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「本の装丁」って、どんなことをするの? アートディレクター・千原徹也が解説

(画像素材:PIXTA)

「本の装丁」って、どんなことをするの? アートディレクター・千原徹也が解説

J-WAVEで放送中の番組『SHIBUYA DESIGN』(ナビゲーター:千原徹也・武藤千春)のワンコーナー「DESIGN ENERGY」。11月28日(土)のオンエアでは、アートディレクターである千原が「装丁の仕事」について解説した。

装丁ってどんな仕事?

千原は「装丁は意外と大変な仕事。簡単に言うと『本のデザイン』」と解説する。

千原:表紙や裏表紙だけでなく、書体なども含めて全部のデザインです。
武藤:まずは出版社から「こういう内容です」というイメージが渡されるのでしょうか。
千原:作家さんから原稿が送られてくるわけですよね。それで「これぐらいのページ数で販売したい」と出版社から言われて、それに収まるようにフォントの大きさや文字の行間などを調整します。それから「ノド」という、本を開いたときの綴じ部分付近を示す専門用語があり、「ノドまでなんセンチで文字を配置するか」も考えます。
武藤:細かい作業ですね。
千原:帯や背表紙、あとは「小口」とかね。
武藤:小口ってなんですか?
千原:本を閉じたときに、背表紙とは逆のページの側面です。
武藤:ペラペラっとしてるほうですね。
千原:あの部分に着色することもあります。
武藤:あー、そういう本もありますね。当たり前のように手にしている本ですが、本づくりは文章が出来上がって終わりじゃないんですね。
千原:そこからも大変なんですよね。

千原は、「読みやすい書体」を考えるために本の内容にも注意を向ける。

千原:静かなトーンの小説だったらそれに合わせた書体で、ポップな話やエッセイだったらゴシックにしましょうとか、書体を決めていかなきゃいけない。そのフォーマットを作っていくのも作業のひとつです。
武藤:ではまず本を読んで、どんな印象で本屋さんに並ぶのかをイメージするんですね。
千原:表紙のデザインが大きな仕事ですね。その作業には2パターンあって、中身をしっかりとわからせる表紙もあれば、あまり中身がわからないようにする表紙もあります。
武藤:出版社や作家さんとコミュニケーションをとって「こうしたい」という方向を決めるんですね。デザインの仕事と一言で言ってもさまざまな作業があるんですね。
千原:読みやすさも考えないといけないですしね。2段に分かれている小説があるのはそういった理由です。
武藤:見る人のことを考えたデザインなんですね。
千原:字切りも考えないといけない。読みやすさを意識して改行する必要もあるので、とても細かい作業です。

フォントを使い分けることで読みやすさを向上

続いて千原は、「デザインと読みやすさを両立させるポイント」を語った。

千原:僕は書体を重視しています。たとえば「ポップだけど最後は悲しい話」であれば、合成フォントを活用します。「漢字はこの書体、ひらがなはこの書体」というふうにフォントを混ぜて使用することができるんです。
武藤:へえ。本を読んでいて、そういうところに注目したことがなかったです。
千原:漫画の吹き出しは、漢字がゴシックでひらがな・カタカナは明朝体になっています。
武藤:本のジャンルによっても特徴があるんですね。
千原:そうですね。だからいろんな本を読んでデザインを見て考えます。

『SHIBUYA DESIGN』のワンコーナー「DESIGN ENERGY」では、デザインの視点、デザイナーの感性からものごとを見ていく。オンエアは毎週土曜の16時8分頃から。

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2020年12月5日28時59分まで

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