9月末より「三井住友銀行」と「三菱UFJ銀行」が、店舗外ATMの共同利用を開始した。駅構内や商業施設内のATMが対象になっており、どちらのATMを使用しても平日の日中であれば手数料なしで現金を引き出すことができる。ここ数年、銀行のATMは減少しているというニュースもあるが、ATMを取り巻く現状と今後について、『東洋経済』記者の藤原宏成さんに訊いた。
【10月24日(木)『STEP ONE』の「BEHIND THE SCENE」(ナビゲーター:サッシャ、増井なぎさ)】
■ATMがなくなるのはまだ先の話
藤原さんによると、ATM減少の理由の1つとして「コスト」が挙げられるという。ランニングコストに加え、現金の輸送や警備などで、1台につき年間数百万のコストがかかる。さらに、ネットバンキングの利用者増といった、顧客側の変化も関係しているようだ。
増井:これから先、ATMが完全になくなるということはあるんでしょうか?
藤原:キャッシュレスが進んで100パーセントに近い段階に行けば、なくなってくるでしょう。そこを目指してはいるのでしょうが、かなり遠い話だと思います。日本の現在のキャッシュレス比率は20パーセントと言われています。アメリカがおよそ45パーセントで、かなり高いものの、それでもATMは残っています。中国も60パーセントくらいですが、キャッシュレス決済を使っている人の半分ほどは「まだ現金が残る」と話しているので、(ATMがなくなるのは)だいぶ先の話でしょう。
サッシャ:先日の震災を考えても、被災をして「電気がない」となったときに、全部キャッシュレスになってしまうと「どうやって?」といった課題もありますよね。
藤原:そうですね。キャッシュレスが使えなくなり、現金社会になって大変だったという話を伺いました。
■セブン銀行が導入した「ATM+(プラス)」
藤原さんは、完全キャッシュレスに移行するまでの間に「ATMがどう変化していくのかがポイント」だと語る。そこで注目しているのが、「セブン銀行」だ。台数では現在2位であるものの、一般の銀行とは異なるビジネスモデルをとっているため、ATM戦略については「セブン銀行」を見るのが最適だと続ける。
藤原:この9月に「第4世代ATM」になる「ATM+(プラス)」と名付けた機種を導入しました。ATMに今までの現金の入出金だけではない機能をいろいろ足していこうというものです。たとえば、成田空港や、東京オリンピックでも使われると言われているNECの顔認証技術を取り入れています。他にも、本人確認書類をその場で確認できるスキャナーといったものが加わった、機能的に進化させたものを今置いています。
サッシャ:その新型ATMの目的とは?
藤原:10月から実証実験を始めるのが、顔認証を使った口座開設です。窓口に行ってハンコを押すといったことをしなくても、「セブン銀行」のATMで口座を開設できる。様々な金融機関の口座開設が1台でできるといったものを、まずは目指しています。さらに今後で言うと、端末にBluetoothがついているので、携帯端末にお店で使えるクーポンを配信する。他にも、顔認証技術で顔の血流などから健康診断を行ったり、ATMを使うたびに健康診断をして「こういうのどうですか?」とお勧めする機能にまで広がっていく可能性もあります。現時点で見えているビジョンです。
サッシャ:地方銀行、信用金庫など、ネットワークが大きくないところが「セブン銀行」と提携して、たとえば口座開設をするといったことが将来的にあり得る?
藤原:あります。口座開設だけではなく、そもそも店舗外ATMを「セブン銀行」に委託してしまう。機能の多いATMを持っているということは、段々とほかの地銀もそこに加わっていく可能性もあります。
また、「三菱UFJ銀行」も新しいATM「STM」を展開している。「STM」では、税金、公金といった各種払込票を処理できるのが特徴だ。藤原さんは、「ペイジーで番号を入れて支払いしているものを、紙の状態で読み取り、ハンコまで押してくれる。コンビニの会計に並ばなくても、支払いができる」と説明した。
■今後、ATMとの関わり方はどう変化する?
「セブン銀行」と「STM」に共通して言えることは、1つは銀行の窓口で行っている機能をATMに載せていくというものだ。銀行は窓口を減らしていく方針であるため、藤原さんは、これからのATMについて「消費者と銀行との接点、窓口に代わるものという立ち位置になる」と話す。また、ATMでは簡易的な銀行サービス、銀行の店舗窓口では対面での営業や、コンサルティングなどコミュニケーションが必要なサービスといったように、それぞれの用途が分かれていくのではと説明した。
お金の取り扱いは日々の暮らしに関わってくる重要なもの。気になる方は藤原さんの話をradikoでチェックしてみては。
『STEP ONE』のワンコーナー「BEHIND THE SCENE」では、気になるニュースの裏側から光を当てる。放送は月曜~木曜の10時10分頃から。お聴き逃しなく!
