音楽プロデューサーの小林武史が空想ドライブの曲をセレクト。KURKKU FIELDSでの活動についても語った。
J-WAVEで放送中の『Mercedes-Benz THE EXPERIENCE』(ナビゲーター:スガ シカオ)。その時代、その場所で、どんな音楽を聴きたいか―――時代を越えて、国境を越えて、ナビゲーターのスガ シカオが旅好き・音楽好きのゲストと共に音楽談義を繰り広げる、空想型ドライブプログラムだ。
4月17日(日)の放送ではゲストに小林が登場し、スガとトークを繰り広げた。
小林:コロナのあれがずっと続いているでしょ? 2年ぐらい前、京都にもいろいろ行くことがあってですね。
スガ:よく京都いらっしゃいますよね。
小林:海外からの観光客もいなくなってね。
スガ:そう! このあいだ僕もいったけど、なんか街が京都じゃないんですよ。
小林:まるっきりシーンとした、模型のような京都に。よくそのときに聴いていたのがマイルス(・デイヴィス)だったんですよね。すごく凛としたというか、そこにマイルスのトランペットが朝とか夕方。普通だったらワンワンと人がいるような時期なんだけど、誰もいないフォルムだけの京都に。いままさに映画のために作ったような感じの模型みたいな。
スガ:観光客がいないってこんなに違うんだと思いました。どの辺のマイルスいきましょうか。
小林:僕は初期のやつが好きでですね。
スガ:50年代?
小林:そうです50年代。だから、いわゆるエレクトリックになる前のマイルスですね。『It Never Entered My Mind』という。
番組では『It Never Entered My Mind』をオンエアした。
小林:このピアノは確か……。
スガ:レッド・ガーランド。
小林:そうそう。この辺のマイルスは本当によく聴いて京都を運転してたな。
スガ:このころのマイルスってけっこうレーベルとモメたりして、契約上いっぱいアルバム出さなくちゃいけなくて。いっぱい作ったうちの1作なんですよね。
小林:そうだよね。
スガ:でもやっぱりエレクトリックにいく前がよかったですか?
小林:僕は好きですね。レッド・ガーランドのピアノも、ソロとはまた違うんだけどなかなかいいんだよね。レッド・ガーランドってもっとどんどん、のちに味が濃くなるというかさ。濃すぎちゃって佃煮みたいな感じになっていっちゃうから(笑)。
スガ:(笑)。
MBUX:KURKKU FIELDSは2019年の秋にオープンした、千葉県木更津市にある、農業、食、アートを軸にしたテーマパークです。有機農業をはじめ太陽光発電、建築資材の再利用、排泄物や生ごみのたい肥活用など、さまざまな環境への取り組みをおこなっています。施設内にはオーガニックファーム、酪農場、養鶏場、チーズ工場などがあり、とれたての食材の試食や直売農家、ワークショップも開催されています。また、草間彌生、デイヴィッド・ホックニーなど、人と自然をつなぐアート作品が厳選され、展示されています。
スガ:形だけのテーマパークじゃなくて、根本的なところから全部作ってやってらっしゃる感じですよね。
小林:確かにそう。エネルギーに関してとか。
スガ:僕もKURKKUお借りして「電リク!ソロキャンプ」というのをやらせていただいたんですけど。宿泊施設とかも、そのときはコロナで閉じていたんですけど、トレーラーに宿泊できるようなところがあったりとか。
小林:タイニーハウスというね。アメリカのほうでは車輪もついてて公道でも走れるというのが、いま7棟かな? あって。もうじきできるんですが「COCOON(コクーン)」というプロジェクトで、そこにはちゃんとお風呂とか、部屋のなかに全部ついていて。「繭」みたいなプロジェクトなんですけど。
スガ:食もすごいですもんね。
小林:まあ、食がメインではあるけどね(笑)。
スガ:KURKKUでとれたものを1回送っていただいたことがあって。
小林:ソーセージとかチーズとかパンとか。
スガ:これがなんかメチャクチャおいしいんですよ。
小林:……また送っておこう(笑)。
スガ:すみません、なんか(笑)。
スガ:イエーイ! 大好き大好き。
小林:僕はこの『Pirates』というアルバムが。
スガ:いいアルバムですよねえ。
小林:本当にいいアルバム、そのアルバムのなかのどの曲も好きですけれども、今日は1曲目の『We Belong Together』を用意しました。
番組では『We Belong Together』をオンエアした。
スガ:これはどこらへんのドライブのイメージですか?
