J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。番組では、毎回ゲストを迎え、様々なテーマを掘り下げていく。
2020年12月2日(水)のオンエアでは、アンビエントやドローン、辺境音楽などを扱う京都のレコード店「メディテーションズ」のバイヤー・門脇綱生と、ギタリスト/作曲家/プロデューサーの岡田拓郎をゲストに迎え、「アンビエント・ミュージック進化論」をテーマにお届けした。
あっこゴリラ:今「アンビエント・ミュージック」が再び注目を集めている理由は何だと思いますか?
門脇:2000年代中盤にマニアックなシーンから始まり、2010年代に入ると大きな進展を見たニューエイジ音楽の再評価が始まります。その過程で、それらと密接なアンビエントや環境音楽にも注目が集まっています。
あっこゴリラ:なるほど~。
門脇:2019年には、日本のアンビエントやニューエイジ、環境音楽を特集したコンピレーション・アルバム『Kankyo Ongaku』がアメリカでリリースされ、グラミー賞にもノミネートされています。
あっこゴリラ:すごい! そもそもアンビエント・ミュージックは、いつ誕生したのか、というところからやっていきたいと思います。まずはエリック・サティの『家具の音楽』から掘り下げていきたいと思います。門脇さん、この曲はどんな曲ですか?
門脇:『ジムノペディ』で有名なフランスのクラシック作曲家エリック・サティの曲になります。1920年に作曲された室内楽『家具の音楽』は、アンビエントや環境音楽に大きな影響を与えました。聴いても聴かなくてもいい音楽で、まるでそこにある家具のように、存在を意識する必要がなく、人が音楽を聴くことを前提としていません。BGMの先駆けともいわれています。
あっこゴリラ:だから『家具の音楽』なんだ。おもしろい!
門脇:環境に作用させるというか、音楽がエンターテインメント化していく中で、カウンターのような音楽になってるんですよね。
あっこゴリラ:なるほど~。
門脇:日本では80年代に環境音楽ブームが起きていたんですけど、そのときにちょっとコマーシャルチックに間違って広まっちゃったかなと思います。
その後、アンビエント・ミュージックはどのように進化していったのだろうか。
門脇:「アンビエント・ミュージック」という概念を提唱したのは、ブライアン・イーノという作曲家です。ブライアン・イーノは、交通事故で入院したときに起きた体験から着想を得て、78年にアンビエント・シリーズを開始します。その第一作目が、『Ambient 1: Music for Airports』です。このときに、初めて「アンビエント」と言語化されました。
あっこゴリラ:へえ~!
門脇:この作品は、タイトル通り空港施設内で再生されることを目的とした音楽になっています。中断しても大丈夫で、コミュニケーションの妨げにならないように人の会話の周波数から外れてるんです。
あっこゴリラ:気になったんですけど、ヒーリング・ミュージックとアンビエント・ミュージックの違いってあるんですか?
門脇:アンビエントは、日本では「環境音楽」と呼ばれているもので、90年代の終わりごろに流行ったヒーリング・ミュージックや癒し系といったサプリ的な音楽とは違います。疲れ果てていて、何も聴く元気はないけれど、何か音楽を流していたいというときに聴くような、とても静かな心落ち着く音楽のことをいいます。
あっこゴリラ:なるほど~。
門脇:ヒーリングと変わらないという人もいるかと思うんですけど、アンビエントとは、環境や人間の“無意識”へと作用させるものになります。注意して音を聴かなくてもよい、特定のものを強制したりしない音楽です。
岡田:やっぱりアンビエントって、音楽を聴くっていう行為の定義を議論する投げかけの一つではありますよね。
あっこゴリラ:じゃあ、この二つはもうスタート地点から違うんですね。
岡田:ただ空港の音楽として、アンビエントが一作目になったというのは、けっこう重要なことですね。公園の噴水や彫刻といったパブリックアート的な、その一種みたいな公共の空間におけるアートの場みたいな意味合いも多分ありますよね。
アンビエント・ミュージックの概念を生み出した天才音楽家ブライン・イーノは、あの「Windows 95」の起動音も作曲した人物だ。ロックバンド「ロキシー・ミュージック」のメンバーだったが、バンド脱退後にロックから前衛的な音楽へ自身の音楽性を転換。1978年に『アンビエント1/ミュージック・フォー・エアポーツ』発表した。アーティスト活動と並行して、プロデューサーとしてデヴィッド・ボウイ、U2、コールドプレイのアルバムにも参加。コールドプレイの大ヒット曲『美しき生命(Viva La Vida)』も彼のプロデュースである。
■The KLF『Madrugada Eterna』
あっこゴリラ:番組後半は、The KLFの『Madrugada Eterna』からスタートしました。すごくかっこいい! 門脇さん、この曲は?
