J-WAVEで放送中の番組『STEP ONE』(ナビゲーター:サッシャ・増井なぎさ)のワンコーナー「MUSIC+1」。7月16日(火)のオンエアでは、作詞家の及川眠子さんが登場。及川さんが手掛けた詞や、詞が良いと思うアーティストについて話しました。
■『新世紀エヴァンゲリオン』完成品をまだ観ていない
1985年に作詞家としてデビューした及川さん。Winkの『淋しい熱帯魚』やアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の主題歌『残酷な天使のテーゼ』など、数々のヒット曲の作詞を手掛けてきました。今でもカラオケなどで当たり前のように歌われる名曲『残酷な天使のテーゼ』の歌詞がどのように生まれたのか訊いたところ、意外な答えが返ってきました。
及川:私、未だに作品を観てないんです。
サッシャ・増井:え!?
及川:だって「もう仕事は終わってるのに何であとから観るの?」って思うから(笑)。
サッシャ:作詞をする前は?
及川:まだ作品ができていませんでした。企画書と、色とかセリフが入ってないビデオを2話分くらい貰って、「とりあえずこれを観て好きに書いて」って言われたんです。
サッシャ:その後「どんな感じになるのかな」って気にならなかったんですか?
及川:うん。「終わった」って思っちゃったんで(笑)。
サッシャ:(笑)。でも、「詞、大好きです!」とか言われますよね?
及川:言われます。『新世紀エヴァンゲリオン』って難しいじゃないですか。だから、「歌詞の中に秘密が隠されているんじゃないか」ってみんな分解して色々分析してくれるんですけど。観てません、すみません(笑)。
『新世紀エヴァンゲリオン』がまだ完成していない状態で『残酷な天使のテーゼ』の歌詞を書き上げたということですが、どのように作詞は進んでいったのでしょうか。
及川:企画書を見ると大事なことが浮き上がってくるんです。それを捕まえてカタチにしていっただけで。高橋洋子が歌うことはわかっていたので、「高橋洋子が歌うなら少年少女の気持ちだったら変だろう」と思って。だから年上の女性目線なんです。
サッシャ:歌い手さんで目線を決めたんですね!
■職業作家が書けないものを書く人が好き
及川さんに、自分以外の詞で良いと思うアーティストはいるか訊いたところ、あいみょんさんの名前を挙げました。
及川:いいですよね、やっぱり。
サッシャ:1曲挙げるとするとどの曲ですか?
及川:最近聴いた中では『君はロックを聴かない』。ゴールデンボンバーの鬼龍院くんの詞なんかも好きなんだけど、要するに、職業作家が書けないものを書く人が好きなんです。
サッシャ:何が違うんですか?
及川:ストレートなんですよね。なかなかそれができないんです。わざとひねってみたりしちゃうから。
作詞家ならではの歌詞の見方や曲の聴き方はあるのでしょうか。
及川:別に普通だと思います。「これ好き」とか「やられたな」みたいなこともあるし。聴いていて「いい歌だな」って普通に思います。音楽が好きでこの業界に入っているので、音楽として捉えています。
増井:細かく頭で考えて聴いているわけではないんですね?
及川:自分が仕事をするときはビシッと計算していきます。
■ミュージカルの詞は場面の説明
及川さんは、8月31日(土)から上演が始まるミュージカル『HEDWIG AND THE ANGRY INCH/ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』の歌詞を担当しています。『HEDWIG AND THE ANGRY INCH/ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』は1997年にオフ・ブロードウェイで初上演され、ロングランを記録し世界各地で上演されました。2001年には映画化もされています。日本では7年ぶりの公演となります。
及川:ほとんど訳詞なんですけど、職人的な仕事なんです。英語と日本語の文章では入る量が全然違うので、それをどう言い換えるか。歌の詞は、いかに想像させるかなんです。少ない言葉で聴いてる側に想像させて膨らませていく。でも、ミュージカルの詞は場面の説明なんです。CDとかは歌詞を見られるけど、舞台は耳と演技だけなので、難しい言葉を使わないように気を付けたりしました。
サッシャ:作業は大変でしたか?
及川:ものすごく大変でした。でもだからこそ、ものすごく楽しかったです。
さらに及川さんは、『HEDWIG AND THE ANGRY INCH/ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』の音楽のメロディの良さを壊さないように意識したと続けました。
及川:ある程度(歌詞で)ストーリーをちゃんと説明しないといけない。でも、言葉をいっぱい入れて説明的にしたくない。じゃあどうするか、っていうバランスですよね。
サッシャ:そこに矛盾があるわけですね。
及川:そうですね。そして音楽的でありたい。
サッシャ:どの音を当てるかによって聞こえ方が変わるじゃないですか。そこも難しいですよね。
及川:歌い手によってクセがあるので、そこでまた歌詞の微調整は必要かもしれないですね。例えば、アイドルの女の子とかって、わりと高音での「は行」が苦手だったりするんです。だからなるべく高音に「は行」が出ないようにしたり。低い音で「お音」は言いにくいとか、人によっては「伸ばす音で『え音』はやめてくれ」とか。すごくありますよ。
サッシャ:へー! そういう指示もあるんですね!
『HEDWIG AND THE ANGRY INCH/ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』の東京公演は、8月31日(土)から9月8日(日)までがEX THEATER ROPPONGI、9月26日(木)から9月29日(日)までがZepp Tokyoです。福岡・名古屋・大阪でも上演されます。ぜひチェックしみてください!
