J-WAVEで放送中の番組『GOOD NEIGHBORS』（ナビゲーター：クリス智子）のワンコーナー「MORI BUILDING TOKYO PASSPORT」。8月19日（月）のオンエアでは、女優・樹木希林の遺作にして世界デビュー作の映画『命みじかし、恋せよ乙女』をピックアップ。ドーリス・デリエ監督に話を訊いた。
【この記事の放送回をradikoで聴く】（2019年8月26日28時59分まで）
■日本映画の巨匠に影響を受けたドイツ人監督
ドイツ映画『Cherry Blossoms and Demons』が、『命みじかし、恋せよ乙女』の邦題で現在公開中だ。
＜あらすじ＞
物語は、酒に溺れて仕事も家族も見失ったドイツ人男性のカール（ゴロ・オイラー）のもとに、とつぜん日本人女性・ユウ（入月 絢）が訪ねてくる。カールの亡き父と親交があったユウは、父が生前暮らしていた家を見たいと言い出し、ふたりは郊外にある空き家となったカールの実家へ向かう。少し風変わりなユウと過ごすうち、新たな人生の一歩を踏み出そうとするカール。しかし、その矢先にユウはこつぜんと姿を消してしまう。ユウを探しに日本を訪れたカールは、彼女の故郷である神奈川県・茅ヶ崎海岸へ。ユウの面影を追ううちにたどり着いたのが茅ヶ崎館という旅館だった。そして、茅ヶ崎館の女将（樹木希林）の口から、ユウの人生の物語を知ることになる――。
■予告編（Youtube）
https://youtu.be/agZh74SWfN4
ドイツ人女性のドーリス監督は日本に造詣が深く、来日は50回以上。日本を題材にした映画も5作目となる。
ドーリス：映画学校に通っているときに、黒澤 明さん、小津安二郎さん、溝口健二さんの作品をたくさん観ました。結果的に大好きな作品になり、自分の創作活動に大きな影響を与えました。映画学校のあとに日本に行き、映画の中で観たさまざまな要素をたくさん目にすることができて、それが映画作家としての地盤を形作りました。日本はあらゆる面で、アーティストとしての自分にとってすごく重要な役割を果たしています。是枝裕和監督の作品がカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞されて誇らしく思ったし、日本の映画が賞賛されることを嬉しく思います。もちろん、映画以外にも文学など、いろいろな日本文化に影響を受けました。
■樹木希林、撮影現場での「自然な涙」
『命みじかし、恋せよ乙女』のアイデアが浮かんだのは、2016年公開の桃井かおり出演の映画『フクシマ・モナムール』のジャパンプレミアで日本を訪問したとき。以前から是枝監督作品に注目していたドーリス監督は、是枝監督が執筆活動のために宿泊する施設があると知って、茅ヶ崎館に足を運んだ。そこで高齢の女将と出会い、かつて小津監督が脚本を書いていた部屋を案内してもらい、『命みじかし、恋せよ乙女』のインスピレーションを得た。
ドーリス監督は「女将役は樹木さんしかいない」とすぐに脚本を書き始め、その後、ドイツに戻り、樹木に脚本を送ると、およそ1週間後に快諾の返事が届いた。茅ヶ崎館で、樹木が亡くなる2カ月ほど前に撮影は行われた。
ドーリス：涙を流してほしいと事前にお願いしていましたが、演技かどうかわからないくらい自然な涙でした。彼女の気持ちと演技が一緒になったのかなと思いました。樹木さんにとって、これが人生で最後に撮影するシーンになると、どこかでわかっていらしたのではないかと私は思います。
樹木は、小津監督『秋刀魚の味』撮影のとき、女優・杉村春子の付き人として茅ヶ崎館を訪れていたそうだ。茅ヶ崎館は、樹木の始まりと終わりの場所とも言える。
ドーリス：撮影した場所は、樹木さんがキャリアをスタートさせた場所でもあります。おそらく、その部屋にいたスタッフみんな、樹木さんの遺作になるとは予想していなかったと思いますが、何かを感じていました。
遺作『命みじかし、恋せよ乙女』を、ぜひ劇場で観てみてほしい。
『GOOD NEIGHBORS』のワンコーナー「MORI BUILDING TOKYO PASSPORT」は、東京を面白くする、東京を刺激してくれるさまざまなトピックスにフォーカスしている。放送は月曜～木曜の14時頃。お楽しみに！
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【番組情報】
番組名：『GOOD NEIGHBORS』
