シンガーソングライターで俳優の阪本奨悟、10代からブロードウェイ観劇旅行を続けるフリーライターの町田麻子さんが、ブロードウェイミュージカル『イン・ザ・ハイツ』や、ジュークボックスミュージカルの魅力を語った。
二人が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。番組では、毎回ゲストを迎え、様々なテーマを掘り下げていく。ここでは、「音楽から入る!ブロードウェイの魅力」をテーマにお届けした、7月6日(火)のオンエア内容をテキストで紹介する。
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あっこゴリラ:『イン・ザ・ハイツ』を作ったのがブロードウェイの革命児といわれるリン=マニュエル・ミランダですが、どんな人なんですか?
町田:現代のブロードウェイを代表する才能といっていいと思います。『イン・ザ・ハイツ』は、2008年初演で彼のブロードウェイデビュー作なんですが、原案、作詞作曲、主演を一人でこなしてトニー賞を受賞しました。
あっこゴリラ:ヤバすぎですね! 『イン・ザ・ハイツ』の音楽の特徴ってどんな点がありますか?
町田:リン=マニュエル・ミランダのミュージカル全般にいえる大きな特徴は、ラップとシアター音楽が融合しているところかなと思います。中でも『イン・ザ・ハイツ』の場合は、ニューヨーク、ヒスパニックコミュニティが舞台ということがあるので、サルサとかラテンのリズムが取り入れられているのが特徴です。
【Anthony Ramos, Lin-Manuel Miranda, Olga Merediz, Jimmy Smits, Daphne Rubin-Vega, Stephanie Beatriz, Dascha Polanco, Corey Hawkins, Gregory Diaz IV, Melissa Barrera『In The Hights』を聴く】
あっこゴリラ:阪本さんは、ご自身でソニー役を演じられて、ミランダが作り出す音楽のどんなところに魅力を感じますか?
阪本:聴いているリスナーとしてわくわくさせられるというか、どんどん次の展開に心を運んでいってくれます。登場人物が出てくるたびに、女性のキーになったり男性のキーになったり、リズムが変わったり、目まぐるしい展開に踊らずにはいられなくなる感じがすごくあって。さらにメロディーもいいので、聴けばすごく耳に残るし、僕が言うのもおこがましいですが、天才だなと思いますね。
あっこゴリラ:阪本さんが思う『イン・ザ・ハイツ』の作品自体の魅力は?
阪本:「ホーム」が一つのテーマであるところですかね。それぞれ血もつながってない人たちが集まったワシントンハイツという街で、そこでみんなが切磋琢磨して支えあいながら生きている姿に、人の温かさを感じられる、そんな作品なんじゃないかなと思います。
あっこゴリラ:ミランダは、ミュージカル界で作曲家としてはどんな功績を残していると思いますか?
町田:『イン・ザ・ハイツ』後に製作した『ハミルトン』は歴史的な大ヒットを記録していて、アメリカでもイギリスでもロングラン上演しているんですが、その成功によって、TIME紙で2016年の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれただけじゃなく、表紙を飾っちゃうぐらいミュージカル界の枠を超えている人でもあります。
あっこゴリラ:作品として新しいことをやっているだけにとどまらず、演劇界を救っている存在でもあるってことなんですね。
あっこゴリラ:まずは、ジュークボックスミュージカルって何ですか?
町田:ミュージカルは普通その作品のために新たに楽曲が書き下ろされるんですけど、そうではなく既存のヒット曲を使うミュージカルを全体的にジュークボックスミュージカルと呼びます。ジュークボックスミュージカルもいろんなタイプがあって、その中でも特定のアーティストの足跡、半生をそのアーティスト自身の楽曲で綴る作品は「伝記物ジュークボックス」と呼ばれています。そこで、おすすめの伝記物ジュークボックスミュージカルをご紹介できればと思います。
あっこゴリラ:まず一つ目は何でしょうか?
町田:『エイント・トゥー・プライド』という作品です。
あっこゴリラ:モータウンのグループの楽曲ですよね。
町田:はい。テンプテーションズです。
あっこゴリラ:テンプテーションズの伝記みたいなミュージカルってこと?
