音楽プロデューサー/ベーシストの亀田誠治と中島美嘉が、J-WAVEで対談。中島美嘉のアコースティック・カバーアルバム『Piano & Voice』シリーズの第3弾『MESSAGE ~Piano & Voice~』を聴きながら、楽器が少ないライブの良さを語り合った。また、自身の歌声についてどう思ってきたかを亀田が質問した。
二人が対談したのは、亀田がナビゲートする番組『SPRING VALLEY MY CRAFT TIME』(月曜~木曜 21:50-22:00)。毎週ゲストが1枚のアルバムを携えて登場。キリンのクラフトビール「スプリングバレー 豊潤<496>」を亀田と飲みながら、音楽やライフスタイル、こだわりなどを語る番組だ。
【オンエア日:2021年12月20日から12月23日】
亀田:いいタイトルですねえ。これ、今の時代、響くんじゃないですか? タイトルだけで僕はキュンとします。この『Piano & Voice』シリーズは3枚目。始めるきっかけはどんなところにあったんですか?
中島:もともと、ピアノとベースと歌だけのライブをやっていたんですが、それを形に残したいとみなさんが言ってくださったんです。
亀田:ということは、ライブが先だったんですね。声の力や少ない音数の隙間からいろんな表情が見えてきますよね。ライブで音数が少なくなる瞬間ってすごく素敵で、人のライブに行っても「弾き語りコーナー、早く来い!」とか思っちゃうんですよ。
中島:私も思いますし、歌うときにも思います。もちろん派手なのも楽しいんですけど、アコースティックや弾き語り……いや、私、弾かないわ(笑)。
亀田:弾かれ語り(笑)?
中島:弾かれ語りをするときに(笑)、「あっ、次は弾かれ語りのコーナーだ」と思って安心したり、さらに気持ちが入ったりしますね。
亀田は、中島の選曲にも注目する。
亀田:今回、アルバムを聴かせていただいて、引き算の美学を感じました。一番自分のこだわった歌詞や声の響きを出して歌ってるんじゃないかと感じたんですけど、合ってます?
中島:合ってます!
亀田:アルバムの選曲が面白いんですよ。ご自分で選ばれたんですか? 時代もジャンルも、本当に幅広じゃないですか。バンドもあればソロもあって。これは、今までにどこかで美嘉さんが出会ってきた音楽なんですか?
中島:そうですね。好きでずっと聴いていた曲などを選ばせていただきました。
亀田:最強だ、それは。
中島:ちょっと意外かもしれませんが、欅坂46の『不協和音』などもあります。
亀田:ピアノに河野 伸。ギターには、僕もいつも一緒にやっている石成正人さん。ベースに海老沼崇史さん、チェロに徳澤青弦さん。もう、名うてばかり。ハートも腕もスキルも全部持っているミュージシャンの集まりですよ、これは!
中島:そうなんです。心がある人たちばっかりなので、私はいつも「神々が集まった」って言っているんですけど(笑)。神々の中で歌うの、すごい大変なんですよ。
亀田:どういうこと?
中島:神様の中で歌っている気持ちになるんです。こだわりの強い神様たちが私の歌を聴きながらフォーカスしていっているのがわかるので、自分も声を音のように使っていかないといけなくて。それはすごく楽しいけど、「わーっ」って緊張することもでもあるし。
亀田:ちゃんとアレンジされた通常の音源も素敵なんですけど、こういう編成で聴くと、本当に声が楽器なんだなって感じるんですよ。
中島:よかったです……。
亀田:ちょっとした響きが節回しによって変わったりとかね。そこを美嘉さんはすごく丁寧に歌ってらっしゃいますよね。一筆書きの美学みたいなものを感じます。
中島:そうですね、全員で「せーの」で録りました。
亀田:いやあ、素敵ですねえ。
亀田:平成を代表する冬の歌である『雪の華』も僕は大好きなんですけど、「THE FIRST TAKE」バージョンの『僕が死のうと思ったのは』が収録されていますね。みなさん見ましたか? 「THE FIRST TAKE」は僕も出演したことがあるんですけど、独特の雰囲気があるじゃないですか。どんな感じで臨んだんですか?
中島:「THE FIRST TAKE」の収録は、スタジオのドアを開けたらもう誰も何もしない状態ですよね。でも、いつもそうなんです。特にこの『MESSAGE ~Piano & Voice~』のときはずっとそうで、私が合図を出したらみんながせーので弾き出すんです。だから緊張はしたけど、「まあ、いつもの通りやろうね」と3人で話していました。リハもほとんどしなかったんです。
亀田:映像では顔は映らないんだけど、演奏メンバーは、河野 伸さんと……?
