アーティストが弾き語りで観客と真剣勝負を繰り広げる――。そんなイベントが、3月5日(土)〜6日(日)の2日間にわたり、東京・両国国技館とオンラインにて開催される。J-WAVEが主催する「J-WAVE TOKYO GUITAR JAMBOREE 2022 supported by 奥村組」(以下、ギタージャンボリー)では、計20組の実力派アーティストが、極上のギター弾き語りパフォーマンスを届ける。
2013年に始まり、今回で7回目の開催となる「ギタージャンボリー」。アーティストブッキングを手掛ける廣阪拓也(ひろさか・たくや)が、イベントの特徴やギター弾き語りならではの魅力、印象に残ったパフォーマンスなどを語った。
廣阪:J-WAVEでは、番組に出演してくれたミュージシャンがスタジオで生演奏を披露してくれることがよくあります。特に深夜枠ではアーティストが、自分の曲だったり、カバーだったりをギター1本で演奏する機会が多い。でも、番組内で予定されていなかったケースもあったりして、その場にいるスタッフも思わず感動してしまうことがあるんです。そんな偶然の中で生まれる素晴らしい時間をひとりでも多くの音楽好きに味わってほしくて、このイベントを開催しようと考えました。
――まさに音楽とリスナーの出会いを作るラジオ的な発想なんですね。しかしなぜ、両国国技館を会場に選んだのでしょう?
廣阪:僕の中で弾き語りライブは、アーティストとお客さんが対峙して、ある種、真剣勝負を繰り広げているようなイメージがあるんです。それだったら、普段は力士が真剣勝負を繰り広げている両国国技館でやればいいんじゃないかなって。土俵に見立てたセンターステージに、アーティストがギター1本持って上がっていくこの形は、イベントをスタートさせた2013年から変わっていません。元々、国技館はお相撲さんが立ち合いで体をぶつけ合ったときに、音がエコーするように設計されていて、そういった意味でもいわゆる普通のライブ会場とは異なる面があります。
――まさに相撲でいう土俵がステージで表現されている、アーティストを360°客席が取り囲む会場設計というのもおもしろい試みですよね。
廣阪:そうですね。ステージセットも当初は派手に天井からスピーカーを吊るすような案もあったんですけど、そうしたら新日本プロレスの会場のような雰囲気になってしまった(笑)。相撲のイメージを踏襲したかったから、国技館にあるスピーカーをそのまま使うことにしたんです。
――そんな偶然もあったんですね(笑)。
廣阪:もちろん音楽ライブに対応しているものではないんだけど、歌とギターだけなら独特のよさが生まれたという。バンドなんかが国技館でライブを開催すると、演奏する側は結構デッドなモニター環境だったりするんです。どうしても音が反響してしまうので難しい部分がある。しかし弾き語りでは“リバーブ感が気持ちいい”とほとんどの出演者が言ってくれるんです。シンプルなライブだからこそ、国技館という会場がうまくハマった気がします。
【関連記事】斉藤和義×竹原ピストル、両国国技館の音は…
廣阪:基本的に弾き語りで「すごい」「感動した」とオーディエンスを魅了できるようなアーティストを選んでいます。これまでは1日で6組程度に出演してもらっていたんですけど、今回からは10組に増やしました。基本的に出演してくれる皆さんは、弾き語りライブのプロ中のプロです。なので、たまに「このメンバーだとうちは無理ですね」と断られることもあります。
――そうそうたる顔ぶれを見て。
廣阪:そうですね。だからリハーサルから非常におもしろいです。
――なぜ今回出演者を増やしたのでしょうか?
廣阪:観客の皆さんはそれぞれ目当てのアーティストがいると思うんです。だけど、ライブ会場に足を運ぶことで、偶然好きな音楽と出会ってしまうことがあると思う。このイベントを行うきっかけにも似ているんですけど、その可能性を高めたかったんです。
――なるほど。
廣阪:例えば、布袋寅泰さんを観にきた人が、斉藤和義さんを好きになって帰るケースもあると思うんです。そのためには出演してもらうアーティストのライブ力も、ある一定のラインを超えてないといけないと思っていて。“チケットを売るために”というよりも、“どれだけすごい演奏をするか”に着目して、いつもお願いをしています。そういう意味ではJ-WAVEが保証するアーティストばかりなんです。
――とにかくブッキングに注力していると。
廣阪:僕らが生き抜いていくためにはそれしかないと思っています。“J-WAVEが選んだアーティストだからよかった”と参加した人に思ってもらうことが何よりも大切で、そうでないとこれからJ-WAVEはラジオ局としても生きていけないと思いますし、そういう意識は強く感じています。
――これまでステージに上がった、歴代アーティストの中で強烈に印象に残っていることは?