門脇:80年代後半くらいからアンビエント・ハウスというジャンルが登場します。そのコンセプト・アルバム『Chill Out』からの一曲です。若者言葉にもなっている「チルアウト」の語源です。
あっこゴリラ:ここからきてるんですね。
門脇:「和む」「癒す」「まったりする」などの意味ですが、80年代後期のレイヴ・カルチャーで、ダンスで火照った身体を休ませ癒すといった行為が概念化されたものなんです。
あっこゴリラ:おもしろい!
門脇:ちなみに、このThe KLFというユニット名は、「著作権解放戦線」の頭文字をとったとも噂されています。違法サンプリングの宝庫でなかなか再発されず、人気作品なのに廃盤状態になっています。さらに、違法サンプリングし過ぎてABBAに告訴されて、ABBAの事務所の前でその曲を爆音で夜に流したりとかしてます(笑)。
あっこゴリラ:あはははは! ヤバい!
門脇:あとは、人の畑にミステリーサークルを作ろうとしてニュースになったり、アンビエントとはかなりかけ離れたこともしています。
あっこゴリラ:めちゃめちゃおもしろい! やってることがアートというか、大好きだな~。
■Aphex Twin『Xtal』
あっこゴリラ:「アンビエント・ミュージック進化論」、続いての曲は?
門脇:アンビエント・ミュージックとテクノの融合として代表的な曲、Aphex Twinの『Xtal』です。
あっこゴリラ:やっぱりビートが入ったことで、安心感がありますね。あははは。
門脇:Aphex Twinは、様々な名義を用いてテクノからアンビエント、エレクトロニカ、IDMなどいろんなジャンルを横断してきたイギリスのミュージシャン/DJで、スクエアプッシャーやオウテカと並んで90年代ワープ・レコーズの重要なタレントです。フジロックで来日したときにステージ上に犬小屋を設置し、終始その中で演奏したり、レーベルとの数億円の契約金で装甲車を購入したり、数々の奇行で知られる人物でもあります。
あっこゴリラ:あはははは。アンビエントやる人って、ちょっとぶっ飛んでる人多いんですかね。
岡田:多分、さっきのThe KLFとこの人が特殊なだけだと思います(笑)。
門脇:アンビエント・テクノからエレクトロニカ、IDMにわたるまで、90年代のエレクトロニック・ミュージックシーンにおいてランドマークと見なされています。アンビエントはこんな風に、様々な他のジャンルと結びついて発展していきます。
■細野晴臣『Talking』
あっこゴリラ:「アンビエント・ミュージック進化論」、続いての曲は?
門脇:昨今再評価される日本のアンビエント枠として、細野晴臣さんの『花に水』から『Talking』です。
あっこゴリラ:どんな曲なんですか?
門脇:この曲は、Y.M.O.が解散した後に、細野さんが『Kankyo Ongaku』という作品を発表した時期の作品です。細野さんは、『MEDICINE COMPILATION』のようなアンビエント・テクノも作っています。いま日本のアンビエントが再評価されていて、『Kankyo Ongaku』というアンビエントのコンピが海外でも出されています。
あっこゴリラ:具体的には、どんな感じで再評価されてるんですか?
門脇:日本独特の環境音楽の位置付けがあります。日本独特の間や静けさみたいなものがアンビエントと相性が良くて、そういう作品が80年代に多く作られました。それが今、海外から注目が集まっています。
あっこゴリラ:なるほど~!
門脇:この曲はYouTubeでは100万回以上再生され、Vampire Weekendが新作でサンプリングするほど人気になっています。
門脇:2010年代に入ってから、前述した日本のニューエイジ音楽がリバイバルされていて、その中でも切っても切れないアンビエントが注目を集めています。そこで紹介するのが、今のアンビエントに重要な、アメリカ・ポートランドの電子音楽ユニット「Visible Cloaks」です。中心メンバーのSpencer Doranは、先ほど紹介した日本のアンビエントのコンピレーション『Kankyo Ongaku』の制作にも携わっています。
あっこゴリラ:そうなんだ~!
