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音楽ストリーミングサービスやライブ配信の普及によって、私たちのミュージックライフは大きく変わった。アーティストは気軽に楽曲を発表できるようになり、リスナーは自宅にいながら世界の音楽にアクセス可能に。音楽ファンにとっては夢の時代が到来した。
一方、レコードショップで音楽を探すような体験が失われつつあるのも事実だ。長きにわたり音楽シーンを見てきた業界人は今、何を思うのか? ラジオDJやタレントなど多岐にわたって活躍するジョン・カビラさんにインタビューを行った。
ジョンさんはCBS・ソニー(現 ソニー・ミュージックエンタテインメント)勤務を経て、1988年からラジオ局「J-WAVE」開局からナビゲーターに。グラミー賞の中継司会なども務める。そんなジョンさんが、音楽を知る/聴く環境の変化に思うことは。また、最新テクノロジーによる音質の向上で得られる、新しい音楽体験の喜びについても話を訊いた。
──ジョンさんの「音楽の原体験」はどのようなものですか?
ジョン:中学校の同級生たちと「ザ・ビートルズ派? それともザ・ローリング・ストーンズ派?」なんて話をした世代です。家には、両親が好むクラシックや映画のサウンドトラックのレコードもありましたね。沖縄にいたので、AFN(米軍関係者等向けのラジオ)もよく聴いていました。モータウンサウンドや、エルビス・プレスリーとか、60年代のポップスですね。
──今の若い世代はサブスクリプションで気軽に聴けますが、当時は「聴きたい!」と思っても大変な時代ですよね。
ジョン:お小遣いだとアルバムがなかなか買えないなんてこともありました。そういう部分は、音楽サブスクリプションで聴けるZ世代の子たちが羨ましい。ただ、便利になった一方で、「アルバムの曲順の意味」に思いを馳せるような“趣”は失われつつあるのかもしれない。僕らはA面B面で、「なぜA面の最後はこの曲なんだろう?」「やっぱりB面の最初はこれか」と考えることがあったじゃないですか。
──たしかに。曲を知る機会も、自分で探すより、「サブスクリプションのアルゴリズム」が多い人もいるでしょうね。ジョンさんはいかがですか?
ジョン:アルゴリズムも便利ですが、僕は音楽メディアでリサーチすることが多いですね。「BARKS」など日本の音楽メディアはもちろん、ニューヨーク・タイムズなどの海外メディアも見ています。アメリカのNPR(ナショナル・パブリック・ラジオ)の音楽提案型の番組「All Songs Considered」もおもしろいですよ。
──気軽に聴けるようになったのと同時に、アーティストの発信方法も昔よりバリエーションが生まれましたよね。
ジョン:テクノロジーによって、聴き手もアーティストも、音楽の楽しみ方の民主化が進みましたよね。もちろん、デジタルデバイド(情報格差)があるからリスナー全員がサブスクを使っているわけではないと送り手は理解しないといけませんが、多くの人が指先ひとつで新しい音楽を聴ける環境にはなりました。
選択肢がありすぎる、そしてアルゴリズムでおすすめされていくとなると、聴く/聴いてもらう音楽の幅が逆に狭まる可能性がある。だからこそ、ジャケ買いのような出会いも残ってほしいと思います。コンピューターのスクリーンでもジャケ買いは可能ですが、やっぱり実店舗がないと楽しみが薄れてしまう。フィジカルなものが失われてほしくないから、今レコード文化を活性化させる「Record Store Day」が国際的なムーブメントになっていて、「そのためにビニール(アナログ)盤を出すよ」という動きもあるのは心強いですね。
──ジョンさんは、J-WAVE開局の1988年から、番組のナビゲーターとして長年出演されています。当時と今で、アーティストを取り巻く状況はどう変わったと思いますか。
