小袋成彬が5月10日(金)、自身のラジオ番組『MUSIC HUB』にて、ネットを騒がせた「カルチャー顔」問題について見解を述べた。
■「カルチャー顔」問題とは何か
事の発端は、4月28日にカルチャーメディア『ドンクライ(DON'CRY)』が掲載した、「『カルチャー顔』が好きで好きで好きで。モトーラ世理奈を見ると胸が痛くなる」という記事だ。「カルチャー顔」とは何かを、モデルなどの写真を載せて説明したものだった。その中に、小袋の写真も含まれていた。
小袋:これが、かなりひどい記事だったんですよ。週刊紙レベル。過去に見た中でも、最悪のネット記事でした。たとえば「カルチャー顔」について、モデルの顔の写真を出して「標準的なハーフ顔とはちょっと離れている」と書かれていた。「標準的なハーフ顔」という言葉自体が完全にレイシズムです。他の人の写真も「8割がいいとは思わない顔だ」とあり、大きなお世話ですよね。「カルチャー顔」は、「アーティストや役者から探したほうが意外と早く見つかる」との記述もあったけど、顔のおかげで成功したわけじゃないだろと。「みんなが見向きしなくても自分はそれを理解できる」という記述もあったけど、何様のつもりだと思います。
小袋についても、「弱そう」「EXILEのATSUSHIと決闘したら1ラウンドで負けそう」といった記述があった。
小袋:僕とEXILEの歌詞を引き合いに出していたんですが、その歌詞も間違っているし、ATSUSHIさんのスペルも間違っているっていう、ひどい状況でした。この内容を友人から教えてもらって、これはちょっとキレないとな、と……というか、キレました。僕は正義感からではなく、ただただキレただけです。ムカついただけです。
小袋は「カルチャー顔」を提唱したライター(記載されたメディアの編集長)に対するメッセージを、Twitterに投稿。
<他の人は知らんけど、俺はムカついた。名指しでからかったんだから、お前一回ロンドンまで謝りにこい。それから街を一日歩いて、人を容姿だけで勝手にカテゴライズした愚かさを反省しろ。全ての人々がもれなく美しいということを、実感して帰れ。そしたら全部水に流すし、そっからまた頑張れ。>(小袋成彬、5月2日のツイートより)
結果、記事は謝罪とともに取り下げられた。
小袋:「ロンドンに来い」といったのは、わりと本気でした。編集長が本当にロンドンに来てくれるみたいなので、酒でも交わそうかなという思いでいます。
■怒りの理由は3点
小袋は、記事の問題点を3つ指摘した。1点目は、「人の容姿を稚拙に表現したこと」。2点目は「それを作品物に絡めて論考したこと」。この歌詞は弱いやつが書く、といった根拠のない関連付けがこれに当たる。
小袋:3点目は、自称カルチャーメディアだったこと。個人ブログならどうでもいいなと思うけど、メディアを自称してこれはないだろうと。つまり、バカみたいな内容の居酒屋談義をおおっぴらにやったことが僕には許せなくて、それらの要素がひとつでも欠けていたら怒らなかったと思うけど、三重苦、ヤバいのが連チャンでそろっていたので怒りました。その人の性格を「クラスの端にいそう」とか「何か悲しげで幸せになれなさそう」とかいう記述もあって、そういうことを絡めちゃうとさすがによくないだろうと思いました。
顔に関するカテゴライズは、しょうゆ顔、塩顔、ソース顔など、昔から存在する。「塩顔男子が好き」といった意見もよく見られるものだ。それらと「カルチャー顔」は、どう異なるのか。小袋は、好きという思い自体は個人の性的嗜好であるとしながら、こう説明した。
小袋:怒ったのはその部分ではなく、顔の形而上の問題で「弱そう」とか「クラスの端にいそう」とか、そういうことは言ってはいけないということです。カテゴライズすることは人の個性を単一の枠組みに入れるということだから、そこには理路整然とした論理が必要なんだけど、それがあまりにも稚拙だったので、これはカルチャーメディアで「カルチャー顔」などと提唱するほどのものではなく、居酒屋談義にとどめておくべきだったと感じています。また、その人が一生懸命に生み出した作品を評論したことが非常によくなかったと思います。
■「カルチャー顔」問題で感じた、時代の変化
小袋は今回の件で、いくつかの学びがあったという。ひとつは、「時代がドラスティックに変化している」という実感が得られたことだ。「女の子らしさ」「男の子らしさ」「外国人風」といった、昔は“普通”に使われていたカテゴライズが、多様性が叫ばれるようになった今の時代には、もう通用しない。
小袋:もしかすると「カルチャー顔」の提唱が3年前だったらよかったのかもしれない。でも、今はそういう時代ではない。今回の件で、その急激な変化にみんな気づけた。常に時代を捉えていかないといけないと、僕も含めて大きな学びだったと思います。「何が正しいか」は土地とか文脈の変化によって毎日変わっていきます。今回もその変化が顕著になった一例なのではないかなと思っています。