町田:そうなんです。テンプテーションズっていうグループの足跡を、テンプテーションズの楽曲で綴っていくので、テンプテーションズ好きだったらたまらないだろうなと思います。好きじゃなくてもたまらないんですけど。
あっこゴリラ:好きじゃなくてもたまらない(笑)。曲がいいですし、モータウンがもっているこの物語性もありますからね。
【Temptations『Ain't Too Proud to Beg』を聴く】
あっこゴリラ:二つ目の注目のジュークボックスミュージカルは?
町田:『ティナ』です。
あっこゴリラ:こちらティナ・ターナーの伝記のミュージカルってことですよね。見どころはどんなところでしょうか?
町田:2018年にロンドンで初演されて、翌年ブロードウェイで上演が始まった作品です。伝記物ジュークボックスミュージカルって、二番煎じといえないこともないんですけれども、アーティストが違えば当然ストーリーは違うし、人気のアーティストの楽曲が素晴らしいので、誰をやっても成り立つんじゃないかって思ってるぐらいです。
あっこゴリラ:ティナ・ターナーは、かなりすごい人生歩まれている方ですからね。絶対ミュージカルもいいんだろうなって思います。
あっこゴリラ:続いて、ブロードウェイを語る上でこれは外せない作品『シカゴ』ついてお聞きしたいのですが、これはもう超有名な作品ですよね。
町田:はい。日本のミュージカルは一か月単位で興業が入れ替わっていくんですが、ブロードウェイは基本無期限ロングランでできるだけ長くやりたいと思って始めるんですね。とはいえ、毎年新作がオープンするので、2~3年後まで残れるのってほんの数本っていう世界で、『シカゴ』は1996年からずっとロングランされ続けてる作品なんです。
あっこゴリラ:すごいですね。改めて、『シカゴ』はどんなストーリーなんですか?
町田:主人公が二人の女性なんですけど、二人とも殺人犯。夫を殺した人と浮気相手を殺した人、二人が収監されて、悪徳弁護士の力を借りて無罪を勝ち取った上に、スターダムにのし上がろうとする話です。とんでもない話なんですけれども、実話がベースで1920年代の禁酒法時代のシカゴのスキャンダラスな雰囲気が反映されています。
あっこゴリラ:それがずっと愛されているっていうのは、やっぱり音楽の魅力というのも大きいんですかね?
町田:この作品に関しては、ボブ・フォッシーっていう振り付けの魅力も大きいんですけど、その両方ですね。
あっこゴリラ:『シカゴ』の音楽の魅力ってどんな部分だと思いますか?
町田:フレッド・エブとジョン・カンダーというブロードウェイを代表するソングライターコンビの代表作になるんですけど、この二人の作品は『キャバレー』とか『蜘蛛女のキス』とか日本でも人気の作品多くて。あと有名なところだとフランク・シナトラのカバーでよく知られている、『ニューヨーク・ニューヨーク』とかも彼らの楽曲です。本当に洗練されたジャズって感じで、“THE アメリカ”なカッコよさがあるなと私は思います。
【『シカゴ』サウンドトラック『OverTune/And All That Jazz』を聴く】
最後に、ゲストのお二人に、ミュージカル未体験のリスナーのためにその魅力を教えてもらった。
阪本:僕がミュージカルの舞台に立っていて思うのは、役のセリフや物語が音楽と進んでいくので、ポップミュージックとかその他の音楽とは違う、ミュージカルならではの音楽の魅力があること。『イン・ザ・ハイツ』でもそうでしたけど、演じていて気持ちが膨らんで歌になっていく瞬間というのがすごく気持ちよくて、観ている方にもミュージカルならではの魅力がたくさん伝わっていけばいいなと思います。
町田:本当にそうですよね。感情の乗った歌が生で舞台から飛んでくる興奮って、たぶんみなさんが想像している以上だと思うので、是非体験してみていただきたいなと思います。
J-WAVE『SONAR MUSIC』は月~木の22:00-24:00にオンエア。
二人が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。番組では、毎回ゲストを迎え、様々なテーマを掘り下げていく。ここでは、「音楽から入る!ブロードウェイの魅力」をテーマにお届けした、7月6日(火)のオンエア内容をテキストで紹介する。
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ブローウェイの革命児「リン=マニュエル・ミランダ」
今年7月、アメリカ演劇界で最も権威のあるトニー賞を4部門受賞した大ヒットブロードウェイミュージカル『イン・ザ・ハイツ』が、初演から13年を経て実写映画化された。 そこで、ゲストに日本版『イン・ザ・ハイツ』に出演したシンガーソングライターで俳優の阪本奨悟、10代からブロードウェイ観劇旅行を続けるフリーライターの町田麻子さんを迎え、ブロードウェイミュージカルの魅力を訊いた。あっこゴリラ:『イン・ザ・ハイツ』を作ったのがブロードウェイの革命児といわれるリン=マニュエル・ミランダですが、どんな人なんですか?
