YOASOBIの楽曲『夜に駆ける』のMV制作などで知られる、アニメーション作家・漫画家の藍にいなが、吉岡里帆と対談。吉岡が「絵が描ける人への素朴な疑問」を投げかけた。
藍が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『UR LIFESTYLE COLLEGE』(ナビゲーター:吉岡里帆)。9月5日(日)のオンエア内容をテキストで紹介する。
吉岡:藍にいなさんは本名ですか?
藍:にいなは本名です。藍はペンネームですね。
吉岡:じゃあ、「にいなちゃん」呼びでいいですか?
藍:嬉しいです(笑)。ありがとうございます。
藍はオリヴィア・ロドリゴの『ドライバーズ・ライセンス』のアニメーションMVも手掛けた。吉岡はオファーの経緯を訊いた。
藍:オリヴィア・ロドリゴさんのことを日本で広めるために、日本のスタッフさんが日本版のMV制作者を探していたんですね。それで私を見つけてくださったらしく。
吉岡:すごいですね。
藍:ありがたいです。
吉岡:若いクリエイターさんたちはSNSの発達によって発見されることが増えたなという印象があります。最初に「道が切り拓いた」と感じた瞬間はいつでしたか?
藍:藝大(東京藝術大学)に通っていたとき、椎名林檎さんのMVなどを制作されている児玉裕一監督が、特別講師としていらっしゃったんです。そのときに、突然なんですけどご挨拶をさせていただいて。当時作っていたアニメーションを見せて「何かやれることがあれば」ということを伝えました。そこから林檎さんのライブのバックアニメーションとかをやらせていただいて、SNSでそれを見た音楽業界の方がMVの話をくださってみたいな感じで。どんどん繋がりが増えていきましたね。
吉岡:最初のきっかけは、ご自身でちゃんと作られたんですね。流石です。
藍:一番小さかった頃の記憶ってあるじゃないですか。それが、「人間の顎を描けてすごく喜んでいた」みたいな記憶なんですよね(笑)。
吉岡:どういうこと(笑)!?
藍:「この顎、上手に描けた!」みたいな感じ(笑)。
吉岡:かわいい(笑)。今、人間のどのパーツを描くときが好きですか?
藍:目と手ですね。
吉岡:ということは、子ども時代の好きなパーツは顎だったと(笑)。
藍:かもしれないです(笑)。
吉岡:クラスに一人か二人ぐらい、「本当に小学生か?」って思うぐらい絵が上手い子っているじゃないですか。そういう子どもでしたか?
藍:どうだったんだろう。でも、自信はありましたね(笑)。
吉岡:すごい。私は全然絵が描けなくって。いわゆる“画伯”タイプです(笑)。
藍:あとで見てみたい(笑)。
ここで吉岡は、「絵が描ける人に対しての素朴な疑問」を藍に投げかけた。
吉岡:まだ誰からも習っていないのに絵が描ける子っているじゃないですか。なんでですかね? 私は物の見方が違うのかなって思っていて。
藍:ああ~。高校生ぐらいからデッサンを習ったので、そのときに物の見方は変わっちゃいましたね。その前は、たぶんひたすら描いていました。
吉岡:なるほど。絵が好きで、描いていくうちに上手になっていったと。
藍:そういうタイプだった気がします。
吉岡:めっちゃ正論だわ(笑)。
藍:(笑)。
吉岡:当時はどんな絵を描いていましたか?
藍:『りぼん』(集英社)を読んでいたので恋愛ものの少女漫画を描いていましたね。作ったキャラクターのイラストも描いていました。
吉岡:そこがスタートなんですね。
吉岡:YOASOBIさんの作品を手掛けることになったきっかけは?
藍:最初に制作したMVはMaison book girlというアーティストさんのものだったんですけども、それをたまたまYOASOBIのスタッフさんが見つけてくださって。当時はYOASOBIのプロジェクト自体が発足したばかりで、「こういうプロジェクトをやるのでMVを描いてください」という依頼が来ました。
吉岡:そんな初期の段階から!?