ジョン:やはり、先ほど申し上げた、テクノロジーにおける音楽の楽しみ方の民主化は大きな流れだと思います。レコードレーベルやマネジメントによる、アーティストイメージのコントロールが薄まってきた。アーティストのインテグリティ(誠実さ)というか、アーティスト性へのリスペクト度が高まってきている気がします。それゆえに、アーティスト自身がいろいろ試されていると思います。
日本では、音楽に政治を持ち込むなといった意見も見られます。それは、アーティストは僕らを楽しませるためだけの存在だという発想から来ているものだと思う。でも、生きている限り、アーティストもリスナーもいろんな局面に接します。だから「自分がアーティストに対して抱いているイメージから外れると不快」というのは、ちょっと残念だと僕は思う。もうちょっとみんな心に余裕をもって受け止めたほうがいいんじゃないかと。意識下でも「アーティストは歌って踊って楽しませてくれるだけでいいんだよ」というのは、やっぱり許されない時代だと思いますね。もちろん、アーティストが政治的なことを発信しなければならないという義務もないから、いろんな意味で選択を試される時代になったなと感じます。
ソニーが開発した、360立体音響技術「360 Reality Audio」(サンロクマル・リアリティオーディオ)も、リスナーの音楽体験を豊かにする技術のひとつだ。ボーカルやコーラス、楽器などの音源一つひとつに位置情報をつけ、球状の空間に配置。360度=全方位からアーティストの演奏に囲まれているかのようなサウンドを作り出す。音楽体験はどう変わるのか? 実際に試したジョンさんに感想を訊いた。
──「360 Reality Audio」を聴いてみていかがでしたか?
ジョン:もう本当に、全没入! トータルイマージョンとはまさにこのことだなという感じでしたね。
ジョン:最初にキーボード奏者・井上鑑さんの音源を聴かせていただいたのですが、井上さんがキーボードを弾いている前を僕らが通り過ぎるような感覚でした。ライブ会場にそのままいるという感じです。コロナ禍にあってライブ体験がなかなか難しい中、音楽に全没入できるのはありがたいですね。
──現状だとAmazon Music HDとDeezer、nugs.netで、邦洋を問わず4000曲以上の「360 Reality Audio」対応コンテンツが配信されています。ジョンさんはどのアーティストを楽しんでいますか?
ジョン:青春時代に聴いていた旧譜を改めて聴いています。今後は、ジャーニー、TOTO、ボストン、ディープ・パープルなんかを、この没入感とリアリティで聴き直したいですね。他には「モータウンはどういう風に聴こえるんだろう?」と、あらためて音楽にどっぷりつかっています。対応楽曲が増えて、自分のプライベートなプレイリストが聴ける日が待ち遠しい。
──どんなイヤホン、ヘッドホン、スピーカーでも使えますが、360 Reality Audio認定の機種だとアプリで耳の形を撮影して音を最適化するんですよね。
ジョン:あれにはびっくりしました。Z世代の娘も「貸して貸して!」という感じです。高いステレオセットで音楽を聴く世代ではなくても驚くのは、オーディオ好きの先輩方から薫陶を受けてきた世代としてはめちゃめちゃ嬉しいですね。
──オーディオマニアではなくても違いがわかると。
ジョン:無料の試聴デモ専用アプリArtist Connectionをダウンロードすると、普通のステレオと「360 Reality Audio」の聴き比べができるので、ぜひみなさん試してみてほしいですね。本当に驚きますから。多幸感が味わえると思います。
──この新たな音楽体験に、これから期待することは?
