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環境問題に対して音楽はなにができる? サステナブルな楽器を紹介

環境問題に対して音楽はなにができる? サステナブルな楽器を紹介

バケツドラマーのMASA、シンガーソングライターのmahina、「島村楽器 商品部 商品課」の今井健司さんが、「音楽は環境に対してどのようなことができるのか?」語った。

三人が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。番組では、毎回ゲストを迎え、様々なテーマを掘り下げていく。ここでは、「環境と音楽」特集をお届けした、6月10日(木)のオンエア内容をテキストで紹介する。

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廃材で作られた楽器にしか出ない音がある

海外では、U2、COLDPLAY、The 1975、Justin Bieber、Ariana Grandeなど、様々な著名アーティストが環境問題へのアクションを起こしている昨今。番組では、改めてもっと身近に、「音楽は環境に対してどのようなことができるのか?」探っていきたいと思う。

一人目のゲストは、バケツドラマーのMASAが登場。MASAは、バケツや廃材などの身近な物でドラムセットを組み上げ、水道管に使われる塩ビパイプをオーストラリアの先住民アボリジニが使用する管楽器・ディジュリドゥにして音を奏でるアーティスト。バケツドラムを叩きながら同時に口で、ディジュリドゥを演奏する姿が話題に。廃材とは思えないサイケデリックなトランスやテクノ、ドラムンベースやメタル、ハードコアを彷彿とさせるサウンドにも注目が集まっている。

あっこゴリラ:そもそも音楽活動のスタートが、オーストラリアのメルボルンとのことですが、こちらは留学とかで行ったんですか?
MASA:最初は、ワーキングホリデーでオーストラリアに行ったときに、路上で演奏する友達が出来て、そこから自分もやりたいなって思い始めました。
あっこゴリラ:最初からバケツドラムだったんですか?
MASA:もともとドラムをやってたんで、ドラムから始めようと思ったんですけど、最初にいたケアンズでは路上でドラムがダメで、そのままワーホリの期間が終わっちゃったんですよね。
あっこゴリラ:うんうん。
MASA:それで帰国後にまた観光ビザでオーストラリアに戻り、メルボルンでドラムじゃなくてバケツでスタートしました。
あっこゴリラ:なぜ廃材を利用しようと思ったんですか?
MASA:ドラムを持ち運ぶのが重くて。YouTubeで注目していたバケツドラムのパフォーマンスをしようと思って、廃材などに目を向けるようになりました。
あっこゴリラ:これまた、塩ビパイプをディジュリドゥにしてるってとんでもないことですよ! これは凄すぎる! もともと環境問題などへの意識もあったんですか?
MASA:環境への意識は低くはなかったと思いますが、このパフォーマンスを始めてより意識は高まったと思います。
あっこゴリラ:廃材を楽器にしていくってすごく大変だと思うんですけど、過程の楽しさなどありますか?
MASA:普段の何気ない瞬間にいい音がけっこう散らばってるというか。答えやセオリーなどが無くて、新しい表現、新しい音を模索する楽しみがあります。
あっこゴリラ:廃材で作られた楽器にしか出ない音もありますか?
MASA:ありますね。例えば、料理に使うボールが壊れていても、その壊れてるからこそ鳴る音があったりして。楽器だと壊れたらダメだけど、このパフォーマンスだと壊れたものでより光るものが出てくるんです。そういう意味で、オンリーワンだと思います。

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ゴミやアートを通してポジティブに世に還元していく

引き続き、バケツドラマーのMASAに話を訊いた。

あっこゴリラ:今、制作されている楽器などありますか?
MASA:現在進行形で作っている楽器はないですけど、日々生活している中でいろんな楽器を模索してはいます。たまたま今、作っていないだけで、1~2ヶ月前に新しい楽器たちが完成してセットが出来上がったりしてますね。
あっこゴリラ:MASAさんのプレイって、本当に世界中で盛り上がると思う。すごいカッコいいんだよな~。
MASA:ありがとうございます。ブラジルやオランダなど世界各地でやらせてもらって、自分で言うのもなんですけど本当に盛り上がります(笑)。
あっこゴリラ:絶対そうだと思う! 世界どこに行っても盛り上がると思う。本当にカッコいいから!
MASA:もうパーティーですね。
あっこゴリラ:廃材の楽器を使うこと自体がメッセージになってるとは思うんですけど、あえて言葉にするとしたらどんなメッセージを伝えているのでしょうか?
MASA:僕は、誰かが決めた答えをなぞる必要なんてないと思うんですよね。自分の答えを探すのが大事だと思うし。僕の場合だったら、お金が無くても、楽器が無くても、バケツドラムさえあれば音楽を楽しむことはできるし、このパフォーマンスを見てもらうことによって、“何かがなきゃ何かができない”って言い訳ができなくなっていく気がするんです。そういう意味で、誰かの何かを始めるハードルが下がったらいいなって思っています。さらに、ゴミやアートを通してポジティブに世に還元していく、そういうところを受け取ってほしいですね。