■炎上の渦中にいて気づいた、「いちばんヤバい」存在
ネット上で毎日ように見られる炎上。小袋は今回の件を「平成の炎上事例とは違ったカタチで、うまく着地できそうだ」と感じている。
小袋:僕らは矢面に立つ職業なので、個人ブログとかTwitterとかでめちゃくちゃ誹謗中傷があるんですよ。「この顔は好きじゃない」とか「ちょっと太った?」とか。そんなのって本当にたくさんある。僕は正直、そんなに気にならないほうなんだけど、今回はあまりにもひどすぎてブチ切れました。そうしたことによって、今まで止められなかった問題に対してちゃんと一石を投じられたので、今回はやってよかったと思います。ひとつの好例となるように、この問題を処理していきたいと思います。
初めて炎上の中心となる立場になったことで、こんな気づきもあった。
小袋:僕はこれまでの炎上は基本的に無視をしていたけど、自分がやってみると、街なかでケンカを見かけることと一緒なんですよ。ケンカしている本人はふたりなのに、周りは驚いて遠目で見たり見ないふりをしたり、仲裁に入ったりしますよね。その周りの人たちの思考が可視化されていることが炎上なんだなと思います。
そんな中で、「いちばんヤバい」と感じるのは、野次馬たちを見て「知った顔で解説している人たち」。
小袋:インターネットの炎上で「みんなやめようよ」「ケンカはやめて」みたいに、それを止めにくる人はひとりもいない。そのなかで、野次馬たちを見て評論している人たちは、いちばん世界への無責任な関わり方だと思います。もし僕がインターネットでボヤ騒ぎを見つけたら、無視するか全力で止めにいくか、その2択にしたいなと自分が渦中にいて思いました。
最後に「口が悪い」と言われることについて、「同世代のミュージシャンでいちばん口が悪いと思います(笑)」と述べた。
小袋:リアルで会った人はよくわかっていると思う。正直がゆえに口が悪い。ただ、今回の言いぶりが僕の全てではないので、それだけで判断するのは勘弁してほしいですね。今回はいろいろとご迷惑をおかけしました。
炎上の経緯、理由、問題点、学びを話した小袋。「これで成仏したので、あとは編集長と直接会って、いい着地点を見つけたい」と、トークを締めくくった。
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【番組情報】
番組名:『MUSIC HUB』
放送日時:毎週金曜 23時-23時30分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/dc0/
■「カルチャー顔」問題とは何か
事の発端は、4月28日にカルチャーメディア『ドンクライ(DON'CRY)』が掲載した、「『カルチャー顔』が好きで好きで好きで。モトーラ世理奈を見ると胸が痛くなる」という記事だ。「カルチャー顔」とは何かを、モデルなどの写真を載せて説明したものだった。その中に、小袋の写真も含まれていた。
小袋:これが、かなりひどい記事だったんですよ。週刊紙レベル。過去に見た中でも、最悪のネット記事でした。たとえば「カルチャー顔」について、モデルの顔の写真を出して「標準的なハーフ顔とはちょっと離れている」と書かれていた。「標準的なハーフ顔」という言葉自体が完全にレイシズムです。他の人の写真も「8割がいいとは思わない顔だ」とあり、大きなお世話ですよね。「カルチャー顔」は、「アーティストや役者から探したほうが意外と早く見つかる」との記述もあったけど、顔のおかげで成功したわけじゃないだろと。「みんなが見向きしなくても自分はそれを理解できる」という記述もあったけど、何様のつもりだと思います。
小袋についても、「弱そう」「EXILEのATSUSHIと決闘したら1ラウンドで負けそう」といった記述があった。
小袋:僕とEXILEの歌詞を引き合いに出していたんですが、その歌詞も間違っているし、ATSUSHIさんのスペルも間違っているっていう、ひどい状況でした。この内容を友人から教えてもらって、これはちょっとキレないとな、と……というか、キレました。僕は正義感からではなく、ただただキレただけです。ムカついただけです。
小袋は「カルチャー顔」を提唱したライター(記載されたメディアの編集長)に対するメッセージを、Twitterに投稿。
<他の人は知らんけど、俺はムカついた。名指しでからかったんだから、お前一回ロンドンまで謝りにこい。それから街を一日歩いて、人を容姿だけで勝手にカテゴライズした愚かさを反省しろ。全ての人々がもれなく美しいということを、実感して帰れ。そしたら全部水に流すし、そっからまた頑張れ。>(小袋成彬、5月2日のツイートより)
結果、記事は謝罪とともに取り下げられた。
小袋:「ロンドンに来い」といったのは、わりと本気でした。編集長が本当にロンドンに来てくれるみたいなので、酒でも交わそうかなという思いでいます。
■怒りの理由は3点