町田:現代のブロードウェイを代表する才能といっていいと思います。『イン・ザ・ハイツ』は、2008年初演で彼のブロードウェイデビュー作なんですが、原案、作詞作曲、主演を一人でこなしてトニー賞を受賞しました。
あっこゴリラ:ヤバすぎですね! 『イン・ザ・ハイツ』の音楽の特徴ってどんな点がありますか?
町田:リン=マニュエル・ミランダのミュージカル全般にいえる大きな特徴は、ラップとシアター音楽が融合しているところかなと思います。中でも『イン・ザ・ハイツ』の場合は、ニューヨーク、ヒスパニックコミュニティが舞台ということがあるので、サルサとかラテンのリズムが取り入れられているのが特徴です。
【Anthony Ramos, Lin-Manuel Miranda, Olga Merediz, Jimmy Smits, Daphne Rubin-Vega, Stephanie Beatriz, Dascha Polanco, Corey Hawkins, Gregory Diaz IV, Melissa Barrera『In The Hights』を聴く】
あっこゴリラ:阪本さんは、ご自身でソニー役を演じられて、ミランダが作り出す音楽のどんなところに魅力を感じますか?
阪本:聴いているリスナーとしてわくわくさせられるというか、どんどん次の展開に心を運んでいってくれます。登場人物が出てくるたびに、女性のキーになったり男性のキーになったり、リズムが変わったり、目まぐるしい展開に踊らずにはいられなくなる感じがすごくあって。さらにメロディーもいいので、聴けばすごく耳に残るし、僕が言うのもおこがましいですが、天才だなと思いますね。
あっこゴリラ:阪本さんが思う『イン・ザ・ハイツ』の作品自体の魅力は?
阪本:「ホーム」が一つのテーマであるところですかね。それぞれ血もつながってない人たちが集まったワシントンハイツという街で、そこでみんなが切磋琢磨して支えあいながら生きている姿に、人の温かさを感じられる、そんな作品なんじゃないかなと思います。
あっこゴリラ:ミランダは、ミュージカル界で作曲家としてはどんな功績を残していると思いますか?
町田:『イン・ザ・ハイツ』後に製作した『ハミルトン』は歴史的な大ヒットを記録していて、アメリカでもイギリスでもロングラン上演しているんですが、その成功によって、TIME紙で2016年の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれただけじゃなく、表紙を飾っちゃうぐらいミュージカル界の枠を超えている人でもあります。
あっこゴリラ:作品として新しいことをやっているだけにとどまらず、演劇界を救っている存在でもあるってことなんですね。
伝記物ジュークボックスミュージカルの魅力
続いて、町田さんに初心者でも入りやすい伝記物ジュークボックスミュージカル音楽を紹介してもらった。あっこゴリラ:まずは、ジュークボックスミュージカルって何ですか?
町田:ミュージカルは普通その作品のために新たに楽曲が書き下ろされるんですけど、そうではなく既存のヒット曲を使うミュージカルを全体的にジュークボックスミュージカルと呼びます。ジュークボックスミュージカルもいろんなタイプがあって、その中でも特定のアーティストの足跡、半生をそのアーティスト自身の楽曲で綴る作品は「伝記物ジュークボックス」と呼ばれています。そこで、おすすめの伝記物ジュークボックスミュージカルをご紹介できればと思います。
あっこゴリラ:まず一つ目は何でしょうか?
町田:『エイント・トゥー・プライド』という作品です。
あっこゴリラ:モータウンのグループの楽曲ですよね。
町田:はい。テンプテーションズです。
あっこゴリラ:テンプテーションズの伝記みたいなミュージカルってこと?
