災害時に役立つ「お湯ポチャ調理」 防災食の専門家が蒸しパンのレシピ紹介

災害時にも役立つ“お湯ポチャ”レシピを、管理栄養士で防災士の今泉マユ子さんが紹介した。

今泉さんが登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『START LINE』（ナビゲーター：長谷川ミラ）のワンコーナー「HIGASHIMARU SHOYU FROM MY KITCHEN」。ここでは、3月11日（金）のオンエアをテキストで紹介する。

ポリ袋とお湯を活用した調理法

今泉さんは防災食の専門家として全国で講演やワークショップを開催しており、さまざまなメディアで「災害時に役立つ缶詰」や「レトルト食品のアレンジレシピ」を紹介している。2021年7月には『もしもごはん3 災害時も、普段も、役立つ「お湯ポチャ」調理 免疫力アップレシピ』（清流出版）を出版した。

今泉：「お湯ポチャ」調理という言葉を聞いたことがない方も多いと思います。

長谷川：初めて聞きました。

お湯ポチャ調理は「パッククッキング」と呼ばれており、耐熱性のポリ袋を使用した調理法だという。

今泉：私は「どんなときでも温かいものを食べていただきたいな」という思いから、“お湯ポチャ”レシピと名付けました。ポリ袋のなかに材料を入れて湯煎する調理法で、カセットコンロとガスボンベとお水があれば、いろんな料理が作れるんですよ。

長谷川：へええ！

今泉：災害時はもちろん、普段から役に立つ調理法なので、ぜひ知っていただきたいです。

お湯ポチャ調理の強みとは？

お湯ポチャ調理をする際は、ポリ袋選びが重要だと今泉さんは語る。

今泉：ポリ袋は、耐熱性のある高密度ポリエチレン製のものを使ってください。袋にはいろんな種類がありまして、パッケージを見ると「湯煎ができます」という絵が描いてあるものもあります。袋は半透明なので、まずはそのことを覚えておいてください。

長谷川：わかりました！

今泉：お湯ポチャ調理なら、ごはんも簡単に焚けますし、スパゲッティも茹でられます。

今回は今泉さんが、お湯ポチャ調理で作る「蒸しパン」のレシピを紹介した。

蒸しパン

＜材料1人分＞
ホットケーキミックス…50g
水…50ml
黒ゴマ…小さじ1

＜作り方＞
1、高密度ポリエチレン製のポリ袋にホットケーキミックスと水を入れて混ぜ、最後に黒ゴマを上にかけ、なるべく空気を抜いてねじり上げ、袋の上の方を結ぶ。
2、鍋に1／2の水を張って、お皿を敷き、1をのせ、蓋をして火をつける。沸騰したら中火にして、約15分間加熱し、火を止めて蓋をしたまま5分間蒸らす。

今泉：黒ゴマの代わりに甘納豆を入れてもおいしいですし、ココアを入れて甘くするのもおすすめです。あとは、ツナとかコーンを入れればおかず系のパンにもできますよ。

長谷川：いろんな味にアレンジできるんですね。

今泉：災害のあとって甘いものが食べたくなりますし、自分がホッとできるものを作れるといいですね。お湯ポチャ調理のいいところは、温かいものを食べられることと、お鍋の水が汚れないので何度でも繰り返し使える点です。

長谷川：水を無駄にせずに料理ができる。災害時は使える水が限られていますもんね。

今泉：そうなんです。1リットルの水があれば、それを1カ月使いまわすことができますよ。

長谷川：すごい。

今泉：食べたあとも袋を捨てれば洗い物が出ないですし、衛生的に食べられます。SDGsや環境のことを考えるとポリ袋を使うことに抵抗を感じる方もいらっしゃると思いますが、災害時は「衛生的に食べられること」がとても大切なんですね。封を開けたポリ袋は、食べ終わったあとにゴミ袋として使っていただくのもいいと思います。

長谷川：何事もバランスが大切ですよね。

今泉さんは普段からお湯ポチャ調理を活用しているそうだ。

今泉：足を骨折したときに1カ間お湯ポチャ調理生活をしました。お鍋を一度も洗わずに調理できました。

長谷川：へええ！

今泉：お水は蒸発するので少しずつ足していきます。すごくラクでした。

今泉さんは、もしものときのためにお湯ポチャ調理を日常に少し取り入れておくことをお勧めした。

今泉：災害が起こったときに備えて、普段からこの調理法に慣れておくのは大切かなと思います。

長谷川：わかりました。みなさんもこれを機にポリ袋、水、カセットコンロ、ガンボンベの備蓄をしていただければなと思います。そして、災害が起こる前に料理の練習をしましょう！　お湯ポチャ調理についてもっと知りたい方は、今泉さんの書籍をチェックしてください。

『START LINE』のワンコーナー「HIGASHIMARU SHOYU FROM MY KITCHEN」は、人気料理家・料理上手な方のキッチンとリモートで繋ぎ、「おいしいレシピ」を料理してもらう10分番組。放送は毎週金曜日の17時から。