小袋は、記事の問題点を3つ指摘した。1点目は、「人の容姿を稚拙に表現したこと」。2点目は「それを作品物に絡めて論考したこと」。この歌詞は弱いやつが書く、といった根拠のない関連付けがこれに当たる。
小袋:3点目は、自称カルチャーメディアだったこと。個人ブログならどうでもいいなと思うけど、メディアを自称してこれはないだろうと。つまり、バカみたいな内容の居酒屋談義をおおっぴらにやったことが僕には許せなくて、それらの要素がひとつでも欠けていたら怒らなかったと思うけど、三重苦、ヤバいのが連チャンでそろっていたので怒りました。その人の性格を「クラスの端にいそう」とか「何か悲しげで幸せになれなさそう」とかいう記述もあって、そういうことを絡めちゃうとさすがによくないだろうと思いました。
顔に関するカテゴライズは、しょうゆ顔、塩顔、ソース顔など、昔から存在する。「塩顔男子が好き」といった意見もよく見られるものだ。それらと「カルチャー顔」は、どう異なるのか。小袋は、好きという思い自体は個人の性的嗜好であるとしながら、こう説明した。
小袋:怒ったのはその部分ではなく、顔の形而上の問題で「弱そう」とか「クラスの端にいそう」とか、そういうことは言ってはいけないということです。カテゴライズすることは人の個性を単一の枠組みに入れるということだから、そこには理路整然とした論理が必要なんだけど、それがあまりにも稚拙だったので、これはカルチャーメディアで「カルチャー顔」などと提唱するほどのものではなく、居酒屋談義にとどめておくべきだったと感じています。また、その人が一生懸命に生み出した作品を評論したことが非常によくなかったと思います。
■「カルチャー顔」問題で感じた、時代の変化
小袋は今回の件で、いくつかの学びがあったという。ひとつは、「時代がドラスティックに変化している」という実感が得られたことだ。「女の子らしさ」「男の子らしさ」「外国人風」といった、昔は“普通”に使われていたカテゴライズが、多様性が叫ばれるようになった今の時代には、もう通用しない。
小袋:もしかすると「カルチャー顔」の提唱が3年前だったらよかったのかもしれない。でも、今はそういう時代ではない。今回の件で、その急激な変化にみんな気づけた。常に時代を捉えていかないといけないと、僕も含めて大きな学びだったと思います。「何が正しいか」は土地とか文脈の変化によって毎日変わっていきます。今回もその変化が顕著になった一例なのではないかなと思っています。
■炎上の渦中にいて気づいた、「いちばんヤバい」存在
ネット上で毎日ように見られる炎上。小袋は今回の件を「平成の炎上事例とは違ったカタチで、うまく着地できそうだ」と感じている。
小袋:僕らは矢面に立つ職業なので、個人ブログとかTwitterとかでめちゃくちゃ誹謗中傷があるんですよ。「この顔は好きじゃない」とか「ちょっと太った?」とか。そんなのって本当にたくさんある。僕は正直、そんなに気にならないほうなんだけど、今回はあまりにもひどすぎてブチ切れました。そうしたことによって、今まで止められなかった問題に対してちゃんと一石を投じられたので、今回はやってよかったと思います。ひとつの好例となるように、この問題を処理していきたいと思います。
初めて炎上の中心となる立場になったことで、こんな気づきもあった。
小袋:僕はこれまでの炎上は基本的に無視をしていたけど、自分がやってみると、街なかでケンカを見かけることと一緒なんですよ。ケンカしている本人はふたりなのに、周りは驚いて遠目で見たり見ないふりをしたり、仲裁に入ったりしますよね。その周りの人たちの思考が可視化されていることが炎上なんだなと思います。
そんな中で、「いちばんヤバい」と感じるのは、野次馬たちを見て「知った顔で解説している人たち」。
小袋:インターネットの炎上で「みんなやめようよ」「ケンカはやめて」みたいに、それを止めにくる人はひとりもいない。そのなかで、野次馬たちを見て評論している人たちは、いちばん世界への無責任な関わり方だと思います。もし僕がインターネットでボヤ騒ぎを見つけたら、無視するか全力で止めにいくか、その2択にしたいなと自分が渦中にいて思いました。
最後に「口が悪い」と言われることについて、「同世代のミュージシャンでいちばん口が悪いと思います(笑)」と述べた。
小袋:リアルで会った人はよくわかっていると思う。正直がゆえに口が悪い。ただ、今回の言いぶりが僕の全てではないので、それだけで判断するのは勘弁してほしいですね。今回はいろいろとご迷惑をおかけしました。
炎上の経緯、理由、問題点、学びを話した小袋。「これで成仏したので、あとは編集長と直接会って、いい着地点を見つけたい」と、トークを締めくくった。
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番組名:『MUSIC HUB』
放送日時:毎週金曜 23時-23時30分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/dc0/