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米津玄師や宇多田ヒカルとの楽曲制作はどう進む? 音楽家・坂東祐大が語る

坂東祐大(左)、蔦谷好位置(右)

米津玄師や宇多田ヒカルとの楽曲制作はどう進む? 音楽家・坂東祐大が語る

J-WAVE(81.3FM)×「MUSIC FUN !」連動企画である、深夜の音楽座談プログラム『WOW MUSIC』。“すごい”音楽をつくるクリエイターが“WOW”と思ういい音楽とは? 毎月1人のクリエイターがマンスリープレゼンターとして登場し、ゲストとトークを繰り広げる。

4月のマンスリープレゼンターは、音楽プロデューサーの蔦谷好位置。4月24日(金)のオンエアでは、作曲家、音楽家の坂東祐大とオンラインでトークを展開した。


■蔦谷が「本当に美しくて」と語る坂東のサウンド

坂東は1991年生まれの大阪府出身。多様なスタイルを横断した文脈操作と、聴き手を能動的にさせる音楽空間の探求を中心に、創作活動を行う。その領域はオーケストラ、室内楽からトラックメイキング、立体音響を駆使したサウンドデザイン、シアター・パフォーマンスなど多岐に渡る。2016年に第一線で活躍するクラシックの演奏家によって結成された次世代型アンサンブル「Ensemble FOVE」を創立した。

蔦谷:僕が坂東さんを初めて知ったのは米津玄師『海の幽霊』(坂東が共同編曲を担当)かな。僕も米津くんとは何曲か一緒にやらせてもらっていたので、サウンドの感じはずっと追っていたんです。だけどガラッと変わっていて、本当に美しくて衝撃的だったんです。
坂東:恐縮です。ありがとうございます。
蔦谷:僕もクラシックが好きです。坂東さんは東京藝術大学(以下、芸大)出身なんですよね。
坂東:そうですね。
蔦谷:僕は専門的に学んだわけではなく、独学で好きにアレンジとかをしていたんだけど、坂東くんの音を聴いたときに「このグリスダウン(編注:音を下げる演奏技法)は譜面にどう表記しているんだ」とか、とにかく気になっちゃって。すごいなと思っていました。


■坂東を作曲家の道へ導いたのはピアノの先生

坂東は芸大の作曲科を首席で卒業。同修士課程作曲専攻修了。芸大出身者には、King Gnu・常田大希、WONK・江﨑文武、ジャズミュージシャン・石若 駿、FOVE・上野耕平、藝大フィルハーモニア管弦楽団でコンサートマスターを務める戸原 直などがいる。さらに坂東が通っていた東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校(以下、芸高)についても語った。

坂東:僕と(石若)駿が芸高から一緒なんですが、1学年に40人しかいないという、すごく変な学校なんです。
蔦谷:精鋭というか、選ばれし者という感じですね。作曲家志望というのは高校のときからなんですか?
坂東:そうですね。僕は最初、行く気がなかったんですけど、はめられてそこに行くことになって……。
蔦谷:ご両親の方針ですか?
坂東:経済的なことなんですけど、たぶん私立の音大には行かせられないから芸大は国立なので芸高なら、という理由だったんです。

坂東は、子どものころからピアノの稽古を受けていた。練習は嫌いだったが、小学生の頃から音作りは好きだったという。

蔦谷:そのころから作曲をしていたんですか?
坂東:レッスンの一環でそういうのがありました。「そっちのほうがいいんじゃない?」と言ってくださった先生がいて、「クラシックでやるんだったら芸大に行かないと難しくない?」とおっしゃっていて。そこまで執着があったわけではないんですが、ズルズルとそんな感じで。
蔦谷:作曲自体には興味があったんですね。
坂東:作るのは音じゃなくてもよかったんです。音楽じゃなかったら建築がやりたかったと今でも思っています。
蔦谷:坂東くんの音を聴いていると、しっかりと理知的に組み立てられた構築美みたいなものも確かに感じますね。


■宇多田ヒカル『少年時代』のアレンジで話し合ったこと

坂東は、2019年11月にリリースされた『井上陽水トリビュート』に収録された宇多田ヒカルによるカバー『少年時代』の編曲と指揮を担当。坂東は「これはたぶん、2019年で一番緊張したお仕事でした」と振り返る。