廣阪:コロナ禍になってしまってからはやれていないんですけど、以前は会場でお酒を飲むことができました。だから終盤になると、客席のみんなも酔っ払っているんですよ。2018年のイベントで、ハナレグミの永積タカシくんが「ここはまるで闘牛場だなぁ」と言っていて。
――あははは。
廣阪:ハナレグミのライブって感動しに来る人が多いと思うんですけど、そのときは「永積、歌え〜!」なんて声が客席から飛ぶくらい、明らかにいつもと異なる雰囲気だった。でもその声を受けて、永積くんは急遽セットリストを変えたんです。1曲目からコールアンドレスポンスで盛り上がるような曲を選び、会場を見事1つにしました。そのときに“やっぱりこの人はスゴいな”と思わされましたね。
――まさにプロ中のプロですね。コロナ前ということもあって、ものすごく懐かしい話にも感じてしまいます。
廣阪:そうですね。僕らもこのイベントを「音楽花見」なんて銘打っているし、お酒とセットで楽しんでもらうものだと思っているんです。そういう意味では以前と雰囲気は変わってしまいましたね。しっかりと感動を届けることが、開催する側の責任というか……あっ! 感動という言葉だと、2015年に出演してもらった玉置浩二さんはとにかくすごかった……!
――それは歌唱力が? 表現力が?
廣阪:なんと表現すればいいんだろう……うーん……圧?
――あははは(笑)。なんかわかる気がします。
廣阪:とにかくあの人は、本当に昔からすごいですよ。小田和正さんが「究極の歌は囁くように歌うこと」って仰っていたことがあったけれど、玉置さんってその“囁くような歌い方”が抜群に上手い人だと思うんです。声を張ったところから、突然囁くように歌ったり、本当に自由自在。それに合わせてギターもものすごく優しく奏でるし、あれは本当に圧巻の体験でしたね。
廣阪:初日にDedachiKentaくんが出演するんですけど、彼はこれまで当たり前とされていた“弾き語りのスタイル”を変える可能性を秘めているアーティストだと思います。日本人ミュージシャンなんですけど、海外の大学に通ったりしていて、英詞で滑らかに歌を表現できる存在。デジタル機材とのマッチングで楽しませてくれるかもしれないし、両国国技館から世間に広がっていくようなイメージで、出演してもらおうと思っています。
――もともと3年前にゲストアクトという形で演奏していますよね。
廣阪:そうですね。今年、満を持して出演者として出てもらうことになりました。それとカネコアヤノさんが昨年11月に東京・日本武道館単独公演をやりましたけど、すごくいいライブをしていました。彼女のパフォーマンスも見ものだと思います。
――最近ではサンプリングルーパーを使った多重録音の弾き語り演奏者も増えていますが、そういった方は?
廣阪:最近は秦(基博)くんも使っていますよね。中でもAnlyちゃんは結構、早い段階でルーパーを使い始めてパフォーマンスをしていたので、めちゃくちゃテクニックがあるんです。かなり迫力ある演奏が期待できるんじゃないかな。
【関連記事】秦 基博の弾き語りライブの「神々しい」ところとは? 亀田誠治が熱弁
――そういう意味では、新しい楽器や演奏方法との出会いの場にもなりますね。
廣阪:そうですね。客席の中で、やってみたいと思う人も出てくるんじゃないかな。“ここまでギター1本で表現できるんだ”と驚くと思います。2019年にAnlyちゃんに出演してもらったときは、クイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」を演奏していたけれど、あれもすごかったなぁ。
【関連記事】Anly、『ボヘミアン・ラプソディ』熱唱中に土俵ステージが回転し「えっ、今!?」
――今年出演される、斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN/XIIX)さんなんかも、多くのギターキッズが憧れる存在です。普段のバンドとは異なるパフォーマンスから何かを持ち帰っていく人がいるといいですよね。
廣阪:そうですね。楽器を弾いて歌うということは、単純なことなんだけど、すごく感動できるものなので、ライブを観た後に、お茶の水なんかに楽器を買いに行く人が出てきたらうれしいです。
――近年はボカロPなど、パソコン1つで音楽を表現するアーティストも増えてきていますけど、ギター1本で表現する弾き語りの魅力とはどんなところにあると思っていますか?