中島:海老沼さんです。
亀田:じゃあやっぱり、気心知れたメンバーの最小単位ですね。美嘉さんが目線や手で合図を出すシーンが、カッコよくてねえ。
中島:(笑)。私のクセですね。
亀田:音楽って本当に呼吸で、人と人が作り上げるものなんだって、映像を見たみなさんは思っているんじゃないでしょうか。
亀田:そもそも、僕と美嘉さんが出会ったのって、いつか覚えてます?
中島:初めて会ったときですか? ……覚えてないです。
亀田:覚えてないですか? 「ap bank Fes」のステージだったと思うんです。僕がベーシストとして出ていて。
中島:えっ!? あのときですか!? あれが初めてですか!?
亀田:はい。あれが初めてだったと思います。『雪の華』がリリースされて、「夏のフェスなのに冬の歌で恐縮です」みたいなことをおっしゃっていて。
中島:言いましたね(笑)。
亀田:僕はとにかく『雪の華』の素晴らしさにシビれていました。吟遊詩人的な、自分の声を楽器として、心を込めてひとつ先の誰かに向けて歌っているような歌で。あれからずっと美嘉さんの歌を追いかけています。やっぱり声が素晴らしいんですよね。
しかし、「自分の声をどう感じているか?」という亀田の質問に、中島は意外な言葉で答える。
中島:ずっと聴いているので、やっと好きにはなりました。
亀田:ん? 「やっと」というのは、好きになれない時期もあったんですか?
中島:そうですね。「もうちょっと、もうちょっと……もうちょっといい響きが出ないかな」みたいな葛藤はずっとありました。
亀田:そういった「声を使って表現していく」という想いのようなものが、美嘉さんの歌にはどの曲にも詰まっている感じがします。歌う場所によって自分の声の感じ方が変わって「う~ん、今日は……」みたいなこともあるんですか?
中島:あります。でも、そんなに敏感じゃないかもしれないですね。リハですっごい気にしてたとしても、歌い出すと「もう歌っちゃえ!」ってなって、気にならないかも。
亀田:このツアーは、アルバム『MESSAGE ~Piano & Voice~』とシンクロするんですか?
中島:そうですね。
亀田:楽器はピアノとベースだけでしょ? 少ない選択肢だからこそ、最高の響きが得られるよね。
中島:そうなんですよね。だから、どうやって飽きないでいてもらうか、みたいなことも楽しく考えることができるんですね。ベースもウッドベースしか使わないので、本当に3つの楽器だけ。似たようなことをやると自分も飽きてくるし、2~3回来てくれるお客さんもいるので、歌い方も毎回ちょっとずつ変えてみようかなと考えています。
亀田によると、少しずつ変わる中島のボーカルアプローチに対して演奏メンバーがどのように対応していくかが、このツアーの見どころのひとつだという。
中島:私、急に歌わなくなるときがあるんですよ。
亀田:どういうことですか(笑)?
中島:曲間で「ちょっと伸ばそうかな」とか「ちょっとタメようかな」とか。
亀田:ああ、間合いをね。
中島:そうです。で、いつも「あっ、やっちゃった」って思うんです。前もって言っていないから。それなのに、2人ともちゃんと止まってくれるんですよ。「ごめんね……」と思いつつ歌い出すんですけど、合図をしなくても弾き出してくれるんです。
亀田:すごい。素晴らしいですね。本当に音で会話していて、そこから生まれる波動を聴くお客さんは、それはもう細胞が生まれ変わって素敵な時間になりますね。
中島:そうなったら嬉しいです。
亀田:本当に、来年のツアーを楽しみにしています。僕、どっかで見に行きたいかも。このメンバー大好きだし。
中島:ぜひー! よろしくお願いします!
■『SPRING VALLEY MY CRAFT TIME』公式ページ
https://www.j-wave.co.jp/original/mycrafttime/
11日の放送:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220111215000
12日の放送:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220112215000
13日の放送:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220113215000
(いずれもオンエア開始後から再生可能)
<編集:ピース株式会社/構成:山田宗太朗>
二人が対談したのは、亀田がナビゲートする番組『SPRING VALLEY MY CRAFT TIME』(月曜~木曜 21:50-22:00)。毎週ゲストが1枚のアルバムを携えて登場。キリンのクラフトビール「スプリングバレー 豊潤<496>」を亀田と飲みながら、音楽やライフスタイル、こだわりなどを語る番組だ。
【オンエア日:2021年12月20日から12月23日】
亀田が中島のアルバムに感じた「引き算の美学」
まずはビールで乾杯。リラックスした雰囲気の中、カバーアルバム『MESSAGE ~Piano & Voice~』について深堀りしていく。亀田:いいタイトルですねえ。これ、今の時代、響くんじゃないですか? タイトルだけで僕はキュンとします。この『Piano & Voice』シリーズは3枚目。始めるきっかけはどんなところにあったんですか?
