The Vamps、今だからこそ完成した新アルバム「人生の儚さを浮かび上がらせたい」

J-WAVEで放送中の番組『STEP ONE』のワンコーナー「MUSIC+1」(ナビゲーター:サッシャ、増井なぎさ)。10月19日(月)のオンエアでは、10月16日に5thアルバム『チェリーブロッサム(Cherry Blossom)』をリリースした英バンド、The Vampsへのインタビューの模様をお届けした。

ライブ会場でファンと一体になれるように…「ここからの数か月間は非常に大切」

The Vampsは、メンバーそれぞれがイギリスの異なる地域出身で、YouTubeにアップしたデモを介して結成された。いわばSNS世代の先駆け的バンドだ。YouTubeにアップしたOne Directionのカバー曲をきっかけにブレイクを果たした。

One Direction - Live While We're Young (Cover By The Vamps)

2013年のデビューから今年で7年目を迎えた彼ら。2014年からはほぼ毎年のように来日しており、10月16日にリリースした5枚目のアルバムには、日本との“深いつながり”があるという。インタビューは、イギリスにいるメンバーそれぞれの自宅とつないで行われた。まずは新型コロナウイルスによって受けた影響について訊いた。

The Vamps:本当に奇妙な時期でした。この6か月はツアーをする予定だったんです。来年4月5月のUKツアーを発表しましたが、これが本当にできることを願ってます。今はファンと我々がつながれて、ファンが楽しんでくれたらという気持ちでいっぱいなんです。それが今音楽にできること、ミュージシャンにできることですし、逆に言うと失われていることでもあるからです。我々だけじゃなくて、ツアーのクルーにとってもです。業界は今、大きな痛手を受けています。それを変えられるように、今の時期からできることをすべてやって、ライブ会場でファンと一体化できる環境を作り出していく。そのためには、ここからの数か月間は非常に大切になると思います。

増井:まさに今が大事なときという風に感じてらっしゃるんですね。
サッシャ:ヨーロッパも第二波が来ていますから、来年は本当にライブができるのかどうかは今の行動にかかってるという彼らの想いですね。

「人生の儚さや大切さを浮かび上がらせたい」

ステイホーム期間となったこの半年、メンバーはどのように過ごしていたのだろう。

The Vamps:ステイホーム期間中にまずはアルバムを完成させました。過去2年、たくさんの曲を書いてきて「さあ今からアルバムの完成に向かうぞ」とギアをあげたところに、ロックダウンがきました。「どうしたらいいんだろう」と思いながらも、曲を新しく作ったり考えたり、アレンジを加えたりもして、そのなかで出来上がった曲が『Married In Vegas』です。これは完全にロックダウン中に生まれた曲です。ある意味で奇妙な感じがしますが、今の時代のThe Vampsを表すのにまさにピッタリな曲に仕上がっています。アルバム『チェリーブロッサム』が完成したことを非常に誇りに思っています。

The Vamps - Married In Vegas

アルバムタイトルの『チェリーブロッサム』は、日本ではおなじみの「桜」の英訳だ。なぜこのタイトルにしたのだろうか。

The Vamps:実は日本への旅で思いついたタイトルなんです。日本はメンバー4人全員がまさに共鳴できる場所と言ってもいいと思います。年末に日本に行く旅があって、そのあとしばらく滞在しました。「ポジティブに前進したい」と、桜を思いつきました。人生の儚さや大切さを浮かび上がらせたい、という風に思ったんです。今存在していることのありがたさ、物事が簡単に、あっという間に変わってしまう。そういうことを表す意味での「桜」です。無意識か意識かわからないけど、過去2年間ほどずっとそんなこと思っていました。ライブをやっているときにずっとそういう意識があったんです。「これって本当にすばらしいな、この時間が終わらなきゃいいのに」と思いながら「でも、儚く終わってしまうんだよね」と。あるとき桜、日本文化が繋がって「これはアルバムにぴったりだね」ということで出来上がったタイトルです。まさにこの世界観を表すアルバムにしたかったんです。

増井:桜の魅力や深みを分かってらっしゃる。
サッシャ:儚いからこそ、今あることのありがたさ。そしてあっという間に変わってしまうものごと。まさに新型コロナウイルスで我々の常識すらも変わってしまったわけですけども、これが桜『チェリーブロッサム』とピッタリだと。
増井:このタイトルがこのタイミングでついたのも、また縁な気がします。
サッシャ:本当ですよね。

新アルバムで新章がスタート

5枚目となる今作における音楽的要素や、これまでとは違う点は何なのか。さらには、彼らの成長についても尋ねた。

The Vamps:前回のツアーが終わったあとに休みをとりました。休むことによって人間として成長できるような時間を作って、リラックスしてまたエネルギーを回復したんです。そういう意味で、今回のアルバムは前回までとは全く違う、まさに新しいチャプター、新章がスタートすると言ってもいい内容だと思います。見た目もミュージシャンとしても大きく違います。でも、それはある意味自然なことだと思うんです。前の4枚とは全く違うと思ってもらっていいです。でも、それでもファンの皆さんは楽しんでくれる内容だと思います。ライブアルバムにもなっていて、ライブで演奏するために作った、アガった曲が多く収録されています。今まで出してきた先行曲(『Better』『Chemicals』『Married In Vegas』)に関しても非常に反響が良く、このタイミングで出すのことができて、とてもうれしいです。アルバムの他の曲も、サウンド的にはその先行曲の延長線なので、その3曲自体がアルバム全体を表してると思います。その3曲が好きなら、アルバム全体も好きになってくれると思いますよ。

サッシャ:休みをとったことによってリセットされて、新しいニューチャプターに突入したThe Vampsということですね。
増井:アゲな曲も多く入っているということで、アルバムを通して聴きたいです。
サッシャ:まさにライブで演奏するために作られたような曲が多いということなんですね。

メンバーの日本愛「全部が恋しい」

新型コロナウイルスの影響がなければ、桜の時期に来日を考えていたと話すメンバーたち。母国イギリス以外の国で「The Vampsの音楽に直接触れることは難しい」としながらも、「世界中のThe Vampsファンのもとに音楽を届けられる方法を今まさに模索している」と力強く述べた。さらに「もちろん。日本に行けるようになったら必ず行きますからね」と、日本のファンにとってうれしい発言も飛び出した。

2014年から毎年のように来日しているThe Vampsに、日本で恋しいものを訊くと……。

The Vamps:もう全部が恋しいんです。食べ物でしょ。答えとしてはつまらないかもしれませんが、自動販売機ですね。飲み物だけじゃなくて色々なものが買えるじゃないですか。すごいですよね。前回訪れたときに文化的にすごくインスピレーションを受けたのは、自然との繋がりや自然に対する尊敬の念、それを通して自分の存在意義というのを伺う感じですね。それがアルバムのインスピレーションになったんです。そういう意味では、日本文化の色々な部分が恋しいです、あとはお酒かな。去年の夏に超クールなウイスキーバーに行きました。10人も入れないような狭い場所だったんです。でも、完璧ないい夜になりました。イギリスとはまるで違う、それがまさに日本のいいところ。たとえば神社もイギリスにはなかったりするから、そういった全ての部分が好きなんです。

The Vampsの最新情報は、公式サイトまで。

J-WAVE『STEP ONE』のワンコーナー「MUSIC+1」では、ゲストとして毎回話題のミュージシャンが登場する。放送は月曜~木曜の12時5分ごろから。
番組情報
STEP ONE
月曜~木曜
9:00-12:30

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