J-WAVEの新番組『STAGE PIA WE/LIVE/MUSICAL』(ナビゲーター:中井智彦)。この番組では、ミュージカル俳優・中井智彦が、ミュージカル楽曲の生演奏、ゲストを迎えてのミュージカルのお話、作品の解説など、さまざまな形でミュージカルの魅力をお届けします。初回となる5月3日(金)のオンエアでは、ゲストに別所哲也さんが登場。ミュージカル『レ・ミゼラブル』の舞台裏などのお話を伺いました。
■ミュージカルとの出会い
まず、中井はミュージカルの素晴らしさを語ります。
中井:音楽や踊りがあることで、脚本がより一層輝く瞬間があります。ミュージカルだから歌う、踊るではなく、喜び、愛、孤独、悲しみなどの感情が高まり、表現者のイマジネーションが放出されたなかで歌われる歌や踊りは、心をわし掴みにされてグリグリと動かされる感覚になります。そんな感覚をみなさんにぜひ感じていただきたいと思います。
中井は高校3年生のときに初めてミュージカルのチケットを買い、日比谷・日生劇場で上演された鹿賀丈史さん主演『ジキル&ハイド』を観ました。観劇前には図書館で小説を読んで予習し、「ドロドロとした人間くさい、人の汚い部分と正義の部分が分裂してしまう人間を、音楽とともにどう描かれるのかな」と興味を持ったと中井は振り返ります。
中井:小説でシンプルに作られているものが、音楽がつくことによって一層感動的になったり、そんなきっかけがミュージカルにはあると思います。そこに広がっていたミュージカルの世界は、正義と狂気の入り混じった混沌とした音楽でした。登場人物の心の声が歌となり踊りとなり、僕らの前で表現されているというのが感動的でした。そんなミュージカルデビューを僕はさせていただきました。
その後、中井はニューヨーク・ブロードウェイに行き、たくさんのミュージカルを観ます。一番心に残った作品は『オペラ座の怪人』で、「大きな劇場で、ファントムが消えるような声でクリスティーナに言う『I love you.』。涙で前が見えなった」と回想しました。このミュージカル体験をきっかけに、大学卒業後に『レ・ミゼラブル』の全国オーディションを受けた中井は見事合格。23歳で初舞台を踏み、現在は再び『レ・ミゼラブル』の舞台で活躍しています。中井はミュージカル俳優としての活動にくわえ、演劇・舞台情報フリーペーパー『ステージぴあ』で「ミュージカルのススメ」という連載を持ち、ミュージカルの魅力をわかりやすく伝えるための執筆活動もおこなっています。ぜひチェックしてみてください。
■別所哲也との共演で感じた「舞台に対する愛」
続いて、中井が「リスペクトする俳優」として挙げた別所哲也さんをゲストに迎えて話を伺いました。ふたりは2007年の『レ・ミゼラブル』で初共演を果たしており、中井は司教を、別所さんはジャン・バルジャンを、それぞれ演じました。ジャン・バルジャンがひとつのパンを盗んで投獄され、改心するときに司教が登場し、『バルジャンの告白』という重要な曲につながります。
まず、別所さんに『レ・ミゼラブル』の思い出を訊きました。
別所:僕にとっては、俳優人生を振り返れば人生を変えたもの。もともと鹿賀さんの初演1回目を僕は観ているんです。僕は学生から俳優になっていく途中で、「オーディションでこういう舞台に立てるんだ」ということを体感しました。思考錯誤であの舞台が出来上がっていくところ、怒号が飛び交う緊張感のあるなか生み出されるリハーサルを観ているんです。その帝国劇場で観た思い出と、そのあと自分が年を重ねてオーディションを受けて念願のジャン・バルジャンを演じるというところまで。そのあとは足掛け十何年近くやらせていただいたので、1年1年に思い出がありますし、中井さんと出会った2007年も大切な思い出です。
中井は、別所さんとの共演で印象に残った2009年の『レ・ミゼラブル』公演でのエピソードを明かします。上演中に舞台トラブルが発生し、緊急事態で幕を下ろさなければならないことがあり、現場が混乱するなか、別所さんは泣きながら幕の前に出てお客さんに謝って仕切り直し、その後すごい集中力で演じたそうです。
中井:僕は、別所さんの舞台とお客さまに対する愛と、別所さんの一言があったおかげで、お客さまとスタッフが一丸となって向かっていったなという思い出があります。
別所:鮮明に覚えています。曲『彼を帰して』のあと展開していくシーンで、バリケードがダイナミックにはけてなくなっていくはずが、機械音が止まらなくて。舞台監督が苦渋の選択で止めて「幕を下ろします」と。「このあとどうするか」というときに、「ジャン・バルジャン主演として別所さんが出て、お客さまに説明してください」と。俳優にとって、舞台が止まるというのがどんなに異常なことでお客さまにとって申し訳ないことか。2000人のお客さまにご挨拶しましたね。
中井:そのあとジャン・バルジャンとジャベールの対決があったり、本当に深刻なシーンで止まってしまって。別所さんが引っ張っていってくれたから僕らもついていったという感覚があります。緊急事態はないほうがいいんですけど、そこで発揮される俳優力というか、あのカリスマ性を、別所さんから感じました。
別所:そんなこと言ってもらえて光栄です。でもそのとき、お客さまが受け入れてくださったからこそです。まずは謝罪をして「ここからはじめさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか?」と、そのときいただいた拍手を今でも忘れられないですね。あと、休憩を挟んでまたオーケストラが鳴り出したときの拍手も。
中井:みんなで舞台を作ってるんだなと思いましたね。
番組ではミュージカル『レ・ミゼラブル』から『彼を帰して』(別所哲也さんが歌う2003年バージョン)をオンエアしました。今までミュージカルを観たことがないという方は、この機会に観てみてはいかがでしょうか。
【この記事の放送回をradikoで聴く】
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『STAGE PIA WE/LIVE/MUSICAL』
