映画監督・細田 守が、最新映画『竜とそばかすの姫』や『サマーウォーズ』、『未来のミライ』の制作エピソードを語った。
細田が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『RADIO DONUTS』(ナビゲーター:渡辺 祐・山田玲奈)のワンコーナー「TOKYO GAS LIFE IS A GIFT」。オンエアは8月21日(土)。
細田:中学生のときに聴いていたのは山下達郎さん、大貫妙子さん、吉田美奈子さん。シュガー・ベイブのメンツですね。あとは坂本龍一さん、細野晴臣さん、矢野顕子さんみたいな、クリエイティブでオリジナリティがあって、自分で曲を作っている方が好きでした。これからの新しい音楽を若者たちに伝え、グローバルな価値を持つ存在に憧れを持っていた気がします。坂本龍一さんや山下達郎さんが出ていた80年代前半のラジオ番組『サウンドストリート』などを聴いて、好きな音楽や新しい音楽を見つけ出そうとしていました。
細田:最初に達郎さんと一緒に映画を作ったのは『サマーウォーズ』です。達郎さんの事務所へご挨拶に伺ったら、達郎さんのほうから「今までどういうふうに生きてきたんですか?」「どういう家庭環境なんですか?」「この映画と細田さんの人生はどんな関係なんですか?」みたいなことを矢継ぎ早に訊かれまして。僕はもともと達郎さんのファンなんですけども、逆インタビューを受けました。曲のインスピレーションを得るために訊いてくださったと思うんですけども、すごく楽しんで作曲してくださったみたいで、うれしいなと思いました。
山下は細田の作品『未来のミライ』でも楽曲を提供している。『ミライのテーマ』と『うたのきしゃ』だ。
細田:達郎さんから「2回頼んだのは細田さんだけですよ」って言われて(笑)。「僕は何回だって頼みたいと思ってますよ」というね。『未来のミライ』では2曲作っていただき、達郎さんのライブラリのなかに僕が関係する曲が3曲もあるのは驚くべきことで、本当に光栄ですね。
細田:僕のなかで音楽は大きな存在だと思います。音楽を誰にお願いするのかは、映画を作る上で非常に重要な部分です。音楽を中心とした映画にする場合、どういう形なんだろうと考えるようになって。ミュージカルなのかどうなのかはわからないですか、いつかはやりたいなと思うようになったんです。そのきっかけになったのは、ディズニーのアニメーション作品である『美女と野獣』でした。当時、僕はちょうどアニメーションの現場に入った頃だったんですけども、すごく感動しまして。「こういう映画ができるんだったら、つらくてもアニメーションの現場を続けていこうかな」と思えるぐらい素晴らしい作品でした。ディズニーのイメージそのものを90年代前半にガラリと変えてしまったのは、作曲家であるアラン・メイケンなんですけども、彼が作った楽曲『美女と野獣』は素晴らしかったですね。
細田:今作は、音楽家・岩崎太整さんに出会ったことが非常に大きいんですよね。映画のなかで感情表現の一部として音楽があって、なおかつ歌を歌う女の子の話なので、それに寄り添った曲が必要でした。岩崎さんはその必要性をものすごく理解してくれる人でした。
岩崎からは「複数の音楽家を取り入れて楽曲制作に取り掛かりたい」と申し出があったという。
細田:『竜とそばかすの姫』では、キャラクターデザインもデザイナーがひとりひとり違うんです。インターネットを舞台にした映画なので、ひとりのデザイナーの色ですべてを染めるんじゃなくて、多様性を取り入れたデザインにしたかったんです。それを見た岩崎さんが、音楽も同じようにすべきではないかと思ったんじゃないでしょうか。それで岩崎さんが声をかけたのが、坂東祐大さん、Ludvig Forssellさん、常田大希さんでした。
細田:今回は歌を歌う人を主人公に作品を仕上げて非常に手ごたえがあったので、その方向性でさらに新しい映画ができるんじゃないかと思っています。映画の醍醐味は音楽と映像の融合というか、その相乗効果をどういうふうに映画的にコントロールするのかが監督の仕事です。映画を作ることと映画音楽を考えることは切っても切れない関係にあるので、今後も面白い切り口で音楽と映画の融合を探っていきたいですね。そういうところにクリエイティビティを発揮できればと思います。
