東京五輪を「音楽・ファッション・カルチャー」の視点から現地レポート!【スケートボード編】

開催中の第32回オリンピック競技大会(2020/東京)。J-WAVEの取材隊が、スポーツのみならず、音楽やファッション、カルチャーの視点から、競技の魅力や楽しみをお伝えします。 (J-WAVE NEWS編集部)

待ちに待った五輪スケートボード

今回は、25日に行われた新種目のスケートボード、男子ストリートの様子をレポート。会場の「有明アーバンスポーツパーク」はゆりかもめ・有明テニスの森駅から徒歩数分。今大会のためにつくられた競技場は、スケートボードの他にもBMXといった種目と併設しており、駅のホームからも場内を見ることができます。

会場から見える景色には、大きな青空に海をはさんで豊洲市場の倉庫や勝どきエリアのタワーマンションなどが立ち並びます。真夏の青空に高く掲げられた出場国のフラッグが泳ぎ、まだ新しい白い地面が太陽を強く照り返します。気温は30度超え……灼熱の太陽の下で、13か国から世界トップレベルのスケーター20人がメダルを競いました。

大会の結果はオンエアや各ニュースでもうご存知だと思いますが、まずは堀米雄斗選手の金メダル、本当におめでとうございます! どんなときも冷静で、トリックを的確にこなし、最後まで諦めない強さがとても印象的でした。また、選手たちのスケートボード技術はもちろんですが、何より彼らがスケートボードを楽しそうに滑っていた姿が印象的でした。デッキを抱えたり追いかける姿は、選手たちとスケートボードはずっと長い間いっしょに人生の時を滑ってきたんだな……とまるで親友や相棒のよう。地元のパークからはじまり公園や道中にある縁せきや手すりを見つけては挑戦……何度も転んで、身体が傷だらけになって、やっと成功したトリックに仲間と喜ぶ……そんな日々を繰り返して今この大会に立っているんだなと思うと、決勝戦ではサングラスの下で涙が止まりませんでした(マスクがびしょびしょで大変でした)。

【関連記事】東京五輪のスケボー金メダリスト・堀米雄斗選手に訊いた! 滑るときに聴くヒップホップは?

スケートボードの会場で流れていた音楽は?

そんな歴史的瞬間となった、今回の東京2020オリンピックのスケートボード。ここで私が「面白い!」と感じたポイントや、個人的に注目した選手をご紹介したいと思います。

スケートボードは、競技としてだけでなく、音楽やファッションなどのカルチャーが入り混じったストリートスポーツ。人がやらないトリックをやってみようとあれこれ試行錯誤したり、新技を作り出すということから新しいカルチャーもどんどん生まれているのかもしれません。

【MUSIC1:場内BGM】

スケートボードと切り離せないもののひとつ、音楽。スケートビデオのBGMでは必ず音楽が流れているし、音楽を聴きながら滑っているスケーターを街中でよく見かけますよね。パンクやロック、HIP-HOP……などチームや国によって様々なところも面白いと思います。

25日に行われた大会場内で流れていた音楽は、Gang Starr「Mass Appeal」やMF DOOM「Rapp Snitch Knishes feat. Mr. Fantastik」から、The Chemical Brothers「Hoops」まで多種多様。ジャンルに偏らないのもスケートボードの多様性を感じられました。特に印象的だったのは、選手がトリックを決めて着地した瞬間に、Arcade Fire「No Cars」の爽やかなイントロが流れた瞬間。天気や青空にぴったりで、映画のワンシーンを見ているようでした。場内BGMを聴いているのも面白くて、「あっ聴いたことある!」と思ったらすぐに調べるShazam職人が書き出せる範囲で調べました(笑)。



【MUSIC2:注目選手】

・Jagger Eaton(アメリカ代表)20歳

幼少期から数々の大会で記録を残し、ストリートとパークどちらでも活躍するスケーター。スケートボードの技術はもちろん、見た目のカッコよさもあってアメリカでは相当人気なのでは……! ただ私が彼に目を奪われたのはそれだけではありません。多くの選手が競技中にAirPodsを耳につけていましたが、その中でも明らかに会場BGMとは違うビートで身体を揺らしている選手がいるぞ……!と。それがJagger Eatonでした。この首の揺らし方と手の振り方はHIP-HOPかな。Pop Smokeとかかな。と勝手に想像を膨らませていました。すると、Apple MusicとSpotifyでJagger Eaton作成のプレイリストを公開していた! しかもPop Smokeも入ってた(笑)! HIP-HOPだけでなくカントリーまで幅広い選曲でした。ぜひチェックしてみてください。



■Jagger Eaton Instagram
https://www.instagram.com/jaggereaton/

ちなみに日本代表・堀米雄斗選手はインタビューでGunna「SUN CAME OUT」を選曲してくれましたが、実は邦楽HIP-HOPでは舐達麻「BUDS MONTAGE」をよく聴くと話していました。他のスケーターたちも様々な音楽を聴いていると思うので、探してみると面白いですね!

