「10年着続けたいと思える服」をコンセプトの1つに掲げるアパレルブランド・10YC代表の下田将太さんが、ブランドコンセプトや、ファッション業界についての思いを語った。
下田さんが登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』(ナビゲーター:別所哲也)のワンコーナー「Allbirds MORNING INSIGHT」。ここでは、9月14日(火)のオンエア内容をテキストで紹介する。
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下田:着る人が最初に手に取ったときの着心地やディテール、デザイン、使い続けていくなかでの耐久性にこだわったり、あとは長く付き合っていくなかでシミができちゃった、壊れちゃったというときのアフターサポートを用意したりすることで、10年着続けたいと思える服作りをやっています。
別所:なぜこういった取り組みをされようと思ったんですか?
下田:そもそもの始まりは友人の一言でした。けっこう高めのTシャツを買ったときに、1回洗っただけでヨレヨレになっちゃったということがあったんです。僕はそのときファッション業界にいて、その服は僕のブランドは全然関わっていなかったんですけど、友人に「おまえらの業界は1回洗っただけでヨレヨレになるもの作って、どういう仕事をしているんだ」みたいなことを言われて。そこから僕がファッション業界を見つめていくなかで、「もっとこうなったらいいんじゃないの」っていうところを掘り下げていったみたいな感じです。
別所:確かに、洋服は消費財として考えがちというか、使い捨てにするというマインドは、どこかに刷り込まれてしまっています。でも、ご友人の「なんでちゃんと長く使えるものを作っていかないんだろうか」という言葉って、ドキっとしますよね。
下田:ファッションブランドはどうしても売ることを大切にするんですけど、ユーザーからすると長く着たいという思いがあるんだなっていうのを、そこで初めて気づかされました。
別所:ビジネス的には10年以上着続けてもらうよりも、2~3年のスパンで買い替えてもらったほうが利益にはなるのかもしれません。それも1つの経済のサイクル、新陳代謝なんですけど、そういった面はどうお考えですか?
下田:会社の自己利益よりも社会全体とか、着る人にそもそも何が大事なのかみたいなのは、せっかく10YCを始めたので突き詰めていきたいなと思います。また、作り手の人もやっぱり安く作らされちゃうとどうしても難しい面があるけど、10YCはまだ小さいからこそ、そういうのも一緒に作り上げていけたりするのかなと思っています。
下田:ブランド側もお客さんも、ファッションへの意識が高まっているような気がしますね。ブランド側は特に、再生可能な繊維を使用しているところが増えたり、そもそもオーガニック繊維を使おうとか、自分たちでリペアしてもう1回販売しようみたいな動きがけっこう出てきたりしていて、すごくいいムーブメントになってきている気がしています。
別所:回収ボックスがちゃんとあったりね。そもそもリユースする、オーガニック素材でフェアトレード、SDGsに配慮したものも非常に増えたような気がするんですけど、自分たちのアクションに対する手ごたえは感じますか?
下田:こうやって話す機会をいただいたり、思いを伝えさせていただくなかで、お客さんも少しずつ増えてきています。あと、10YCで面白いなと思っているのは、Tシャツの染め替えのサービス。長く使っていくほどシミができたり使いづらくなったりすることってあると思うんですけど、そのサービスがこの4年で(アパレル業界で)すごく増えてきていて。お客さんのなかにも、もう1回新たな気持ちで染め替えて使おうみたいな気持ちが出てきているのかなっていうのは、サービスの盛り上がりを見ていてすごく感じますね。
別所:これからもそういったムーブメント自体は、変化していくんでしょうか。
下田:そうですね、今(そういった取り組みを)やっているところが偉いみたいになっていると思うんですけど、「自分たちの作ったものは、自分たちで回収していく」というのが企業として当たり前になっていくんじゃないのかなという気はしています。
さらに下田さんは、10年後のファッション業界についての願望を語る。
下田:自分たちが作ったものを、責任を持ってまた新しいものにしたり、洋服を繊維に戻してもう1回洋服を作るという技術も開発されていたりするので、「自分たちが作ったものには責任を取る」というのを当たり前にして、それを作り手さんや着る人に還元していって、洋服をもっと純粋に楽しめるような状態になっていったら嬉しいなと思います。
10年着られる服を作るために特別な材料を使用しているのかと思いきや、原料はアメリカ産のコットンだという。下田さんは「生地を織るところから、日本の工場さんとお話しをしながらやらせてもらっています」と語り、10年間着られる服に施された工夫を明かした。
別所:やっぱり10年持つということは特別な縫製というか、頑丈に作るみたいなのはあるんですか?