小林:実際に奈良に行ったときにずっと聴いてたんだよね。なんか奈良公園の周りってシカもいるんだけど、日が暮れだすとシカもおとなしくなっていって、京都よりも閉鎖的な感じがする。リッキー・リー・ジョーンズって、殻を破ろうとしているような人じゃない? 抑圧されて育ってきたのかもしれないけど、そういう「音楽を通じて開放できるよ」ということを僕は感じてたんだと思うんだよね。
スガ:このあいだ配信ライブやってましたよ。
小林:アメリカのほうから?
スガ:自分の家から。
小林:本当?
スガ:ギターだけで配信ライブやってましたね。だいぶお歳を召されてましたけど。僕はリッキーの来日公演はほぼほぼ全部行っているんです。彼女がそこに来て歌うだけでライブが成立するみたいな感じで。
小林:そのライブはこういう若々しい感じとは違うの?
スガ:声はこのままの感じ。
小林:へー! そうなんだ。
スガ:一番最後に行ったのは15年前で、CLUB CITTA'かな? 声はこのままでしたね。なんか少女が歌っているみたいな声で。そのときは本人が弾くギターとベースの2人だけで来ていたんです。だからすごく声がバーンときていたんですけど、このままでしたね。僕もリッキーの曲を。これは『Pirates』の直後にリリースされた、カバー曲を中心にしたアルバムで『Blue Valentine』とか『Under The Boardwalk』とかを歌っているんです。そのなかでトム・ウェイツが書いた『Rainbow Sleeves』という曲なんですけど、僕はリッキーの曲のなかでこれが一番好きなんですね。たまらん。高校生ぐらいのときスゲー聴いてましたね。
番組では『Rainbow Sleeves』をオンエアした。
小林:曲はトム・ウェイツなんだ。
スガ:リッキーとかってカバーしたいと思っても、日本では譜面もなにも出てないんですよ。だからなにもわからない、耳コピもできないし大変。いい曲だなあ、参ったなあ。こんな曲、いつになったら作れるようになるんだろう? とか思っちゃいますよ(笑)。
小林:(笑)。
小林:「雪のなかの」というのがいいなと思って。僕は東北の山形出身で、雪を見ながら暮らしていたんだよね。ところがそれが東京に出て、だんだんと温暖化もあるかもしれないけど。スキーとかも若いときにやっていたんだけど、どんどんやらなくなっちゃって。
スガ:そんな時間ないですよね。
小林:歳をとってくると「雪のなかに行きたい!」みたいな。
スガ:帰巣本能みたいなものですかね。
小林:そういう感じがあってね。あとは雪って(映画)『ファーゴ』とかデビット・リンチのドラマとかもそうだけど、雪のやつってちょっと狂気が入るみたいな感じのやつがあるでしょ?
スガ:閉じ込められる感ね。
小林:だけど真っ白でクリーンで異様にクリアというか。光が当たると雪って境界線もあいまいになっちゃって。
スガ:俺はその感じはわからないっす。
小林:スタッドレスを履いてドライブに行ったんです。すごく面白いんだけど、本当に境界線がわからなくなるのね、道路の端と空と。もちろんそこに雪とかブワーッとくると「これは運転できない」っていうホワイトアウトみたいなことにもなっちゃうんだけど、そういうときはさすがに運転しちゃダメなんだけど。けっこう目を凝らして運転するみたいな感じにはなるんだけど、すごく楽しかった。そんなときに聴く音楽というと、僕がまだ山形にいるころだったと思うんだけど、スティーリー・ダンの『Rikki Don't Lose That Number』という曲なんですけど、サビにいくときに不思議なピアノのアルペジオが入る。歌詞がどんなことを言っているのか、それほど詳しいわけじゃないけど、なんかちょっとねじれているんだよね。
番組では『Rikki Don't Lose That Number』をオンエアした。
小林:山形に肘折温泉というところがあって。
スガ:肘折温泉?
小林:ある番組で言ったらアナウンサーが「小林さん山形出身なんですよね、僕は肘折温泉に毎年行っているんですよ」って。行ったことはなかったんだけど知ってて「行ってみたいな」と急に思って行ってきたんです。
スガ:それだけのために行ったんだ!