藍:まだ楽曲も決まっていないぐらいのタイミングでご連絡をいただきました。
吉岡:コンセプトや歌詞のイメージから、というのはもちろんあると思うんですけど、『夜に駆ける』のMVで工夫したポイントを教えてほしいです。
藍:YOASOBIに関しては新しいユニットだったので、「インパクトを残すこと」と「親しみのあるポップさ」の融合を考えました。色味でポップさを表現して、グロテスクな部分とのバランスをすごく意識しました。
吉岡:なるほど。MVは一見すごくかわいくて、パステルのピンクな世界なんですよね。最初は「かわいい~!」みたいな感じで観るんだけど、歌詞と絵がリンクして心臓がギュンとします(笑)。
藍:(笑)。
藍:自分にとって、目に入るビジュアルってすごく大事で。カーテンとか壁紙は、自分の好きな色を使っています。あとは、好きなアーティストのCDやグッズをいろんなところに散りばめていますね。
吉岡:楽しそう。
藍:目が幸せになるようにしています(笑)。
吉岡:最高ですね。
引っ越したてで、自宅にはまだほとんど家具を置いていないそう。吉岡は藍の自宅の写真を見て、「色味がすごくかわいらしいですね」とコメントした。
吉岡:全部すごくかわいい。置いてあるブルーのぬいぐるみも気になります。
藍:そちらは米津玄師さんのグッズですね。
吉岡:なるほど。『風の谷のナウシカ』(徳間書店)の漫画も置いてありますね。原作漫画、面白いですよね。
藍:面白いし絵も素晴らしいです。
吉岡:あと、時計。私も同じものを使っています。
藍:本当ですか!?
吉岡:行っている雑貨屋が一緒説ありますね(笑)。
藍:(笑)。
吉岡:壁紙もかわいいですけど、こちらは元からこの色ってことではないですよね?
藍:それは元からなんですよ。
吉岡:そうなんですね! 作業場は綺麗に整頓されていますね。無駄がない感じ。ここでお仕事されることが多いですか?
藍:そうですね。作業場にこもってずっと描いていることが多いです。
吉岡:ずっと描いていたら、「もう嫌!」って思うことはないですか?
藍:めっちゃあります。そんなときは部屋をうろつくことが多いですね。それこそ、階段を昇り降りしたり(笑)。
吉岡:(笑)。同じ場所でずっと丁寧に仕事をするのって、集中力がいりますもんね。
藍:生活全般が苦手なんですけど、食器を洗うことはわりと好きで。水でバーッと洗い流して綺麗になるのが「タスクをこなしている」感覚になるんですよね。
吉岡:終わっていく感じ、気持ちがいいですよね。海外って冷蔵庫が巨大じゃないですか。Instagramで、冷蔵庫に大量のジュースとかお菓子とかをストックしていくだけの動画を投稿する海外の人がいるんですよ。
藍:そんなのがあるんですか(笑)。
吉岡:それを観るのが気持ちよくって! 決められた場所に決められたサイズのものがカチカチとハマっていくんです。
藍:それは気持ちよさそう。
吉岡:すみません、私のしょうもない話をしてしまった(笑)。
藍:いえいえ! 気になります(笑)。苦手なことなんですけど、洗濯ですね。
吉岡:洗濯もタスクって感覚がしませんか?
藍:タスクなんですけど、小さい頃から布をたたむことがすごく苦手で。タスクはこなしていくんだけど、段々と汚くなっていく感じ。「こんなたたみ方でいいわけがない」みたいな(笑)。
吉岡:かわいい(笑)。ギャップがありますね。手先が器用でカチカチとこなしているイメージがありました。
藍:本当に不器用で。折り紙も全然できないです。
吉岡:ええ~!? 意外です。もっと細かい作業をするために、才能が絵のほうに行き過ぎたのかな(笑)。
藍:そう言っていただけるとありがたいです(笑)。
最後に藍は、今後の活動や描いている夢について語った。
藍:今はMVをはじめ、ほかの方が作った作品を広げていく活動をメインにしているので、自分でゼロから物語も作ってみたいです。
吉岡:それ、すっごく見たいです! ということは、アニメーションの監督を?
藍:監督もやりたいですし、もう一度漫画も描きたいですね。
吉岡:超楽しみです。今日はいろんな楽しい話をありがとうございました。
『UR LIFESTYLE COLLEGE』では、心地よい音楽とともに、より良いライフスタイルを考える。オンエアは毎週日曜18時から。
藍が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『UR LIFESTYLE COLLEGE』(ナビゲーター:吉岡里帆)。9月5日(日)のオンエア内容をテキストで紹介する。
クリエイターとしての転機を振り返る
藍にいなはSNSにて発信した漫画が共感を集め、2018年に自身初の書籍である『セキララマンガ 眠れぬ夜に届け』(祥伝社)を出版。以降、アニメーション表現を軸にライブでの映像演出、イラストレーター、漫画家など、多岐に渡って活動している。数々のアーティストのMVも手掛け、YOASOBIの『夜に駆ける』はYouTube上で2億回以上再生されている。吉岡:藍にいなさんは本名ですか?
