プロレスラー・武藤敬司、今後の夢は「蝶野と引退試合をしたい」

プロレスラーの武藤敬司が、自身の過去や今後の夢について語った。

武藤がこのトークを繰り広げたのは、J-WAVEで放送中の『Mercedes-Benz THE EXPERIENCE』(ナビゲーター:スガ シカオ)。その時代、その場所で、どんな音楽を聴きたいか―――時代を越えて、国境を越えて、ナビゲーターのスガ シカオが旅好き・音楽好きのゲストと共に音楽談義を繰り広げる、空想型ドライブプログラムだ。

2月13日(日)のオンエアで、武藤がゲストとして登場した。

年間300試合! ダブルヘッダーも

スガはプロレスファンということもあり、武藤のゲスト出演に緊張している様子。この日、武藤が空想ドライブのテーマにしたのは「1980年代のアメリカ」だった。

武藤:やっぱり俺の原点でもある1980年代のアメリカです。俺は84年にデビューして85年にもうアメリカ行ってるんです。

スガ: 1年後にもう行っちゃってるんですね。何度も行ってますよね。

武藤:いまだにオファーが来てますね。

スガ:向こうでもメチャクチャ人気、スーパースターですよね。向こうでの興行ってすごい過酷じゃないですか。

武藤:WCWという当時メジャー団体があって、俺はそこで働いていたことがあるんですけど年間300試合しましたからね。土日はダブルヘッダーですから。

スガ:ええ!? 場所は同じ?

武藤:変えます。

スガ:えー!

武藤:車で移動して。だから昼どこかで試合してまた車でちょっと走って夜違う町で試合とか。

スガ:ムチャクチャしますね。

武藤:そのおかげできっと膝も壊れたんですよ。

スガ:やりすぎで。

武藤:ムーンサルトプレスって俺の専売特許の技があるんですけど。

スガ:あれは(膝に)よくないですよ、確かに。

武藤:その300試合のときに、あれが俺のトレードマークだから毎回飛ばなくちゃいけなくて膝が壊れたという。

スガ:そりゃ、しょうがないですけどねえ……。

武藤:2018年ぐらいに人工関節の手術をしてですね。そこから膝はもうそんなに痛くない。

スガ:そんなにって! 人工関節入ってますから痛くないとかそういうことじゃなくて。

武藤:俺はガキのころに仮面ライダーになりたかったんですよ。それで親戚のおばさんに「俺仮面ライダーになりたいんだ」って言ったら「敬司、市立の病院に行ったら改造人間にしてくれるよ」って。

スガ:(笑)。

武藤:だから4、5年前に夢が実現して、仮面ライダーに近づきました。

スガ:やめてくださいよ、そういうネタ! 自虐ネタやめてください(笑)。

武藤:(笑)。

武藤は1曲目のドライブミュージックに坂本 九の『上を向いて歩こう』をリクエスト。当時の試合後、地平線しか見えないテキサスの夜道を1人でドライブしているときにラジオから流れてきた曲なのだという。

武藤:そのときのシチュエーションに感動したんです。

スガ:すごくいい話ですね。え? 興行って自分で運転するんですか。

武藤:アメリカはそうです。

スガ:だって、けっこうコテンパンにされるときもあるじゃないですか。

武藤:そうそう。俺ダラスに住んでたんだけど5、6時間かかるんですよ。

スガ:行くだけで?

武藤:それで試合に負けて、ふてくされて帰りに寂しいなか、1人でドライブしているなか、ラジオからこの曲が流れたときは本当に感動しました。

スガ:しかも当時は『SUKIYAKI』という名前には変わっていたけど、この日本語のバージョンがそのままラジオから流れていたわけですもんね。それはすごい話ですね。

武藤:いまだに思い出すとなんか……歌の力もすごいよなあ、パワーもらったよなあ。

武藤の夢は「蝶野と引退試合をしたい」

武藤がどのようなレスラー人生を送ってきたのか。スガは「Hi, Mercedes」と話しかけるだけで起動する対話型インフォテイメント・システム「MBUX」に尋ねた。

MBUX:武藤敬司さんは山梨県富士吉田市出身。学生時代は抜群の運動神経が評判で柔道部で活躍。1984年21歳のときに、のちに“闘魂三銃士”となる蝶野正洋、橋本真也と同時に新日本プロレスに入門。同年10月に蝶野選手を対戦相手にデビューを飾ります。翌85年11月には初の海外遠征に出発。初めてのタイトルとなるフロリダヘビー級王座を奪い取りました。88年からの海外遠征では、ザ・グレート・カブキの息子という設定のグレート・ムタとしてヒールのポジションで活躍。90年の凱旋帰国後はトップレスラーとして全盛期を迎え、IWGP王座、G1 CLIMAX優勝、プロレス大賞MVPなど、数々の栄冠に輝きます。その後アメリカの団体のWCWでの活動を経て、国内復帰してからはスキンヘッドにイメージチェンジ。全日本プロレスへの移籍と退団。フリーランスを経て2021年1月にプロレスリング・ノアの入団を発表。丸藤正道選手とのタッグでGHCタッグ王座を獲得。史上2人目のメジャー3団体のシングル王座とタッグ王座を完全制覇した選手となりました。

スガ:すごいですよねえ。デビュー戦は蝶野さんだったんですよね。

武藤:そうですよね。

スガ:すげえ。

武藤:いまひとつの夢があってですね。たぶん、いつかは引退しないといけないじゃないですか。蝶野もまだ引退はしてないんですよ。

スガ:え、そうなんですか?