門脇:このSpencer Doranが、日本のアンビエントの再評価を推し進めた人でもあります。メンバーの1/2、Spencer Doranはニッチな実験音楽を紹介していたアメリカの名ブログ「Root Blog」にも画期的なミックスの数々を寄稿していて、これがニューエイジのリバイバルにも影響を与えたと思われます。
あっこゴリラ:へえ~。
門脇:今回紹介するVisible Cloaks『Valve feat. Miyako Koda』は、Jon Hassellの提唱した「第4世界」にも似た「Fourth World Japan」という音楽構造を基にバーチャルに仮想複製された世界各地のアコースティック楽器などを用いて制作された作品になっています。
番組ではVisible Cloaks『Valve feat. Miyako Koda』をオンエア。
門脇:海外のコレクターやレコード・ディガーが発掘した誰も知らない作品が、アンダーグラウンドな音楽ブログや違法サイトなどを経由して、オンラインで広くシェアされる。そこからSNSやYouTubeといったオンラインのプラットフォームで拡散され、発展していくんですよね。
あっこゴリラ:今音楽オタクたちは楽しくてしょうがないですよね。コンテンツがどんどんできるし、シェアできるし。
門脇:そうですね。ニューエイジやアンビエントを数多く発信した違法アップロードやブログが存在していたり、そうしたブログが発展してミックスのアップロードやインタビューなどを始めてメディア的な存在になっていったりしています。
あっこゴリラ:すごい!
門脇:『Kankyo Ongaku』をリリースしたシアトルのレーベルである「Light In The Attic」がリリースした、アメリカ産の自主盤ニューエイジをコンパイルした画期的なコンピレーション・アルバム『I Am TheCenter』の大ヒットを始め、アンダーグラウンド音楽シーンで起きたカセットリリースのムーブメントから生まれた数々のドローンやアンビエント音楽、マニアックな実験音楽系のレコードの世界的な再発ブームなど、他にもたくさんあります。
2020年12月2日(水)のオンエアでは、アンビエントやドローン、辺境音楽などを扱う京都のレコード店「メディテーションズ」のバイヤー・門脇綱生と、ギタリスト/作曲家/プロデューサーの岡田拓郎をゲストに迎え、「アンビエント・ミュージック進化論」をテーマにお届けした。
アンビエントとは、環境や人間の“無意識”へと作用させるもの
今、「アンビエント・ミュージック」が再び注目を集めている。いわゆる「アンビエント・ミュージック/環境音楽」は、いつ誕生し、どのようにして進化してきたのだろうか。あっこゴリラ:今「アンビエント・ミュージック」が再び注目を集めている理由は何だと思いますか?
門脇:2000年代中盤にマニアックなシーンから始まり、2010年代に入ると大きな進展を見たニューエイジ音楽の再評価が始まります。その過程で、それらと密接なアンビエントや環境音楽にも注目が集まっています。
あっこゴリラ:なるほど~。
門脇:2019年には、日本のアンビエントやニューエイジ、環境音楽を特集したコンピレーション・アルバム『Kankyo Ongaku』がアメリカでリリースされ、グラミー賞にもノミネートされています。
あっこゴリラ:すごい! そもそもアンビエント・ミュージックは、いつ誕生したのか、というところからやっていきたいと思います。まずはエリック・サティの『家具の音楽』から掘り下げていきたいと思います。門脇さん、この曲はどんな曲ですか?
門脇:『ジムノペディ』で有名なフランスのクラシック作曲家エリック・サティの曲になります。1920年に作曲された室内楽『家具の音楽』は、アンビエントや環境音楽に大きな影響を与えました。聴いても聴かなくてもいい音楽で、まるでそこにある家具のように、存在を意識する必要がなく、人が音楽を聴くことを前提としていません。BGMの先駆けともいわれています。
あっこゴリラ:だから『家具の音楽』なんだ。おもしろい!
