公開前から話題となっていた、映画『麻雀放浪記2020』。この映画がもっとも注目を集めたのは、逮捕されたピエール瀧さんが出演していたこと。公開中止の可能性も噂されていましたが、予定通り公開されることになりました。そこで今回、監督をつとめた白石和彌監督に、公開までの裏側をお聞きしました。
【4月8日(月)『STEP ONE』の「BEHIND THE SCENE」(ナビゲーター:サッシャ、増井なぎさ)】
■議員試写会で怒られる!?
『麻雀放浪記2020』の物語は、終戦直後の東京で麻雀賭博に命を賭けている斎藤工さん演じる主人公が、あるきっかけで2020年の東京にタイムスリップするところから始まります。
この作品には先日、保釈されたピエール瀧さんが出演しており、「公開中止」の噂も囁かれていましたが、配給元の東映の決断で予定通りノーカットのまま、4月5日に公開されました。
出演者の不祥事が発覚する以前から、東京オリンピックを思わせるような大会が中止になる内容に対し国会議員からクレームがついた? という噂もありました。実際のところはどうだったのでしょうか? 白石和彌監督に直接お話を聞くことができました。
サッシャ:公開おめでとうございます!
白石:ありがとうございます!
サッシャ:「無事」っていうことでよろしいでしょうか?
白石:まぁ、いろいろありましたんで、無事に公開できて本当に嬉しいです。
『麻雀放浪記2020』の原案は、阿佐田哲也さんのベストセラー小説『麻雀放浪記』。1984年に一度、和田誠監督、真田広之さん主演で映画化されています。ただ今回はリメイクではなく、まったく新しいものになっています。
白石:和田監督の『麻雀放浪記』は邦画史に残るド傑作で、同じことはできないですから。ただ、ぜんぜんカタチを変えてみればできるかなという中で、「放浪記」と書いてあるので、そこを拡大解釈させていただいて、時代を超えてやってくるのもある意味“放浪記”であると。で、2020年という時代に昭和ごりごりの坊や哲(主人公)が来たら、いったいどんなことになるのかな? っていうのが物語の最初に考えたことでした。
そもそも今作は、公開前から、頭脳スポーツとして健全な麻雀を推進する国会議員に向けての試写会、東京オリンピックを思わせる大会が中止になるという設定、マスコミ含め試写会を一切やらないなど、話題になっていました。そこにはどんな思惑があったのでしょうか?
白石:まず、国会議員の皆さんに怒られたというのは、語弊があるんです。
サッシャ:あ、そうじゃないんですね?
白石:正確には、頭脳スポーツとして麻雀を広げようっていう議員連盟の方々で、しかも今、同じような意図の中で「Mリーグ」っていう麻雀リーグがスタートしていて、「そんな奇跡のタイミングに俺たち麻雀映画作っちまったね!」ってなって(笑)。で、「なんとかお互い盛り上げたら良くないですか?」っていう話から、じゃあまずは観てもらわないと話にならないから映画を観てもらいましょうということで、国会議員の方たちに試写会を観てもらったんです。
すると、議員の方々は「頭脳スポーツとして麻雀を広げようという連盟なのに、この映画はイカサマと博打だよね? どこをコラボしようとしたの?」という話に。
白石:もうあちらは半笑いの状態ですよね(笑)。半笑いの状態で、「ましてや今、日本が一生懸命、一丸とならなきゃいけないオリンピック中止とかになってるし、何を一緒にやろうとしてるの?」っていう、ある意味、門前払い的な(笑)。
議員のみなさんには「エンタメとしてはおもしろかった」という言葉はもらえたものの、コラボはできないと断られてしまったそうです。ただこの話が大きくなり広まってしまったことにより、本当にIOCからクレームが入るかも……と心配したそうです。
■ピエール瀧の逮捕を聞いて
それに加えて、公開まで1ヶ月を切った3月に、出演者であるピエール瀧さんの不祥事が発覚。このとき、白石さんの心境はいかなるものだったのでしょうか?
白石:普通にテレビを見てたらニュース速報で知ったのが最初だったんで、もう声を上げました。「えーーー!」って。で、今日はもう何も考えたくないと思って、すぐお酒を飲んで寝ようと。仕事残ってたんですけど寝るしかないと思って。そしたらメールがバンバン入ってきて。
そのタイミングから、撮り直しなどいろんな判断をしなければいけないと思っていた白石さんですが、東映のプロデューサーから「ノーカットというか、今のカタチを変えずに、まずは上映する方法を模索したいと思います」という言葉をもらい、とても心強かったと心境を振り返ります。
サッシャ:みんなでなんとか公開のために一致団結はできた中でも、「撮り直そうか」とか「一部変えようか」とか、そういう揺れみたいなのはあったんですか?
白石:ありました。たぶん公開時期の問題がやっぱりいちばん大きかったですけど、半年前だったら撮り直しだったり、別のことをたぶんせざるを得なかったと思うんです。あとは瀧さんが出てる部分を加工して上映するのか、とか。それがイヤだったら撮り直すために上映時期を思いっきり下げるとか、いろんな判断は実際できたと思うんですけど、でもやっぱり今のカタチでやることに、世間のいろんな風潮の中でやることも、エンターテイメントとか作品を作っている者として最初にやるっていうのがひとつ何かの指針になるんじゃないかって意味もあったし、それをいろんな思いの中でやれたことは良かったなと思います。
白石さん自ら、「大いなるバカ映画」と言う『麻雀放浪記 2020』。作品から何を感じ受け取るか、それはぜひご自身の目で確かめてください!