【この記事の放送回をradikoで聴く】
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『STEP ONE』
放送日時:月・火・水・木曜 9時-13時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/stepone/
【10月24日(木)『STEP ONE』の「BEHIND THE SCENE」(ナビゲーター:サッシャ、増井なぎさ)】
■ATMがなくなるのはまだ先の話
藤原さんによると、ATM減少の理由の1つとして「コスト」が挙げられるという。ランニングコストに加え、現金の輸送や警備などで、1台につき年間数百万のコストがかかる。さらに、ネットバンキングの利用者増といった、顧客側の変化も関係しているようだ。
増井:これから先、ATMが完全になくなるということはあるんでしょうか?
藤原:キャッシュレスが進んで100パーセントに近い段階に行けば、なくなってくるでしょう。そこを目指してはいるのでしょうが、かなり遠い話だと思います。日本の現在のキャッシュレス比率は20パーセントと言われています。アメリカがおよそ45パーセントで、かなり高いものの、それでもATMは残っています。中国も60パーセントくらいですが、キャッシュレス決済を使っている人の半分ほどは「まだ現金が残る」と話しているので、(ATMがなくなるのは)だいぶ先の話でしょう。
サッシャ:先日の震災を考えても、被災をして「電気がない」となったときに、全部キャッシュレスになってしまうと「どうやって?」といった課題もありますよね。
藤原:そうですね。キャッシュレスが使えなくなり、現金社会になって大変だったという話を伺いました。
■セブン銀行が導入した「ATM+(プラス)」
藤原さんは、完全キャッシュレスに移行するまでの間に「ATMがどう変化していくのかがポイント」だと語る。そこで注目しているのが、「セブン銀行」だ。台数では現在2位であるものの、一般の銀行とは異なるビジネスモデルをとっているため、ATM戦略については「セブン銀行」を見るのが最適だと続ける。
藤原:この9月に「第4世代ATM」になる「ATM+(プラス)」と名付けた機種を導入しました。ATMに今までの現金の入出金だけではない機能をいろいろ足していこうというものです。たとえば、成田空港や、東京オリンピックでも使われると言われているNECの顔認証技術を取り入れています。他にも、本人確認書類をその場で確認できるスキャナーといったものが加わった、機能的に進化させたものを今置いています。
サッシャ:その新型ATMの目的とは?
藤原:10月から実証実験を始めるのが、顔認証を使った口座開設です。窓口に行ってハンコを押すといったことをしなくても、「セブン銀行」のATMで口座を開設できる。様々な金融機関の口座開設が1台でできるといったものを、まずは目指しています。さらに今後で言うと、端末にBluetoothがついているので、携帯端末にお店で使えるクーポンを配信する。他にも、顔認証技術で顔の血流などから健康診断を行ったり、ATMを使うたびに健康診断をして「こういうのどうですか?」とお勧めする機能にまで広がっていく可能性もあります。現時点で見えているビジョンです。
サッシャ:地方銀行、信用金庫など、ネットワークが大きくないところが「セブン銀行」と提携して、たとえば口座開設をするといったことが将来的にあり得る?
藤原:あります。口座開設だけではなく、そもそも店舗外ATMを「セブン銀行」に委託してしまう。機能の多いATMを持っているということは、段々とほかの地銀もそこに加わっていく可能性もあります。
また、「三菱UFJ銀行」も新しいATM「STM」を展開している。「STM」では、税金、公金といった各種払込票を処理できるのが特徴だ。藤原さんは、「ペイジーで番号を入れて支払いしているものを、紙の状態で読み取り、ハンコまで押してくれる。コンビニの会計に並ばなくても、支払いができる」と説明した。
■今後、ATMとの関わり方はどう変化する?
「セブン銀行」と「STM」に共通して言えることは、1つは銀行の窓口で行っている機能をATMに載せていくというものだ。銀行は窓口を減らしていく方針であるため、藤原さんは、これからのATMについて「消費者と銀行との接点、窓口に代わるものという立ち位置になる」と話す。また、ATMでは簡易的な銀行サービス、銀行の店舗窓口では対面での営業や、コンサルティングなどコミュニケーションが必要なサービスといったように、それぞれの用途が分かれていくのではと説明した。
お金の取り扱いは日々の暮らしに関わってくる重要なもの。気になる方は藤原さんの話をradikoでチェックしてみては。
『STEP ONE』のワンコーナー「BEHIND THE SCENE」では、気になるニュースの裏側から光を当てる。放送は月曜~木曜の10時10分頃から。お聴き逃しなく!
【この記事の放送回をradikoで聴く】
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『STEP ONE』
放送日時:月・火・水・木曜 9時-13時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/stepone/