日本の食を盛り上げる特別プログラム『J-WAVE HOLIDAY SPECIAL 9CHEFS』(ナビゲーター:望月理恵、オーガナイザー:小山薫堂)が、9月21日(月・祝)にオンエアされた。9人の料理人が登場し、成功をつかむまでのバイタリティあふれるエピソードや、日々のうちごはんをハッピーにする とっておきのレシピやアイデアを語った。
ここでは、ミシュランの三ツ星を獲得し続けている北品川の人気のフレンチレストラン「Quintessence」のオーナーシェフ、岸田周三さんのトークをお届けしよう。
岸田:最初は志摩観光ホテルのレストランに勤めました。
望月:三重から料理人としてのキャリアがスタートしたんですね。そこからの歩みは順調だったのでしょうか?
岸田:とんとん拍子ではなかったですね。むしろ、同期と比べて劣等生側の人間だったと思います。僕は当時、要領が悪かったのでひとつひとつの仕事が遅かったですね。
望月:そこからどういうふうに?
岸田:できる子と自分にどんな差があるのかを真剣に考えるようにしました。そうやって仕事を覚えていきましたね。
望月:努力のたまものですね。
4年ほど三重で働いた岸田さんは、その後、東京へ向かった。理由は「勉強すればするほど、東京のフランス料理のレベルの高さに気が付いたから」だそうだ。
望月:東京のレストラン勤務はいかがでしたか?
岸田:めちゃくちゃ厳しかったですね。街の中にあるレストランだったのですが、ホテルと違って勤務時間も長かったですし、苦労しましたね。
望月:心は折れませんでしたか?
岸田:メンタルは強いほうですので「絶対に認められるようになろう」という気持ちで頑張りましたね。ただ、体はボロボロになっちゃいましたね。たしか胃潰瘍かなんかで倒れちゃったんですよ。肉体的だったのか精神的だったのか、原因はわからないですけどね。
望月:どっちもだと思いますよ。
岸田:自分のなかで短いゴールを細かく設定していて、最終的な到達点を「30歳までにシェフになりたい」にしていたんですね。3年ほどフランスで修行をしてからシェフになりたいと考えていたので、27歳までにはフランスに行く必要があったんです。そうなると、26歳の時点でフランス語の勉強もしておかないといけない。そうやって目標を細かく決めていくうちに「人生って意外と短いな」ってことに気づいたんです。フランス語を学ぶためには語学学校の学費も貯めないといけないから、早い段階で貯金していました。
フランスの修行では、どんな学びがあったのだろうか。
岸田:フランスに行くことによって「どうしてこの料理が生まれたのか」「日本とフランスの食材にどんな違いがあるのか」などを知ることができました。実際にフランスに行ってみないと、現地で根付いたものを知ることは難しいと思ったんですね。技術的なことよりも、どちらかというとフランス料理の歴史を知れたことが自分にとって大きなメリットでしたね。あとは、ワインの生産元へ見学に行ったり農家へ行ったり。
望月:ルーツを知るのは大切なことなんですね。
岸田:そうですね。それに、「本場のフランス料理です」と、フランスに行ったことがない人が言っても説得力に欠けるなと思ったんですよ。自分自身でフランスを見たことによって、自分の解釈でフランス料理を伝えることができるようになったんですね。
岸田:お客さんにとって理想のレストランというのは、価格が安かったり料理のメニューが豪華であったりすることだと思うんですよね。でもオーナーシェフである自分の場合、まずは働いている側にとって理想のレストランを作りたいという気持ちがあります。キッチンの広さや空調の設備、作業しやすい点を重視するということですね。キッチンの広さでいうと、客席と同じぐらいは確保したいんですよ。オーナーシェフでないと、その理想を実現させることはなかなか難しいと思います。僕はオーナーシェフなので、キッチンを快適にすることでクオリティの高い料理を作ることができるレストランを作りました。
望月:自分たちの働きやすさを大切にしながら、おいしいものも提供できるようにしたんですね。
岸田:はい。従業員は一日の大半をレストランで過ごすことになりますからね。
最後に岸田さんが、コロナ禍を乗り切るために大切にしていることを語った。
岸田:コロナ禍という大変な状況ですが、ピンチのなかでチャンスを見つけることが重要なのかなと思います。僕は新型コロナの影響で、4月から1カ月ほどお店を休んでいたんですね。休んでいる間は事実をネガティブに受け止めず、前向きに考えることを意識しました。だから「新しいことに挑戦しよう」と決心して、物販のお菓子の開発に着手するようにしたんですね。お菓子は今までも要望があったのですが、なかなか時間が確保できない状況でしたので、この機会を活用しました。「今まで挑戦してなかったものに取り組む時間」として、前向きに受け止めることにしたんです。まだまだお菓子づくりの挑戦は続いております。
望月:新たなことに挑戦する、大切な時間ができたということですね。
岸田:はい。前向きに考えることは大切だと思いますね。
同番組では別の時間帯に、家庭で楽しめるレシピも紹介した。詳しくはこちらから。
ここでは、ミシュランの三ツ星を獲得し続けている北品川の人気のフレンチレストラン「Quintessence」のオーナーシェフ、岸田周三さんのトークをお届けしよう。
三重でのホテル勤務を経て、東京のレストランへ
岸田さんは幼少期に食べたフランス料理が忘れられず、料理人を志すことに決めたという。「Quintessence」をオープンするまでの道のりを聞いた。岸田:最初は志摩観光ホテルのレストランに勤めました。
望月:三重から料理人としてのキャリアがスタートしたんですね。そこからの歩みは順調だったのでしょうか?
