J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:藤田琢己)。2月21日(木)のオンエアは、いきものがかりの水野良樹とのコンビでお届けしました。日替わりナビゲーターがお送りするコーナー「DAILY SESSIONS」。この日は、水野が気になった曲を紹介しました。
■吉岡聖恵におすすめされた一曲
最初に水野が挙げたのは、しばたはつみ『シンガーレディ』です。故・しばたさんは、1970年代に活躍したシンガー。いきものがかりがレコードにハマったとき、吉岡聖恵さんにおすすめされたそうです。
水野:最近、仕事で聴くことがあって、改めて「すごくかっこいいな」「この時代にこんな音楽をやってたんだ」って思いました。アルバム の曲は『ルパン三世』などの音楽でよく知られる大野雄二さんが手がけています。村上“ポンタ” 秀一さんとか、70年代の凄腕ミュージシャンらが、こういう音を鳴らしていました。
藤田:へえ~。
水野:演奏者たちが、自分の腕を遺憾なく発揮できるステージという意味でのアーティストって、貴重だと思うんです。曲を作っていても思うんですけど、ミュージシャン、プレイヤーのみなさんの能力の10分の1も使わせないで曲が終わっちゃってるんじゃないかと、不安になることもあります。僕は欲張りだから「全部を発揮してほしい」って思っています。椎名林檎さんや星野 源さんのプロジェクトは、トッププレイヤーたちが遺憾なく能力を発揮してるじゃないですか。そういうのを背負うようなトップアーティストが、各時代にいると思うんですけど、しばたさんも、そのひとりではないかと思います。
■空気感を楽しむ『もくもく ふゆ~ん』
次に挙げたのは、ビューティフルハミングバード『もくもく ふゆ~ん』。『おかあさんといっしょ』(NHK)で2018年1月の「こんげつのうた」に起用された曲です。
水野:この曲も非常に好きです。浮遊感というか、優しいけどコード感はテクニカルなところに進んでいくような、すごく素敵な曲です。いきものがかりの場合は“キャッチー命”みたいところがあって、僕のソングライター人生としては、メロディーをどれだけ濃くするかとか、要素をどれだけ増やすか、みたいなところばかり考えてます。ラーメンでいえば太麺、とんこつ醤油、油コッテリみたいな方向性。そこに誇りをもってるけど、『もくもく ふゆ~ん』は、素材の味や風味を楽しむ方向性なのかなと思います。空気感とか、ほのかに香る優しさとか、そういうものが自分は出せてないと思うときもあって、「すごいな。この優しさはなんだろう」と刺激を受けました。
■ここ数年で最も衝撃を受けたアーティスト
続いては、中村佳穂『永い言い訳』を紹介。ここ数年で出会ったアーティストの中で、最も衝撃を受けたアーティストなのだとか。
水野:アルバム『AINOU』がいろいろなところで注目を浴びていますね。スタジオライブにも来ていただきました。サポートミュージシャンやご本人の間に変な境い目がないんです。仲間だけど、どうしても境い目ができちゃうことがあるんですけど、それが中村さんのバンドにはない。“同じ身体”みたいな感じでリンクしてるんです。それは中村さんの才能があるからこそだけど、そこについていくミュージシャンもすごいって思います。自分の世界の支配下にミュージシャンを置いちゃう感じのアーティストもたくさんいて、それはそれですごいことだけど、中村さんはそういう感じでもないというか、混ざっちゃう感じですね。混ざり方がエグいって思います。だからこそ、彼女の才能だったり、素晴らしさが最大化されて、ライブや音源がすごく研ぎ澄まされた、その瞬間にしかないものになります。とんでもない天才が表れて、とんでもないパフォーマンスが生まれていっているということを、スタジオライブでも感じて、衝撃を受けました。
藤田:そうですね。
水野:中村さんはジェイムス・ブレイクのライブを観て、自分のあり方を考えて、2年かけてアルバムを作ったという話がありましたけど、僕自身も中村さんを目の前で見て、鍵盤の前に戻って、僕自身の音楽の向き合い方も考えさせられるようでした。自分はどういう気持ちで音楽を作っているのかということを改めて考えました。
■映画『その男、凶暴につき』でも使われた曲
お次は、19世紀後半から20世紀前半の作曲家、エリック・サティの『グノシエンヌ第1番』を紹介。
水野:北野 武さんの監督デビュー作『その男、凶暴につき』の冒頭で、北野さんが演じる刑事が歩いてくるシーンで、この曲がアレンジされたものが使われています。不安定さと絶妙な緊張感がかっこいいし、その危うさと北野さんの役の危うさが絶妙なんです。僕はこの“不安定なもの”が書けないんです。不安定を成立させるところが自分の課題点でもあるので、緊張感を作るときに何かヒントはないだろうか、と刺激を受けた曲です。
■さかいゆう、才能を感じる一枚
最後に紹介したのは、さかいゆう『Magic Waltz』でした。
水野:アルバム『Yu Are Something』に収録されています。『Magic Waltz』は、さかいさんがもともと憧れていたジャズギタリスト、ジョン・スコフィールド・トリオが参加しています。さかいさんはアルバムについて、セルフライナーノーツで、憧れのスーパーミュージシャンとセッションができた素直な喜びや興奮を語っていました。でも改めて思ったのは、それに値する才能が、さかいさんご本人が持ってるんだろうなと。記念試合をしてるんじゃなくて、本当に勝負をしてるというか。宝物のような才能を、自分の音楽としてまとめあげる力をさかいさんが持っているからこそ、このアルバムができたんだなと感じました。
水野が紹介した曲を聴いて、音楽の幅を広げてみてください!
