J-WAVEで放送中の『VOICES FROM NIHONMONO』(アンバサダー:中田英寿、案内役:レイチェル・チャン)。中田英寿が47都道府県を巡る旅で出会った日本の"ほんもの"の作り手たち、日本の"ほんもの"=「に・ほ・ん・も・の」を紹介する番組だ。8月31日(土)のオンエアでは、中田が広島県の江田島市で牡蠣の養殖を営む「かなわ水産」を訪ねた様子をお届けした。
■真牡蠣と岩牡蠣の違いは?
中田が訪れた江田島は、瀬戸内海で4番目に大きな島だ。広島湾に位置し、広島市からフェリーで30分、陸路では呉市から車で1時間ほどの場所にある。中田は船に乗り、かなわ水産が漁場としている無人島・大黒神島の東側の海へ向かった。
牡蠣の旬といえば冬をイメージする人が多いだろうが、1年中食べられるそうだ。ただし、種類によって季節で味わいに差が出るとのこと。中田は、かなわ水産代表の三保達郎さんと、息子で副社長の三保弘太郎さんに、牡蠣について質問した。
中田:牡蠣はどんな種類がありますか?
三保(達):広島にはもともと真牡蠣という種類があり、それが全国、全世界に広がっています。真牡蠣は繁殖力も強く産業になりやすい。その他には岩牡蠣があります。
中田:真牡蠣と岩牡蠣の違いは?
三保(弘):まず住んでいる場所が違います。真牡蠣は潮が引くと見えるくらいの場所に生息しています。岩牡蠣はもう少し深いところに生息していています。岩牡蠣の生息する水深が深い分、殻が分厚くなる傾向があります。産卵期も違い、真牡蠣は6月下旬から8月いっぱいくらい、岩牡蠣は夏から秋にかけて広い範囲で産卵します。岩牡蠣は身がクリーミーで、夏でも良く出回ることが特徴です。
■広島の牡蠣はなぜ美味しいのか
広島県の牡蠣は年間2万トンほど生産され、全国シェアが60パーセントほどで第1位を誇る。そんな広島県で、かなわ水産は江田島市の大黒神島の海域で牡蠣を養殖している。
広島湾でも場所によってその味が違うと言われるが、どのような特徴があるのだろうか。
三保(達):東京都の調査によると、広島の牡蠣は水分が少なく、タンパク質が多く、アミノ酸が多いのが特徴です。
中田:うま味あるということですね?
三保(達):そういうことです。
牡蠣は海水を体内に通してエサを分けて自分の体に取り込む生物のため、汚染された海では汚染された牡蠣が育ってしまう。その点で広島湾には森林が多く、山からミネラルを含んだ水が海水に流れ出し、それをエサにプランクトンが繁殖するため、牡蠣が安全で美味しくなるのだという。
■一度も産卵をしていない貴重な牡蠣を試食
「広島の牡蠣はどの食べ方が1番美味しいのか?」。そう中田が質問すると、「生で食べること」と弘太郎さんは回答する。
三保(弘):フランス料理の料理人には、キャビア、トリュフ、そして牡蠣は、そのまま食べても美味しいから料理が難しいと言われています。
中田:殻から取った牡蠣はすぐ悪くなるんですか?
三保(弘):1番美味しいのは海から上げてすぐの状態ですね。
今回、中田は一度も産卵をしていない貴重な牡蠣を試食。甘みとうま味が強く、若いのでクセもないのが特徴だ。獲れたてのヴァージンオイスターを口にした中田は......。
中田:これまだ生きているの?
三保(弘):生きてます。生きたまま食べるのが美味しいです。鮮度がいいことが重要なので。
中田:すごくクリーミーなことがよく分かります。海から出したばかりだから、塩水がほど良く効いている。
■サステイナブルな牡蠣筏を開発
創業は1867年の江戸時代だったというかなわ水産は、未来を見据えたチャレンジとして、新しい牡蠣筏(いかだ)の実証実験を始めている。
三保(達):世界初のゴミを出さない牡蠣筏です。竹は4、5年しかもたず、使い終わった竹の焼却が問題になっています。また、竹を海に浮かべるための発泡スチロールのゴミが流れ出す問題もあります。それを解決するために、竹ではなくポリエチレンを素材としています。ポリエチレンは50年ほど耐久性があり、リサイクルもできるためゴミは出ません。また、台風でも壊れません。
新型の牡蠣筏は、黒いポリエチレン製で直径25メートルほどの円を作り、その中にトレーに入れた牡蠣を吊して養殖する。この筏はマグロのいけすを参考にして作られており、筏自体が浮力を持っているため、発泡スチロールは必要ない。また、波の影響も受けにくいので、牡蠣が伸び伸びと育つことが特徴だ。
環境にも牡蠣にも負荷が少ないサステイナブルな牡蠣筏を開発した達郎さんは、牡蠣の可能性についてこう話します。
三保(達):牡蠣は海水に漬けておけば、毎年食糧になる。石炭や石油は掘り尽くせば終わりだけど、海がある限り終わりません。それは素晴らしいこことだと思います。また、アサリやハマグリは砂浜の平面にしか育ちませんが、牡蠣は立体的に育てることができます。ホタテは北方系の2枚貝なので海が暖かくなって生息地が北に上がっていますが、牡蠣は南方系の2枚貝なので生息域を拡大しています。そういった特徴からみんな牡蠣に注目しているんです。
東京・銀座には、かなわ水産の牡蠣が食べられる店「銀座かなわ」もあるので、機会があれば足を運んでみてほしい。
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【番組情報】
番組名:『VOICES FROM NIHONMONO』
放送日時:毎週土曜 22時-22時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/nihonmono/
■真牡蠣と岩牡蠣の違いは?