武藤:フェードアウトはしてるんだけど。いまも腰が悪くて杖をついたりもしていて、リハビリとか頑張ってるんだけど、俺は蝶野と引退試合をしたいっていうのはひとつの夢でもあるんです。デビューが一緒で、いまだかつてそんなレスラーいないから。

スガ:デビューと引退が一緒の人と! それは実現したらすごいなあ。でも引退はまだまだしないでくださいね(笑)。

武藤:はい、まだもう少し頑張りますよ。

プロレス文化の違い

アメリカはもちろん海外での試合経験も豊富な武藤。地域によってのプロレス文化の違いについても言及した。

武藤:アメリカなんて強けりゃ強いほど、デカけりゃデカほどいいというスタイルで。アメリカはそういう感覚なんですよ。

スガ:強いやつが一番。

武藤:そうそう。ただ、今度はメキシコは「柔よく剛を制す」みたいな感覚があったりするんです。ちょっと日本に近い。

スガ:へー! メキシコは技巧派なイメージがあります。

武藤:プロレスのスタイルは違うけど、その感性とかはもしかしたら日本人と近いかもしれないですね。

スガ:ヨーロッパはそういうのはあるの?

武藤:昔キャッチというプロレスがあったんだけど、ラウンド制なんですよ。クソ真面目で面白くない地味なプロレスやっているんですよ。

スガ:え? ちょっと待って。3分とかで1回仕切るってこと? プロレスを?

武藤:昔はそういう文化があって。

スガ:すげー! それ調子崩れちゃいますね。

武藤:1回やったことあるんだけど、こうやって手をとられて「いてて」ってタップしたら、ギブアップで負けにされちゃうんですよ。いつものクセでやっちゃうから、それだけ気をつけながら試合した記憶がありますよ(笑)。

スガ:すごい思い出ですね(笑)。

強い対戦相手、思い出の試合…スガが質問

武藤は最後のドライブミュージックに現在所属しているプロレス団体ノアが2022年1月1日の武道館の興行した際のイメージソング、ファンキー加藤の『VOYAGE』をリクエスト。スガはいちプロレスファンとして2つの質問をぶつけた。

スガ:いままで戦ったなかで「こいつは本当に強いな」って思った対戦相手は?

武藤:本当のスーパースターってやっぱりハルク・ホーガンですよ。

スガ:はー!

武藤:日本人が思っているハルク・ホーガンとスケールが違います。プロレスラーって腕力とかだけじゃないじゃないですか。どれだけの人に影響力を与えるかというのも重要な使命のなかで、アメリカに行ったらハルク・ホーガンの家族の1日を追っている番組があったりとかさ。

スガ:そうなんですね。ハルク・ホーガンこそ俺テレビのなかでしか観たことないから、どのくらいすごい、デカかったのかとかも全然覚えてないですね。

武藤:デカいですよ。デカいし、俺は意外と何回も試合もやってるんですけど、やっぱり日本的な技術も意外とうまかったりするんです。

スガ:腕力だけじゃなく。

武藤:昔、新日本で長期にわたって仕事していたときがあるから。あとロックですね、ドウェイン・ジョンソン。

スガ:あー!

武藤:あいつ俺のプロレス技パクってんだから。

スガ:(笑)。

武藤:ピープルズ・エルボーっていうのは俺の技ですから。俺本人に言ったことあるかな「ロイヤリティよこせ」って(笑)。

スガ:スゲー面白いな。もう1つ、質問いいですか? 一番思い出に残ってる1試合ってあります?

武藤:やっぱりさっきの話の延長で、レスラーってどれだけの影響を与えるのかも重要なポイントであって、そういうことを振り返ると1995年にやった東京ドームの高田延彦戦。あの対抗戦はいまだにみんなが語ってくれたりするから。

スガ:あのときってなにを考えてたんですか?

武藤:意外とそれまでってアメリカに行ったり日本に行ったりとか、どことなくフリーランサーというか、自分のことだけ考えて試合していたけど、あのとき始めて新日本という看板を背負わされたというか。そういう重さというのを感じて試合しましたね。

スガ:高田戦がやっぱりそうなんですね。本当にいろいろな伝説的な試合をやってきてらっしゃいますもんね。

武藤:そのときは新日本の看板を背負ってやったんだけど、今年の1月8日はノアと新日本が全面戦争で、今度はノアの看板を背負って新日本と戦ってますから。

スガ:(笑)。

武藤:これもひとつの流れというか。

スガ:それこそ全部の団体に行ったり来たりしていますからね、元所属の団体とやり合うというのが出てきちゃいますよね。

スガが空想ドライブをナビゲートする『Mercedes-Benz THE EXPERIENCE』のオンエアは、毎週日曜21時から。
radikoで聴く
2022年2月20日28時59分まで

PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

番組情報
Mercedes-Benz THE EXPERIENCE
毎週日曜
21:00-21:54

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