【番組情報】
番組名:『STEP ONE』
放送日時:月・火・水・木曜 9時-13時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/stepone/
■『新世紀エヴァンゲリオン』完成品をまだ観ていない
1985年に作詞家としてデビューした及川さん。Winkの『淋しい熱帯魚』やアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の主題歌『残酷な天使のテーゼ』など、数々のヒット曲の作詞を手掛けてきました。今でもカラオケなどで当たり前のように歌われる名曲『残酷な天使のテーゼ』の歌詞がどのように生まれたのか訊いたところ、意外な答えが返ってきました。
及川:私、未だに作品を観てないんです。
サッシャ・増井:え!?
及川:だって「もう仕事は終わってるのに何であとから観るの?」って思うから(笑)。
サッシャ:作詞をする前は?
及川:まだ作品ができていませんでした。企画書と、色とかセリフが入ってないビデオを2話分くらい貰って、「とりあえずこれを観て好きに書いて」って言われたんです。
サッシャ:その後「どんな感じになるのかな」って気にならなかったんですか?
及川:うん。「終わった」って思っちゃったんで(笑)。
サッシャ:(笑)。でも、「詞、大好きです!」とか言われますよね?
及川:言われます。『新世紀エヴァンゲリオン』って難しいじゃないですか。だから、「歌詞の中に秘密が隠されているんじゃないか」ってみんな分解して色々分析してくれるんですけど。観てません、すみません(笑)。
『新世紀エヴァンゲリオン』がまだ完成していない状態で『残酷な天使のテーゼ』の歌詞を書き上げたということですが、どのように作詞は進んでいったのでしょうか。
及川:企画書を見ると大事なことが浮き上がってくるんです。それを捕まえてカタチにしていっただけで。高橋洋子が歌うことはわかっていたので、「高橋洋子が歌うなら少年少女の気持ちだったら変だろう」と思って。だから年上の女性目線なんです。
サッシャ:歌い手さんで目線を決めたんですね!
■職業作家が書けないものを書く人が好き
及川さんに、自分以外の詞で良いと思うアーティストはいるか訊いたところ、あいみょんさんの名前を挙げました。
及川:いいですよね、やっぱり。
サッシャ:1曲挙げるとするとどの曲ですか?
及川:最近聴いた中では『君はロックを聴かない』。ゴールデンボンバーの鬼龍院くんの詞なんかも好きなんだけど、要するに、職業作家が書けないものを書く人が好きなんです。
サッシャ:何が違うんですか?
及川:ストレートなんですよね。なかなかそれができないんです。わざとひねってみたりしちゃうから。
作詞家ならではの歌詞の見方や曲の聴き方はあるのでしょうか。
及川:別に普通だと思います。「これ好き」とか「やられたな」みたいなこともあるし。聴いていて「いい歌だな」って普通に思います。音楽が好きでこの業界に入っているので、音楽として捉えています。
増井:細かく頭で考えて聴いているわけではないんですね?
及川:自分が仕事をするときはビシッと計算していきます。
■ミュージカルの詞は場面の説明
及川さんは、8月31日(土)から上演が始まるミュージカル『HEDWIG AND THE ANGRY INCH/ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』の歌詞を担当しています。『HEDWIG AND THE ANGRY INCH/ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』は1997年にオフ・ブロードウェイで初上演され、ロングランを記録し世界各地で上演されました。2001年には映画化もされています。日本では7年ぶりの公演となります。
及川:ほとんど訳詞なんですけど、職人的な仕事なんです。英語と日本語の文章では入る量が全然違うので、それをどう言い換えるか。歌の詞は、いかに想像させるかなんです。少ない言葉で聴いてる側に想像させて膨らませていく。でも、ミュージカルの詞は場面の説明なんです。CDとかは歌詞を見られるけど、舞台は耳と演技だけなので、難しい言葉を使わないように気を付けたりしました。
サッシャ:作業は大変でしたか?
及川:ものすごく大変でした。でもだからこそ、ものすごく楽しかったです。
さらに及川さんは、『HEDWIG AND THE ANGRY INCH/ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』の音楽のメロディの良さを壊さないように意識したと続けました。
及川:ある程度(歌詞で)ストーリーをちゃんと説明しないといけない。でも、言葉をいっぱい入れて説明的にしたくない。じゃあどうするか、っていうバランスですよね。
サッシャ:そこに矛盾があるわけですね。
及川:そうですね。そして音楽的でありたい。
サッシャ:どの音を当てるかによって聞こえ方が変わるじゃないですか。そこも難しいですよね。
及川:歌い手によってクセがあるので、そこでまた歌詞の微調整は必要かもしれないですね。例えば、アイドルの女の子とかって、わりと高音での「は行」が苦手だったりするんです。だからなるべく高音に「は行」が出ないようにしたり。低い音で「お音」は言いにくいとか、人によっては「伸ばす音で『え音』はやめてくれ」とか。すごくありますよ。
サッシャ:へー! そういう指示もあるんですね!
『HEDWIG AND THE ANGRY INCH/ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』の東京公演は、8月31日(土)から9月8日(日)までがEX THEATER ROPPONGI、9月26日(木)から9月29日(日)までがZepp Tokyoです。福岡・名古屋・大阪でも上演されます。ぜひチェックしみてください!
【番組情報】
番組名:『STEP ONE』
放送日時:月・火・水・木曜 9時-13時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/stepone/