J-WAVEで放送中の番組『INNOVATION WORLD』(ナビゲーター:川田十夢)。8月9日(金)のオンエアでは、シンセサイザープログラマーの松武秀樹が登場。YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)との思い出や、これからの音について語った。
■音色は設計図がないと作れない
松武は数々のYMOの作品やライブに参加し、第4のメンバーとも称されている。彼らとの音作りについて、「絵を描くことがうまかった」と表現する。
松武:彼らは、音楽的なイメージも、グラフィックも描くこともすごく上手でした。「こんな感じの絵の音にしたいんだ」とかね。言葉だと暑い音とか寒い音とか抽象的な表現しかできないけど、絵で描いてくれると「あっ、なるほど。こういうふうにすればいいんだ」と理解できる。
川田:それを受けとめるのもすごいですけどね。「何言ってるの?」って話になるかもしれないですし(笑)。そういう会話ができたのが大きいですよね。
「3人の才能は次元を超えている」と話す川田に、松武は高橋幸宏(Dr/Vo)のすばらしさをこう語る。
松武:ドラムはリズムキープもすごいけど、音色の作り方というか叩き方というか、それを表現できるドラマーはその頃、幸宏さんしかいなかったと思います。
川田:当時、シーケンスを記録することが出始めた頃で、今はコンピューターが勝手にグルーヴを予測してくれるけど、それがなかった頃ですからね。
松武:だからグルーヴのプログラムをひとつひとつ作っていったんですね。あの時代にYMOの『Simoon』って曲があるんですけど、実はその音の跳ね方のグルーブはそれぞれ違うんですよ。
川田:それに加えて、音の強弱もそんなにつけられなかったですよね。
松武:そう、今で言うベロシティのような装置もなかったので大変でしたね。
川田:YMOは楽器のキャパシティを超えたところにイメージがあり、それに近づけているから、色あせない未来の音なんだと思います。
この話を受け、松武は師匠であるシンセサイザーアーティストで作編曲家の冨田 勲の言葉を紹介した。
松武:冨田先生に「君はデッサンができるのかね」と言われて。つまり、音色の設計図を描けるのかと。最初は何を言っているのか全然わからなかったんですけど、それは「塗り絵は下地があり、絵に色をつけることだ」という考え方でした。それを聞いて、「音色を作るのも設計図がないと作れないんだ」と学びました。
■自分しかできない音を生み出す
新しい音を追求し続ける松武の原動力を訊くと「諦めない心」、そして「忍耐力」と答えた。
松武:電子楽器やコンピューターは裏切るじゃないですか。予測しないときに落ちてしまったり。そういうことを先に感じて、そうならないようにする努力が大事なことだと思っています。「失敗は成功のもと」の蓄積をしておくべきもの。それで新しい方向へ行くという考え方です。
そんな松武は、これからの目標をこう語った。
松武:シンセサイザーの技術はだんだん生の音に近づこうとしています。それはそれでいいんですけど、それを突き詰める必要は......行き着くところまでいったのでそれはもういいかなと。結論から言うと、生の音のほうがいいに決まってるから、それに勝てるわけがないので。だから、次にやるべきこと、自分がやりたいことは、自分しかできない音を生み出す。今のシンセサイザーは全部の音が入ってるんですよね。
川田:使い切れないくらい入ってますよね。
松武:たとえば、おいしい料理を作るために材料をたくさん買うよりは、これとこれでおいしい料理を作るほうがいい、それと同じで、シンセサイザーにかかわらず楽器にすべきものは、自分しかできないオンリーワンを作り出すこと。自分なりのプログラムを作りやすい装置で作っていけば、おのずと自分しか作れない音を生み出すことができると思っています。
松武は9月28日(土)、29日(日)に六本木ヒルズで開催の「J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2019」(通称「イノフェス」)の28日(土)に出演が決定している。ぜひ足を運び、松武しか奏でられない音を体感してほしい。
【番組情報】
番組名:『INNOVATION WORLD』
放送日時:毎週金曜日 22時-23時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/innovationworld/
■音色は設計図がないと作れない
松武は数々のYMOの作品やライブに参加し、第4のメンバーとも称されている。彼らとの音作りについて、「絵を描くことがうまかった」と表現する。
