映画『SING/シング:ネクストステージ』が、3月18日に全国公開。2017年に大ヒットを記録した『SING/シング』の続編となる本作では、前作に続き蔦谷好位置が日本語吹替版の音楽プロデューサーを務めている。
そんな蔦谷は3月14日(月)にJ-WAVEで放送された番組『STEP ONE』(ナビゲーター:サッシャ・ノイハウス萌菜)のワンコーナー「MUSIC+1」に出演。1作目以上に感じた手応え、そして映画公開日と同日に発売される日本版サウンドトラック『シング:ネクストステージ - オリジナル・サウンドトラック』を聴く上で抑えるべき“3つのポイント”を明かした。
サッシャ:5年ぶりの最新作の完成度にかなりの手応えを感じているのでは?
蔦谷:かなり頑張ったので、本当に誇れる作品ができあがったと自負しています。1番大切にしていた部分は、オリジナル作品をリスペクトしながら、日本語吹替版を作っていく意味をみんなで考えるということ。その上で多くの人に届ける気持ちで作りました。
サッシャ:一般の方々に比べ、だいぶ前にオリジナル作品や企画案を見ていると思うんですが、そのときの印象はどうでしたか?
蔦谷:まず、前作も日本語吹替版の音楽プロデューサーとして関わっていたので、この流れでお話をいただけて非常に光栄でした。新しいキャラクターも出てきたり、前作に増して、本当に素晴らしい名曲の数々が散りばめられているので、日本語版を作ったら大変なことになるなという期待と、ある種の不安も抱きましたね。
サッシャ:オリジナル作品にはU2のボノなど、そうそうたる面々がキャストとして出演されていますが、それを知ったときは?
蔦谷:痺れました。ボノ(U2)のほか、ファレル、ホールジーなどといった、レジェントから今の時代を彩る人まで……これは本当にすごいことですよね。
ここから蔦谷は日本盤サウンドトラックを聴く上で抑えておくべき「3つのポイント」を教えてくれた。
蔦谷:まず1つ目は日本語詞です。例えば大橋卓弥くん(スキマスイッチ)が歌唱を担当した、Coldplay「A Sky Full of Stars」。オリジナルで<I don't care>と歌っている部分の日本語詞は<例え>としました。そんな風に<あ/お/え><た/と/え>と、母音を合わせることによって、ジョニーの口に動きと大橋くんの歌がピッタリ重なるようにしたわけです。<SKY>の部分は<果てしない>で雰囲気を合わせるなど、細かい部分を意識しています。
サッシャ:そう、まるで日本語詞用の映画を作ったかのような違和感の無さですよね。
蔦谷:これは日本語詞監修を担当した、いしわたり淳治くんが天才的な仕事をしてくれたお陰。しっかり原曲の意味も考えながら、リップシンクも合わせてくれたんですね。映画なので、当然すべての口の動きが捉えられているわけではないので、そういうところは口の写っていないシーンで意味の整合性を取ってます。
サッシャ:この映画は、歌がストーリーテリングになっているから、元々の意味を変えてしまってはいけないと思います。いやぁ、本当に蔦谷さんといしわたりさんはすごいチームワークだと感じました。
蔦谷:とんでもないです。でも頑張りました(笑)。
蔦谷:2つ目はキャストの皆さんの歌唱力でしょうね。
ノイハウス萌菜:これは本当にそう思います。歌唱力という面だけでなく、キャラクターにピッタリ寄り添うような演技だったり、ストーリーのなかで歌う、そのときの感じも素晴らしくて。
蔦谷:当然演技も入っているので、そういった意味での“うまい”歌唱だと思うんです。このサントラ版ではもちろんオリジナル版の楽曲も収録されています。そんななかで、スカーレット・ヨハンソンがびっくりするくらいうまいんですが、日本語吹き替え版の長澤まさみさんも、負けず劣らず素晴らしい!