門脇:環境に作用させるというか、音楽がエンターテインメント化していく中で、カウンターのような音楽になってるんですよね。
あっこゴリラ:なるほど~。
門脇:日本では80年代に環境音楽ブームが起きていたんですけど、そのときにちょっとコマーシャルチックに間違って広まっちゃったかなと思います。
その後、アンビエント・ミュージックはどのように進化していったのだろうか。
門脇:「アンビエント・ミュージック」という概念を提唱したのは、ブライアン・イーノという作曲家です。ブライアン・イーノは、交通事故で入院したときに起きた体験から着想を得て、78年にアンビエント・シリーズを開始します。その第一作目が、『Ambient 1: Music for Airports』です。このときに、初めて「アンビエント」と言語化されました。
あっこゴリラ:へえ~!
門脇:この作品は、タイトル通り空港施設内で再生されることを目的とした音楽になっています。中断しても大丈夫で、コミュニケーションの妨げにならないように人の会話の周波数から外れてるんです。
あっこゴリラ:気になったんですけど、ヒーリング・ミュージックとアンビエント・ミュージックの違いってあるんですか?
門脇:アンビエントは、日本では「環境音楽」と呼ばれているもので、90年代の終わりごろに流行ったヒーリング・ミュージックや癒し系といったサプリ的な音楽とは違います。疲れ果てていて、何も聴く元気はないけれど、何か音楽を流していたいというときに聴くような、とても静かな心落ち着く音楽のことをいいます。
あっこゴリラ:なるほど~。
門脇:ヒーリングと変わらないという人もいるかと思うんですけど、アンビエントとは、環境や人間の“無意識”へと作用させるものになります。注意して音を聴かなくてもよい、特定のものを強制したりしない音楽です。
岡田:やっぱりアンビエントって、音楽を聴くっていう行為の定義を議論する投げかけの一つではありますよね。
あっこゴリラ:じゃあ、この二つはもうスタート地点から違うんですね。
岡田:ただ空港の音楽として、アンビエントが一作目になったというのは、けっこう重要なことですね。公園の噴水や彫刻といったパブリックアート的な、その一種みたいな公共の空間におけるアートの場みたいな意味合いも多分ありますよね。
アンビエント・ミュージックの概念を生み出した天才音楽家ブライン・イーノは、あの「Windows 95」の起動音も作曲した人物だ。ロックバンド「ロキシー・ミュージック」のメンバーだったが、バンド脱退後にロックから前衛的な音楽へ自身の音楽性を転換。1978年に『アンビエント1/ミュージック・フォー・エアポーツ』発表した。アーティスト活動と並行して、プロデューサーとしてデヴィッド・ボウイ、U2、コールドプレイのアルバムにも参加。コールドプレイの大ヒット曲『美しき生命(Viva La Vida)』も彼のプロデュースである。
日本のアンビエントが再評価されている理由
1978年、ブライアン・イーノによって生まれた「アンビエント・ミュージック」という概念は、その後、どう進化していったのだろうか。■The KLF『Madrugada Eterna』
あっこゴリラ:番組後半は、The KLFの『Madrugada Eterna』からスタートしました。すごくかっこいい! 門脇さん、この曲は?
門脇:80年代後半くらいからアンビエント・ハウスというジャンルが登場します。そのコンセプト・アルバム『Chill Out』からの一曲です。若者言葉にもなっている「チルアウト」の語源です。
あっこゴリラ:ここからきてるんですね。
門脇:「和む」「癒す」「まったりする」などの意味ですが、80年代後期のレイヴ・カルチャーで、ダンスで火照った身体を休ませ癒すといった行為が概念化されたものなんです。
あっこゴリラ:おもしろい!
門脇:ちなみに、このThe KLFというユニット名は、「著作権解放戦線」の頭文字をとったとも噂されています。違法サンプリングの宝庫でなかなか再発されず、人気作品なのに廃盤状態になっています。さらに、違法サンプリングし過ぎてABBAに告訴されて、ABBAの事務所の前でその曲を爆音で夜に流したりとかしてます(笑)。
あっこゴリラ:あはははは! ヤバい!
門脇:あとは、人の畑にミステリーサークルを作ろうとしてニュースになったり、アンビエントとはかなりかけ離れたこともしています。
あっこゴリラ:めちゃめちゃおもしろい! やってることがアートというか、大好きだな~。
■Aphex Twin『Xtal』
あっこゴリラ:「アンビエント・ミュージック進化論」、続いての曲は?