廣阪:やっぱり実演のよさですよね。自分でギターを弾いて歌うだけですから、言い換えるとテンポとか、タメの部分も、全部その場で決めることができる。そういう意味では心臓の鼓動とすごく似ていて、興奮したら上がっていくし、落ち着いたらゆっくりにもなる。ミュージシャンの心の内側をダイレクトに感じられるものだと思うんです。
――先ほどの永積さんの話じゃないですけど、その場の雰囲気でセットリストやアレンジを変えられるのも、弾き語りの魅力ですよね。
廣阪:そうですね。これは個人の主観ですけど、音楽っていろんな形があるけれど、みんなの前でシンプルに歌ったりすることが、本来の形なんじゃないかなと思うんです。一方で、ボカロPが作る音楽ももちろん素晴らしいですし、時代が移りゆく中で、表現方法は増えていくのは当然の流れだと思います。
廣阪:予想よりも反響がありました。10〜20くればいいかなと思っていたんですけど、数百の応募がきて。すごくレベルも高いです。最終オーディションの様子は3月4日(金)に配信で流します。会場も両国国技館を使いますし、僕自身も楽しみにしています。
――それこそ、近年の例だと、崎山蒼志さんのような弾き語りのニュースターが生まれる可能性を秘めてますよね。今回以降もオーディションは続けていきますか?
廣阪:やっていきたいですね。ミュージシャンの弾き語りライブのカテゴリーで言うと、割と有名なイベントになってきたと思うので、次はストリートなんかで演奏している子たちが、「『ギタージャンボリー』で演奏したい」とモチベーションになるような存在を目指していきたいです。そして崎山くんのような才能溢れるアーティストが出てきたら、すぐにその子と契約したいと思っています(笑)。<終>
今回の「ギタージャンボリー」はオンライン配信も行われる。各日2,200円で楽しむことができるので、会場に足を運べない人はぜひ配信で楽しもう。
(取材・文:中山洋平)
公演チケットおよびオンライン配信(ディレイ)視聴チケットは「ギタージャンボリー」公式サイトにて発売中。
公式サイト: https://www.j-wave.co.jp/special/guitarjamboree2022/
※チケットお申込みの前に、感染症対策ガイドラインを必ずご一読ください。
※オンライン配信はアーカイブ視聴・巻き戻し視聴はできません。
2022年3月5日(土)東京・両国国技館
OPEN 12:30 / START 14:00
<出演者>
斉藤和義、布袋寅泰、真心ブラザーズ、スガ シカオ、竹原ピストル、石崎ひゅーい、カネコアヤノ、竹内アンナ、小林私、DedachiKenta <全10組>
2022年3月6日(日)東京・両国国技館
OPEN 12:30 / START 14:00
山内総一郎(フジファブリック)、トータス松本、山崎まさよし、森山直太朗、秦 基博、岸田 繁(くるり)、木村カエラ、斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN/XIIX)、Anly、大橋トリオ&The Charm Park <全10組>
主催:J-WAVE
企画・制作:J-WAVE、J-WAVE MUSIC、DISK GARAGE
特別協賛:奥村組
協賛:清酒大関
後援:BS朝日/FM NORTH WAVE/ZIP-FM/FM802/CROSS FM
イベントHP:https://www.j-wave.co.jp/special/guitarjamboree2022/
公演に関わるお問い合わせ:DISK GARAGE 050-5533-0888(平日12:00~15:00)
2013年に始まり、今回で7回目の開催となる「ギタージャンボリー」。アーティストブッキングを手掛ける廣阪拓也(ひろさか・たくや)が、イベントの特徴やギター弾き語りならではの魅力、印象に残ったパフォーマンスなどを語った。
国技館という会場が弾き語りと上手くハマった
――まず「ギタージャンボリー」開催のきっかけを教えてください。廣阪:J-WAVEでは、番組に出演してくれたミュージシャンがスタジオで生演奏を披露してくれることがよくあります。特に深夜枠ではアーティストが、自分の曲だったり、カバーだったりをギター1本で演奏する機会が多い。でも、番組内で予定されていなかったケースもあったりして、その場にいるスタッフも思わず感動してしまうことがあるんです。そんな偶然の中で生まれる素晴らしい時間をひとりでも多くの音楽好きに味わってほしくて、このイベントを開催しようと考えました。
――まさに音楽とリスナーの出会いを作るラジオ的な発想なんですね。しかしなぜ、両国国技館を会場に選んだのでしょう?