サッシャ:長澤さんってこんなに歌えるんだとビックリしました。
蔦谷:普段歌をメインに活動していない人……斎藤司さん(トレンディエンジェル)もそうですね。それと、坂本真綾さんは歌手としても活動していますが、本業は声優。そういった方々の素晴らしいパフォーマンスが楽しめると思うので、ぜひサントラと劇場で体感してもらえたらなと思います(※サントラには坂本真綾&斎藤司が歌う「ブレイク・フリー」が収録される)。
また、今作では稲葉浩志がライオンのクレイ・キャロウェイ役を務める。オリジナル版でクレイ・キャロウェイを務めたのはU2のボノ。誰が日本語吹替版を務めるか話し合いが行われた際、満場一致で稲葉浩志の名前が挙がったという。
サッシャ:ボノが演じたクレイ・キャロウェイを“誰が務めるのか”という相談会では、稲葉浩志さんで全会一致だったそうですね。
蔦谷:U2のボノ級のレジェンドで現役の大スターとなったとき、みんな揃って「稲葉さん!」となりました。
サッシャ:よくオファーを受けていただけましたね。
蔦谷:本当にうれしかったです。僕、学生時代にB'zのコピーバンドをやっていたので、緊張しながらお願いしに行ったんですけど、本当に丁寧に演じていただいて。めちゃくちゃ素敵な人で、さらにファンになってしまいました。かっこよかったなぁ。
ほかにもMISIA、ジェシー(SixTONES)といった豪華な面々がキャストに名を連ねる。
サッシャ:全キャストの話をしたいんですけど、MISIAさんは演技もすごいですね。
蔦谷:そうなんですよ。MISIAさんは前作のとき(2017年に公開された『SING/シング』に続き出演)から何も言うことなしでした。素晴らしいですよね。
サッシャ:アルフォンゾを演じたジェシー(SixTONES)も、歌声を含めてめちゃくちゃファンになりました。(本作の演技が)セクシーですよね! いつも明るくて楽しい方ではあるんですけど、表現力の深さを今作でより知ることができました。
蔦谷:(オリジナル版でアルフォンゾを演じた)ファレルのセクシーなファルセットを、すごく忠実に再現してくれて本当に最高でした。
蔦谷:非常にマニアックな視点ですけど、ミックスにはこだわりました。まず映画館でオリジナル版を観た方に“日本語版は迫力がない”とは絶対に思われたくなくて。なので、海外で使われているリバーブやディレイの音をよく聴いて、“これはヴァルハラリバーブだな”と分析しながら、再現していきました。試行錯誤しながらこだわり抜いてミックスしましたね。
サッシャ:合唱の部分もすごくこだわったそうですね。
蔦谷:オリジナル版では巨大な会場を使って大人数で録音したみたいなんですが、日本ではそれはできないので、8人のコーラス隊を呼んで、30回くらいダビングを重ねました。述べ12〜13時間くらいかかりました。
サッシャ:今回も日本語吹替版の音楽プロデューサーとして関わりましたけど、改めて『SING』の魅力はどういったところにあると感じていますか?
蔦谷:出演するキャラクターがそれぞれ個性的で、魅力的な部分を多く持っているんだけど、足りない部分もあって。でもだからこそ何かを乗り越えていくストーリーに、人は感情移入できるんじゃないかと思います。自分の立場に置き換えることもできるし、生きる上で一つ前に進む勇気をもらえる作品だし、さらにその上で音楽の力強さ・楽しさを知ってもらえると思います。
J-WAVE『STEP ONE』のワンコーナー「MUSIC+1」では、ゲストとして毎回話題のミュージシャンが登場する。放送は月曜~木曜の12時30分ごろから。
(取材・文=中山洋平)
【作品情報】
■監督・脚本:ガース・ジェニングス
■製作:クリス・メレダンドリ、ジャネット・ヒーリー
■日本語吹替版キャスト:内村光良、MISIA、長澤まさみ、大橋卓弥(スキマスイッチ)、斎藤司(トレンディエンジェル)、
ジェシー(SixTONES)、アイナ・ジ・エンド、akane、坂本真綾、田中真弓、大塚明夫、木村昴、
山寺宏一、井上麻里奈、山下大輝、林原めぐみ、三宅健太、奈良徹、佐倉綾音、大地真央、稲葉浩志
■キャスト:マシュー・マコノヒー、リース・ウィザースプーン、スカーレット・ヨハンソン、
タロン・エガートン、トリー・ケリー、ニック・クロールほか
■新キャスト:ボビー・カナヴェイル、ホールジー、ファレル・ウィリアムス、ニック・オファーマン、
レティーシャ・ライト、エリック・アンドレ、チェルシー・ペレッティ、ボノ (U2)、ほか
■配給:東宝東和
■コピーライト:© 2021 Universal Studios. All Rights Reserved.
