アヴリル・ラヴィーンが「アメリカのポップアイコンと一線を画す」理由は?【クリス・ペプラー×山本彩】

J-WAVEで放送中の番組『MITSUBISHI JISHO MARUNOUCHI MUSICOLOGY』(ナビゲーター:グローバー)。2週にわたって、さまざまなアーティストの魅力を深堀りする番組だ。5月16日(土)のオンエアでは、新型コロナウィルスと闘う人を讃えた楽曲『We Are Warriors』を発表した、アヴリル・ラヴィーンを特集。J-WAVEナビゲーターのクリス・ペプラーと山本 彩がリモート出演し、トークを繰り広げた。


■山本の“アヴリルとの出会い”

山本がアヴリルの楽曲と出会ったのは小学校5年生の頃。母に勧められて聴いてハマったそうで、それまで邦楽しか聴いてこなかった山本にとって、洋楽は非常に新鮮に感じたという。

山本:まだロックが好きとか、そういうものが形成されてない状態だったので、そこで一気に、ロックや海外のバンドを知るきっかけになりました。
クリス:アヴリルの場合だと、音楽だけじゃなくルックスもすごくチャーミングじゃないですか。だからバランスが絶妙だったのかなっていう感じはしましたね。その歌だったり、パンキッシュな感じだったり。特にブロンドっぽい子がああいうダークなアイシャドウをつけているのが、すごくかっこいいなって思いました。
グローバー:あのビジュアルは、山本さんにとってもインパクトがありましたか?
山本:私も当時、髪の毛を明るくしてセンター分けのロングヘアにして、真似してネクタイをつけたりしていました。

『SAISON CARD TOKIO HOT 100』のナビゲーターを務めるクリスは、アヴリルの登場について「鳴り物入りでチャートに入ってきて、最初にチャートインしたのは『Sk8er Boi』だったと思う」と当時を振り返る。MVのイメージもあり、「スケボーに乗ってる、ちょっとパンクな女の子」という印象だったと明かす。



クリス:初来日した際、これは有名なレジェンドになってますけど、お台場の観覧車に乗ったときに、下のプレスの人たちに向かってお尻を出したという。この話、知りません?
グローバー:僕は初めて聞きました。山本さんは?
山本:知らなかったです。
クリス:うそ。これ、みんなが知ってる話だと思ってた。北米の人たちは当時、「あっかんべー」の代わりにお尻を出したんですよ。アヴリルがよく出していたっていうのは、超有名な話です。
グローバー:あはは(笑)。来日のとき、アヴリルはまだ16、17歳ですか。
クリス:そうですね。だから、けっこうおてんばな感じはしましたね。「なめんじゃねえよ系」なオーラを醸し出していた気がします。そういう意味では、当時の女の子たちにすごく影響があったんじゃないかな。インパクトがあるというか、したたかな感じがウケた気がしますね。

クリスによると、アヴリルは当時アメリカで「反ブリトニー(・スピアーズ)」と言われていたそうだ。ブリトニー・スピアーズのように「キュートな女の子が歌って踊る」というイメージがもてはやされるなか、「ハッキリしたアイシャドウ、パンクな服装、エレキギターを弾く」という、ブリトニーとは違うイメージが、ひとつのアイコンとして映ったのではないか、と解説した。


■アヴリルが音楽シーンに与えた影響

山本にとってアヴリルは、ギターを始めるきっかけにもなった存在。バンドスコアをすべて購入して、コピーしたと明かす。

山本:ずっとアヴリルの曲を歌っていたので、そのときからそういう音楽性が好きになっていったなと思います。今でも自分がそういう方向の曲を作るときにルーツを感じる瞬間が常にあります。
グローバー:サウンド的に、グッときた部分はありましたか?
山本:アヴリルも、ロックとは言ってもいろいろなジャンルの曲があるので、それをコピーするのがすごく楽しかったです。読み方がわからないところは“耳コピ”しながらやってました。
グローバー:アヴリルの登場で、その後の音楽シーンに与えた影響は大きそうですよね。
クリス:でかいと思いますよ。山本さん世代もそうですけど、山本さん以外にもYUIちゃんとか、影響を受けた日本のアーティストってすごく多いと思うんですよね。

クリスは、アヴリルの影響について「女の子がギターでシンガーソングライターを目指すきっかけになったケースは、非常に多かったのではないか」と話し、実体験を曲にする等身大のスタイルに、多くの女性が惹かれたのではないか、と分析した。

グローバー:女性が心の内側の尖った部分もどんどん歌にして、歌声も表情も含めた表現をしていいんだ、というヒントになったのかもしれません。山本さんにもありましたか?
山本:ありましたね。すごく勇気がいることだとも思うので、背中を押してくれる部分があるなと思います。


■クリス「アメリカとは一線を画すテイストを感じます」

アヴリルはカナダ出身。グローバーはクリスに「カナダという系譜で見たときに、アヴリルから感じるものはありますか?」と質問を投げかけた。

クリス:ニール・ヤングをはじめ、ジョニ・ミッチェル、k.d.ラング、アラニス・モリセット、デイヴィッド・フォスターもカナダ出身です。最近で言えば、ジャスティン・ビーバーもそうだし、カナダはヤバイですよ。当然、アメリカのチャートでヒットを飛ばすけれども、そのなかでカナダ出身者って、50年代、60年代からすごく多くて、北米の中でもアメリカとは一線を画すテイストを感じますよね。
グローバー:クリスさんから聞いたアーティストには、芯の強さみたいなものを感じますね。

クリスは「アメリカに比べるとカナダのほうが、より開拓者魂というかパイオニアスピリットみたいなものを感じる」とコメント。広大な地平線や山脈、巨大な森林といった大自然がアーティストに大きな影響を与えているのではないか、と自身の考えを述べる。

クリス:深い歌を歌うカナダのシンガーソングライターは多くて、テイストは違うんだけれども、アヴリルは現代的ではあるんだけれども、彼女もどちらかというとフランス系カナダ人の血を強く引いているわけじゃないですか。そのあたりがひとつ、アメリカのポップアイコンと一線を画すところなのかなという気はしますね。いま述べたカナダのアーティストのなかでも、アラニス・モリセットに彼女はすごく影響を受けてるんじゃないかなと感じます。アラニスのあの歌い方、ボーカルスタイルって、日本でいったら椎名林檎さんや矢井田瞳さん。裏にひっくり返りそうな感じは、アラニスの真骨頂っていうか十八番なんですよ。そこを継承しているんじゃないかなっていう気はすごくします。
グローバー:なるほど。精神性の部分もそうだし、そういったテクニックとか音楽的なフックも、アラニスの系譜やカナダのルーツを感じるということですね。

次回もアヴリル・ラヴィーン特集をお届けする。J-WAVE『MITSUBISHI JISHO MARUNOUCHI MUSICOLOGY』では、ゲストを迎え、1組の「レジェンド・ミュージシャン」をテーマに音楽談義を繰り広げている。放送時間は土曜の17時から。

【この記事の放送回をradikoで聴く】(2020年5月23日28時59分まで)
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【番組情報】
番組名:『MITSUBISHI JISHO MARUNOUCHI MUSICOLOGY』
放送日時:毎週土曜 17時-17時54分
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/musicology/

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