廣阪:僕の中で弾き語りライブは、アーティストとお客さんが対峙して、ある種、真剣勝負を繰り広げているようなイメージがあるんです。それだったら、普段は力士が真剣勝負を繰り広げている両国国技館でやればいいんじゃないかなって。土俵に見立てたセンターステージに、アーティストがギター1本持って上がっていくこの形は、イベントをスタートさせた2013年から変わっていません。元々、国技館はお相撲さんが立ち合いで体をぶつけ合ったときに、音がエコーするように設計されていて、そういった意味でもいわゆる普通のライブ会場とは異なる面があります。
――まさに相撲でいう土俵がステージで表現されている、アーティストを360°客席が取り囲む会場設計というのもおもしろい試みですよね。
廣阪:そうですね。ステージセットも当初は派手に天井からスピーカーを吊るすような案もあったんですけど、そうしたら新日本プロレスの会場のような雰囲気になってしまった(笑)。相撲のイメージを踏襲したかったから、国技館にあるスピーカーをそのまま使うことにしたんです。
――そんな偶然もあったんですね(笑)。
廣阪:もちろん音楽ライブに対応しているものではないんだけど、歌とギターだけなら独特のよさが生まれたという。バンドなんかが国技館でライブを開催すると、演奏する側は結構デッドなモニター環境だったりするんです。どうしても音が反響してしまうので難しい部分がある。しかし弾き語りでは“リバーブ感が気持ちいい”とほとんどの出演者が言ってくれるんです。シンプルなライブだからこそ、国技館という会場がうまくハマった気がします。
【関連記事】斉藤和義×竹原ピストル、両国国技館の音は…
音楽との“偶然の出会い”を約束するラインナップ
――毎年、豪華な面々がラインナップされますが、どういう観点で出演アーティストを選んでいるのでしょうか?廣阪:基本的に弾き語りで「すごい」「感動した」とオーディエンスを魅了できるようなアーティストを選んでいます。これまでは1日で6組程度に出演してもらっていたんですけど、今回からは10組に増やしました。基本的に出演してくれる皆さんは、弾き語りライブのプロ中のプロです。なので、たまに「このメンバーだとうちは無理ですね」と断られることもあります。
――そうそうたる顔ぶれを見て。
廣阪:そうですね。だからリハーサルから非常におもしろいです。
3月5日(土)出演者:斉藤和義、布袋寅泰、真心ブラザーズ、スガ シカオ、竹原ピストル、石崎ひゅーい、カネコアヤノ、竹内アンナ、小林私、DedachiKenta <全10組>
3月6日(日)出演者:山内総一郎(フジファブリック)、トータス松本、山崎まさよし、森山直太朗、秦 基博、岸田 繁(くるり)、木村カエラ、斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN/XIIX)、Anly、大橋トリオ&The Charm Park <全10組>
廣阪:観客の皆さんはそれぞれ目当てのアーティストがいると思うんです。だけど、ライブ会場に足を運ぶことで、偶然好きな音楽と出会ってしまうことがあると思う。このイベントを行うきっかけにも似ているんですけど、その可能性を高めたかったんです。
――なるほど。
廣阪:例えば、布袋寅泰さんを観にきた人が、斉藤和義さんを好きになって帰るケースもあると思うんです。そのためには出演してもらうアーティストのライブ力も、ある一定のラインを超えてないといけないと思っていて。“チケットを売るために”というよりも、“どれだけすごい演奏をするか”に着目して、いつもお願いをしています。そういう意味ではJ-WAVEが保証するアーティストばかりなんです。
――とにかくブッキングに注力していると。
廣阪:僕らが生き抜いていくためにはそれしかないと思っています。“J-WAVEが選んだアーティストだからよかった”と参加した人に思ってもらうことが何よりも大切で、そうでないとこれからJ-WAVEはラジオ局としても生きていけないと思いますし、そういう意識は強く感じています。
――これまでステージに上がった、歴代アーティストの中で強烈に印象に残っていることは?