小林:すごくいいですよ。最近人気出てきたみたいだけどね。
スガが空想ドライブをナビゲートする『Mercedes-Benz THE EXPERIENCE』のオンエアは、毎週日曜21時から。
J-WAVEで放送中の『Mercedes-Benz THE EXPERIENCE』(ナビゲーター:スガ シカオ)。その時代、その場所で、どんな音楽を聴きたいか―――時代を越えて、国境を越えて、ナビゲーターのスガ シカオが旅好き・音楽好きのゲストと共に音楽談義を繰り広げる、空想型ドライブプログラムだ。
4月17日(日)の放送ではゲストに小林が登場し、スガとトークを繰り広げた。
観光客のいなくなった京都で聴いた曲
小林は「90年代ドライブ」をドライブミュージックのテーマに指定。まずは自身が実際に車のなかで流していたという曲をセレクトした。小林:コロナのあれがずっと続いているでしょ? 2年ぐらい前、京都にもいろいろ行くことがあってですね。
スガ:よく京都いらっしゃいますよね。
小林:海外からの観光客もいなくなってね。
スガ:そう! このあいだ僕もいったけど、なんか街が京都じゃないんですよ。
小林:まるっきりシーンとした、模型のような京都に。よくそのときに聴いていたのがマイルス(・デイヴィス)だったんですよね。すごく凛としたというか、そこにマイルスのトランペットが朝とか夕方。普通だったらワンワンと人がいるような時期なんだけど、誰もいないフォルムだけの京都に。いままさに映画のために作ったような感じの模型みたいな。
スガ:観光客がいないってこんなに違うんだと思いました。どの辺のマイルスいきましょうか。
小林:僕は初期のやつが好きでですね。
スガ:50年代?
小林:そうです50年代。だから、いわゆるエレクトリックになる前のマイルスですね。『It Never Entered My Mind』という。
番組では『It Never Entered My Mind』をオンエアした。
小林:このピアノは確か……。
スガ:レッド・ガーランド。
小林:そうそう。この辺のマイルスは本当によく聴いて京都を運転してたな。
スガ:このころのマイルスってけっこうレーベルとモメたりして、契約上いっぱいアルバム出さなくちゃいけなくて。いっぱい作ったうちの1作なんですよね。
小林:そうだよね。
スガ:でもやっぱりエレクトリックにいく前がよかったですか?
小林:僕は好きですね。レッド・ガーランドのピアノも、ソロとはまた違うんだけどなかなかいいんだよね。レッド・ガーランドってもっとどんどん、のちに味が濃くなるというかさ。濃すぎちゃって佃煮みたいな感じになっていっちゃうから(笑)。
スガ:(笑)。
KURKKU FIELDSの活動
小林といえばap bankなどの活動を通して環境問題に向き合うなど、いちはやくサステナブルな社会について考える行動をしてきた。そこでスガは小林がプロデューサーを務めるKURKKU FIELDSについて、「Hi,Mercedes」と話しかけるだけで起動する対話型インフォテイメント・システム「MBUX」に尋ねた。MBUX:KURKKU FIELDSは2019年の秋にオープンした、千葉県木更津市にある、農業、食、アートを軸にしたテーマパークです。有機農業をはじめ太陽光発電、建築資材の再利用、排泄物や生ごみのたい肥活用など、さまざまな環境への取り組みをおこなっています。施設内にはオーガニックファーム、酪農場、養鶏場、チーズ工場などがあり、とれたての食材の試食や直売農家、ワークショップも開催されています。また、草間彌生、デイヴィッド・ホックニーなど、人と自然をつなぐアート作品が厳選され、展示されています。
スガ:形だけのテーマパークじゃなくて、根本的なところから全部作ってやってらっしゃる感じですよね。
小林:確かにそう。エネルギーに関してとか。
スガ:僕もKURKKUお借りして「電リク!ソロキャンプ」というのをやらせていただいたんですけど。宿泊施設とかも、そのときはコロナで閉じていたんですけど、トレーラーに宿泊できるようなところがあったりとか。
小林:タイニーハウスというね。アメリカのほうでは車輪もついてて公道でも走れるというのが、いま7棟かな? あって。もうじきできるんですが「COCOON(コクーン)」というプロジェクトで、そこにはちゃんとお風呂とか、部屋のなかに全部ついていて。「繭」みたいなプロジェクトなんですけど。
スガ:食もすごいですもんね。
小林:まあ、食がメインではあるけどね(笑)。
スガ:KURKKUでとれたものを1回送っていただいたことがあって。
小林:ソーセージとかチーズとかパンとか。
スガ:これがなんかメチャクチャおいしいんですよ。
小林:……また送っておこう(笑)。
スガ:すみません、なんか(笑)。
スガも大ファンのリッキー・リー・ジョーンズ
続いて小林はリッキー・リー・ジョーンズの楽曲をセレクトすることに。第のリッキーファンだというスガとのトークが盛り上がった。スガ:イエーイ! 大好き大好き。
小林:僕はこの『Pirates』というアルバムが。
スガ:いいアルバムですよねえ。
小林:本当にいいアルバム、そのアルバムのなかのどの曲も好きですけれども、今日は1曲目の『We Belong Together』を用意しました。
番組では『We Belong Together』をオンエアした。
スガ:これはどこらへんのドライブのイメージですか?