中島:もともと、ピアノとベースと歌だけのライブをやっていたんですが、それを形に残したいとみなさんが言ってくださったんです。
亀田:ということは、ライブが先だったんですね。声の力や少ない音数の隙間からいろんな表情が見えてきますよね。ライブで音数が少なくなる瞬間ってすごく素敵で、人のライブに行っても「弾き語りコーナー、早く来い!」とか思っちゃうんですよ。
中島:私も思いますし、歌うときにも思います。もちろん派手なのも楽しいんですけど、アコースティックや弾き語り……いや、私、弾かないわ(笑)。
亀田:弾かれ語り(笑)?
中島:弾かれ語りをするときに(笑)、「あっ、次は弾かれ語りのコーナーだ」と思って安心したり、さらに気持ちが入ったりしますね。
亀田は、中島の選曲にも注目する。
亀田:今回、アルバムを聴かせていただいて、引き算の美学を感じました。一番自分のこだわった歌詞や声の響きを出して歌ってるんじゃないかと感じたんですけど、合ってます?
中島:合ってます!
亀田:アルバムの選曲が面白いんですよ。ご自分で選ばれたんですか? 時代もジャンルも、本当に幅広じゃないですか。バンドもあればソロもあって。これは、今までにどこかで美嘉さんが出会ってきた音楽なんですか?
中島:そうですね。好きでずっと聴いていた曲などを選ばせていただきました。
亀田:最強だ、それは。
中島:ちょっと意外かもしれませんが、欅坂46の『不協和音』などもあります。
「神々」の中で歌う楽しさと大変さ
アルバムに参加している演奏メンバーは、亀田・中島ともに気心の知れたミュージシャンなのだという。亀田:ピアノに河野 伸。ギターには、僕もいつも一緒にやっている石成正人さん。ベースに海老沼崇史さん、チェロに徳澤青弦さん。もう、名うてばかり。ハートも腕もスキルも全部持っているミュージシャンの集まりですよ、これは!
中島:そうなんです。心がある人たちばっかりなので、私はいつも「神々が集まった」って言っているんですけど(笑)。神々の中で歌うの、すごい大変なんですよ。
亀田:どういうこと?
中島:神様の中で歌っている気持ちになるんです。こだわりの強い神様たちが私の歌を聴きながらフォーカスしていっているのがわかるので、自分も声を音のように使っていかないといけなくて。それはすごく楽しいけど、「わーっ」って緊張することもでもあるし。
亀田:ちゃんとアレンジされた通常の音源も素敵なんですけど、こういう編成で聴くと、本当に声が楽器なんだなって感じるんですよ。
中島:よかったです……。
亀田:ちょっとした響きが節回しによって変わったりとかね。そこを美嘉さんはすごく丁寧に歌ってらっしゃいますよね。一筆書きの美学みたいなものを感じます。
中島:そうですね、全員で「せーの」で録りました。
亀田:いやあ、素敵ですねえ。
「THE FIRST TAKE」収録の様子は?
話題は収録曲『僕が死のうと思ったのは』と、中島が出演した「THE FIRST TAKE」へと移っていく。中島:「THE FIRST TAKE」の収録は、スタジオのドアを開けたらもう誰も何もしない状態ですよね。でも、いつもそうなんです。特にこの『MESSAGE ~Piano & Voice~』のときはずっとそうで、私が合図を出したらみんながせーので弾き出すんです。だから緊張はしたけど、「まあ、いつもの通りやろうね」と3人で話していました。リハもほとんどしなかったんです。
亀田:映像では顔は映らないんだけど、演奏メンバーは、河野 伸さんと……?
中島:海老沼さんです。
亀田:じゃあやっぱり、気心知れたメンバーの最小単位ですね。美嘉さんが目線や手で合図を出すシーンが、カッコよくてねえ。
中島:(笑)。私のクセですね。
亀田:音楽って本当に呼吸で、人と人が作り上げるものなんだって、映像を見たみなさんは思っているんじゃないでしょうか。
2人の出会いと、中島美嘉の葛藤
亀田と中島の出会いについて、2人は次のように回想する。亀田:そもそも、僕と美嘉さんが出会ったのって、いつか覚えてます?