選手のファッションにも注目!

【FASHION1:ユニフォーム】

スケートボード選手はユニフォームも多様! テレビを見ていて、同じ国でも違うのを着ていると感じた方も多いのではないでしょうか。日本代表選手3人もそれぞれ異なりましたね。でも、その統一されている服じゃなくてそれぞれのスタイルで着こなしているのがめちゃめちゃかっこいいのです! 『GQ』や『Buzzfeed』でも、スケートボードのユニフォームがオリンピックで1番かっこいいと記事になっていました。アクセサリーやソックス、帽子の使い方に個性が出ていますね。日本、アメリカ、フランス、ブラジルはNike SBが手掛けた、オランダ人アーティスト・Piet Parraによるデザインのユニフォームになっています。堀米選手が来ていたデザインは大会当日に即完売したのだとか…。

・『GQ』の記事
https://www.gq.com/story/skateboarding-olympic-uniforms

・『Buzzfeed』の記事
https://www.buzzfeed.com/lyapalater/olympic-skateboarders-have-coolest-outfits

・olympics.comのページ
https://olympics.com/tokyo-2020/en/news/skateboarding-fashion-steals-the-show-tokyo-2020?utm_source=twitter&utm_medium=tw-post&utm_campaign=social-owned_

【FASHION2:注目選手】

・Vincent Milou(フランス代表)24歳
アメリカ合衆国カリフォルニア州サクラメント発のスケートボードブランド「PIZZA SKATEBOARDS」のプロスケーター。上下白のセットアップにボタンダウンシャツを上までしめて、胸のロゴマーク・キャップ・デッキをターコイズブルーで統一。驚愕のおしゃれさ! 自由形式で滑る「ラン」のときも白いシャツをなびかせながらすごいスピードで駆け抜け、トリックを決めると子どもみたいな無邪気な笑顔で両手を挙げて喜ぶ姿は、思わず「おいおい、好きだ!?」と立ち上がりたくなりました。半円型の太い眉毛に浅い帽子をきゅっと被り、四角いボディのシルエットは、遠目に見るとなんとなく故Mac Millerにも似ている。そう、私はMac Miller似の男性に弱いのです。



Vincent Milouのスケート動画

選手を"撮る"人も活躍!

スケートボードに欠かせないのは映像と写真。かっこよく滑る姿を残すためにもカメラマンは大切な存在です。スケートビデオはカメラマンもスケートボードに乗って、横で滑りながら撮影していることがほとんど。そのシーンやポイントを理解している人が撮影していることが重要なのだと思います。そこで、今回のスケートボードの大会で写真撮影をしていた重要人物をご紹介!

・Atiba Jefferson

LA レイカーズの専属をはじめファッション業界でも活躍するスケートフォトグラファーの第一人者。スケーターたちとの交流も深いようで、彼らがInstagramでアップしているほとんどにこのAtiba Jeffersonがタグ付けされていました。今大会で撮影した写真もたくさんあがっているので、ぜひチェックしてみてください。

・Atiba Jefferson Instagram
https://instagram.com/atibaphoto

長くなりましたが……スケートボードの色んな楽しみ方をお伝えできたら嬉しいです。堀米雄斗選手をはじめ多くのスケーターが「日本ではまだスケートボードができるところが少ない。これからもっと多くの人に理解されるようになってほしい」と話しています。この大会をきっかけにスケートボードというスポーツ、カルチャーが楽しめる環境が増えていくのではないでしょうか。J-WAVEでもシーンの盛り上げを一緒にしていけたらいいなと思います。

表彰式では日本、ブラジル、アメリカの選手3人が抱き合っているシーンをとてもよく覚えています。その姿は、オリンピック種目として初めてスケートボードがこうしてできたことや、お互いのパフォーマンスを称え合っているようにも見えました。また翌日、女子スケートボードストリートで金メダルを獲得した西谷椛選手は会見で「史上最年少で金メダル獲得についてどう思いますか?」という記者の質問に「年齢関係ないと思います」とキッパリ答えていました。スケートボードが国や文化、年齢を超えて人をつないでいること、小さい頃から大好きで続けてきたスケートボードがオリンピック種目として世界へ発信されたこと。その瞬間とスケーターたちの最高に輝く姿を目の当たりにできて本当に光栄でした。

東京2020オリンピックでのスケートボード・パークは8月4日と5日に開催されます。パーク部門でも注目選手が多数出場します。まだまだ熱い夏、選手たちの熱い思いをみんなで応援しましょう!

オリンピック取材隊の場内レポート、次回もお楽しみに!

(Writer:Kana Shionoya)

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