藍:にいなは本名です。藍はペンネームですね。
吉岡:じゃあ、「にいなちゃん」呼びでいいですか?
藍:嬉しいです(笑)。ありがとうございます。
藍はオリヴィア・ロドリゴの『ドライバーズ・ライセンス』のアニメーションMVも手掛けた。吉岡はオファーの経緯を訊いた。
吉岡:すごいですね。
藍:ありがたいです。
吉岡:若いクリエイターさんたちはSNSの発達によって発見されることが増えたなという印象があります。最初に「道が切り拓いた」と感じた瞬間はいつでしたか?
藍:藝大(東京藝術大学)に通っていたとき、椎名林檎さんのMVなどを制作されている児玉裕一監督が、特別講師としていらっしゃったんです。そのときに、突然なんですけどご挨拶をさせていただいて。当時作っていたアニメーションを見せて「何かやれることがあれば」ということを伝えました。そこから林檎さんのライブのバックアニメーションとかをやらせていただいて、SNSでそれを見た音楽業界の方がMVの話をくださってみたいな感じで。どんどん繋がりが増えていきましたね。
吉岡:最初のきっかけは、ご自身でちゃんと作られたんですね。流石です。
絵を描くことに夢中だった幼少期
藍は幼少期の頃から絵を描くことが好きで、学校の休み時間も一人で絵をかいていたそう。一番古い記憶も絵に関するものなのだという。藍:一番小さかった頃の記憶ってあるじゃないですか。それが、「人間の顎を描けてすごく喜んでいた」みたいな記憶なんですよね(笑)。
吉岡:どういうこと(笑)!?
藍:「この顎、上手に描けた!」みたいな感じ(笑)。
吉岡:かわいい(笑)。今、人間のどのパーツを描くときが好きですか?
藍:目と手ですね。
吉岡:ということは、子ども時代の好きなパーツは顎だったと(笑)。
藍:かもしれないです(笑)。
吉岡:クラスに一人か二人ぐらい、「本当に小学生か?」って思うぐらい絵が上手い子っているじゃないですか。そういう子どもでしたか?
藍:どうだったんだろう。でも、自信はありましたね(笑)。
吉岡:すごい。私は全然絵が描けなくって。いわゆる“画伯”タイプです(笑)。
藍:あとで見てみたい(笑)。
ここで吉岡は、「絵が描ける人に対しての素朴な疑問」を藍に投げかけた。
吉岡:まだ誰からも習っていないのに絵が描ける子っているじゃないですか。なんでですかね? 私は物の見方が違うのかなって思っていて。
藍:ああ~。高校生ぐらいからデッサンを習ったので、そのときに物の見方は変わっちゃいましたね。その前は、たぶんひたすら描いていました。
吉岡:なるほど。絵が好きで、描いていくうちに上手になっていったと。
藍:そういうタイプだった気がします。
吉岡:めっちゃ正論だわ(笑)。
藍:(笑)。
吉岡:当時はどんな絵を描いていましたか?
藍:『りぼん』(集英社)を読んでいたので恋愛ものの少女漫画を描いていましたね。作ったキャラクターのイラストも描いていました。
吉岡:そこがスタートなんですね。
『夜に駆ける』MVの制作秘話
『夜に駆ける』のMVで一躍有名になった藍だが、初めてMVを手掛けたアーティストMaison book girlだという。YOASOBIのプロジェクトに関わることになった経緯を語った。吉岡:YOASOBIさんの作品を手掛けることになったきっかけは?
藍:最初に制作したMVはMaison book girlというアーティストさんのものだったんですけども、それをたまたまYOASOBIのスタッフさんが見つけてくださって。当時はYOASOBIのプロジェクト自体が発足したばかりで、「こういうプロジェクトをやるのでMVを描いてください」という依頼が来ました。
吉岡:そんな初期の段階から!?
