音楽、映画、エンタメ「ここだけの話」
「正直者が馬鹿を見ない社会」が到来する? 経済と、本当の“豊かな社会”を考える

「正直者が馬鹿を見ない社会」が到来する? 経済と、本当の“豊かな社会”を考える

Forbes JAPAN Web編集長・谷本有香さんと藤原しおりが、「経済」をテーマに語り合った。

谷本さんが登場したのは、J-WAVEの番組『HITACHI BUTSURYU TOMOLAB. ~TOMORROW LABORATORY』。オンエアは4月23日(土)。 同番組はラジオを「ラボ」に見立て、藤原しおりがチーフとしてお届けしている。「SDGs」「環境問題」などの社会問題を「私たちそれぞれの身近にある困りごと」にかみ砕き、未来を明るくするヒントを研究。知識やアイデア、行動力を持って人生を切り拓いてきた有識者をラボの仲間「フェロー」として迎えて、解決へのアクションへと結ぶ“ハブ”を目指す。

お金の勉強をして、自分の豊かさのために使おう

谷本さんは、証券会社、そしてメディアで活躍後、アメリカでMBAを取得。これまで、台湾のデジタル担当大臣オードリー・タン、元イギリス首相トニー・ブレア、アップル共同創業者スティーブ・ウォズニアック、スターバックス創業者ハワード・シュルツなど、3000人を超える世界のVIPにインタビューを実施してきた。2016年よりForbes JAPANに参画し、2021年1月より執行役員、Web編集長に就任した。

そんな谷本さんと藤原が、まずは「理想的なお金の使い方」をトーク。

藤原:コロナの影響で「お金の勉強をしないと」と自分事に感じた人がたくさん増えてますよね。

谷本:かなり増えていると聞きますし、本当に不安だと思います。コロナに入る前にも「2000万円ぐらい持ってなくちゃいけない」という老後資産の問題がありました。そういったこともあって、私たちは何歳まで生きるんだ、本当に2000万円で足りるのか、と。高齢者のみなさんも、特に日本はそういったシニア層の方々がたくさんお金を持っているんだけれども、自分たちが持っているお金だけで足りるんだろうかと思い始めたんです。不安に思っているから、なんらかの形で投資や運用をしたりしなくちゃいけないんだけれど、悪い側面もあって、「一切使わない」みたいなこともあり得るわけです。そうすると経済が回らなくなって、経済がどんどん悪くなる。そこにコロナがきて、あまりいい方向にいかないんですよね。なので、なるべく不安を排除するために勉強していく。そして自分の豊かさのためにお金を使っていく、みたいなことができる流れになればいいなと思います。

【関連記事】「お金で解決する問題は存在しない」 元ゴールドマン・サックスのトレーダーが考える、お金との向き合い方

鎌倉のコミュニティ通貨「クルッポ」のよさ

お金で買えない体験で地域をつなげるコミュニティ通貨「まちのコイン」。鎌倉にある面白法人カヤックでは、まちのコインを「クルッポ」と名付け、鎌倉市の重要課題であるフードロス削減とゴミの減量を解決するプロジェクト「まちのもったいないマーケットプロジェクト」を実施している。

谷本:GDPという指標の限界が出てきているということだと思います。面白法人カヤック代表・柳澤大輔さんは「鎌倉資本主義」と言っています。環境や人を全部包括的に考えるステークホルダー資本主義、つまり全部の人たちを取りこぼさないように包摂したときに、それはきっとお金以外のことを交換の価値にしていかなければならない、というアイデアだと思います。つまりお金では買えないとか、お金では見ることができない価値みたいなものに出会えるのが、まさにカヤックさんがされているクルッポだと思っております。豊かで幸せな街づくりができるんじゃないかなと思って、いままで見ていました。

藤原は「こういうことがもっと増えてほしい」と感想を述べる。

谷本:経済は、自分ひとりで働いてお金を使ってなにかを購入して食べて、みたいなこともできるんだけど、やっぱり人と人とのあいだで成り立っているじゃないですか。それをクルッポは増長させるような動きをしているなと思うんです。たとえばゴミ拾いをして誰かに喜んでもらうとか、自分が買ったパンの感想を伝えることによってクルッポがもらえるとか、自分がやったことに対して誰かに「ありがとう」と言ってもらう、その循環を作るのがクルッポだという気がします。もともとの資本主義って、そもそも「ありがとう」の連続でできているんだけど、あまりにもシステムが大きくなりすぎて、「ありがとう」が聞こえなくなっているじゃないですか。だから「ありがとう」がきちんと見える化、聞こえる化するのが、一番のメインテーマなんじゃないかと思っていて。それこそ本来的にある経済の姿じゃないかなと思うので、私はこの取り組みが大好きです。