放送日時:毎週金曜 22時30分-23時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/musical/
■ミュージカルとの出会い
まず、中井はミュージカルの素晴らしさを語ります。
中井:音楽や踊りがあることで、脚本がより一層輝く瞬間があります。ミュージカルだから歌う、踊るではなく、喜び、愛、孤独、悲しみなどの感情が高まり、表現者のイマジネーションが放出されたなかで歌われる歌や踊りは、心をわし掴みにされてグリグリと動かされる感覚になります。そんな感覚をみなさんにぜひ感じていただきたいと思います。
中井は高校3年生のときに初めてミュージカルのチケットを買い、日比谷・日生劇場で上演された鹿賀丈史さん主演『ジキル&ハイド』を観ました。観劇前には図書館で小説を読んで予習し、「ドロドロとした人間くさい、人の汚い部分と正義の部分が分裂してしまう人間を、音楽とともにどう描かれるのかな」と興味を持ったと中井は振り返ります。
中井:小説でシンプルに作られているものが、音楽がつくことによって一層感動的になったり、そんなきっかけがミュージカルにはあると思います。そこに広がっていたミュージカルの世界は、正義と狂気の入り混じった混沌とした音楽でした。登場人物の心の声が歌となり踊りとなり、僕らの前で表現されているというのが感動的でした。そんなミュージカルデビューを僕はさせていただきました。
その後、中井はニューヨーク・ブロードウェイに行き、たくさんのミュージカルを観ます。一番心に残った作品は『オペラ座の怪人』で、「大きな劇場で、ファントムが消えるような声でクリスティーナに言う『I love you.』。涙で前が見えなった」と回想しました。このミュージカル体験をきっかけに、大学卒業後に『レ・ミゼラブル』の全国オーディションを受けた中井は見事合格。23歳で初舞台を踏み、現在は再び『レ・ミゼラブル』の舞台で活躍しています。中井はミュージカル俳優としての活動にくわえ、演劇・舞台情報フリーペーパー『ステージぴあ』で「ミュージカルのススメ」という連載を持ち、ミュージカルの魅力をわかりやすく伝えるための執筆活動もおこなっています。ぜひチェックしてみてください。
■別所哲也との共演で感じた「舞台に対する愛」
続いて、中井が「リスペクトする俳優」として挙げた別所哲也さんをゲストに迎えて話を伺いました。ふたりは2007年の『レ・ミゼラブル』で初共演を果たしており、中井は司教を、別所さんはジャン・バルジャンを、それぞれ演じました。ジャン・バルジャンがひとつのパンを盗んで投獄され、改心するときに司教が登場し、『バルジャンの告白』という重要な曲につながります。
まず、別所さんに『レ・ミゼラブル』の思い出を訊きました。
別所:僕にとっては、俳優人生を振り返れば人生を変えたもの。もともと鹿賀さんの初演1回目を僕は観ているんです。僕は学生から俳優になっていく途中で、「オーディションでこういう舞台に立てるんだ」ということを体感しました。思考錯誤であの舞台が出来上がっていくところ、怒号が飛び交う緊張感のあるなか生み出されるリハーサルを観ているんです。その帝国劇場で観た思い出と、そのあと自分が年を重ねてオーディションを受けて念願のジャン・バルジャンを演じるというところまで。そのあとは足掛け十何年近くやらせていただいたので、1年1年に思い出がありますし、中井さんと出会った2007年も大切な思い出です。
中井は、別所さんとの共演で印象に残った2009年の『レ・ミゼラブル』公演でのエピソードを明かします。上演中に舞台トラブルが発生し、緊急事態で幕を下ろさなければならないことがあり、現場が混乱するなか、別所さんは泣きながら幕の前に出てお客さんに謝って仕切り直し、その後すごい集中力で演じたそうです。
中井:僕は、別所さんの舞台とお客さまに対する愛と、別所さんの一言があったおかげで、お客さまとスタッフが一丸となって向かっていったなという思い出があります。
別所:鮮明に覚えています。曲『彼を帰して』のあと展開していくシーンで、バリケードがダイナミックにはけてなくなっていくはずが、機械音が止まらなくて。舞台監督が苦渋の選択で止めて「幕を下ろします」と。「このあとどうするか」というときに、「ジャン・バルジャン主演として別所さんが出て、お客さまに説明してください」と。俳優にとって、舞台が止まるというのがどんなに異常なことでお客さまにとって申し訳ないことか。2000人のお客さまにご挨拶しましたね。
中井:そのあとジャン・バルジャンとジャベールの対決があったり、本当に深刻なシーンで止まってしまって。別所さんが引っ張っていってくれたから僕らもついていったという感覚があります。緊急事態はないほうがいいんですけど、そこで発揮される俳優力というか、あのカリスマ性を、別所さんから感じました。
別所:そんなこと言ってもらえて光栄です。でもそのとき、お客さまが受け入れてくださったからこそです。まずは謝罪をして「ここからはじめさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか?」と、そのときいただいた拍手を今でも忘れられないですね。あと、休憩を挟んでまたオーケストラが鳴り出したときの拍手も。
中井:みんなで舞台を作ってるんだなと思いましたね。
番組ではミュージカル『レ・ミゼラブル』から『彼を帰して』(別所哲也さんが歌う2003年バージョン)をオンエアしました。今までミュージカルを観たことがないという方は、この機会に観てみてはいかがでしょうか。
【この記事の放送回をradikoで聴く】
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『STAGE PIA WE/LIVE/MUSICAL』
放送日時:毎週金曜 22時30分-23時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/musical/