中島:初めて会ったときですか? ……覚えてないです。
亀田:覚えてないですか? 「ap bank Fes」のステージだったと思うんです。僕がベーシストとして出ていて。
中島:えっ!? あのときですか!? あれが初めてですか!?
亀田:はい。あれが初めてだったと思います。『雪の華』がリリースされて、「夏のフェスなのに冬の歌で恐縮です」みたいなことをおっしゃっていて。
中島:言いましたね(笑)。
亀田:僕はとにかく『雪の華』の素晴らしさにシビれていました。吟遊詩人的な、自分の声を楽器として、心を込めてひとつ先の誰かに向けて歌っているような歌で。あれからずっと美嘉さんの歌を追いかけています。やっぱり声が素晴らしいんですよね。
しかし、「自分の声をどう感じているか?」という亀田の質問に、中島は意外な言葉で答える。
中島:ずっと聴いているので、やっと好きにはなりました。
亀田:ん? 「やっと」というのは、好きになれない時期もあったんですか?
中島:そうですね。「もうちょっと、もうちょっと……もうちょっといい響きが出ないかな」みたいな葛藤はずっとありました。
亀田:そういった「声を使って表現していく」という想いのようなものが、美嘉さんの歌にはどの曲にも詰まっている感じがします。歌う場所によって自分の声の感じ方が変わって「う~ん、今日は……」みたいなこともあるんですか?
中島:あります。でも、そんなに敏感じゃないかもしれないですね。リハですっごい気にしてたとしても、歌い出すと「もう歌っちゃえ!」ってなって、気にならないかも。
最高の響きを生み出すための工夫とは?
中島は、2022年の2月に全国ツアー「Mika Nakashima Premium Live Tour 2022」を控えている。東京はサントリーホール ブルーローズで2月14日(月)。千葉、大阪、愛知、神奈川での公演も予定。詳細は中島の公式サイトまで。亀田:このツアーは、アルバム『MESSAGE ~Piano & Voice~』とシンクロするんですか?
中島:そうですね。
亀田:楽器はピアノとベースだけでしょ? 少ない選択肢だからこそ、最高の響きが得られるよね。
中島:そうなんですよね。だから、どうやって飽きないでいてもらうか、みたいなことも楽しく考えることができるんですね。ベースもウッドベースしか使わないので、本当に3つの楽器だけ。似たようなことをやると自分も飽きてくるし、2~3回来てくれるお客さんもいるので、歌い方も毎回ちょっとずつ変えてみようかなと考えています。
亀田によると、少しずつ変わる中島のボーカルアプローチに対して演奏メンバーがどのように対応していくかが、このツアーの見どころのひとつだという。
中島:私、急に歌わなくなるときがあるんですよ。
亀田:どういうことですか(笑)?
中島:曲間で「ちょっと伸ばそうかな」とか「ちょっとタメようかな」とか。
亀田:ああ、間合いをね。
中島:そうです。で、いつも「あっ、やっちゃった」って思うんです。前もって言っていないから。それなのに、2人ともちゃんと止まってくれるんですよ。「ごめんね……」と思いつつ歌い出すんですけど、合図をしなくても弾き出してくれるんです。
亀田:すごい。素晴らしいですね。本当に音で会話していて、そこから生まれる波動を聴くお客さんは、それはもう細胞が生まれ変わって素敵な時間になりますね。
中島:そうなったら嬉しいです。
亀田:本当に、来年のツアーを楽しみにしています。僕、どっかで見に行きたいかも。このメンバー大好きだし。
中島:ぜひー! よろしくお願いします!
番組ゲストに藤井フミヤが出演中
J-WAVE『SPRING VALLEY MY CRAFT TIME』は、月曜から木曜の21:50-22:00オンエア。1月11日(火)~13日(木)のゲストは藤井フミヤ。放送から、一週間後まではradikoでも聴くことができる。■『SPRING VALLEY MY CRAFT TIME』公式ページ
https://www.j-wave.co.jp/original/mycrafttime/
11日の放送:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220111215000
12日の放送:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220112215000
13日の放送:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220113215000
(いずれもオンエア開始後から再生可能)
<編集:ピース株式会社/構成:山田宗太朗>
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番組情報
- SPRING VALLEY MY CRAFT TIME
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月曜日から木曜日21:50-22:00
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亀田誠治