岸田:とんとん拍子ではなかったですね。むしろ、同期と比べて劣等生側の人間だったと思います。僕は当時、要領が悪かったのでひとつひとつの仕事が遅かったですね。
望月:そこからどういうふうに?
岸田:できる子と自分にどんな差があるのかを真剣に考えるようにしました。そうやって仕事を覚えていきましたね。
望月:努力のたまものですね。
4年ほど三重で働いた岸田さんは、その後、東京へ向かった。理由は「勉強すればするほど、東京のフランス料理のレベルの高さに気が付いたから」だそうだ。
望月:東京のレストラン勤務はいかがでしたか?
岸田:めちゃくちゃ厳しかったですね。街の中にあるレストランだったのですが、ホテルと違って勤務時間も長かったですし、苦労しましたね。
望月:心は折れませんでしたか?
岸田:メンタルは強いほうですので「絶対に認められるようになろう」という気持ちで頑張りましたね。ただ、体はボロボロになっちゃいましたね。たしか胃潰瘍かなんかで倒れちゃったんですよ。肉体的だったのか精神的だったのか、原因はわからないですけどね。
望月:どっちもだと思いますよ。
フランス修行を計画するうちに気づいた「人生って意外と短い」
東京で務めたのち、岸田さんはフランスへ修行に行く。岸田:自分のなかで短いゴールを細かく設定していて、最終的な到達点を「30歳までにシェフになりたい」にしていたんですね。3年ほどフランスで修行をしてからシェフになりたいと考えていたので、27歳までにはフランスに行く必要があったんです。そうなると、26歳の時点でフランス語の勉強もしておかないといけない。そうやって目標を細かく決めていくうちに「人生って意外と短いな」ってことに気づいたんです。フランス語を学ぶためには語学学校の学費も貯めないといけないから、早い段階で貯金していました。
フランスの修行では、どんな学びがあったのだろうか。
岸田:フランスに行くことによって「どうしてこの料理が生まれたのか」「日本とフランスの食材にどんな違いがあるのか」などを知ることができました。実際にフランスに行ってみないと、現地で根付いたものを知ることは難しいと思ったんですね。技術的なことよりも、どちらかというとフランス料理の歴史を知れたことが自分にとって大きなメリットでしたね。あとは、ワインの生産元へ見学に行ったり農家へ行ったり。
望月:ルーツを知るのは大切なことなんですね。
岸田:そうですね。それに、「本場のフランス料理です」と、フランスに行ったことがない人が言っても説得力に欠けるなと思ったんですよ。自分自身でフランスを見たことによって、自分の解釈でフランス料理を伝えることができるようになったんですね。
広さも設備も…快適な環境がクオリティの高い料理を生む
続いて岸田さんは「理想のレストラン」についてトークを展開した。岸田:お客さんにとって理想のレストランというのは、価格が安かったり料理のメニューが豪華であったりすることだと思うんですよね。でもオーナーシェフである自分の場合、まずは働いている側にとって理想のレストランを作りたいという気持ちがあります。キッチンの広さや空調の設備、作業しやすい点を重視するということですね。キッチンの広さでいうと、客席と同じぐらいは確保したいんですよ。オーナーシェフでないと、その理想を実現させることはなかなか難しいと思います。僕はオーナーシェフなので、キッチンを快適にすることでクオリティの高い料理を作ることができるレストランを作りました。
望月:自分たちの働きやすさを大切にしながら、おいしいものも提供できるようにしたんですね。
岸田:はい。従業員は一日の大半をレストランで過ごすことになりますからね。
最後に岸田さんが、コロナ禍を乗り切るために大切にしていることを語った。
岸田:コロナ禍という大変な状況ですが、ピンチのなかでチャンスを見つけることが重要なのかなと思います。僕は新型コロナの影響で、4月から1カ月ほどお店を休んでいたんですね。休んでいる間は事実をネガティブに受け止めず、前向きに考えることを意識しました。だから「新しいことに挑戦しよう」と決心して、物販のお菓子の開発に着手するようにしたんですね。お菓子は今までも要望があったのですが、なかなか時間が確保できない状況でしたので、この機会を活用しました。「今まで挑戦してなかったものに取り組む時間」として、前向きに受け止めることにしたんです。まだまだお菓子づくりの挑戦は続いております。
望月:新たなことに挑戦する、大切な時間ができたということですね。
岸田:はい。前向きに考えることは大切だと思いますね。
同番組では別の時間帯に、家庭で楽しめるレシピも紹介した。詳しくはこちらから。
番組情報
- J-WAVE HOLIDAY SPECIAL 9CHEFS
-
9月21日(月)9:00-17:55