「フィランソロピー」とは何か

現在、企業家たちが起こしているフィランソロピーの動きがある。フィランソロピーとは古代ギリシア語の「愛」「人間」の2語からなる、人間愛を起源とする概念のこと。個人や企業による寄付やボランティアなど社会課題解決に取り組むこと、特に最近では企業による社会課題解決を指す際に使われることが多い。

谷本:フィランソロピーは、私たちForbes JAPANも最近よく取り上げる言葉です。なにかというと、GDPみたいな大きくスケールしていくことだけを目的とするような経済は成り立たないと。ウェルビーイングを改善することを目的としたような、利他活動をどんどん集めたなかで、社会を形成していくようにしていこう、そのなかでフィランソロピーというような考え方が非常に重要だよね、というところが各界で出てきています。たくさんお金を稼いだ人たちが、稼いだお金を自分だけのために使うのではなくて、慈善事業や社会活動に使うみたいなことが、いままでいわゆるフィランソロピーと言われていたんだけれども、実はそうじゃないんだと。お金を稼いでない企業もフィランソロピーという考え方をきちんと企業経営のなかに入れていくことが、とても重要です。

企業家たちが自分の生まれ育った地域を豊かにする動きが広まってきており、アイウエアブランド「JINS」の田中 仁社長は出身地である群馬県に「白井屋ホテル」を建設した。谷本さんは「日本もフィランソロピー3.0のような動きが出てきている」と解説した。

【関連記事】お金持ちのツケを、弱い者が払うのか? 資本主義の矛盾を『人新世の資本論』著者・斎藤幸平が語る

「ありがとう」が正しく評価される社会へ

谷本さんは利他的な社会になっていくべきだと提唱した。

谷本:自分自身じゃなくて他人に喜んでもらうところに重きを置いた経済が回っていけば、私はすごく豊かさを確保できるようになるなと思いますし、そういう社会にしていきたいなと心から思います。

藤原:利他的になるってすごくいいマインドだと思いますが、なかなか自分が満たされないと外に向かっていかないじゃないですか。最低限度の生活はなんとなく送れている人が多いなか、昔ほど「よっしゃ、経済を頑張るぞ」とならないと思います。「人のために」となるとなにかしらエネルギーがいると思うんです。枯渇感や不足感が原動力になってくるときに、いまの日本には行動するほどのエネルギーがないのではないかと思います。

谷本:私ぐらいのちょうどバブルが終わった世代は、枯渇感や渇望感みたいなことをモチベーションにしていた世代だったと思います。だけどいまの若い方たちとお話していると、すでに満たされている状態で生まれてきていると。そのなかで何が「次なる満たすもの」なのかといったときに、それは環境破壊しない、環境に優しい配慮している企業の在り方であったり、もっと単純に人が喜ぶことだったり、目的が変わっているなと感じるんです。

谷本さんは「ありがとう」がエネルギー源になれば、社会はとてもいい形で回っていくのではないかと説明。「ありがとう」を見える化するために、ブロックチェーンがその役割を果たすという。

谷本:ブロックチェーンはズルができないじゃないですか。「これを作った人はこの人だよ」と言ったらば、どんどん売られたところで「誰が作ったか」は書き込まれているので、ウソがつけない社会になるわけです。こういったブロックチェーン社会になったときに、NFTが人気化していますが、正直者が馬鹿を見ない社会になることがようやくできるんです。「ありがとう」とか、自分が本当にいいことをしたということが、本当に正しく評価される時代がやってきたんです。すばらしい社会が到来するんじゃないかと思っています。

J-WAVE『HITACHI BUTSURYU TOMOLAB. ~TOMORROW LABORATORY』は毎週土曜20時から20時54分にオンエア。

この記事の続きを読むには、
以下から登録/ログインをしてください。

  • 新規登録簡単30
  • J-meアカウントでログイン
  • メールアドレスでログイン
radikoで聴く
2022年4月30日28時59分まで

PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

番組情報
HITACHI BUTSURYU TOMOLAB.〜TOMORROW LABORATORY
毎週土曜
20:00-20:54

関連記事