下田:はい。あとはやっぱり安く作ろうとすると、どうしても早く作らなきゃいけないとか、何か工程を省いて作らなきゃいけないみたいなのがあったりするんですけど、10YCは時間をじっくりかけられるものづくりの仕方をしています。綿は綿でも、どう編むかによって耐久性が全然違ったりするので、そういうところが違うのかなという気はしています。
別所:僕もパーカーを持っていて、どこが違うのかなってじっくり見たりするんですけど。
下田:ぱっと見は変わらないですよね。
別所:どの部分が10年持つというこだわりになっているのかを探るのもユーザーとしては楽しかったりします(笑)。
下田:お店に来ていただくお客さんとも話をしながら、「そういうことなんだ」ということで盛り上がったりしますね。
別所:いま、どんなアイテムが取り揃えられているんでしょう?
下田:以前はTシャツやパーカーがメインだったんですけど、アウターとかも出していて、この秋から着やすい、軽くてあったかくて洗える中綿ジャケットや、冬も10YCで楽しんでいただけるような商品があります。WEBサイトに出ているので、見ていただけたら嬉しいです。
別所:洗えるというのは、大事なコンセプトですか。
下田:全体を通して「洗濯機で洗える」というのは共通しています。洋服って、扱いが面倒くさいと離れていっちゃうと思うんですよね。毎日着たいと思わないというか、アイロンをかけなきゃいけないとか面倒くさいと思うし。そういうところをなくしていきたいなと思うので、洗濯機で全部洗えるというのは10YCのプロダクトコンセプトの1つですね。
10YCの公式サイトはこちら。
『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』のワンコーナー「Allbirds MORNING INSIGHT」では、あらゆる世界の本質にインサイトしていく。放送は月曜~木曜の6時30分頃から。
下田さんが登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』(ナビゲーター:別所哲也)のワンコーナー「Allbirds MORNING INSIGHT」。ここでは、9月14日(火)のオンエア内容をテキストで紹介する。
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服を着る人にとって大事なことは何かを追求する
10YCは、「着る人も作る人も豊かに」という理念を持って2017年に創業したアパレルブランドだ。10年という長い期間、着続けたいと思う服作りのために、こだわっているポイントは?下田:着る人が最初に手に取ったときの着心地やディテール、デザイン、使い続けていくなかでの耐久性にこだわったり、あとは長く付き合っていくなかでシミができちゃった、壊れちゃったというときのアフターサポートを用意したりすることで、10年着続けたいと思える服作りをやっています。
別所:なぜこういった取り組みをされようと思ったんですか?
下田:そもそもの始まりは友人の一言でした。けっこう高めのTシャツを買ったときに、1回洗っただけでヨレヨレになっちゃったということがあったんです。僕はそのときファッション業界にいて、その服は僕のブランドは全然関わっていなかったんですけど、友人に「おまえらの業界は1回洗っただけでヨレヨレになるもの作って、どういう仕事をしているんだ」みたいなことを言われて。そこから僕がファッション業界を見つめていくなかで、「もっとこうなったらいいんじゃないの」っていうところを掘り下げていったみたいな感じです。
別所:確かに、洋服は消費財として考えがちというか、使い捨てにするというマインドは、どこかに刷り込まれてしまっています。でも、ご友人の「なんでちゃんと長く使えるものを作っていかないんだろうか」という言葉って、ドキっとしますよね。
下田:ファッションブランドはどうしても売ることを大切にするんですけど、ユーザーからすると長く着たいという思いがあるんだなっていうのを、そこで初めて気づかされました。
別所:ビジネス的には10年以上着続けてもらうよりも、2~3年のスパンで買い替えてもらったほうが利益にはなるのかもしれません。それも1つの経済のサイクル、新陳代謝なんですけど、そういった面はどうお考えですか?