放送日時：月・火・水・木曜 13時－16時30分
オフィシャルサイト：https://www.j-wave.co.jp/original/neighbors/
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■日本映画の巨匠に影響を受けたドイツ人監督
ドイツ映画『Cherry Blossoms and Demons』が、『命みじかし、恋せよ乙女』の邦題で現在公開中だ。
＜あらすじ＞
物語は、酒に溺れて仕事も家族も見失ったドイツ人男性のカール（ゴロ・オイラー）のもとに、とつぜん日本人女性・ユウ（入月 絢）が訪ねてくる。カールの亡き父と親交があったユウは、父が生前暮らしていた家を見たいと言い出し、ふたりは郊外にある空き家となったカールの実家へ向かう。少し風変わりなユウと過ごすうち、新たな人生の一歩を踏み出そうとするカール。しかし、その矢先にユウはこつぜんと姿を消してしまう。ユウを探しに日本を訪れたカールは、彼女の故郷である神奈川県・茅ヶ崎海岸へ。ユウの面影を追ううちにたどり着いたのが茅ヶ崎館という旅館だった。そして、茅ヶ崎館の女将（樹木希林）の口から、ユウの人生の物語を知ることになる――。
■予告編（Youtube）
https://youtu.be/agZh74SWfN4
ドイツ人女性のドーリス監督は日本に造詣が深く、来日は50回以上。日本を題材にした映画も5作目となる。
ドーリス：映画学校に通っているときに、黒澤 明さん、小津安二郎さん、溝口健二さんの作品をたくさん観ました。結果的に大好きな作品になり、自分の創作活動に大きな影響を与えました。映画学校のあとに日本に行き、映画の中で観たさまざまな要素をたくさん目にすることができて、それが映画作家としての地盤を形作りました。日本はあらゆる面で、アーティストとしての自分にとってすごく重要な役割を果たしています。是枝裕和監督の作品がカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞されて誇らしく思ったし、日本の映画が賞賛されることを嬉しく思います。もちろん、映画以外にも文学など、いろいろな日本文化に影響を受けました。
■樹木希林、撮影現場での「自然な涙」
『命みじかし、恋せよ乙女』のアイデアが浮かんだのは、2016年公開の桃井かおり出演の映画『フクシマ・モナムール』のジャパンプレミアで日本を訪問したとき。以前から是枝監督作品に注目していたドーリス監督は、是枝監督が執筆活動のために宿泊する施設があると知って、茅ヶ崎館に足を運んだ。そこで高齢の女将と出会い、かつて小津監督が脚本を書いていた部屋を案内してもらい、『命みじかし、恋せよ乙女』のインスピレーションを得た。
ドーリス監督は「女将役は樹木さんしかいない」とすぐに脚本を書き始め、その後、ドイツに戻り、樹木に脚本を送ると、およそ1週間後に快諾の返事が届いた。茅ヶ崎館で、樹木が亡くなる2カ月ほど前に撮影は行われた。
ドーリス：涙を流してほしいと事前にお願いしていましたが、演技かどうかわからないくらい自然な涙でした。彼女の気持ちと演技が一緒になったのかなと思いました。樹木さんにとって、これが人生で最後に撮影するシーンになると、どこかでわかっていらしたのではないかと私は思います。
樹木は、小津監督『秋刀魚の味』撮影のとき、女優・杉村春子の付き人として茅ヶ崎館を訪れていたそうだ。茅ヶ崎館は、樹木の始まりと終わりの場所とも言える。
ドーリス：撮影した場所は、樹木さんがキャリアをスタートさせた場所でもあります。おそらく、その部屋にいたスタッフみんな、樹木さんの遺作になるとは予想していなかったと思いますが、何かを感じていました。
遺作『命みじかし、恋せよ乙女』を、ぜひ劇場で観てみてほしい。
『GOOD NEIGHBORS』のワンコーナー「MORI BUILDING TOKYO PASSPORT」は、東京を面白くする、東京を刺激してくれるさまざまなトピックスにフォーカスしている。放送は月曜～木曜の14時頃。お楽しみに！
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番組名：『GOOD NEIGHBORS』
放送日時：月・火・水・木曜 13時－16時30分
オフィシャルサイト：https://www.j-wave.co.jp/original/neighbors/