松山ケンイチ「触ったことのない感覚だった」獣皮をアップサイクルするブランドを立ち上げた経緯

俳優の松山ケンイチが、二拠点居住や自身のブランド「momiji」について語った。

松山が登場したのはJ-WAVEで放送中の番組『Diamond head ETHICAL WAVE』(ナビゲーター:坂口真生、豊田エリー)。2月12日(土)のオンエアでは、坂口が松山に現在の暮らしぶりや彼の立ち上げたブランドについて話を訊いた。

このトークは、radikoで2月19日(土)まで再生可能。

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実体験をしながら野菜づくり

松山は都会と地方の二拠点居住を始めて3年以上。「半分半分で仕事とのバランスを取りながらやれたらいいな」という感覚で始めた二拠点居住は、「家族全員そろって半分半分」というわけではないものの、松山自身は「半分半分」くらいのペースで行き来をしているという。現在は試行錯誤しながらの野菜づくりもしているのだとか。

松山:子どもの意志とかも尊重していくなかで、半々というのが難しくなってきて。なので基本的には僕は半々みたいな感じですね。本当は家族もみんなで半々にしたかったんですけど。

坂口:それはなかなかね。

松山:そうなんですよ。だからいま単身赴任をやってます。ただそうなると、子どもとそのときしかすごせない瞬間みたいなものを逃しているわけだから、それはちょっとマズいなと思って。これからまたどういう生活のリズム、ペースをしていくかというのは考えないといけないなと思っています。

坂口:ご自身で畑の作業もされているということなんですが、野菜作りを始めたときには最初は知識はなかったわけですよね。実際にやってみてどうですか?

松山:自分の祖父が農業やっていたので、子どものころから見ていたというのはあるんです。とりあえず一番最初は『はなさかじいさん』みたいに、種を土の上に投げるというところから始めました。全然耕しもせずに。

坂口:実際にまいたんですか?

松山:そうですね、いろいろな種を混ぜてボーンと投げて。それでできるのかどうか? というところから始めました。そうしたらできましたからね。

坂口:混ぜてるから、なにが出てきたのかも?

松山:「この草はなんの野菜なんだ?」とかわからないんです。引っぱったら小指の先っちょぐらいの小さいニンジンがあったりとか(笑)。たぶん耕してないので、下までいけないんですよね、(土が)硬いから。「耕す」ということが必要なんだということもわかりました。そういう感じで地道に遊んでます。

坂口:新しいことだらけな感じですね。

松山:いろいろなことってたぶんすぐ、インターネットだとか本とかで答えがあるわけだから、それに沿ってやればある程度のものはできると思うんです。ただ、誰かに教えてもらうこと以外に自分の実体験として持っておくことというのも必要かなと思って、そういうやり方でやってます。

アップサイクルを目的とした「momiji」

松山は今年、捨てられゆく鹿、猪、羊、熊などの獣皮のアップサイクルを目的としたファッションブランド「momiji」のInstagramアカウントを開設。ブランドを立ち上げた経緯について語った。

松山:東京じゃないところでは、害獣駆除という、畑にくる鹿や熊、猪だったりを捕獲することをハンターさんがやられているんです。それに僕もいま参加させていただいているんです。

坂口:何年前ぐらいから?

松山:3年ぐらいやっています。そのなかで肉の利活用ということを僕のハンターの師匠がずっとやられていて。肉もすごくおいしいんですが、皮は利活用していなかったんです。「なんで皮は使わないんですか?」って聞いたら「すごくこれは大変なんだ」と。コストの部分もあるし、赤字になっちゃうという話を訊いていて。いろいろ調べてみると、タンナーというなめし業者さんにお願いするときに、最低ロットというのがあるんです。それが50枚とか100枚とかなので、1人のハンターができるものじゃない。しかも1日1頭とか2頭とか捕獲するのが精いっぱいな状態のなかで、原皮というのは生ものですから、どんどん腐っていくんです。腐っていくと皮としては使えなくなる、それを50枚100枚と集めるのが難しいというので「こういう壁があるから難しいんだな」と。そう思っていたときに、「やさしい革」という社団法人が「MATAGIプロジェクト」という、ハンターから1枚からでもなめしてお戻しします、という活動をされていることを知って、初めてなめし依頼をしてみたんです。