『RADIO DONUTS』のワンコーナー「TOKYO GAS LIFE IS A GIFT」では、毎週さまざまなゲストの人生にフォーカス。誰もが知っている有名なワンシーンの裏にあったストーリーから、知る人ぞ知る隠された感動の出来事を音楽とともに綴る。オンエアは毎週土曜日の10時10分頃から。
細田が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『RADIO DONUTS』(ナビゲーター:渡辺 祐・山田玲奈)のワンコーナー「TOKYO GAS LIFE IS A GIFT」。オンエアは8月21日(土)。
少年時代に触れていた音楽
細田が少年時代に聴いていたのは、どのような音楽だったのだろうか。細田:中学生のときに聴いていたのは山下達郎さん、大貫妙子さん、吉田美奈子さん。シュガー・ベイブのメンツですね。あとは坂本龍一さん、細野晴臣さん、矢野顕子さんみたいな、クリエイティブでオリジナリティがあって、自分で曲を作っている方が好きでした。これからの新しい音楽を若者たちに伝え、グローバルな価値を持つ存在に憧れを持っていた気がします。坂本龍一さんや山下達郎さんが出ていた80年代前半のラジオ番組『サウンドストリート』などを聴いて、好きな音楽や新しい音楽を見つけ出そうとしていました。
『サマーウォーズ』と『未来のミライ』の制作秘話
番組では、山下達郎『僕らの夏の夢』をオンエア。この楽曲は細田の作品『サマーウォーズ』の主題歌に起用されている。「サマーウォーズ」15秒スポット 健二編
山下は細田の作品『未来のミライ』でも楽曲を提供している。『ミライのテーマ』と『うたのきしゃ』だ。
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細田 守に大きな影響を与えたディズニー音楽の作曲家
映画『竜とそばかすの姫』は音楽が重要な役割を担っている。『竜とそばかすの姫』予告2【2021年7月16日(金)公開】
キャラクターデザインと音楽に多様性を取り入れた
『竜とそばかすの姫』では、主人公・Belle/すずを演じる中村佳穂をはじめ、森山良子、中尾幸世、坂本冬美、岩崎良美、清水ミチコなど豪華アーティストが集結。さらに、複数の音楽家が劇中音楽を手掛けている。細田が音楽チームとのやりとりを振り返った。細田:今作は、音楽家・岩崎太整さんに出会ったことが非常に大きいんですよね。映画のなかで感情表現の一部として音楽があって、なおかつ歌を歌う女の子の話なので、それに寄り添った曲が必要でした。岩崎さんはその必要性をものすごく理解してくれる人でした。
岩崎からは「複数の音楽家を取り入れて楽曲制作に取り掛かりたい」と申し出があったという。
細田:『竜とそばかすの姫』では、キャラクターデザインもデザイナーがひとりひとり違うんです。インターネットを舞台にした映画なので、ひとりのデザイナーの色ですべてを染めるんじゃなくて、多様性を取り入れたデザインにしたかったんです。それを見た岩崎さんが、音楽も同じようにすべきではないかと思ったんじゃないでしょうか。それで岩崎さんが声をかけたのが、坂東祐大さん、Ludvig Forssellさん、常田大希さんでした。
音楽と映像の融合
最後に、細田に「映画と音楽の関係性」について訊いた。細田:今回は歌を歌う人を主人公に作品を仕上げて非常に手ごたえがあったので、その方向性でさらに新しい映画ができるんじゃないかと思っています。映画の醍醐味は音楽と映像の融合というか、その相乗効果をどういうふうに映画的にコントロールするのかが監督の仕事です。映画を作ることと映画音楽を考えることは切っても切れない関係にあるので、今後も面白い切り口で音楽と映画の融合を探っていきたいですね。そういうところにクリエイティビティを発揮できればと思います。
『RADIO DONUTS』のワンコーナー「TOKYO GAS LIFE IS A GIFT」では、毎週さまざまなゲストの人生にフォーカス。誰もが知っている有名なワンシーンの裏にあったストーリーから、知る人ぞ知る隠された感動の出来事を音楽とともに綴る。オンエアは毎週土曜日の10時10分頃から。
radikoで聴く
2021年8月28日28時59分まで
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番組情報
- RADIO DONUTS
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毎週土曜8:00-12:00