■公式HP:http://sing-movie.jp
■公式twitter https://twitter.com/SingMovieJP
■公Facebook:https://www.facebook.com/sing.movie.jp
■YouTube:https://www.youtube.com/c/IlluminationJP
そんな蔦谷は3月14日(月)にJ-WAVEで放送された番組『STEP ONE』(ナビゲーター:サッシャ・ノイハウス萌菜)のワンコーナー「MUSIC+1」に出演。1作目以上に感じた手応え、そして映画公開日と同日に発売される日本版サウンドトラック『シング:ネクストステージ - オリジナル・サウンドトラック』を聴く上で抑えるべき“3つのポイント”を明かした。
本当に誇れる作品ができあがった
主人公であるコアラのバスター・ムーンをはじめ、チャーミングな動物たちが多数登場する『SING』は、ワケありのキャラクターたちがそれぞれの才能を開花させ、新たな道を歩み出す姿を描いた群像劇。劇中歌として作品を彩るのはU2、Coldplay、Aerosmithといったアーティストたちの大ヒット曲。蔦谷は日本語吹替版の音楽プロデューサーとして、並々ならぬ決意を持って作品作りに臨んだという。サッシャ:5年ぶりの最新作の完成度にかなりの手応えを感じているのでは?
蔦谷:かなり頑張ったので、本当に誇れる作品ができあがったと自負しています。1番大切にしていた部分は、オリジナル作品をリスペクトしながら、日本語吹替版を作っていく意味をみんなで考えるということ。その上で多くの人に届ける気持ちで作りました。
サッシャ:一般の方々に比べ、だいぶ前にオリジナル作品や企画案を見ていると思うんですが、そのときの印象はどうでしたか?
蔦谷:まず、前作も日本語吹替版の音楽プロデューサーとして関わっていたので、この流れでお話をいただけて非常に光栄でした。新しいキャラクターも出てきたり、前作に増して、本当に素晴らしい名曲の数々が散りばめられているので、日本語版を作ったら大変なことになるなという期待と、ある種の不安も抱きましたね。
サッシャ:オリジナル作品にはU2のボノなど、そうそうたる面々がキャストとして出演されていますが、それを知ったときは?
蔦谷:痺れました。ボノ(U2)のほか、ファレル、ホールジーなどといった、レジェントから今の時代を彩る人まで……これは本当にすごいことですよね。
口の動きにピッタリ重なる日本語詞
ここから蔦谷は日本盤サウンドトラックを聴く上で抑えておくべき「3つのポイント」を教えてくれた。
蔦谷:まず1つ目は日本語詞です。例えば大橋卓弥くん(スキマスイッチ)が歌唱を担当した、Coldplay「A Sky Full of Stars」。オリジナルで<I don't care>と歌っている部分の日本語詞は<例え>としました。そんな風に<あ/お/え><た/と/え>と、母音を合わせることによって、ジョニーの口に動きと大橋くんの歌がピッタリ重なるようにしたわけです。<SKY>の部分は<果てしない>で雰囲気を合わせるなど、細かい部分を意識しています。
サッシャ:そう、まるで日本語詞用の映画を作ったかのような違和感の無さですよね。
蔦谷:これは日本語詞監修を担当した、いしわたり淳治くんが天才的な仕事をしてくれたお陰。しっかり原曲の意味も考えながら、リップシンクも合わせてくれたんですね。映画なので、当然すべての口の動きが捉えられているわけではないので、そういうところは口の写っていないシーンで意味の整合性を取ってます。
サッシャ:この映画は、歌がストーリーテリングになっているから、元々の意味を変えてしまってはいけないと思います。いやぁ、本当に蔦谷さんといしわたりさんはすごいチームワークだと感じました。
蔦谷:とんでもないです。でも頑張りました(笑)。
キャストの“演技と歌のうまさ”に注目
続いて、ノイハウスが2つ目のおすすめポイントを訊くと、蔦谷は「キャストの歌唱力」と答えた。なかでも蔦谷は普段歌をメインに活動していないキャストのパフォーマンスに感動したそうだ。蔦谷:2つ目はキャストの皆さんの歌唱力でしょうね。
ノイハウス萌菜:これは本当にそう思います。歌唱力という面だけでなく、キャラクターにピッタリ寄り添うような演技だったり、ストーリーのなかで歌う、そのときの感じも素晴らしくて。
蔦谷:当然演技も入っているので、そういった意味での“うまい”歌唱だと思うんです。このサントラ版ではもちろんオリジナル版の楽曲も収録されています。そんななかで、スカーレット・ヨハンソンがびっくりするくらいうまいんですが、日本語吹き替え版の長澤まさみさんも、負けず劣らず素晴らしい!