小林:実際に奈良に行ったときにずっと聴いてたんだよね。なんか奈良公園の周りってシカもいるんだけど、日が暮れだすとシカもおとなしくなっていって、京都よりも閉鎖的な感じがする。リッキー・リー・ジョーンズって、殻を破ろうとしているような人じゃない? 抑圧されて育ってきたのかもしれないけど、そういう「音楽を通じて開放できるよ」ということを僕は感じてたんだと思うんだよね。
スガ:このあいだ配信ライブやってましたよ。
小林:アメリカのほうから?
スガ:自分の家から。
小林:本当?
スガ:ギターだけで配信ライブやってましたね。だいぶお歳を召されてましたけど。僕はリッキーの来日公演はほぼほぼ全部行っているんです。彼女がそこに来て歌うだけでライブが成立するみたいな感じで。
小林:そのライブはこういう若々しい感じとは違うの?
スガ:声はこのままの感じ。
小林:へー! そうなんだ。
スガ:一番最後に行ったのは15年前で、CLUB CITTA'かな? 声はこのままでしたね。なんか少女が歌っているみたいな声で。そのときは本人が弾くギターとベースの2人だけで来ていたんです。だからすごく声がバーンときていたんですけど、このままでしたね。僕もリッキーの曲を。これは『Pirates』の直後にリリースされた、カバー曲を中心にしたアルバムで『Blue Valentine』とか『Under The Boardwalk』とかを歌っているんです。そのなかでトム・ウェイツが書いた『Rainbow Sleeves』という曲なんですけど、僕はリッキーの曲のなかでこれが一番好きなんですね。たまらん。高校生ぐらいのときスゲー聴いてましたね。
番組では『Rainbow Sleeves』をオンエアした。
小林:曲はトム・ウェイツなんだ。
スガ:リッキーとかってカバーしたいと思っても、日本では譜面もなにも出てないんですよ。だからなにもわからない、耳コピもできないし大変。いい曲だなあ、参ったなあ。こんな曲、いつになったら作れるようになるんだろう? とか思っちゃいますよ(笑)。
小林:(笑)。
雪の世界への欲求
山形出身の小林は、最後に雪の世界に合う楽曲をセレクト。雪国への想いについて語った。小林:「雪のなかの」というのがいいなと思って。僕は東北の山形出身で、雪を見ながら暮らしていたんだよね。ところがそれが東京に出て、だんだんと温暖化もあるかもしれないけど。スキーとかも若いときにやっていたんだけど、どんどんやらなくなっちゃって。
スガ:そんな時間ないですよね。
小林:歳をとってくると「雪のなかに行きたい!」みたいな。
スガ:帰巣本能みたいなものですかね。
小林:そういう感じがあってね。あとは雪って(映画)『ファーゴ』とかデビット・リンチのドラマとかもそうだけど、雪のやつってちょっと狂気が入るみたいな感じのやつがあるでしょ?
スガ:閉じ込められる感ね。
小林:だけど真っ白でクリーンで異様にクリアというか。光が当たると雪って境界線もあいまいになっちゃって。
スガ:俺はその感じはわからないっす。
小林:スタッドレスを履いてドライブに行ったんです。すごく面白いんだけど、本当に境界線がわからなくなるのね、道路の端と空と。もちろんそこに雪とかブワーッとくると「これは運転できない」っていうホワイトアウトみたいなことにもなっちゃうんだけど、そういうときはさすがに運転しちゃダメなんだけど。けっこう目を凝らして運転するみたいな感じにはなるんだけど、すごく楽しかった。そんなときに聴く音楽というと、僕がまだ山形にいるころだったと思うんだけど、スティーリー・ダンの『Rikki Don't Lose That Number』という曲なんですけど、サビにいくときに不思議なピアノのアルペジオが入る。歌詞がどんなことを言っているのか、それほど詳しいわけじゃないけど、なんかちょっとねじれているんだよね。
番組では『Rikki Don't Lose That Number』をオンエアした。
小林:山形に肘折温泉というところがあって。
スガ:肘折温泉?
小林:ある番組で言ったらアナウンサーが「小林さん山形出身なんですよね、僕は肘折温泉に毎年行っているんですよ」って。行ったことはなかったんだけど知ってて「行ってみたいな」と急に思って行ってきたんです。
スガ:それだけのために行ったんだ!
小林:すごくいいですよ。最近人気出てきたみたいだけどね。
スガが空想ドライブをナビゲートする『Mercedes-Benz THE EXPERIENCE』のオンエアは、毎週日曜21時から。
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2022年4月24日28時59分まで
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番組情報
- Mercedes-Benz THE EXPERIENCE
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