ジョン:クラシックからジャズから、全ジャンル聴いてみたいですね。ありがたいことに、ソニー以外のレーベルも対応していますから、アーティストが「360 Reality Audio」を想定して新たなサウンドを作ることも可能になる。本当に心待ちにしています。
音楽にはBGMという楽しみ方もあるし、「聴き込まないといけない」というルールはありません。それでも、24時間のうち1曲でも聴き込みたくなる、贅沢な時間の価値を最大限に広げてくれるテクノロジーだと思います。
(取材・文=市來孝人、撮影=竹内洋平)
4月16日(金)から国内での展開が本格始動。邦楽配信開始にあわせ、アーティストのミュージックビデオやライブ映像を360 Reality Audioの音で疑似体験できるサイト「SOUND DIVE」がオープン。すでに配信を開始しているAmazon Music HDに加え、同日に、新たにDeezer・nugs.netといったストリーミングサービスより、大滝詠一、Little Glee Monsterといった邦楽アーティストを含めた、様々なレーベルによる4000曲以上の「360 Reality Audio」対応コンテンツが配信される。コンテンツ拡充に向け、制作ツールや技術ライセンスの提供などといった展開も行われている。
・SOUND DIVE
https://www.sony.co.jp/360ra_sounddive/
・360 Reality Audio
https://www.sony.jp/headphone/special/360_Reality_Audio/
音楽ストリーミングサービスやライブ配信の普及によって、私たちのミュージックライフは大きく変わった。アーティストは気軽に楽曲を発表できるようになり、リスナーは自宅にいながら世界の音楽にアクセス可能に。音楽ファンにとっては夢の時代が到来した。
一方、レコードショップで音楽を探すような体験が失われつつあるのも事実だ。長きにわたり音楽シーンを見てきた業界人は今、何を思うのか? ラジオDJやタレントなど多岐にわたって活躍するジョン・カビラさんにインタビューを行った。
ジョンさんはCBS・ソニー(現 ソニー・ミュージックエンタテインメント)勤務を経て、1988年からラジオ局「J-WAVE」開局からナビゲーターに。グラミー賞の中継司会なども務める。そんなジョンさんが、音楽を知る/聴く環境の変化に思うことは。また、最新テクノロジーによる音質の向上で得られる、新しい音楽体験の喜びについても話を訊いた。
アルゴリズムによる「音楽のおすすめ」は、聴く幅を狭める可能性も
ジョン:中学校の同級生たちと「ザ・ビートルズ派? それともザ・ローリング・ストーンズ派?」なんて話をした世代です。家には、両親が好むクラシックや映画のサウンドトラックのレコードもありましたね。沖縄にいたので、AFN(米軍関係者等向けのラジオ)もよく聴いていました。モータウンサウンドや、エルビス・プレスリーとか、60年代のポップスですね。
──今の若い世代はサブスクリプションで気軽に聴けますが、当時は「聴きたい!」と思っても大変な時代ですよね。
ジョン:お小遣いだとアルバムがなかなか買えないなんてこともありました。そういう部分は、音楽サブスクリプションで聴けるZ世代の子たちが羨ましい。ただ、便利になった一方で、「アルバムの曲順の意味」に思いを馳せるような“趣”は失われつつあるのかもしれない。僕らはA面B面で、「なぜA面の最後はこの曲なんだろう?」「やっぱりB面の最初はこれか」と考えることがあったじゃないですか。
──たしかに。曲を知る機会も、自分で探すより、「サブスクリプションのアルゴリズム」が多い人もいるでしょうね。ジョンさんはいかがですか?