町田:そうなんです。テンプテーションズっていうグループの足跡を、テンプテーションズの楽曲で綴っていくので、テンプテーションズ好きだったらたまらないだろうなと思います。好きじゃなくてもたまらないんですけど。
あっこゴリラ:好きじゃなくてもたまらない(笑)。曲がいいですし、モータウンがもっているこの物語性もありますからね。
【Temptations『Ain't Too Proud to Beg』を聴く】
あっこゴリラ:二つ目の注目のジュークボックスミュージカルは?
町田:『ティナ』です。
あっこゴリラ:こちらティナ・ターナーの伝記のミュージカルってことですよね。見どころはどんなところでしょうか?
町田:2018年にロンドンで初演されて、翌年ブロードウェイで上演が始まった作品です。伝記物ジュークボックスミュージカルって、二番煎じといえないこともないんですけれども、アーティストが違えば当然ストーリーは違うし、人気のアーティストの楽曲が素晴らしいので、誰をやっても成り立つんじゃないかって思ってるぐらいです。
あっこゴリラ:ティナ・ターナーは、かなりすごい人生歩まれている方ですからね。絶対ミュージカルもいいんだろうなって思います。
25年間ロングラン上演を続けるミュージカル『シカゴ』の魅力
ここからは、ブロードウェイを語る上でこれは外せないミュージカル『シカゴ』について町田さんに話を訊いた。あっこゴリラ:続いて、ブロードウェイを語る上でこれは外せない作品『シカゴ』ついてお聞きしたいのですが、これはもう超有名な作品ですよね。
町田:はい。日本のミュージカルは一か月単位で興業が入れ替わっていくんですが、ブロードウェイは基本無期限ロングランでできるだけ長くやりたいと思って始めるんですね。とはいえ、毎年新作がオープンするので、2~3年後まで残れるのってほんの数本っていう世界で、『シカゴ』は1996年からずっとロングランされ続けてる作品なんです。
あっこゴリラ:すごいですね。改めて、『シカゴ』はどんなストーリーなんですか?
町田:主人公が二人の女性なんですけど、二人とも殺人犯。夫を殺した人と浮気相手を殺した人、二人が収監されて、悪徳弁護士の力を借りて無罪を勝ち取った上に、スターダムにのし上がろうとする話です。とんでもない話なんですけれども、実話がベースで1920年代の禁酒法時代のシカゴのスキャンダラスな雰囲気が反映されています。
あっこゴリラ:それがずっと愛されているっていうのは、やっぱり音楽の魅力というのも大きいんですかね?
町田:この作品に関しては、ボブ・フォッシーっていう振り付けの魅力も大きいんですけど、その両方ですね。
あっこゴリラ:『シカゴ』の音楽の魅力ってどんな部分だと思いますか?
町田:フレッド・エブとジョン・カンダーというブロードウェイを代表するソングライターコンビの代表作になるんですけど、この二人の作品は『キャバレー』とか『蜘蛛女のキス』とか日本でも人気の作品多くて。あと有名なところだとフランク・シナトラのカバーでよく知られている、『ニューヨーク・ニューヨーク』とかも彼らの楽曲です。本当に洗練されたジャズって感じで、“THE アメリカ”なカッコよさがあるなと私は思います。
【『シカゴ』サウンドトラック『OverTune/And All That Jazz』を聴く】
最後に、ゲストのお二人に、ミュージカル未体験のリスナーのためにその魅力を教えてもらった。
阪本:僕がミュージカルの舞台に立っていて思うのは、役のセリフや物語が音楽と進んでいくので、ポップミュージックとかその他の音楽とは違う、ミュージカルならではの音楽の魅力があること。『イン・ザ・ハイツ』でもそうでしたけど、演じていて気持ちが膨らんで歌になっていく瞬間というのがすごく気持ちよくて、観ている方にもミュージカルならではの魅力がたくさん伝わっていけばいいなと思います。
町田:本当にそうですよね。感情の乗った歌が生で舞台から飛んでくる興奮って、たぶんみなさんが想像している以上だと思うので、是非体験してみていただきたいなと思います。
J-WAVE『SONAR MUSIC』は月~木の22:00-24:00にオンエア。
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