下田:会社の自己利益よりも社会全体とか、着る人にそもそも何が大事なのかみたいなのは、せっかく10YCを始めたので突き詰めていきたいなと思います。また、作り手の人もやっぱり安く作らされちゃうとどうしても難しい面があるけど、10YCはまだ小さいからこそ、そういうのも一緒に作り上げていけたりするのかなと思っています。
心地よく過ごせる季節
— 10YC (@10yearsclothing) September 20, 2021
Navy(Whiteボタン) / Button down Shirt pic.twitter.com/Dw1lA5BLVo
「染め替え」に注目している
10YC立ち上げからおよそ4年。別所は下田さんに「4年間でファッションに対するマインドの変化を実感しているか」と質問した。下田:ブランド側もお客さんも、ファッションへの意識が高まっているような気がしますね。ブランド側は特に、再生可能な繊維を使用しているところが増えたり、そもそもオーガニック繊維を使おうとか、自分たちでリペアしてもう1回販売しようみたいな動きがけっこう出てきたりしていて、すごくいいムーブメントになってきている気がしています。
別所:回収ボックスがちゃんとあったりね。そもそもリユースする、オーガニック素材でフェアトレード、SDGsに配慮したものも非常に増えたような気がするんですけど、自分たちのアクションに対する手ごたえは感じますか?
下田:こうやって話す機会をいただいたり、思いを伝えさせていただくなかで、お客さんも少しずつ増えてきています。あと、10YCで面白いなと思っているのは、Tシャツの染め替えのサービス。長く使っていくほどシミができたり使いづらくなったりすることってあると思うんですけど、そのサービスがこの4年で(アパレル業界で)すごく増えてきていて。お客さんのなかにも、もう1回新たな気持ちで染め替えて使おうみたいな気持ちが出てきているのかなっていうのは、サービスの盛り上がりを見ていてすごく感じますね。
別所:これからもそういったムーブメント自体は、変化していくんでしょうか。
下田:そうですね、今(そういった取り組みを)やっているところが偉いみたいになっていると思うんですけど、「自分たちの作ったものは、自分たちで回収していく」というのが企業として当たり前になっていくんじゃないのかなという気はしています。
さらに下田さんは、10年後のファッション業界についての願望を語る。
下田:自分たちが作ったものを、責任を持ってまた新しいものにしたり、洋服を繊維に戻してもう1回洋服を作るという技術も開発されていたりするので、「自分たちが作ったものには責任を取る」というのを当たり前にして、それを作り手さんや着る人に還元していって、洋服をもっと純粋に楽しめるような状態になっていったら嬉しいなと思います。
じっくり時間をかけ、「毎日着たい」と思われる洋服を作る
「しわにならない」「洗濯機で洗える」「部屋干し3時間で乾く」といった機能を兼ね備えた「2B Chino Jacket」
別所:やっぱり10年持つということは特別な縫製というか、頑丈に作るみたいなのはあるんですか?
下田:はい。あとはやっぱり安く作ろうとすると、どうしても早く作らなきゃいけないとか、何か工程を省いて作らなきゃいけないみたいなのがあったりするんですけど、10YCは時間をじっくりかけられるものづくりの仕方をしています。綿は綿でも、どう編むかによって耐久性が全然違ったりするので、そういうところが違うのかなという気はしています。
別所:僕もパーカーを持っていて、どこが違うのかなってじっくり見たりするんですけど。
下田:ぱっと見は変わらないですよね。
別所:どの部分が10年持つというこだわりになっているのかを探るのもユーザーとしては楽しかったりします(笑)。
下田:お店に来ていただくお客さんとも話をしながら、「そういうことなんだ」ということで盛り上がったりしますね。
別所:いま、どんなアイテムが取り揃えられているんでしょう?
下田:以前はTシャツやパーカーがメインだったんですけど、アウターとかも出していて、この秋から着やすい、軽くてあったかくて洗える中綿ジャケットや、冬も10YCで楽しんでいただけるような商品があります。WEBサイトに出ているので、見ていただけたら嬉しいです。
別所:洗えるというのは、大事なコンセプトですか。
下田:全体を通して「洗濯機で洗える」というのは共通しています。洋服って、扱いが面倒くさいと離れていっちゃうと思うんですよね。毎日着たいと思わないというか、アイロンをかけなきゃいけないとか面倒くさいと思うし。そういうところをなくしていきたいなと思うので、洗濯機で全部洗えるというのは10YCのプロダクトコンセプトの1つですね。
10YCの公式サイトはこちら。
『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』のワンコーナー「Allbirds MORNING INSIGHT」では、あらゆる世界の本質にインサイトしていく。放送は月曜~木曜の6時30分頃から。
番組情報
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