地球規模の課題である、海洋プラスチックごみ問題。要因のひとつになっているプラスチックストローはどんなものに変わっていくのか、国内外の企業はどんな取り組みをしているのか。環境ジャーナリストの竹田有里さんに伺いました。
【6月27日(木)『STEP ONE』の「BEHIND THE SCENE」(ナビゲーター:サッシャ、増井なぎさ)】
http://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20190627101025(2019年7月4日28時59分まで)
■日本は世界で「使い捨てプラスチックごみの発生量」が2位
海洋プラスチックごみ問題は50年以上前、相次いで死んだオットセイの胃からプラスチックの塊が見つかったことで表面化しました。2015年には、鼻にストローが刺さった亀の映像が話題になり、去年G7シャルルボワ・サミットが開催され、カナダ及び欧州各国が海洋プラスチック憲章を承認しましたが、日本とアメリカは署名しませんでした。
サッシャ:プラスチックごみによって、世界中でどんなことが起きているのでしょうか?
竹田:本来海に存在しなかったプラスチックごみが海底に沈んだりすると、大型の海洋生物が餌と間違ってしまう。すると、海の生態系に深刻な影響を与えてしまうんです。スーパーのレジ袋が海中に浮いていると何に見えると思いますか?
増井:クラゲ?
竹田:そう。クラゲに見えてしまうんです。大型のクジラとかはレジ袋を間違えて食べてしまうんです。
サッシャ:健康にも影響が出てしまうんですね。
竹田:5ミリ以下のマイクロプラスチックの問題もあると思うんですが、これは人体にも影響が出ていると言われています。生殖機能や免疫力の低下、肥満、アレルギーを引き起こす可能性があるとも言われているんです。
世界では年間4億トンのプラスチック製品が作られていて、年間で少なくともこの内の800万トンのプラスチックごみが海に流れてこんでいるとか。日本では、ひとりあたりの使い捨てプラスチックごみの発生量は、アメリカに次いで世界で2番目。1年間に使用されるレジ袋は約400億枚と推計されています。
そんななか、日清食品グループは「カップヌードル」ブランドの商品で使用する容器を「バイオマスECOカップ」にする方針を発表しました。他にも、セブン‐イレブン・ジャパンのおにぎりの包装が植物性由来のものに変わったり、日本コカ・コーラとセブン&アイ・ホールディングスが共同で、店頭で回収したペットボトルを100%リサイクルし、共同の企画の商品として採用するというニュースもありました。
竹田:また、米コーヒーチェーン大手スターバックスでは、プラスチック製の使い捨てストローの使用を2020年までに世界中の店舗で廃止するそうです。世界で2万8000店舗あり、10億本のプラスチック製のストローがなくなります。
■木のストロー1本で社会問題を考えてもらうきっかけに
ストローは、世界で1日5億本が捨てられています。海へ流出するゴミのうち、ストローが占める割合は0.1%です。プラスチックストローに代わるものとして、紙製や竹製のものが発表されていますが、竹田さんは木を原材料としたストローを製品化する「Wood Straw Project」という新しいプロジェクトを進めています。
この日は、実際に木のストローを持ってきてもらいました。弾力性があり、ほのかに木の香りがします。サッシャと増井は、杉の木でできたストローを使ってみました。
サッシャ:正直、紙のストローはちょっとふやけちゃって、長く使うのは苦手なんですけど、これはいいですね。舌触りも自然のものだから全然いいですね。
竹田:リップの色も付きづらかったり目立たなかったりします。
増井:もともとナチュラルな木の色なので目立たないです。
木のストローを作るに至った経緯を訊きました。
竹田:去年の西日本豪雨の取材に行きまして、村の方や町長にインタビューをすると、「今回の災害は人災だ」とみなさんおっしゃるんです。理由を訊くと、「上流の森を適切な時期に間伐してこなかった。適切に森林管理が行われなくて、森林の重みで土砂崩れになってしまったんだ」と。日本の国土は7割が森林で、それが人災になってしまうのは悲しいことだと思い、間伐材を使った木のストローをやってみたいと思いました。
サッシャ:ストローのために木を切っているんじゃなくて、あくまでも間伐したものや倒れたものを使っているんですね。
木のストローは衛生面を考えて使い捨てにはなっているものの、ゴミとして流れてしまっても自然に還る生分解性のものになっています。
竹田:今の段階では1本50円ですが、機械化を進めていて量産化していこうとしているので、そうすれば10円以下になります。作り方もオープンにしているので、色んなところで作ってもらって、広めていただければと思います。
最後に竹田さんは、「環境問題だけでなく防災の問題もそうですし、シルバー人材さんや障害者の方の雇用にも繋げています。木のストロー1本で日本を取り巻く社会問題を考えてもらうきっかけになれば」と呼びかけました。
【この記事の放送回をradikoで聴く(2019年7月4日28時59分まで)】
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『STEP ONE』
放送日時:月・火・水・木曜 9時-13時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/stepone/
【6月27日(木)『STEP ONE』の「BEHIND THE SCENE」(ナビゲーター:サッシャ、増井なぎさ)】
http://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20190627101025(2019年7月4日28時59分まで)
■日本は世界で「使い捨てプラスチックごみの発生量」が2位
海洋プラスチックごみ問題は50年以上前、相次いで死んだオットセイの胃からプラスチックの塊が見つかったことで表面化しました。2015年には、鼻にストローが刺さった亀の映像が話題になり、去年G7シャルルボワ・サミットが開催され、カナダ及び欧州各国が海洋プラスチック憲章を承認しましたが、日本とアメリカは署名しませんでした。
サッシャ:プラスチックごみによって、世界中でどんなことが起きているのでしょうか?