門脇:アンビエント・ミュージックとテクノの融合として代表的な曲、Aphex Twinの『Xtal』です。
あっこゴリラ:やっぱりビートが入ったことで、安心感がありますね。あははは。
門脇:Aphex Twinは、様々な名義を用いてテクノからアンビエント、エレクトロニカ、IDMなどいろんなジャンルを横断してきたイギリスのミュージシャン/DJで、スクエアプッシャーやオウテカと並んで90年代ワープ・レコーズの重要なタレントです。フジロックで来日したときにステージ上に犬小屋を設置し、終始その中で演奏したり、レーベルとの数億円の契約金で装甲車を購入したり、数々の奇行で知られる人物でもあります。
あっこゴリラ:あはははは。アンビエントやる人って、ちょっとぶっ飛んでる人多いんですかね。
岡田:多分、さっきのThe KLFとこの人が特殊なだけだと思います(笑)。
門脇:アンビエント・テクノからエレクトロニカ、IDMにわたるまで、90年代のエレクトロニック・ミュージックシーンにおいてランドマークと見なされています。アンビエントはこんな風に、様々な他のジャンルと結びついて発展していきます。
あっこゴリラ:「アンビエント・ミュージック進化論」、続いての曲は?
門脇:昨今再評価される日本のアンビエント枠として、細野晴臣さんの『花に水』から『Talking』です。
あっこゴリラ:どんな曲なんですか?
あっこゴリラ:具体的には、どんな感じで再評価されてるんですか?
門脇:日本独特の環境音楽の位置付けがあります。日本独特の間や静けさみたいなものがアンビエントと相性が良くて、そういう作品が80年代に多く作られました。それが今、海外から注目が集まっています。
あっこゴリラ:なるほど~!
門脇:この曲はYouTubeでは100万回以上再生され、Vampire Weekendが新作でサンプリングするほど人気になっています。
日本のアンビエントの再評価を推し進めたSpencer Doranとは
現在進行形のアンビエント・ミュージックについても紹介した。門脇:2010年代に入ってから、前述した日本のニューエイジ音楽がリバイバルされていて、その中でも切っても切れないアンビエントが注目を集めています。そこで紹介するのが、今のアンビエントに重要な、アメリカ・ポートランドの電子音楽ユニット「Visible Cloaks」です。中心メンバーのSpencer Doranは、先ほど紹介した日本のアンビエントのコンピレーション『Kankyo Ongaku』の制作にも携わっています。
あっこゴリラ:そうなんだ~!
門脇:このSpencer Doranが、日本のアンビエントの再評価を推し進めた人でもあります。メンバーの1/2、Spencer Doranはニッチな実験音楽を紹介していたアメリカの名ブログ「Root Blog」にも画期的なミックスの数々を寄稿していて、これがニューエイジのリバイバルにも影響を与えたと思われます。
あっこゴリラ:へえ~。
門脇:今回紹介するVisible Cloaks『Valve feat. Miyako Koda』は、Jon Hassellの提唱した「第4世界」にも似た「Fourth World Japan」という音楽構造を基にバーチャルに仮想複製された世界各地のアコースティック楽器などを用いて制作された作品になっています。
番組ではVisible Cloaks『Valve feat. Miyako Koda』をオンエア。
あっこゴリラ:今音楽オタクたちは楽しくてしょうがないですよね。コンテンツがどんどんできるし、シェアできるし。
門脇:そうですね。ニューエイジやアンビエントを数多く発信した違法アップロードやブログが存在していたり、そうしたブログが発展してミックスのアップロードやインタビューなどを始めてメディア的な存在になっていったりしています。
あっこゴリラ:すごい!
門脇:『Kankyo Ongaku』をリリースしたシアトルのレーベルである「Light In The Attic」がリリースした、アメリカ産の自主盤ニューエイジをコンパイルした画期的なコンピレーション・アルバム『I Am TheCenter』の大ヒットを始め、アンダーグラウンド音楽シーンで起きたカセットリリースのムーブメントから生まれた数々のドローンやアンビエント音楽、マニアックな実験音楽系のレコードの世界的な再発ブームなど、他にもたくさんあります。
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