謎の覆面アーティスト・バンクシーは、なぜストリートに絵を描くのか?

覆面アーティスト・バンクシーの作品に似た絵が日本でも発見され、話題になっています。バンクシーは、なぜストリートに絵を描くのでしょうか。バンクシーへのインタビュー経験を持つ、ライターで翻訳家の鈴木沓子さんがゲストに登場。バンクシーの活動や考え方について迫りました。

【3月7日(木)オンエア:J-WAVE『GOOD NEIGHBORS』(ナビゲーター:クリス智子)】


■バンクシーは「地に足が着いた人」

2000年から2006年までロンドンで仕事をしていた鈴木さん。当時、ロンドン市内のあちこちでバンクシーのステンシル作品を見かけていたと振り返ります。

鈴木:絵柄を見る限り、デザイン性が高くて笑いもあり、通常のグラフィティアートとは明らかに違うと感じました。そのため、はじめは手の込んだ広告なのか、アート作品なのか全くわかりませんでした。

鈴木さんはその後、バンクシーがロンドン東部で開催した個展に足を運び、ロンドンで2003年に開かれたイラク戦争の反対運動で、グラフィティアートのプラカードを参加者に配る様子を見て、そのメッセージ性にどんどん惹かれたのだそう。

どうしてもバンクシーにインタビューをしたい。そう思った鈴木さんは、公式サイトから何度もメッセージを送ったり、バンクシーと一緒に活動をする仲間に頼んだりと悪戦苦闘し、ようやくインタビューを実現させました。

クリス:インタビューでどのような印象を持ちましたか?
鈴木:インタビューする前、バンクシーを知っているアーティストたちに「どんな人なの?」と質問すると、「すごく地に足が着いた人だ」と評判でした。まさに本人はその通りで、世界情勢にも非常に詳しくて、「この社会は間違っている」と真面目に淡々と語っていました。
クリス:そういうメッセージを、アートを通して伝えるというスタイルなんですね?
鈴木:そうですね。おそらく自分の作品を後世に残すよりも、アートを使って社会をどう変えていけるかを中心に考えていると思いました。

インタビューでは、「何故ステンシルアートでストリートに描くことにこだわるのか」という質問をしたそうです。

鈴木:グラフィティが違法であることに対し、バンクシーは「街にはたくさんの企業広告などの看板があふれているじゃないか。そっちの方がよっぽど街の景観を汚しているのに、どうしてストリートアートは違法なんだ?」と問いかけてました。「それに対抗するためにステンシルを使って、短時間で自分のアート作品を大量に街に拡散させたい」と話していました。


■ストリートは誰のものでもなく、みんなの場所

鈴木さんは現在、7年間バンクシーと共に活動をしたアーティストの証言をもとにした本の翻訳を進めています。

クリス:今後、鈴木さんはバンクシーをどのように伝えていきたいと考えていますか?
鈴木:バンクシーはストリートにこだわって描いています。ストリートって、誰のものでもなく、みんなの場所です。バンクシー作品を紹介することで、日本でみんなの場所ってどこにあるんだろう、どうやってそれを作って守っていけばいいんだろう、といった議論までつながれば嬉しいと思います。

鈴木さんによるバンクシーへのインタビューは、『BANKSY'S BRISTOL:HOME SWEET HOME』に掲載されています。

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【番組情報】
番組名:『GOOD NEIGHBORS』
放送日時:月・火・水・木曜 13時-16時30分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/neighbors/

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