竹田:本来海に存在しなかったプラスチックごみが海底に沈んだりすると、大型の海洋生物が餌と間違ってしまう。すると、海の生態系に深刻な影響を与えてしまうんです。スーパーのレジ袋が海中に浮いていると何に見えると思いますか?
増井:クラゲ?
竹田:そう。クラゲに見えてしまうんです。大型のクジラとかはレジ袋を間違えて食べてしまうんです。
サッシャ:健康にも影響が出てしまうんですね。
竹田:5ミリ以下のマイクロプラスチックの問題もあると思うんですが、これは人体にも影響が出ていると言われています。生殖機能や免疫力の低下、肥満、アレルギーを引き起こす可能性があるとも言われているんです。
世界では年間4億トンのプラスチック製品が作られていて、年間で少なくともこの内の800万トンのプラスチックごみが海に流れてこんでいるとか。日本では、ひとりあたりの使い捨てプラスチックごみの発生量は、アメリカに次いで世界で2番目。1年間に使用されるレジ袋は約400億枚と推計されています。
そんななか、日清食品グループは「カップヌードル」ブランドの商品で使用する容器を「バイオマスECOカップ」にする方針を発表しました。他にも、セブン‐イレブン・ジャパンのおにぎりの包装が植物性由来のものに変わったり、日本コカ・コーラとセブン&アイ・ホールディングスが共同で、店頭で回収したペットボトルを100%リサイクルし、共同の企画の商品として採用するというニュースもありました。
竹田:また、米コーヒーチェーン大手スターバックスでは、プラスチック製の使い捨てストローの使用を2020年までに世界中の店舗で廃止するそうです。世界で2万8000店舗あり、10億本のプラスチック製のストローがなくなります。
■木のストロー1本で社会問題を考えてもらうきっかけに
ストローは、世界で1日5億本が捨てられています。海へ流出するゴミのうち、ストローが占める割合は0.1%です。プラスチックストローに代わるものとして、紙製や竹製のものが発表されていますが、竹田さんは木を原材料としたストローを製品化する「Wood Straw Project」という新しいプロジェクトを進めています。
この日は、実際に木のストローを持ってきてもらいました。弾力性があり、ほのかに木の香りがします。サッシャと増井は、杉の木でできたストローを使ってみました。
サッシャ:正直、紙のストローはちょっとふやけちゃって、長く使うのは苦手なんですけど、これはいいですね。舌触りも自然のものだから全然いいですね。
竹田:リップの色も付きづらかったり目立たなかったりします。
増井:もともとナチュラルな木の色なので目立たないです。
木のストローを作るに至った経緯を訊きました。
竹田:去年の西日本豪雨の取材に行きまして、村の方や町長にインタビューをすると、「今回の災害は人災だ」とみなさんおっしゃるんです。理由を訊くと、「上流の森を適切な時期に間伐してこなかった。適切に森林管理が行われなくて、森林の重みで土砂崩れになってしまったんだ」と。日本の国土は7割が森林で、それが人災になってしまうのは悲しいことだと思い、間伐材を使った木のストローをやってみたいと思いました。
サッシャ:ストローのために木を切っているんじゃなくて、あくまでも間伐したものや倒れたものを使っているんですね。
木のストローは衛生面を考えて使い捨てにはなっているものの、ゴミとして流れてしまっても自然に還る生分解性のものになっています。
竹田:今の段階では1本50円ですが、機械化を進めていて量産化していこうとしているので、そうすれば10円以下になります。作り方もオープンにしているので、色んなところで作ってもらって、広めていただければと思います。
最後に竹田さんは、「環境問題だけでなく防災の問題もそうですし、シルバー人材さんや障害者の方の雇用にも繋げています。木のストロー1本で日本を取り巻く社会問題を考えてもらうきっかけになれば」と呼びかけました。
【この記事の放送回をradikoで聴く(2019年7月4日28時59分まで)】
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【番組情報】
番組名:『STEP ONE』
放送日時:月・火・水・木曜 9時-13時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/stepone/