『やがて海へと届く』中川龍太郎監督が、映画の道に進んだ経緯は?

映画監督の中川龍太郎が、自身の最新映画『やがて海へと届く』への思いや、映画監督になるまでを語った。

中川監督が登場したのはJ-WAVEで3月31日(木)に放送された『GOOD NEIGHBORS』(ナビゲーター:クリス智子)のワンコーナー「TALK TO NEIGHBORS」。この週はクリスに代わって演出家のウォーリー木下がナビゲーターを務めた。

時間と空間を“体験”するような映画

中川監督の作品『やがて海へと届く』が、4月1日から公開中だ。岸井ゆきの、浜辺美波らが出演している。
<あらすじ>
引っ込み思案で自分をうまく出せない真奈は、自由奔放でミステリアスなすみれと出会い親友になる。しかし、すみれは一人旅に出たまま突然いなくなってしまう。あれから5年──真奈はすみれの不在をいまだ受け入れられず、彼女を亡き者として扱う周囲に反発を感じていた。ある日、真奈はすみれのかつての恋人・遠野から彼女が大切にしていたビデオカメラを受け取る。そこには、真奈とすみれが過ごした時間と、知らなかった彼女の秘密が残されていた…。真奈はもう一度すみれと向き合うために、彼女が最後に旅した地へと向かう。本当の親友を探す旅の先で、真奈が見つけたものとは──切なくも光が差すラスト、誰しもの心に寄り添う感動作が誕生した。
映画『やがて海へと届く』公式サイトより。

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木下:最初にこの映画の感想とかを話しながら。僕、観させていただきまして。まさかこんな場所に最後たどりつくんだという驚きというか、あれよあれよという間に見たことがない場所に着いていました。映画って時間の芸術だと思うんですが、本当に空間とか時間が伸ばされて体験することができた……これね、なかなか難しいんです、ネタバレになるから。

中川:そうですよね。

木下:でも体験型の映画だなという僕の印象でした。

中川:ありがとうございます。

木下:これはどういう経緯で撮られることになったんですか?

中川:もともとプロデューサーが原作の本を持ってきてくださって。読んでみたところ原作と映画はけっこう違うんですけれども、自分が読んで思った解釈だと、この岸井ゆきのさん演じる真奈というキャラクターと浜辺美波さん演じるすみれというキャラクターのある種のラブストーリーなんじゃないかな、という風に受け止めまして。自分自身大学時代にすごく大切な友人を亡くしたという経験もあったので、そこの原作者の彩瀬(まる)さんの自伝であり、かつ自分の自伝にもなるという形になるのであれば、面白くなるのかなと思って引き受けさせてもらいました。

木下:偶然ハマったというか。

中川:そうなんですよ。

作品作りには演劇からの影響も

中川監督によると、真奈とすみれの大学時代や物語の終盤の展開といった原作と異なる部分については自身で脚本を書いたという。作品作りには演劇の影響も大いに受けているのだとか。

木下:最初は私小説的に始まるんです。だからちょっと映画と自分の距離があるんですけど、演出でどんどん距離を変えるじゃないですか。これはアニメーション使っているのは言っていいんですよね?

中川:それは大丈夫です(笑)。

木下:途中でアニメーションを使う演出だったり、演劇で言うと異化効果と言って急にお客さんに喋りだすみたいな、そういうようなのと近い演出もあったりして。要は映画を観ている人が物語を追っているだけじゃなくて、いろいろな場所に扉を開けて入って行かされるというか。

中川:実は演劇の影響は受けています。けっこう好きで(笑)。

木下:そうなんですね。演劇の演劇たるところって、目の前でやっているからこそ、いまそこにいる人がなにをするかという緊張感がずっとあるじゃないですか。こっちに襲い掛かってくるんじゃないかとか。舞台上で死ぬシーンがあっても。もちろん約束事として死ぬんだけど、本当に死んだかのような気持ちになっちゃったりとかというのは演劇特有の表現なんだけど、それを映画でもちょっとやろうとしたんですね。

中川:そういうところです。まあプロのウォーリーさんの前で言うのは恥ずかしいですけど(笑)。

木下:いやいや。それはでも観ていて思いました。

映画の道に進んだのは、大学の友人の影響

中川監督は、どのようにして映画の道に進んだ。16、7歳のころにやなせたかしさんが創刊した『詩とファンタジー』で詩を投稿することで詩人としての活動をしていた。映画監督になるつもりはなかったのだという。

木下:高校卒業して、次映画の道にはどういう経緯で?

中川:大学に入ってなにをしたらいいかわからなくて。正直大学に入ったら「彼女ができるのかな?」とか、そのぐらいの大学にみんな行っちゃうじゃないですか。フラフラしていたときに、この作品の浜辺さん演じるすみれのモデルになっている男性の友人がいたんです。その友人がものすごく映画が好きで、池袋の新文芸坐とか渋谷のユーロスペースとかよく行っていて。それがすごく文化的な感じがして「そういう文化的なことをやったらモテるかもしれないな」と思ってですね。そんなこと言ったら余計モテなくなるって当時わからなくて(笑)。

木下:テニスやっているやつとかのほうが(モテますよ)ね。

中川:その発想がなくてですね。それが多分かっこいいんじゃないかと思って、その友人についていっていろいろヨーロッパの映画とか観ていたんです。そこから「俺も作りたいな」みたいに思って。作ったら余計モテなくなるという(笑)。

木下:(笑)。どんどん遠くなっていく。

中川:ドツボに。

木下:最初は映画研究会に入ったんですか?

中川:入ったんですけど、悪い空気とかだったとかではなく、なんかうまくなじめなくて1、2か月くらいで辞めちゃって。その友人と一緒にほかの大学の友だちとか、それこそ演劇をやっている人とかを全部他大で集めて、その人たちと映画を作りだしました。

木下:その中心人物だったんですか? それとも友人が?

中川:僕が集めてやってました。彼は支えてくれていた感じですかね。

映画『やがて海へと届く』公式サイトはこちら

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2022年4月7日28時59分まで

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GOOD NEIGHBORS
月・火・水・木曜
13:00-16:00

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