【番組情報】
番組名:『STEP ONE』
放送日時:月・火・水・木曜 9時-13時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/stepone/
【4月8日(月)『STEP ONE』の「BEHIND THE SCENE」(ナビゲーター:サッシャ、増井なぎさ)】
■議員試写会で怒られる!?
『麻雀放浪記2020』の物語は、終戦直後の東京で麻雀賭博に命を賭けている斎藤工さん演じる主人公が、あるきっかけで2020年の東京にタイムスリップするところから始まります。
この作品には先日、保釈されたピエール瀧さんが出演しており、「公開中止」の噂も囁かれていましたが、配給元の東映の決断で予定通りノーカットのまま、4月5日に公開されました。
出演者の不祥事が発覚する以前から、東京オリンピックを思わせるような大会が中止になる内容に対し国会議員からクレームがついた? という噂もありました。実際のところはどうだったのでしょうか? 白石和彌監督に直接お話を聞くことができました。
サッシャ:公開おめでとうございます!
白石:ありがとうございます!
サッシャ:「無事」っていうことでよろしいでしょうか?
白石:まぁ、いろいろありましたんで、無事に公開できて本当に嬉しいです。
『麻雀放浪記2020』の原案は、阿佐田哲也さんのベストセラー小説『麻雀放浪記』。1984年に一度、和田誠監督、真田広之さん主演で映画化されています。ただ今回はリメイクではなく、まったく新しいものになっています。
白石:和田監督の『麻雀放浪記』は邦画史に残るド傑作で、同じことはできないですから。ただ、ぜんぜんカタチを変えてみればできるかなという中で、「放浪記」と書いてあるので、そこを拡大解釈させていただいて、時代を超えてやってくるのもある意味“放浪記”であると。で、2020年という時代に昭和ごりごりの坊や哲(主人公)が来たら、いったいどんなことになるのかな? っていうのが物語の最初に考えたことでした。
そもそも今作は、公開前から、頭脳スポーツとして健全な麻雀を推進する国会議員に向けての試写会、東京オリンピックを思わせる大会が中止になるという設定、マスコミ含め試写会を一切やらないなど、話題になっていました。そこにはどんな思惑があったのでしょうか?
白石:まず、国会議員の皆さんに怒られたというのは、語弊があるんです。
サッシャ:あ、そうじゃないんですね?
白石:正確には、頭脳スポーツとして麻雀を広げようっていう議員連盟の方々で、しかも今、同じような意図の中で「Mリーグ」っていう麻雀リーグがスタートしていて、「そんな奇跡のタイミングに俺たち麻雀映画作っちまったね!」ってなって(笑)。で、「なんとかお互い盛り上げたら良くないですか?」っていう話から、じゃあまずは観てもらわないと話にならないから映画を観てもらいましょうということで、国会議員の方たちに試写会を観てもらったんです。
すると、議員の方々は「頭脳スポーツとして麻雀を広げようという連盟なのに、この映画はイカサマと博打だよね? どこをコラボしようとしたの?」という話に。
白石:もうあちらは半笑いの状態ですよね(笑)。半笑いの状態で、「ましてや今、日本が一生懸命、一丸とならなきゃいけないオリンピック中止とかになってるし、何を一緒にやろうとしてるの?」っていう、ある意味、門前払い的な(笑)。
議員のみなさんには「エンタメとしてはおもしろかった」という言葉はもらえたものの、コラボはできないと断られてしまったそうです。ただこの話が大きくなり広まってしまったことにより、本当にIOCからクレームが入るかも……と心配したそうです。
■ピエール瀧の逮捕を聞いて
それに加えて、公開まで1ヶ月を切った3月に、出演者であるピエール瀧さんの不祥事が発覚。このとき、白石さんの心境はいかなるものだったのでしょうか?
白石:普通にテレビを見てたらニュース速報で知ったのが最初だったんで、もう声を上げました。「えーーー!」って。で、今日はもう何も考えたくないと思って、すぐお酒を飲んで寝ようと。仕事残ってたんですけど寝るしかないと思って。そしたらメールがバンバン入ってきて。
そのタイミングから、撮り直しなどいろんな判断をしなければいけないと思っていた白石さんですが、東映のプロデューサーから「ノーカットというか、今のカタチを変えずに、まずは上映する方法を模索したいと思います」という言葉をもらい、とても心強かったと心境を振り返ります。
サッシャ:みんなでなんとか公開のために一致団結はできた中でも、「撮り直そうか」とか「一部変えようか」とか、そういう揺れみたいなのはあったんですか?
白石:ありました。たぶん公開時期の問題がやっぱりいちばん大きかったですけど、半年前だったら撮り直しだったり、別のことをたぶんせざるを得なかったと思うんです。あとは瀧さんが出てる部分を加工して上映するのか、とか。それがイヤだったら撮り直すために上映時期を思いっきり下げるとか、いろんな判断は実際できたと思うんですけど、でもやっぱり今のカタチでやることに、世間のいろんな風潮の中でやることも、エンターテイメントとか作品を作っている者として最初にやるっていうのがひとつ何かの指針になるんじゃないかって意味もあったし、それをいろんな思いの中でやれたことは良かったなと思います。
白石さん自ら、「大いなるバカ映画」と言う『麻雀放浪記 2020』。作品から何を感じ受け取るか、それはぜひご自身の目で確かめてください!
【番組情報】
番組名:『STEP ONE』
放送日時:月・火・水・木曜 9時-13時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/stepone/