坂口:ご自身でさばいたものの皮をお願いしたと。

松山:それでできあがった皮がすごく柔らかくて、いままで触ったことのない感覚だったんです。「これでなんかいろいろ作れるじゃん」という話になって、それが一番最初のきっかけなんですよね。

“投票”してもらえるものづくり

松山は獣の皮のアップサイクルを目的とした「momiji」について、今後の展開や想いについて語った。

松山:まだ全然見えない部分もたくさんありますが、いま本当に持ちたいもの、お金を使いたいものはなんなんだろうか? と考えてきている方がたくさん増えてきていますので、そういう人たちに対して“透明感”のある製品を提供できればなと思っているんです。買い物をするお金というのは“投票券”じゃないですか。

坂口:おっしゃる通りです。

松山:投票していただけるようなものづくりをしたいなと。すべて国産のもので、獣も結局日本に住んでいるし、なめしも国内でやりますし、それこそ埋もれてしまっている伝統的な文化や技術、工芸だったりとか、そういうものもたくさんあるので、うまく一緒に盛り上がっていけたらいいなと思ってます。

坂口:感動しているのは、いまおっしゃっていただいたことは僕らが専門でやっている「エシカル消費」とか「サステナブルファッション」の真髄なんです。ものを通じて背景に想いを馳せてみる、ということをずっと言っているんです。透明性というのも、英語で「transparency」という、ブランドがすごく大事にしていること。「やっぱりわかった上で選びたいよね」という人が本当に増えています。そうじゃない複雑な流通になっちゃったからこそ、知らず知らずのうちに地球とかに負担をかけているものを知らないで選んでいる、という状態があると思うんです。なのですごくグッときました。

松山が手がける「momiji」は2月17日(木)から東京の新宿住友ビル三角広場にて初開催となる、ファッション・ビューティー・アート・インテリア・エシカルなど総勢約120組のブランドやアーティストが展示、販売をするイベント、『NEW ENERGY(ニューエナジー)』での発表、展示することが決定している。

坂口:どんな感じでみなさんに見ていただきたいですか?

松山:まずは知ってもらうということですね。結局なかなか「ジビエの肉」ということ自体が、まだそれほど大きくないというか、認知されていない状態というのもあるんです。さらにその皮ということで、ほとんどの人が知らないと思うんです。なので、まずは「この肉はどこからきたの?」というを『NEW ENERGY』のブースでまず知っていただければなと思います。

松山ケンイチにとって豊かな暮らしとは?

最後に松山は自身にとっての「豊かな暮らし」について語った。

松山:「心が動いている状態」というのがある生活です。やっぱりどうしても、忙しすぎて心を動かさないほうが楽なときってないですか。

坂口:深いです。

松山:ゆとりがないと心って動かせないし、もちろん健康じゃないとダメだし、すべてに関わってくる問題なんです。僕がやっている俳優の仕事も心を動かす仕事なので、僕の心が死んでしまっていたら結局キャラクターの心も死ぬんじゃないかと思いますし、それを観ている方たちの心を動かすこともできないんじゃないか、というのを最近考えているんです。なのでまずは心を活き活きさせるというか、そういう生活をしていくことが、いま大事なんじゃないかと思っています。

坂口:居住の話だったり、この新しいファッションブランドだったりと、動いていること自体がいまの言葉につながっているなと思いました。ありがとうございます。

松山:ありがとうございます。

「momiji」の展示もされるイベント『NEW ENERGY』の最新情報は、公式サイトまで。

『Diamond head ETHICAL WAVE』は3年先の生き方を探るエシカルな60分。放送は毎週土曜日18時から。
radikoで聴く
2021年2月19日28時59分まで

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番組情報
Diamond head ETHICAL WAVE
毎週土曜
18:00-18:54

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