松武:彼らは、音楽的なイメージも、グラフィックも描くこともすごく上手でした。「こんな感じの絵の音にしたいんだ」とかね。言葉だと暑い音とか寒い音とか抽象的な表現しかできないけど、絵で描いてくれると「あっ、なるほど。こういうふうにすればいいんだ」と理解できる。
川田:それを受けとめるのもすごいですけどね。「何言ってるの?」って話になるかもしれないですし(笑)。そういう会話ができたのが大きいですよね。
「3人の才能は次元を超えている」と話す川田に、松武は高橋幸宏(Dr/Vo)のすばらしさをこう語る。
松武:ドラムはリズムキープもすごいけど、音色の作り方というか叩き方というか、それを表現できるドラマーはその頃、幸宏さんしかいなかったと思います。
川田:当時、シーケンスを記録することが出始めた頃で、今はコンピューターが勝手にグルーヴを予測してくれるけど、それがなかった頃ですからね。
松武:だからグルーヴのプログラムをひとつひとつ作っていったんですね。あの時代にYMOの『Simoon』って曲があるんですけど、実はその音の跳ね方のグルーブはそれぞれ違うんですよ。
川田:それに加えて、音の強弱もそんなにつけられなかったですよね。
松武:そう、今で言うベロシティのような装置もなかったので大変でしたね。
川田:YMOは楽器のキャパシティを超えたところにイメージがあり、それに近づけているから、色あせない未来の音なんだと思います。
この話を受け、松武は師匠であるシンセサイザーアーティストで作編曲家の冨田 勲の言葉を紹介した。
松武:冨田先生に「君はデッサンができるのかね」と言われて。つまり、音色の設計図を描けるのかと。最初は何を言っているのか全然わからなかったんですけど、それは「塗り絵は下地があり、絵に色をつけることだ」という考え方でした。それを聞いて、「音色を作るのも設計図がないと作れないんだ」と学びました。
■自分しかできない音を生み出す
新しい音を追求し続ける松武の原動力を訊くと「諦めない心」、そして「忍耐力」と答えた。
松武:電子楽器やコンピューターは裏切るじゃないですか。予測しないときに落ちてしまったり。そういうことを先に感じて、そうならないようにする努力が大事なことだと思っています。「失敗は成功のもと」の蓄積をしておくべきもの。それで新しい方向へ行くという考え方です。
そんな松武は、これからの目標をこう語った。
松武:シンセサイザーの技術はだんだん生の音に近づこうとしています。それはそれでいいんですけど、それを突き詰める必要は......行き着くところまでいったのでそれはもういいかなと。結論から言うと、生の音のほうがいいに決まってるから、それに勝てるわけがないので。だから、次にやるべきこと、自分がやりたいことは、自分しかできない音を生み出す。今のシンセサイザーは全部の音が入ってるんですよね。
川田:使い切れないくらい入ってますよね。
松武:たとえば、おいしい料理を作るために材料をたくさん買うよりは、これとこれでおいしい料理を作るほうがいい、それと同じで、シンセサイザーにかかわらず楽器にすべきものは、自分しかできないオンリーワンを作り出すこと。自分なりのプログラムを作りやすい装置で作っていけば、おのずと自分しか作れない音を生み出すことができると思っています。
松武は9月28日(土)、29日(日)に六本木ヒルズで開催の「J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2019」(通称「イノフェス」)の28日(土)に出演が決定している。ぜひ足を運び、松武しか奏でられない音を体感してほしい。
【番組情報】
番組名:『INNOVATION WORLD』
放送日時:毎週金曜日 22時-23時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/innovationworld/
関連記事
- 乃木坂46・池田瑛紗、藝大への進学を諦めずにいられた「後押し」とは? 広がる活動への想いを聞く
- ダイソン、27億5000万ポンド(約4372億円)投じて技術開発! 「野望」を同社の女性エンジニアに聞く
- ラジオのリスナーへの感謝をNFTに! 新サービス「J-WAVE LISTEN+」はどんな仕組み?
- スポーツで地域はどのように拡張できる? Jリーグ 京都サンガF.C.のフロントスタッフと語るオンライン講義を実施!学生5名様をご招待 乃木坂46 早川聖来も参加
- テクノロジーで身体はどう変化する?身体の不思議やテクノロジーがもたらす可能性に迫るオンライン講義に学生5名様をご招待!乃木坂46 早川聖来も参加