藍:まだ楽曲も決まっていないぐらいのタイミングでご連絡をいただきました。
吉岡:コンセプトや歌詞のイメージから、というのはもちろんあると思うんですけど、『夜に駆ける』のMVで工夫したポイントを教えてほしいです。
藍:YOASOBIに関しては新しいユニットだったので、「インパクトを残すこと」と「親しみのあるポップさ」の融合を考えました。色味でポップさを表現して、グロテスクな部分とのバランスをすごく意識しました。
吉岡:なるほど。MVは一見すごくかわいくて、パステルのピンクな世界なんですよね。最初は「かわいい~!」みたいな感じで観るんだけど、歌詞と絵がリンクして心臓がギュンとします(笑)。
藍:(笑)。
自分が“幸せ”と感じる部屋づくりを意識
番組では、藍のライフスタイルに注目。藍が「快適に暮らすために心掛けていること」とは?藍:自分にとって、目に入るビジュアルってすごく大事で。カーテンとか壁紙は、自分の好きな色を使っています。あとは、好きなアーティストのCDやグッズをいろんなところに散りばめていますね。
吉岡:楽しそう。
藍:目が幸せになるようにしています(笑)。
吉岡:最高ですね。
引っ越したてで、自宅にはまだほとんど家具を置いていないそう。吉岡は藍の自宅の写真を見て、「色味がすごくかわいらしいですね」とコメントした。
吉岡:全部すごくかわいい。置いてあるブルーのぬいぐるみも気になります。
藍:そちらは米津玄師さんのグッズですね。
吉岡:なるほど。『風の谷のナウシカ』(徳間書店)の漫画も置いてありますね。原作漫画、面白いですよね。
藍:面白いし絵も素晴らしいです。
吉岡:あと、時計。私も同じものを使っています。
藍:本当ですか!?
吉岡:行っている雑貨屋が一緒説ありますね(笑)。
藍:(笑)。
吉岡:壁紙もかわいいですけど、こちらは元からこの色ってことではないですよね?
藍:それは元からなんですよ。
吉岡:そうなんですね! 作業場は綺麗に整頓されていますね。無駄がない感じ。ここでお仕事されることが多いですか?
藍:そうですね。作業場にこもってずっと描いていることが多いです。
吉岡:ずっと描いていたら、「もう嫌!」って思うことはないですか?
藍:めっちゃあります。そんなときは部屋をうろつくことが多いですね。それこそ、階段を昇り降りしたり(笑)。
吉岡:(笑)。同じ場所でずっと丁寧に仕事をするのって、集中力がいりますもんね。
洗濯物をたたむのが苦手
吉岡は藍に「ライフスタイルで好きなこと・苦手なことは何ですか?」と質問を投げかけた。藍:生活全般が苦手なんですけど、食器を洗うことはわりと好きで。水でバーッと洗い流して綺麗になるのが「タスクをこなしている」感覚になるんですよね。
吉岡:終わっていく感じ、気持ちがいいですよね。海外って冷蔵庫が巨大じゃないですか。Instagramで、冷蔵庫に大量のジュースとかお菓子とかをストックしていくだけの動画を投稿する海外の人がいるんですよ。
藍:そんなのがあるんですか(笑)。
吉岡:それを観るのが気持ちよくって! 決められた場所に決められたサイズのものがカチカチとハマっていくんです。
藍:それは気持ちよさそう。
吉岡:すみません、私のしょうもない話をしてしまった(笑)。
藍:いえいえ! 気になります(笑)。苦手なことなんですけど、洗濯ですね。
吉岡:洗濯もタスクって感覚がしませんか?
藍:タスクなんですけど、小さい頃から布をたたむことがすごく苦手で。タスクはこなしていくんだけど、段々と汚くなっていく感じ。「こんなたたみ方でいいわけがない」みたいな(笑)。
吉岡:かわいい(笑)。ギャップがありますね。手先が器用でカチカチとこなしているイメージがありました。
藍:本当に不器用で。折り紙も全然できないです。
吉岡:ええ~!? 意外です。もっと細かい作業をするために、才能が絵のほうに行き過ぎたのかな(笑)。
藍:そう言っていただけるとありがたいです(笑)。
最後に藍は、今後の活動や描いている夢について語った。
藍:今はMVをはじめ、ほかの方が作った作品を広げていく活動をメインにしているので、自分でゼロから物語も作ってみたいです。
吉岡:それ、すっごく見たいです! ということは、アニメーションの監督を?
藍:監督もやりたいですし、もう一度漫画も描きたいですね。
吉岡:超楽しみです。今日はいろんな楽しい話をありがとうございました。
『UR LIFESTYLE COLLEGE』では、心地よい音楽とともに、より良いライフスタイルを考える。オンエアは毎週日曜18時から。
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