中田が訪れた江田島は、瀬戸内海で4番目に大きな島だ。広島湾に位置し、広島市からフェリーで30分、陸路では呉市から車で1時間ほどの場所にある。中田は船に乗り、かなわ水産が漁場としている無人島・大黒神島の東側の海へ向かった。
牡蠣の旬といえば冬をイメージする人が多いだろうが、1年中食べられるそうだ。ただし、種類によって季節で味わいに差が出るとのこと。中田は、かなわ水産代表の三保達郎さんと、息子で副社長の三保弘太郎さんに、牡蠣について質問した。
中田:牡蠣はどんな種類がありますか?
三保(達):広島にはもともと真牡蠣という種類があり、それが全国、全世界に広がっています。真牡蠣は繁殖力も強く産業になりやすい。その他には岩牡蠣があります。
中田:真牡蠣と岩牡蠣の違いは?
三保(弘):まず住んでいる場所が違います。真牡蠣は潮が引くと見えるくらいの場所に生息しています。岩牡蠣はもう少し深いところに生息していています。岩牡蠣の生息する水深が深い分、殻が分厚くなる傾向があります。産卵期も違い、真牡蠣は6月下旬から8月いっぱいくらい、岩牡蠣は夏から秋にかけて広い範囲で産卵します。岩牡蠣は身がクリーミーで、夏でも良く出回ることが特徴です。
■広島の牡蠣はなぜ美味しいのか
広島県の牡蠣は年間2万トンほど生産され、全国シェアが60パーセントほどで第1位を誇る。そんな広島県で、かなわ水産は江田島市の大黒神島の海域で牡蠣を養殖している。
広島湾でも場所によってその味が違うと言われるが、どのような特徴があるのだろうか。
三保(達):東京都の調査によると、広島の牡蠣は水分が少なく、タンパク質が多く、アミノ酸が多いのが特徴です。
中田:うま味あるということですね?
三保(達):そういうことです。
牡蠣は海水を体内に通してエサを分けて自分の体に取り込む生物のため、汚染された海では汚染された牡蠣が育ってしまう。その点で広島湾には森林が多く、山からミネラルを含んだ水が海水に流れ出し、それをエサにプランクトンが繁殖するため、牡蠣が安全で美味しくなるのだという。
■一度も産卵をしていない貴重な牡蠣を試食
「広島の牡蠣はどの食べ方が1番美味しいのか?」。そう中田が質問すると、「生で食べること」と弘太郎さんは回答する。
三保(弘):フランス料理の料理人には、キャビア、トリュフ、そして牡蠣は、そのまま食べても美味しいから料理が難しいと言われています。
中田:殻から取った牡蠣はすぐ悪くなるんですか?
三保(弘):1番美味しいのは海から上げてすぐの状態ですね。
今回、中田は一度も産卵をしていない貴重な牡蠣を試食。甘みとうま味が強く、若いのでクセもないのが特徴だ。獲れたてのヴァージンオイスターを口にした中田は......。
中田:これまだ生きているの?
三保(弘):生きてます。生きたまま食べるのが美味しいです。鮮度がいいことが重要なので。
中田:すごくクリーミーなことがよく分かります。海から出したばかりだから、塩水がほど良く効いている。
■サステイナブルな牡蠣筏を開発
創業は1867年の江戸時代だったというかなわ水産は、未来を見据えたチャレンジとして、新しい牡蠣筏(いかだ)の実証実験を始めている。
三保(達):世界初のゴミを出さない牡蠣筏です。竹は4、5年しかもたず、使い終わった竹の焼却が問題になっています。また、竹を海に浮かべるための発泡スチロールのゴミが流れ出す問題もあります。それを解決するために、竹ではなくポリエチレンを素材としています。ポリエチレンは50年ほど耐久性があり、リサイクルもできるためゴミは出ません。また、台風でも壊れません。
新型の牡蠣筏は、黒いポリエチレン製で直径25メートルほどの円を作り、その中にトレーに入れた牡蠣を吊して養殖する。この筏はマグロのいけすを参考にして作られており、筏自体が浮力を持っているため、発泡スチロールは必要ない。また、波の影響も受けにくいので、牡蠣が伸び伸びと育つことが特徴だ。
環境にも牡蠣にも負荷が少ないサステイナブルな牡蠣筏を開発した達郎さんは、牡蠣の可能性についてこう話します。
三保(達):牡蠣は海水に漬けておけば、毎年食糧になる。石炭や石油は掘り尽くせば終わりだけど、海がある限り終わりません。それは素晴らしいこことだと思います。また、アサリやハマグリは砂浜の平面にしか育ちませんが、牡蠣は立体的に育てることができます。ホタテは北方系の2枚貝なので海が暖かくなって生息地が北に上がっていますが、牡蠣は南方系の2枚貝なので生息域を拡大しています。そういった特徴からみんな牡蠣に注目しているんです。
東京・銀座には、かなわ水産の牡蠣が食べられる店「銀座かなわ」もあるので、機会があれば足を運んでみてほしい。
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番組名:『VOICES FROM NIHONMONO』
放送日時:毎週土曜 22時-22時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/nihonmono/