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【番組情報】
番組名:『SONAR MUSIC』
放送日時:月・火・水・木曜 21時―24時
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/
■吉岡聖恵におすすめされた一曲
最初に水野が挙げたのは、しばたはつみ『シンガーレディ』です。故・しばたさんは、1970年代に活躍したシンガー。いきものがかりがレコードにハマったとき、吉岡聖恵さんにおすすめされたそうです。
水野:最近、仕事で聴くことがあって、改めて「すごくかっこいいな」「この時代にこんな音楽をやってたんだ」って思いました。アルバム の曲は『ルパン三世』などの音楽でよく知られる大野雄二さんが手がけています。村上“ポンタ” 秀一さんとか、70年代の凄腕ミュージシャンらが、こういう音を鳴らしていました。
藤田:へえ~。
水野:演奏者たちが、自分の腕を遺憾なく発揮できるステージという意味でのアーティストって、貴重だと思うんです。曲を作っていても思うんですけど、ミュージシャン、プレイヤーのみなさんの能力の10分の1も使わせないで曲が終わっちゃってるんじゃないかと、不安になることもあります。僕は欲張りだから「全部を発揮してほしい」って思っています。椎名林檎さんや星野 源さんのプロジェクトは、トッププレイヤーたちが遺憾なく能力を発揮してるじゃないですか。そういうのを背負うようなトップアーティストが、各時代にいると思うんですけど、しばたさんも、そのひとりではないかと思います。
■空気感を楽しむ『もくもく ふゆ~ん』
次に挙げたのは、ビューティフルハミングバード『もくもく ふゆ~ん』。『おかあさんといっしょ』(NHK)で2018年1月の「こんげつのうた」に起用された曲です。
水野:この曲も非常に好きです。浮遊感というか、優しいけどコード感はテクニカルなところに進んでいくような、すごく素敵な曲です。いきものがかりの場合は“キャッチー命”みたいところがあって、僕のソングライター人生としては、メロディーをどれだけ濃くするかとか、要素をどれだけ増やすか、みたいなところばかり考えてます。ラーメンでいえば太麺、とんこつ醤油、油コッテリみたいな方向性。そこに誇りをもってるけど、『もくもく ふゆ~ん』は、素材の味や風味を楽しむ方向性なのかなと思います。空気感とか、ほのかに香る優しさとか、そういうものが自分は出せてないと思うときもあって、「すごいな。この優しさはなんだろう」と刺激を受けました。
■ここ数年で最も衝撃を受けたアーティスト
続いては、中村佳穂『永い言い訳』を紹介。ここ数年で出会ったアーティストの中で、最も衝撃を受けたアーティストなのだとか。
水野:アルバム『AINOU』がいろいろなところで注目を浴びていますね。スタジオライブにも来ていただきました。サポートミュージシャンやご本人の間に変な境い目がないんです。仲間だけど、どうしても境い目ができちゃうことがあるんですけど、それが中村さんのバンドにはない。“同じ身体”みたいな感じでリンクしてるんです。それは中村さんの才能があるからこそだけど、そこについていくミュージシャンもすごいって思います。自分の世界の支配下にミュージシャンを置いちゃう感じのアーティストもたくさんいて、それはそれですごいことだけど、中村さんはそういう感じでもないというか、混ざっちゃう感じですね。混ざり方がエグいって思います。だからこそ、彼女の才能だったり、素晴らしさが最大化されて、ライブや音源がすごく研ぎ澄まされた、その瞬間にしかないものになります。とんでもない天才が表れて、とんでもないパフォーマンスが生まれていっているということを、スタジオライブでも感じて、衝撃を受けました。
藤田:そうですね。
水野:中村さんはジェイムス・ブレイクのライブを観て、自分のあり方を考えて、2年かけてアルバムを作ったという話がありましたけど、僕自身も中村さんを目の前で見て、鍵盤の前に戻って、僕自身の音楽の向き合い方も考えさせられるようでした。自分はどういう気持ちで音楽を作っているのかということを改めて考えました。
■映画『その男、凶暴につき』でも使われた曲
お次は、19世紀後半から20世紀前半の作曲家、エリック・サティの『グノシエンヌ第1番』を紹介。
水野:北野 武さんの監督デビュー作『その男、凶暴につき』の冒頭で、北野さんが演じる刑事が歩いてくるシーンで、この曲がアレンジされたものが使われています。不安定さと絶妙な緊張感がかっこいいし、その危うさと北野さんの役の危うさが絶妙なんです。僕はこの“不安定なもの”が書けないんです。不安定を成立させるところが自分の課題点でもあるので、緊張感を作るときに何かヒントはないだろうか、と刺激を受けた曲です。
■さかいゆう、才能を感じる一枚
最後に紹介したのは、さかいゆう『Magic Waltz』でした。
水野:アルバム『Yu Are Something』に収録されています。『Magic Waltz』は、さかいさんがもともと憧れていたジャズギタリスト、ジョン・スコフィールド・トリオが参加しています。さかいさんはアルバムについて、セルフライナーノーツで、憧れのスーパーミュージシャンとセッションができた素直な喜びや興奮を語っていました。でも改めて思ったのは、それに値する才能が、さかいさんご本人が持ってるんだろうなと。記念試合をしてるんじゃなくて、本当に勝負をしてるというか。宝物のような才能を、自分の音楽としてまとめあげる力をさかいさんが持っているからこそ、このアルバムができたんだなと感じました。
水野が紹介した曲を聴いて、音楽の幅を広げてみてください!
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番組名:『SONAR MUSIC』
放送日時:月・火・水・木曜 21時―24時
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