廣阪:コロナ禍になってしまってからはやれていないんですけど、以前は会場でお酒を飲むことができました。だから終盤になると、客席のみんなも酔っ払っているんですよ。2018年のイベントで、ハナレグミの永積タカシくんが「ここはまるで闘牛場だなぁ」と言っていて。
――あははは。
廣阪:ハナレグミのライブって感動しに来る人が多いと思うんですけど、そのときは「永積、歌え〜!」なんて声が客席から飛ぶくらい、明らかにいつもと異なる雰囲気だった。でもその声を受けて、永積くんは急遽セットリストを変えたんです。1曲目からコールアンドレスポンスで盛り上がるような曲を選び、会場を見事1つにしました。そのときに“やっぱりこの人はスゴいな”と思わされましたね。
【2018年の写真】ハナレグミ、ほろ酔いの会場を巻き込み大合唱! 国技館で生まれた温かい一体感(Photo by HAJIME KAMIIISAKA)
廣阪:そうですね。僕らもこのイベントを「音楽花見」なんて銘打っているし、お酒とセットで楽しんでもらうものだと思っているんです。そういう意味では以前と雰囲気は変わってしまいましたね。しっかりと感動を届けることが、開催する側の責任というか……あっ! 感動という言葉だと、2015年に出演してもらった玉置浩二さんはとにかくすごかった……!
――それは歌唱力が? 表現力が?
廣阪:なんと表現すればいいんだろう……うーん……圧?
――あははは(笑)。なんかわかる気がします。
廣阪:とにかくあの人は、本当に昔からすごいですよ。小田和正さんが「究極の歌は囁くように歌うこと」って仰っていたことがあったけれど、玉置さんってその“囁くような歌い方”が抜群に上手い人だと思うんです。声を張ったところから、突然囁くように歌ったり、本当に自由自在。それに合わせてギターもものすごく優しく奏でるし、あれは本当に圧巻の体験でしたね。
ミュージシャンの心の内側をダイレクトに感じられる
――今回もたくさんの著名ミュージシャンが出演されますが、若手の中で注目して欲しいアーティストがいたら教えてください。廣阪:初日にDedachiKentaくんが出演するんですけど、彼はこれまで当たり前とされていた“弾き語りのスタイル”を変える可能性を秘めているアーティストだと思います。日本人ミュージシャンなんですけど、海外の大学に通ったりしていて、英詞で滑らかに歌を表現できる存在。デジタル機材とのマッチングで楽しませてくれるかもしれないし、両国国技館から世間に広がっていくようなイメージで、出演してもらおうと思っています。
【2019年の写真】ブレイク必至の新人・DedachiKenta、メロウでポップな世界観で観客を魅了!(Photo by HAJIME KAMIIISAKA)
廣阪:そうですね。今年、満を持して出演者として出てもらうことになりました。それとカネコアヤノさんが昨年11月に東京・日本武道館単独公演をやりましたけど、すごくいいライブをしていました。彼女のパフォーマンスも見ものだと思います。
――最近ではサンプリングルーパーを使った多重録音の弾き語り演奏者も増えていますが、そういった方は?