サッシャ:長澤さんってこんなに歌えるんだとビックリしました。
蔦谷:普段歌をメインに活動していない人……斎藤司さん(トレンディエンジェル)もそうですね。それと、坂本真綾さんは歌手としても活動していますが、本業は声優。そういった方々の素晴らしいパフォーマンスが楽しめると思うので、ぜひサントラと劇場で体感してもらえたらなと思います(※サントラには坂本真綾&斎藤司が歌う「ブレイク・フリー」が収録される)。
また、今作では稲葉浩志がライオンのクレイ・キャロウェイ役を務める。オリジナル版でクレイ・キャロウェイを務めたのはU2のボノ。誰が日本語吹替版を務めるか話し合いが行われた際、満場一致で稲葉浩志の名前が挙がったという。
サッシャ:ボノが演じたクレイ・キャロウェイを“誰が務めるのか”という相談会では、稲葉浩志さんで全会一致だったそうですね。
蔦谷:U2のボノ級のレジェンドで現役の大スターとなったとき、みんな揃って「稲葉さん!」となりました。
サッシャ:よくオファーを受けていただけましたね。
蔦谷:本当にうれしかったです。僕、学生時代にB'zのコピーバンドをやっていたので、緊張しながらお願いしに行ったんですけど、本当に丁寧に演じていただいて。めちゃくちゃ素敵な人で、さらにファンになってしまいました。かっこよかったなぁ。
ほかにもMISIA、ジェシー(SixTONES)といった豪華な面々がキャストに名を連ねる。
サッシャ:全キャストの話をしたいんですけど、MISIAさんは演技もすごいですね。
蔦谷:そうなんですよ。MISIAさんは前作のとき(2017年に公開された『SING/シング』に続き出演)から何も言うことなしでした。素晴らしいですよね。
サッシャ:アルフォンゾを演じたジェシー(SixTONES)も、歌声を含めてめちゃくちゃファンになりました。(本作の演技が)セクシーですよね! いつも明るくて楽しい方ではあるんですけど、表現力の深さを今作でより知ることができました。
蔦谷:(オリジナル版でアルフォンゾを演じた)ファレルのセクシーなファルセットを、すごく忠実に再現してくれて本当に最高でした。
「日本語吹替版は迫力がない」と思われないように…
3つ目に抑えるべきポイントとして語ってくれたのは「ミックス」だ。音楽人・蔦谷ならではのこだわりとは?蔦谷:非常にマニアックな視点ですけど、ミックスにはこだわりました。まず映画館でオリジナル版を観た方に“日本語版は迫力がない”とは絶対に思われたくなくて。なので、海外で使われているリバーブやディレイの音をよく聴いて、“これはヴァルハラリバーブだな”と分析しながら、再現していきました。試行錯誤しながらこだわり抜いてミックスしましたね。
サッシャ:合唱の部分もすごくこだわったそうですね。
蔦谷:オリジナル版では巨大な会場を使って大人数で録音したみたいなんですが、日本ではそれはできないので、8人のコーラス隊を呼んで、30回くらいダビングを重ねました。述べ12〜13時間くらいかかりました。
サッシャ:今回も日本語吹替版の音楽プロデューサーとして関わりましたけど、改めて『SING』の魅力はどういったところにあると感じていますか?
蔦谷:出演するキャラクターがそれぞれ個性的で、魅力的な部分を多く持っているんだけど、足りない部分もあって。でもだからこそ何かを乗り越えていくストーリーに、人は感情移入できるんじゃないかと思います。自分の立場に置き換えることもできるし、生きる上で一つ前に進む勇気をもらえる作品だし、さらにその上で音楽の力強さ・楽しさを知ってもらえると思います。
J-WAVE『STEP ONE』のワンコーナー「MUSIC+1」では、ゲストとして毎回話題のミュージシャンが登場する。放送は月曜~木曜の12時30分ごろから。
(取材・文=中山洋平)
【作品情報】
■監督・脚本:ガース・ジェニングス
■製作:クリス・メレダンドリ、ジャネット・ヒーリー
■日本語吹替版キャスト:内村光良、MISIA、長澤まさみ、大橋卓弥(スキマスイッチ)、斎藤司(トレンディエンジェル)、
ジェシー(SixTONES)、アイナ・ジ・エンド、akane、坂本真綾、田中真弓、大塚明夫、木村昴、
山寺宏一、井上麻里奈、山下大輝、林原めぐみ、三宅健太、奈良徹、佐倉綾音、大地真央、稲葉浩志
■キャスト:マシュー・マコノヒー、リース・ウィザースプーン、スカーレット・ヨハンソン、
タロン・エガートン、トリー・ケリー、ニック・クロールほか
■新キャスト:ボビー・カナヴェイル、ホールジー、ファレル・ウィリアムス、ニック・オファーマン、
レティーシャ・ライト、エリック・アンドレ、チェルシー・ペレッティ、ボノ (U2)、ほか
■配給:東宝東和
■コピーライト:© 2021 Universal Studios. All Rights Reserved.
■公式HP:http://sing-movie.jp
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サッシャ、ノイハウス萌菜