ジョン:アルゴリズムも便利ですが、僕は音楽メディアでリサーチすることが多いですね。「BARKS」など日本の音楽メディアはもちろん、ニューヨーク・タイムズなどの海外メディアも見ています。アメリカのNPR(ナショナル・パブリック・ラジオ)の音楽提案型の番組「All Songs Considered」もおもしろいですよ。
──気軽に聴けるようになったのと同時に、アーティストの発信方法も昔よりバリエーションが生まれましたよね。
ジョン:テクノロジーによって、聴き手もアーティストも、音楽の楽しみ方の民主化が進みましたよね。もちろん、デジタルデバイド(情報格差)があるからリスナー全員がサブスクを使っているわけではないと送り手は理解しないといけませんが、多くの人が指先ひとつで新しい音楽を聴ける環境にはなりました。
選択肢がありすぎる、そしてアルゴリズムでおすすめされていくとなると、聴く/聴いてもらう音楽の幅が逆に狭まる可能性がある。だからこそ、ジャケ買いのような出会いも残ってほしいと思います。コンピューターのスクリーンでもジャケ買いは可能ですが、やっぱり実店舗がないと楽しみが薄れてしまう。フィジカルなものが失われてほしくないから、今レコード文化を活性化させる「Record Store Day」が国際的なムーブメントになっていて、「そのためにビニール(アナログ)盤を出すよ」という動きもあるのは心強いですね。
テクノロジーによる「音楽の楽しみ方の民主化」
ジョン:やはり、先ほど申し上げた、テクノロジーにおける音楽の楽しみ方の民主化は大きな流れだと思います。レコードレーベルやマネジメントによる、アーティストイメージのコントロールが薄まってきた。アーティストのインテグリティ(誠実さ)というか、アーティスト性へのリスペクト度が高まってきている気がします。それゆえに、アーティスト自身がいろいろ試されていると思います。
日本では、音楽に政治を持ち込むなといった意見も見られます。それは、アーティストは僕らを楽しませるためだけの存在だという発想から来ているものだと思う。でも、生きている限り、アーティストもリスナーもいろんな局面に接します。だから「自分がアーティストに対して抱いているイメージから外れると不快」というのは、ちょっと残念だと僕は思う。もうちょっとみんな心に余裕をもって受け止めたほうがいいんじゃないかと。意識下でも「アーティストは歌って踊って楽しませてくれるだけでいいんだよ」というのは、やっぱり許されない時代だと思いますね。もちろん、アーティストが政治的なことを発信しなければならないという義務もないから、いろんな意味で選択を試される時代になったなと感じます。
「音質」によって、音楽体験はもっと楽しくなる
聴く環境だけでなく、技術面も革新している。例えば、以前は高級イヤホン・ヘッドホンにしか搭載されていなかった「ノイズキャンセリング機能」も、身近なものになって久しい。──「360 Reality Audio」を聴いてみていかがでしたか?
ジョン:もう本当に、全没入! トータルイマージョンとはまさにこのことだなという感じでしたね。
──現状だとAmazon Music HDとDeezer、nugs.netで、邦洋を問わず4000曲以上の「360 Reality Audio」対応コンテンツが配信されています。ジョンさんはどのアーティストを楽しんでいますか?
ジョン:青春時代に聴いていた旧譜を改めて聴いています。今後は、ジャーニー、TOTO、ボストン、ディープ・パープルなんかを、この没入感とリアリティで聴き直したいですね。他には「モータウンはどういう風に聴こえるんだろう?」と、あらためて音楽にどっぷりつかっています。対応楽曲が増えて、自分のプライベートなプレイリストが聴ける日が待ち遠しい。
──どんなイヤホン、ヘッドホン、スピーカーでも使えますが、360 Reality Audio認定の機種だとアプリで耳の形を撮影して音を最適化するんですよね。
ジョン:あれにはびっくりしました。Z世代の娘も「貸して貸して!」という感じです。高いステレオセットで音楽を聴く世代ではなくても驚くのは、オーディオ好きの先輩方から薫陶を受けてきた世代としてはめちゃめちゃ嬉しいですね。
──オーディオマニアではなくても違いがわかると。
ジョン:無料の試聴デモ専用アプリArtist Connectionをダウンロードすると、普通のステレオと「360 Reality Audio」の聴き比べができるので、ぜひみなさん試してみてほしいですね。本当に驚きますから。多幸感が味わえると思います。
ジョン:クラシックからジャズから、全ジャンル聴いてみたいですね。ありがたいことに、ソニー以外のレーベルも対応していますから、アーティストが「360 Reality Audio」を想定して新たなサウンドを作ることも可能になる。本当に心待ちにしています。
音楽にはBGMという楽しみ方もあるし、「聴き込まないといけない」というルールはありません。それでも、24時間のうち1曲でも聴き込みたくなる、贅沢な時間の価値を最大限に広げてくれるテクノロジーだと思います。
(取材・文=市來孝人、撮影=竹内洋平)
360 Reality Audio楽曲を体験するには
・SOUND DIVE
https://www.sony.co.jp/360ra_sounddive/
・360 Reality Audio
https://www.sony.jp/headphone/special/360_Reality_Audio/