Taylor社との世界初コラボ! 「サステナブルギター」とは

二人目のゲストに、シンガーソングライターのmahinaが登場。

ここからは、環境に優しいある楽器を紹介。「島村楽器 商品部 商品課」の今井健司さんに話を伺った。

あっこゴリラ:島村楽器さんで、環境に優しい楽器を出してると伺ったんですが。
今井:アメリカのギターメーカー「Taylor社」とコラボして、「サステナブルギター」という商品を制作しました。今日はこちらを紹介したいと思います。
あっこゴリラ:どういう経緯でこのギターを制作されたんですか?
今井:弊社では、CSR活動として「楽器で世界を笑顔にしよう 〜楽器リサイクルプロジェクト〜」や「EVERGREENプロジェクト」という活動を行っており、その一環で自然環境との共存を目指した楽器の開発を行ってきました。米国トップシェアを誇るTaylor社は、環境に配慮したモノづくりをポリシーに、その姿勢が若い世代のユーザーに評価され業績を伸ばしているメーカーで、我々の考えに最もフィットするという理由でTaylor社に1年以上かけてラブコールを送ってきました。
あっこゴリラ:うんうん。
今井:もともとTaylor社は、オーダーメイドや特注品を除いて楽器店とのコラボレーションによるオリジナルモデルの製作は行なっておらず、国内、海外含め過去に前例はありませんでしたが、当社のCSR活動に対しTaylor創業者のボブ・テイラー氏が深く共感してくれ、世界初のコラボレーションギターが実現しました。

なぜ、「サステナブルギター」なのだろうか。

今井:いくつかポイントがあって、①楽器に使われているものが環境に配慮した木材のみを使用している、②エシカルの観点から適切な労働環境下での木材調達を行う、③環境保全団体「鎮守の森のプロジェクト」とタイアップし、1本の実売に対し植樹費用として1000円を当社から寄付する、④サイズがひとまわり小さく、初心者や体の小さい方にも弾きやすいので挫折しにくく、末永くご愛用頂ける。以上を踏まえて、サステナブルギターとしています。
あっこゴリラ:適切な労働環境下での木材調達を行うって大事ですよね。こちら、音楽業界の反応はどうでしょうか?
今井:おかげさまでお客様の反応は非常に良く、現在品薄状態が続いてる状態です。また、ファッション誌への掲載ご要望を頂くことも多く、アパレル業界からの反応が大きいです。
あっこゴリラ:これをきっかけに、これからいろんな楽器でそういう動きが出てくるかもしれないですね。
今井:楽器の世界って、すごくコンサバティブというか、いわゆる昔の流れで続いてきた部分があって。わりと新しいものを取り入れるってことが難しい世界でもあります。そんな中でも我々としては、今の新しい世代の方々の価値観に合わせてどんどん楽器業界も変わっていく必要があると思っています。
あっこゴリラ:うんうん。
今井:そこの一番大事なキーワードが、やっぱりサステナブルとエシカルなどをいち早く取り入れてやってきたっていうのがあります。
あっこゴリラ:mahinaさん的には、こういう環境への楽器店の取り組み、どう思いますか?
mahina:すごく素晴らしいと思います。私は北海道出身なんですけど、自然に囲まれた環境で海とかに落ちてる小さな木とかを家のタンスの取っ手に取り付けたりしていたので、話を聞いて親近感がわきました。
あっこゴリラ:今後、ギターだけじゃなくて、他の楽器でもありえますよね?
今井:はい。前述の「EVERGREENプロジェクト」では、ギター以外にも沖縄三味線やカホン、リコーダーなど様々な環境配慮型の楽器を開発、プロデュースを行っており、今後も廃棄された漁網を再利用したギターピックなどをリリース予定です。

J-WAVE『SONAR MUSIC』は月~木の22:00-24:00にオンエア。

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