけど、今回の『愛のネタバレ』はバンドの演奏に関しても、1回緩めたものをもう1回別の部分で、ちょっと下げたテンションのところでグッと固めるという。それはやってみたかったし、やらないと続かないと思ったし、そういう作業はやっていて楽しかったですね。
櫻井:曲を書きたいという気持ちを大事にして作る。そしてそれまでのフォーマットを壊しながら新しいサウンドを作り上げるという、10年という節目でさらに進化を続けるクリープハイプのいまが詰まった曲なんですね。
クリープハイプの最新情報は、公式サイトまたは、Twitterまで。
“いま聴くべき音楽” に特化した SONAR MUSIC 完全連動プログラム『PIA SONAR MUSIC FRIDAY』の放送は毎週金曜日の22時30分から。
尾崎が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『PIA SONAR MUSIC FRIDAY』(ナビゲーター:櫻井海音)の9月30日(金)放送回だ。
アルバム制作で新たな発見も
クリープハイプは2001に結成され、2009年から現メンバーの4人体制で活動をスタート。2012年にアルバム『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』でデビュー。尾崎は小説家としてもデビューし、著書『母影(おもかげ)』(新潮社)が、芥川賞候補にも選ばれた。尾崎の書く詞世界と、ハイトーンかつソリッドなボーカルスタイルが若い世代を中心に大きな人気を集め、今年でメジャーデビュー10周年を迎えた。
【関連記事】尾崎世界観、小説『母影』の主人公を“自分から遠い人物”にした理由は? 松居大悟が聞く
櫻井:コロナ禍を迎えて、すべてのアーティストが活動の変化を余儀なくされるなか、クリープハイプは2021年末に、およそ3年ぶりとなるニューアルバム『夜にしがみついて、朝で溶かして』をリリースしました。コロナ禍で制作したこのアルバムは、バンドにとってどんな1枚になったんでしょうか。
尾崎:コロナもあってリモートで作ったりもしたので、それぞれ音を持ち寄ってパズルのようにはめていく形で作りました。そうしたら意外と音がセパレートされている分、立体的に浮き上がってきて、それがよかったです、音を変えたいと思っていたし。でもライブでそれがどうなるのか、すごく不安でした。「そもそもライブでできるのか?」というようなちょっと変わった曲もあったんですが、意外とそれもやってみたら違和感なくて。やってる側はいちいち細かく気にするんですけど、出してみれば人に伝わる瞬間にだいぶそぎ落とされるので。あとは「意外とバンドの音というのも頼りないものだな」ということに気づいて。いまはサブスクで聴いて、ちょっとよくなかったらどんどん飛ばされてしまう時代なので、「少しでも引っかかる音を」と思ったときに、生音というのは意外と頼りないのかもしれないな、という発見もありました。だからこそ伝わる部分もあると思うんですけど。だからバンドという形態により愛着が沸いたし、新たな発見も今回ありました。
櫻井:バンドで生音を奏でることの強みと弱みに気づいたということで、よりバンドという形への想いを強めることができた、そんな期間だったんですね。
ライブで絶対再現できないような曲を
制作スタイルの変化によるライブへの不安を語っていた尾崎に、実際にその後のツアーで演奏した感触がどうだったのかを尋ねた。尾崎:表現はそこまで変わらないので。根本的に作っている感覚とか作っているものというのはどんなに変えようと思ってもなかなか変えられないと思うし、そこはもうしみついているものです。だからこそ、音を変えたところで、そこはブレないという自信もあるし、まだまだ可能性も感じたし、逆に意外とできてしまうという感じもあったので。だからやりすぎても結局はなんとなくやれてしまうんだなと。自分たちの限界というか実力も感じたし。「ライブで再現できないかも」と思うなら、本当にライブで再現できないものを作れないとその感覚は失敗だと思う。でも今回なんとなくやれてしまったので、だから本当にいつかライブで絶対再現できないような曲を作るのもひとつの目標になりました。
櫻井:バンドとして10年の活動を経てサウンドの変化を求めるということはあるかもしれませんが、ライブで実際に演奏できないような曲を作るというのはものすごいチャレンジですよね。
「自分から作ろうと思って作る」ということをしたかった
9月28日にはアルバム以来となる新曲『愛のネタバレ』が配信リリースされた。誰もがうちに秘めている恋愛や結婚経験のなかの愛の懺悔や本音、いわゆる「ネタバレ」をテーマに歌ったラブソングだ。クリープハイプ - 「愛のネタバレ」(OFFICIAL TEASER①)
尾崎は「絶対サビは高いところに持っていくとか、そういうフォーマットを壊したかった」という。
尾崎:無意識のうちに固まっていた部分を1回柔らかくほぐして、もう1回別の場所で固めるということを初めてやれました。『ナイトオンザプラネット』は完全に「全部緩める」という作業だったので、それはできたと思うんですけど、今回の『愛のネタバレ』はバンドの演奏に関しても、1回緩めたものをもう1回別の部分で、ちょっと下げたテンションのところでグッと固めるという。それはやってみたかったし、やらないと続かないと思ったし、そういう作業はやっていて楽しかったですね。
櫻井:曲を書きたいという気持ちを大事にして作る。そしてそれまでのフォーマットを壊しながら新しいサウンドを作り上げるという、10年という節目でさらに進化を続けるクリープハイプのいまが詰まった曲なんですね。
クリープハイプの最新情報は、公式サイトまたは、Twitterまで。
“いま聴くべき音楽” に特化した SONAR MUSIC 完全連動プログラム『PIA SONAR MUSIC FRIDAY』の放送は毎週金曜日の22時30分から。
radikoで聴く
2022年10月7日28時59分まで
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番組情報
- PIA SONAR MUSIC FRIDAY
-
毎週金曜22:30-23:00