蔦谷:演奏はEnsemble FOVEでやったんですか?
坂東:そうですね。弦楽六重奏という、バイオリンふたり、ビオラふたり、チェロふたりという編成です。クラシックだとしばしばありまして、ヨハネス・ブラームスにも弦楽六重奏の曲があります。僕はリヒャルト・シュトラウスの六重奏がすごく好きで、最後のほうに書いたオペラ『カプリッチョ』の冒頭が……。普通はオペラの序幕はオーケストラでドンとやるじゃないですか。
蔦谷:ワーグナーとかすごいですよね。
坂東:逆張りでいきついた結果、最初は六重奏ではじまるという、すごく甘美な演奏があるんです。
蔦谷:リヒャルト・シュトラウスぐらいのころになると、他の人が全部やっちゃってるから「やってないことはなにか」と探していた感じもあるんですかね。
坂東:そうですね(笑)。文脈を取りまくった結果こうなったんだろうなと。それがすごく美しくて。歌は風景と、ある程度セットだと思っています。風景をサポートしてあげることに徹したほうがいいのかなと。特に『少年時代』の場合は、宇多田さんともそういう話をしたんですが、日本人ならなぜか浮かぶ風景があるじゃないですか。「体験していなくてもわかる共通のなにかがありますよね」というお話をしたんです。それを僕なりに具現化するには、その編成(弦楽六重奏)がいいんじゃないかなと感じました。
蔦谷:音で可視化してあげるというか、そこをサポートしていくんですね。


■米津玄師との楽曲制作について

坂東は、米津玄師『海の幽霊』のほか、『馬と鹿』と『パプリカ』の共同編曲も担当している。蔦谷はこれらの曲を聴いて気づいたことがあると言う。

蔦谷:16分(音符)で細かいパッセージをよく使われるなと思いました。ストリングスのカタカタカタカタみたいな。そのなかでグリスの感じですよね。『海の幽霊』もグリスダウンするじゃないですか。あと『馬と鹿』のラストのほうはグリスアップしていくのかな。どこからスタ―トするとかは決めているんですか?



坂東:ある程度は決めています。楽譜にはちゃんと書いているんですが、ニュアンスの部分は楽譜に書ききれない情報がすごく多くなってしまっているんです。「この指のスピード感でここはこのぐらいの感じで」とディレクションしてできるほうが楽しいんです。90パーセントぐらいは書いていきますが、最後のニュアンスの部分は、演奏をEnsemble FOVEでやるからには、そこをみんなで詰めています。
蔦谷:口頭で伝えたり?
坂東:そうですね。もちろん米津くんもいるので「この感じが一番いいんじゃない?」みたいなことをふたりで言いあっています。
蔦谷:米津くんとのアレンジの仕事の割合はどんな感じでやっているんですか?
坂東:ケースバイケースで曲によりますね。でも、ベーシックは米津くんががっちり作ってくださるので。
蔦谷:打ち込みでけっこう作ってくるんですね。
坂東:そうですね。それで何度もやりとりをしていきます。
蔦谷:『パプリカ』のリズムトラックとかは米津くんが作っているんですか?
坂東:そうです。米津くんが作ってくれたものに「こういうのがあったら」みたいなものを僕が投げていきました。
蔦谷:米津くんに「坂東くんの音がとにかくすごい」と言ったら、米津くんも「すごい才能に出会えてよかった」みたいなことを言ってましたよ。
坂東:いやいや(笑)。こちらこそです。

深夜の音楽座談プログラム『WOW MUSIC』はJ-WAVEと、MUSIC FUN !のコラボ。『MUSIC FUN !』のYouTubeページには、同番組のトーク動画のほか、ミュージシャンやプロデューサーによる音楽の話が数多く配信されている。

・『MUSIC FUN !』のYouTubeページ
https://www.youtube.com/c/musicfun_jp

同番組の5月のマンスリーナビゲーターは、さかいゆう。放送は24時30分から。

【この記事の放送回をradikoで聴く】(2020年5月1日28時59分まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

【番組情報】
番組名:『WOW MUSIC』
放送日時:金曜24時30分-25時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/wowmusic/

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