間宮祥太朗は「不安が募るほどに美しさが増す」 映画『破戒』監督が絶賛

過去に木下恵介監督や市川崑監督など名だたる巨匠が映画化してきた作家・島崎藤村による不朽の名小説を、令和の時代に映画化。映画『破戒』(7月8日全国公開)の完成披露試写会が6月13日都内劇場で行われ、主演の間宮祥太朗、共演の石井杏奈、矢本悠馬、そして前田和男監督が和服姿で出席した。

キャスト陣&監督の艶やかな和装に間宮は「鮮やか!」と見惚れれば、矢本も「みんなカッコいい! 特に祥太朗は劇中の丑松と同じ感じだね!」と解説。これに「極力丑松に近い格好で出て、観客の皆さんにはそのまま映画の世界に入っていただければと思って」とこの日チョイスした渋め和装の理由を明かしていた。



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原作はこれまで2本の映画が制作されている。今回、改めて映画化することに間宮は「60年ぶりに映画化する意味はなんだ?と疑問を感じた」というも、原作と脚本を熟読して現代に繋がるものを感じたという。完成作には「15年くらいこの仕事をしてきて一番シンプルな感想を心に描くことができました。観終わったあと、素直に『いい映画だ』と思えたことが幸せでした」と手応えを得ていた。



石井は「明治時代の話だけれど現代の自分にも響く作品でした。20代が観てもこの思いは届くと思う」と若い世代にアピール。丑松の友人・銀之助役の矢本は「映画を見終わったあとにみんなが銀之助みたいな人であろうと思ってもらえたら、この時代にやる意味があったと思えます」と願いを込めていた。



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また間宮は丑松と志保(石井)のプラトニックな関係に触れて「今は色々なコンテンツで男女の仲を見られるものがある中で、二人の目が合うだけで……だとか、奥ゆかしいのがいい!」と瑞々しさを強調。その奥ゆかしさは撮影中の二人の関係性にも影響を与えたようで、間宮は「志保と丑松の関係性的に、石井さんと現場中に話をするのも不思議な感じがあった」と回想すると、当の石井も「話すよりも黙って近くに座っている方が心地いいという不思議な体験だった」と共鳴していた。これに前田監督は「ロミオとジュリエットは悲劇の物語だが、丑松と志保の関係性には希望が持てる。そのいい距離感の間にポッと希望が生まれる。二人がいい芝居をしてくれました」と太鼓判を押していた。



間宮と矢本はこれまでも親友役で共演するなど公私ともに仲がいい。同僚役という今回の設定に間宮が「間違いない!と思った」と全幅の信頼を寄せると、矢本も「間違いないと思いますね!」と確信。しかしその一方で矢本は「とにかく共演したくねーよ!という感じ。もう恥ずかしい。今回はプライベートの仲が作品にいい影響を与えたけれど、仕事場に友だちがいるというこそばゆさというか、テレがある。現場の俺を見られている……みたいな? なのでこれがもしかしたら最後の共演作品になるかもしれない」と友人同士の共演にすっかり恥ずかしがっていた。



前田監督は主人公・丑松を演じた間宮について「美しい! 違う次元に行ってしまっている。過去の二作と全く違う次元。丑松が追い詰められれば追い詰められるほど、不安が募れば募るほどに美しさが増してくる。アドレナリンが美しさに転嫁している」と絶賛すると、当の間宮も「前田監督は撮影をしながら明白な演出をしてくれて、無音になるシーンでも丁寧に意図を伝えてくれるのでスムーズにいい状態で撮影が進みました。完成作では、僕の細かい挙動や目線の動きも追ってくれていたりして。幸せでした」と感謝していた。



最後に主演の間宮は「世界の事実を変える映画ではないかもしれないけれど、演じる中で丑松の世界は確実に変わったという実感がありました。映画を観るみなさん一人一人の中にある世界に影響を及ぼす映画になっていると思いますし、そういう映画になれていたらと思います。そしてこの映画が大事な人に勧められ映画であってほしいとも思います」と祈るような面持ちでアピールしていた。

(取材=石井隼人)

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