廣阪:最近は秦(基博)くんも使っていますよね。中でもAnlyちゃんは結構、早い段階でルーパーを使い始めてパフォーマンスをしていたので、めちゃくちゃテクニックがあるんです。かなり迫力ある演奏が期待できるんじゃないかな。
【関連記事】秦 基博の弾き語りライブの「神々しい」ところとは? 亀田誠治が熱弁
――そういう意味では、新しい楽器や演奏方法との出会いの場にもなりますね。
廣阪:そうですね。客席の中で、やってみたいと思う人も出てくるんじゃないかな。“ここまでギター1本で表現できるんだ”と驚くと思います。2019年にAnlyちゃんに出演してもらったときは、クイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」を演奏していたけれど、あれもすごかったなぁ。
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【2019年の写真】Anly、Queen『ボヘミアン・ラプソディ』をギター1本でカバー! 意表をつくステージに1万人が興奮(Photo by HAJIME KAMIIISAKA)
廣阪:そうですね。楽器を弾いて歌うということは、単純なことなんだけど、すごく感動できるものなので、ライブを観た後に、お茶の水なんかに楽器を買いに行く人が出てきたらうれしいです。
――近年はボカロPなど、パソコン1つで音楽を表現するアーティストも増えてきていますけど、ギター1本で表現する弾き語りの魅力とはどんなところにあると思っていますか?
廣阪:やっぱり実演のよさですよね。自分でギターを弾いて歌うだけですから、言い換えるとテンポとか、タメの部分も、全部その場で決めることができる。そういう意味では心臓の鼓動とすごく似ていて、興奮したら上がっていくし、落ち着いたらゆっくりにもなる。ミュージシャンの心の内側をダイレクトに感じられるものだと思うんです。
――先ほどの永積さんの話じゃないですけど、その場の雰囲気でセットリストやアレンジを変えられるのも、弾き語りの魅力ですよね。
廣阪:そうですね。これは個人の主観ですけど、音楽っていろんな形があるけれど、みんなの前でシンプルに歌ったりすることが、本来の形なんじゃないかなと思うんです。一方で、ボカロPが作る音楽ももちろん素晴らしいですし、時代が移りゆく中で、表現方法は増えていくのは当然の流れだと思います。
才能溢れるアーティストが出てきたらすぐに契約したい
――今年は初めてのオーディションも開催されますね。廣阪:予想よりも反響がありました。10〜20くればいいかなと思っていたんですけど、数百の応募がきて。すごくレベルも高いです。最終オーディションの様子は3月4日(金)に配信で流します。会場も両国国技館を使いますし、僕自身も楽しみにしています。
――それこそ、近年の例だと、崎山蒼志さんのような弾き語りのニュースターが生まれる可能性を秘めてますよね。今回以降もオーディションは続けていきますか?
廣阪:やっていきたいですね。ミュージシャンの弾き語りライブのカテゴリーで言うと、割と有名なイベントになってきたと思うので、次はストリートなんかで演奏している子たちが、「『ギタージャンボリー』で演奏したい」とモチベーションになるような存在を目指していきたいです。そして崎山くんのような才能溢れるアーティストが出てきたら、すぐにその子と契約したいと思っています(笑)。<終>
今回の「ギタージャンボリー」はオンライン配信も行われる。各日2,200円で楽しむことができるので、会場に足を運べない人はぜひ配信で楽しもう。
(取材・文:中山洋平)
公演チケットおよびオンライン配信(ディレイ)視聴チケットは「ギタージャンボリー」公式サイトにて発売中。
公式サイト: https://www.j-wave.co.jp/special/guitarjamboree2022/
※チケットお申込みの前に、感染症対策ガイドラインを必ずご一読ください。
※オンライン配信はアーカイブ視聴・巻き戻し視聴はできません。
2022年3月5日(土)東京・両国国技館
OPEN 12:30 / START 14:00
<出演者>
斉藤和義、布袋寅泰、真心ブラザーズ、スガ シカオ、竹原ピストル、石崎ひゅーい、カネコアヤノ、竹内アンナ、小林私、DedachiKenta <全10組>
2022年3月6日(日)東京・両国国技館
OPEN 12:30 / START 14:00
山内総一郎(フジファブリック)、トータス松本、山崎まさよし、森山直太朗、秦 基博、岸田 繁(くるり)、木村カエラ、斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN/XIIX)、Anly、大橋トリオ&The Charm Park <全10組>
主催:J-WAVE
企画・制作:J-WAVE、J-WAVE MUSIC、DISK GARAGE
特別協賛:奥村組
協賛:清酒大関
後援:BS朝日/FM NORTH WAVE/ZIP-FM/FM802/CROSS FM
イベントHP:https://www.j-wave.co.jp/special/guitarjamboree2022/
公演に関わるお問い合わせ:DISK GARAGE 050-5533-0888(平日12:00~15:00)
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